2025/08/17 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にルーベルさんが現れました。
■ルーベル > 貧民地区と平民地区を隔てる場所を示す様な広場。
気紛れな貴族が、高貴な者の義務と声高に主張しては行われる『救済の炊き出し』。
参加する者の思惑は様々。それこそ気高い志の者もいるし、ただの偽善と割り切りながら金を出した手前と顔だけ見せる者もいる。
実際に一食にも困る者には受けもよいのだろうけれど、貧民自体への恒久的な救いには成り得ず。
むしろ餌に釣られて少々小奇麗にして寄ってきた顔立ち整った者などはこの場で囲われたり、後々所在が分からなくなったりと良い結果ばかりではないのが実態ではあろう。
それでも貴族同士や大店商人などは評判も欲しいからか開催は定期的に行われていて。
手伝いにと雇われた教会関係者、冒険者、平民なども入り混じる、一種独特の空間。
「面子の揃い用は兎も角、眺めるだけでは退屈だのぅ」
そんな場所でも護衛に囲まれ施しの様子を眺めるだけの貴族たち。そのうちの一人であるルーベルが益体も無い事をはっきり告げては近くにいた貴族に苦笑される。
手ずから給仕めいたことをする奇特な貴族も居なくはないがやはり少数派。
参加した多くの貴族やそれらの代理人はつまらない催しの一つとばかりに人の集団を離れた位置から眺めるばかり。
見るだけでは飽きたのか、何か興でも引いたのか、その席から離れて周辺へと足を向ける男。
衛兵らしき者が一応は止めるも手で構うなとばかりの仕草を見せては、人の間を歩いて周る。
なにか面白い手合いでもいないか、いっそ不埒者でもいれば面白いのにとばかりに。
■ルーベル > うろうろと会場を歩く間に配給も終わりに近づく。
そろそろ解散と知らされては、箱馬車に乗り込み邸宅へと帰宅していって…。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からルーベルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」に影時さんが現れました。
■影時 > ――仕事をしよう。一員となったからには仕事をせねばならない。
月に、週に、どれだけ組織に貢献せよ、といった話は聞かない。特に要求はなかった。
故に己が“可能”と思う範囲で、気になった仕事を引き受ける。現状気に掛けなければならない情勢にまつわる情報を受ける。
冒険者であることは昔から変わらないつもりだが、さる貴族の食客であった頃は色々と裏事情にも詳しくなったものだ。
ヒトを動かすのは何か。大儀か。否、否。それはヒトを酔わすものであり、本質ではない。
では金か。間違いではない。間違いではないが、社会のウラに回るとこれがまた七面倒な有様を呈する。
例えばちょろまかし、横流しという形で、王国軍の物資の一端が流れている。
はたまた例えば、依存性の高い魔薬が流行るように仕向ける、ということもあるかもしれない。
売り手とその元締めが私服を肥やし、荒廃した領域を再開発という意図で切り取ろう、という者達も居るだろう。
「……いやはや。俺も、否、ワタシも何をやっているものだかねぇ。こういうコトも初めてじゃないが」
王都の陰ともいえる貧民地区に降りる夜。
半分欠けた月が照らす下、屋根の一部が砕けて落ちた高い建物の屋上に座してぼやく姿がひとつある。
後ろ髪を首の後ろで縛り、右目に片眼鏡をかけた上背のある男。整えた身なりだけを見れば、この地域には不似合いなもの。
だが、どこか胡散臭く見えるのは作っているようにも聞こえる口調であろう。
月の傾きを気にするようにちらちらと見上げ、地上に影が落ちないように留意しながら見遣る。見下ろす。
一見迷路じみた入り組み具合を縫うように、幾人の人の流れ、蠢きが垣間見える。
今日の寝床を見出して落ち着いた、と云うには見えない者に用がある。何か獲物を探しているような動きを気配を滅しながら俯瞰する。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にシードルさんが現れました。
■シードル > 「思った以上に、熱心なのね。」
静かに、転がるような声がそっと忍者の耳に滑り込む。
ギルドとしての目的が目的なので、別に貢献度、なんて強く求めるものでは無い。
シーフクラスの訓練や、情報収集などがメインなのだから。
逆に言えば、ギルドに逆らわず、ギルドに迷惑を掛けないならば、自由にすればいいという風潮さえもある。
それは、末端の話であって、上の方に行けば行くほど面倒は増える。
構成員の調整や、仕事の割り振り方。
お歴々などへの根回しや、その為の工作。
それこそ、貴族の方が反社会的な事ばかり言ってる気がしなくもないわね、とため息が零れるもので。
そういうことも有り、ギルドは何時も人手不足。
実力のある人、実力のある構成員の存在と言うのは、大歓迎、なのだ。
いつの間にかいた、と言う訳では無くて。
最初からいた、唯々、隣の忍者と違って服装が服装。
ぱっと見れば、娼婦にも見えなくはない格好なのはご愛敬ともいえるが。
ただ、この国で、男女がいるなら。
女が半裸なら、娼婦だろうという偏見が出てくるので、意外と便利。
影時の隣で静かにものの、人の動きを眺める女が、そこに居る。
■影時 > 「それは熱心だろうねぇ。今日売れなければ明日が怖い――となれば、嫌でも熱が入る」
静かな声に返すのは、これまた静かな声。
場所がが場所であれば、どこぞの貴族の家付きの使用人、執事めいた姿の男が同行している女の方に答える。
熱心と呼ばれる対象は己に対してではない。高所から俯瞰する足元でうろつく者たちだ。
貢献度なんてお題を求められてはいない己とは違い、彼らには恐らくそうした要求、課題が課されているだろう。
そんなものがうっかりこの地域に迷い込んだ平民を見つけたら、どうなるだろう。
それはそれは大変しつこいに違いない。捕まえて、どこそこの家の者等と分かったなら、打算的な流れも生じよう。
「念のため、眼を増やそう。……律令ノ如ク此レを為セ、と」
横目に出来るのは娼婦にも見得る服装の女。うっかり露見した場合は、酒瓶でも出してろくでなしよろしく為そうか。
冗談めかしたことを脳裏に浮かべつつ、懐に手を入れ、一枚の紙を引き出す。
四方に墨跡で紋様を描いた四角い漉き紙は念と氣を篭めると、一人でに折り畳まれ、ふっと像と為す。カタチを為す。
一羽のフクロウの形態を得る。式紙の術と呼ばれる即席の使い魔というべきものを造り、使役するための忍術。
脳裏にその使い魔との視覚を繋ぎ、共有しながら飛ばす。天空からの視点を得る。
「……――あっちに居るのが良さそうだね。意識を奪って、身体検査をさせていただこうじゃないか」
俯瞰の暗視視覚と術者側の視覚。二点の情報把握を以て、何やら浮浪者に目を付けたように見える薄汚れた風体の男を認める。
手荒にはせずとも、確かめるには良さそうだ。そう思いつつ立ち上がり、た、と足場となる屋上の端を蹴りあがる。
風を纏うように飛び上り、ひらりと音もなく、しなやかな猫のように飛び移る。
履物が革靴、ということも問題ではない。何気ない体重移動と足運びを慣れた素振りで果たしつつ、獲物の方へと向かう。
■シードル > 「しかし、此処迄ザルとは、見つけてくださいと言ってるようなものだし。……火がついてるのかしらねぇ。」
何処かに、とは言わない。
まあ、彼らの動きから推測できるものは、多々あるという事だ。
持っている箱の数、箱の中身、荷台に乗せる分量に、運び出す馬車の数。
それらはすべて情報という物となり、それが飯のタネになるという物だ。
ふむ、ふむ、とあちら、此方に視線を滑らせて。
「へぇ……?面白いね。
符術かぁ。シェンヤン風では無い、島国風だね。」
技術を眺め、感想を一つ。
元々、彼の関係者が所属しているからこそ、判っているけれど。
実際に見るのは初めてで、だからこそ、興味深そうにそれも目は追うのだ。
闇夜の中、烏が飛んでも誰も見つけられない。
しかも、それは生ものではなく、紙なので、音もしない。
そう言うのあると楽ねぇ、と羨ましそうな感想。
「えぇ。」
主導で動くのは影それに追従するのは、女。
子猫のように音もなく移動する技術は、盗賊にもある技能だ。
それこそ、肌着のような薄い絹しかないからこそ、衣擦れの音も最低限。
彼の後ろを丁度一歩下がった所で、同じように移動して、追従する。
その間も、視線は周囲を、彼の眼とは違う視点で、物を見ていく。
■影時 > 「さて、そこまではワタシも知りようがないね。……兎に角売り抜けたい、という意図はあるかもしれないかな?恐らく」
魔薬、麻薬の類も色々で。王道的な所から、魔法魔術錬金術で生成する変わり種、変種から何でもある。
丹念に農家が育て、原材料を抽出して出荷した物から、こじんまりした廃墟の地下を工房に生成する等、だ。
“昔ながら”と頭に枕詞をつけている類は、それこそ古参の、と書くとおかしいが、年季が入っている者たちが捌き、商うだろう。
そうとなれば、売れ筋から捨て値まで、隆盛と没落が目まぐるしいものは、悪質な類か。
純度を落した質の悪いものから、効果と引き換えにひたすらに粘つくような依存性を増した質の悪いものまで。
今見える風景と、伺える背景から鑑みる流れは、次の流行りを出す前の準備運動とも言えるかもしれない。
「……ご想像にお任せしよう?とか言うと、答えを言っているのも同然かな。
此れも忍術と、いうことにしておいてくれたまえ」
洒脱に肩を竦めつつ、左目をぱちりと閉じてウィンクしてみせる。
云わぬが花というよりは、こういう答え方をすると、思った通りが正しい――という捉え方にもつながる。
とはいえ、此れも忍術という部類、枠組みの一部でしかない。符術めいた様式も己が術の一つにある。
羽音をさせずして飛ばすこともできるが、リアルを重視してナマモノらしく装うこともできる。使い分けで静穏を保つ。
「……――失礼」
移動する。密やかに飛び移る。数棟の屋上を飛び移り、見える路地で背を向ける浮浪者じみた姿を捉える。
狙いをつけ、息を潜めながら跳ぶ。
高所から雨垂れが滴るように飛び降り、膝や背を曲げつつしなやかに着地し、速やかに獲物の口を抑える。
悲鳴も呻きを立てることを許さず、僅かな氣と共に首筋に手刀を落とし、意識を奪えば物陰へと引き摺り込む。
ある意味慣れた風情の仕事の速さ。
尋問しても良いが期待はしない。寧ろ所持品から情報を探る。
昨今、魔導式の録画手段なるものもある。それを使って録画してしまえば、後でゆっくりと情報を吟味できるものだ。
■シードル > 「意図に関しては、後でじっくりお伝えいたしましょうね。」
彼ならば、情報という物の重要性は理解できている。
彼の言道の端々に、伝え方の一つさえも、情報の扱い方が見てわかる。
情報を中心に扱うタイプのギルドであるからして、彼の技術、技量は重宝し、重用する必要がある。
中身に関しては、シードルの情報の中にある。
更に、現状、取り扱いをしている人物に関しても、だ。
にっこりと、彼に対して笑みを浮かべて見せる。
彼の弟子も、情報収集という事に関しては、このギルドでも有数の実力がある。
ただ、もう一人、最近入ってきた少女、彼女の事を考える。
彼女をどのように扱うべきかは、実際に、仕事ぶりを見てみないと何とも言えない。
情報は大事だけど、ちゃんと目視しての、確認も必要だ。
「成程、その技術は、洗練されているのですね。」
ウインクに対して、軽い口調で返答を返して見せた。
素晴らしい技術、自分にできない事ができるものには賞賛を。
式神を使う忍者の忍術。
これもまた、+に査定しておこうかな、と。
先に降りて、浮浪者のような存在を気絶させる。
荷物を漁るのは、盗むつもりでは無く確認の様子だ。
それを、上から見下ろす。
俯瞰していれば、変な動きをする人物の影をとらえることもできる。
今の所、そう言うのはない。
彼が使っている式神が上からの視線を持ってみているので安全だ。
更に動画を取っている、確か、娼館で使う録画用の水晶。
成程、と。
「………おや。」
そして、視線は少し先に。
こちらを見ているのか、と視線を影時の方へ。
それで伝わると、信じているから。
■影時 > 「そうしてもらえると有難い。
……何分、お外だといつ誰が聞いてるかどうか、分かったものじゃない」
人払いをしても、極限まで突き詰めて考えれば、こうした場で話す内容は誰が聞いていてもおかしくない。
大事な話はきちんと環境を整えた場でやるもの。そうでなければ諸々の不安材料を制御下におけない。
それでも話が漏れているなら、逆算して何が要因かを考えるための材料と成りうる。
先日、決して安くない代価を支払って集めた、仕入れた情報の価値は大きい。今後の駒の運び方を考えなければならない程に。
――いや。己の酔狂は、思い立ったら吉日とも嘯く。
稚気にも似る。行こうと思ったら、既に目的地の真ん前に立っていても不自然ではない。
斬って片が済むなら一番手っ取り早い。されどもそうしてしまうと、面倒がひたすらに膨れ上がる。インフレーションする。
それがこの己に対する歯止めである。枯れ木の最後の命を示す一葉である。
「使えるものは何でも使うし、良いと思えば学ぶとも。
幸か不幸か、そういう機会に恵まれたのはワタシの数少ない幸いかな」
熟練した魔術師、陰陽師の類には敵わない処もあるが、肉薄出来る点もある。適材適所だ。
一点特化の使い手とは違い、己は引き出しの多さに強みを持つ。戦闘経験の長さゆえに使い込んだ手管も小技もある。
即物的に道具として用意できるなら、それでいい。そうでない場合については、術を頼むことに躊躇いはない。
慣れた素振りで獲物の意識を奪い、所持品を改める。上から感じる視線は――他でもない。
上空に飛来させる使い魔たるフクロウの視点も借りれば、明瞭。今回の同行者である。
「ワタシより、此れの持ち物の方を出来たら取っておいてほしいね。
……この国にそういうものがあると知ってから、その眼から逃れることを研鑽した。
後で今の場面を見返したなら、悪いことは言わない。そこは消しておいてほしい」
肩越しにちら、と見遣ればふと苦笑を滲ませ、印を組む。気配も魔力の発露も何もかも、限りなく抑えて息を潜める。
するとどうなるか。録画用の水晶の眼に映るものが、一瞬。
男が息を潜めている間、そこに居ないものとばかりに被写体として認識されなくなる。
直ぐに隠形を解きつつ、フクロウを女の近くの屋根の上に留まらせ、フクロウの口を借りて声を放とう。
そうしながら、持ち物を改める動きは淀みない。広げた布の上に手帳、幾つかの薬包、数枚の硬貨等々。
これらを手持ちの録画用の水晶を使って記録――、暗がりでも明瞭に手帳の中身を一ページごと記録してゆく。
薬包のひとつを抜き取れば、手帳の記述に従い、代価分の貨幣を持たせて元通りに納め、最後に雑嚢を漁る。
小さな安い蒸留酒の瓶である。相手に振りまき、振りかけては、壁を蹴る。
撞球の球じみた動きでジグザグに跳び上がり、遅滞なく速やかな動きで再び屋上へと舞い上がるのだ。