2025/08/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にセニアさんが現れました。
セニア > 【貧民街:安宿 夕方】

「ふぁぁぁぁぁ……」

大きなあくびと共に、2階の契約している自分の部屋から併設されている酒場に降りてくる。
前日は仕事で帰って来たのは夜遅く。
何だかんだと重労働だった為、部屋に戻り適当に鎧を外した所でベッドに突っ伏し。

気付けばこの時間。
寝ぼけ眼を擦りながらがりがりと頭を掻く。
何時もは艶やかな黒髪も、仕事後で直ぐにベッドへとダイブしたせいかぼさぼさで寝ぐせも付いており―――有体に言うと凡そ人の前に出るような恰好ではなかった。
服装は黒いインナーに軽くジャケットを羽織っただけの相当にラフな格好。
まあこれは元々動きやすいよう、彼女にとっては普段着であるのだが。
かなりの薄着で見た者によっては刺激的に映るだろう。
実際、本人は気にしていないが、酒盛りをしていた者からはちらちらと見られている。

「マスタァー……何かたべれるもの」

カウンターに寄りかかり、マスターへとそう伝えて。
そしてマスターはそんな彼女はすっかりと見慣れてしまっているのか、不愛想に一言答えると、厨房の方へと向かっていく。

「んんん~~~~」

ぐいい、と背を伸ばし。
ふう、と一つ息を吐けば空いているテーブルに腰かけた。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にブライトさんが現れました。
ブライト > 「どうも。このお店今も続いてたんだね」

ぎぃぃ と軋んだドアを開け、ちりんちりんとドアベルを鳴らしながらやってくるのは白衣姿の男性。
かつては貧民地区でも仕事をしていたからか、どこか懐かしそうに柔和な笑みを浮かべて店内へ。

平民地区の暮らしに慣れると衛生面やメニュー、店員の応対にケチを付けたくなるがそこはオトナなのでぐっと我慢。
実際は経営者側も色々と難儀な事情を抱えて、我慢や妥協の末にやりくりしているのが殆どなのだから。

「マスター、内装変えたのかい?……あれ、マスターは?」

つい先ほど、泊まり……もとい住み込みの客のおねだりで厨房へ消えた事を聞けば、大した用じゃないから と店員に愛想よく笑って。

「どこにしようかな……あの辺とか静かに飲めそ……うん??」

丸メガネをかけ直し、テーブル席を見つめると冒険者や騎士が普段身に着けているであろう武装もしていない、
軽装というよりも普段着姿の女性が。

しかも、髪は今起きましたと言わんばかりにボサボサ。
……けだるそうで、ものぐさな態度は既視感がある。


「……まさかとは思うけど……セニア??」

起きてるかい? と、目の前で掌を上下に振って反応を伺う。
声をかけてきた白衣の男は、どこかで世話になったり逆に世話をしてあげた事がある顔かもしれない。

セニア > 未だに胡乱な頭で思考も纏まっていない状態で、ぼーっと机に突っ伏しており。
既に舟をこぎ出そうとしていて放っておけばあわや二度寝必死という状況。

「……」

ぼーっと厨房の方から何かが来るのを待っている所で―――。
声を掛けられ、手のひらを目の前で振られて初めて。

「んぁ?」

素っ頓狂な声を上げて手を振る自分を見た。
ジト目が更に細められてブライトの顔を見つめた。

「ぁー……ブライト?……ふぁぁぁぁ」

目の前に知り合いで男が居るというのに、身を整えすらしようとせず、挙句に欠伸を一つ。
ブライト―――。
初対面は彼女にとってはいい思い出ではない、というのも仕事中に負傷した際にお世話になったのである。

「どしたのこんなトコで」

どう考えてもブライトが来るとは思えない場末の場所ではある。
彼が居るのは平民区であり、ここの貧民街とは近いようで遠い位置だ。
欠伸またしながらそう質問した。

ブライト > 色々あったが平民地区に診療所を移転し終え、あちらの生活に馴染んでいる男だったがそれでも貧民地区に足を運ぶ理由がなくなった訳ではない。
理由は主に仕事、仕事、仕事……

ときどき、平民地区ではなまじ顔が知れてるばかりにゆっくり飲めないので比較的人が少ない貧民地区の店を選んだり……
恐らく、今日がそうなのだろう。

「おはよう。……と言っても、もうじき挨拶がこんばんはになる時間だけどね」

何の警戒もしない、間抜けなあくびを浮かべるかつての患者が自身の名を呼ぶ。
テーブルを寝台代わりにしていれば、気難しいマスターがお冠だ。
愉しくワイワイしている他の客のご飯もマズくなるだろうと、起きた彼女にひとまず安心して苦笑い。

「あちらはあちらで、息抜きするのも一苦労なのさ……。せっかくだし、隣失礼するよ」

よいしょっと、返事を聞かずにすぐ隣へ腰かける。
平民地区は出される品々も質が良い……のだが、どこも大盛況。
人が多いとくつろげないのもあるが、顔見知りの訳あり患者が居ようものなら……先生!!今日も泊めてくれる?いいよね??

白衣の男には、これが最も許せない。

「ここで住み込みで働いて……ないよね???」

強張った笑みを浮かべながらおそるおそる。まさか寝泊まりしてるだけか と悪い予感が浮かび

セニア > 「あー……そなの?」

未だにまだ覚醒しきっておらず。
おはようではなくこんばんわになる時間だと把握していなかった。
単に起きたのが今であり、お腹が空いたので下に降りてきたのであった。

「……あー言われると夜ぐらいの感じだこれ」

そこからであった。
やっと少しずつ目が冴えてきたのか、とんとんと頭を叩き。

「まぁ……それはわかるかな」

軽く頷く。
大雑把に言えば彼女も同じような理由で退役したのだから。
凡そ平民区はここと比べるべくもなく治安もいい。
そして彼は医者であり、まあ色々とワケありなのも診たのだろう(私含む)
常連になるような店にいれば色々とめんどくさい事もあるんだろうなあ、と何となく思って。
やっとそこで少しだけ、手櫛を入れてぼさぼさの髪を撫で始めた。
とはいえ寝ぐせが少し治ったぐらいでやはり人前に出るのは少しばかり乱れたままではあるが。

彼が隣に座るのは特に気にせずに見守って。
座ったと後に彼の一言に。

「んぁ……?住み込み?働く?」

住み込みで?
ここで?
首を軽く傾げ、その後首を横に振れば、ぴ、と指で上を指す。

「私ここに宿とってるだけ……だけど?」

首を再度傾げた。
そもそも住み込みで働くような奴がこの店で寝坊した上でマスターに食事をねだろうものなら、叩きだされるのは目に見えているのであった。

ブライト > 未だ時間の感覚を取り戻せない様子の彼女には、うんうんと頷くのみ。
職業柄、寝たきりだった者が目覚めて記憶がぼんやりしている等、似たようなやり取りは珍しくない。
ともあれ、目が冴えてきたが……元からなのだろう。やはり力のない、気だるそうに細く閉じがちな瞳を男はじっと見守るのみに留まる。

「ね。そういう意味では、こっちの方が面倒が少なく……ないや。荒事はムリ」

全てを知る訳ではないが、平民地区でそれなりに長く暮らせば王国の暗部を色々とみる事になる。
小難しい政治的なしがらみをはじめ、我が道を征くストロングスタイルでは続けていけないのが社会生活の宿命だ。
一方で貧民地区は……別な困難がある。ボクは戦えないから と、彼女が長槍を得物に果敢に戦う事を知ってか羨むようなまなざしを向けた。

「あ、ああ……うん。ほんとに、お客さんなんだね……理解したよ。……そうか、ここでも宿の提供はしてたのか」

とはいえ、まるで実家でクダを巻き続ける親泣かせな娘のような振舞いには店側も困りものかもしれないが。
貧民地区でも、そのようなサービス形態がある事に感服する男は、差し出された水を一口喉へ流し込んだ後に

「ずっと泊まっていられるものなの??」

実際の料金プランまでは知らず、素朴な疑問で問いかける。
……相手の懐事情によっては、喧嘩を売るような問いになるかもしれないが。
男の目はいたって興味本位で何の悪意もない。

セニア > 「まー流石にお医者先生様には難しいよねえ」

流石に戦慣れしてるかぐらいはわかるので、頬杖をついてそう答えた。

「ま……私らとは戦場が違うってコトでしょ」

二十四時間時間選ばず駆けこまれたりもしているのだろう、目の下はクマが酷いし顔色もいいとは言えない。
その少なからずの息抜き、という事であろうと自分の中で納得させて。

んんーと背伸び。
ほぼほぼインナーだけの姿であり、身体のラインが伸びをする事で一層目立つが気にした素振りもなく。
その後はまた頬杖。

「そだよ。―――何かその言い方だとちょっとアレな気がするけど。まあいいや。ある程度の前金が必要。で更新料もある程度前金で必要。後はあれこれ条件があって―――」

ブライトの言葉にちょっと反応するがまあ今の現状を見られれば反論も出来ないので途中で言うのをやめて。
覚えてる限りの条件を羅列するが、まあ基本的には常識的・良心的なものに聞こえる。
彼女は軍人であった為、退役する前に多少のため込みがあった。
まあそれも艶事でのチップなど表立って言えないようなものが大半でもあったが。

「その辺守れば後は好きにどうぞって感じ。連れ込もうが何しようが」

だよね?
とビールを二つと軽く食べれるおつまみのような軽食を持ってきたマスターへ同意を求めれば。
無言でじろりと見た後にテーブルにそれらを置くとごゆっくり、と去っていった。

「へへ……睨まれた。別にお金払ってるんだからいいじゃんね」

ぶーと頬を膨らませてぼやいた後。

「とりあえず乾杯しとく?」

そう言ってビールを片手に持った。

ブライト > こちらの仕事に理解のある彼女の言葉にはこくこくと頷いた。
その後に続けられる言葉……戦場という喩えには、遠い目をして。

「そうだね。ボクも君たちも、しくじれば取返しつかないもんね」

笑いごとではないが、にこりと微笑んで冷水を口に運ぶ。
ここにいる二人は、まだ若いが新米と馬鹿にされる程浅い人生を過ごしている訳でもない。
互いに多くを語らずともすぐに察するところにはありがたさを感じる男だった。

「…………ごほん。くつろいでるねえ……君の家みたい」

んー と伸びをする女の身体の一部……何処とは言わないが、物凄く強調するような仕草にはしっかり視線が向きつつも
変なのが寄り付くから と、肩をそっとトントン叩いて諫めた。
……彼女の生業上、力でぶちのめすのは容易だろうけど。

リラックスしすぎな振舞に呆れつつ、興味ありげに聞き入るのは定期宿泊についての詳細。
前金に始まる契約形態から、その他もろもろを聞いても決して無茶なプランには聞こえない。
ここが貧民地区である事を加味しても、そんなものなのか と男は感心するのであった。

「想像以上だな……って、君さあ……」

連れ込もうが と、生々しい具体例を挙げる女に思わず顔が引きつる。
そして、同意を求められた相手の顔を見れば、不愛想なマスターの顔。思わず、うわ と声が出てしまう。
ボクはそんなつもりじゃ と否定しようとするも、間髪入れず去っていくマスターを力なく見つめるしかなかった。

「君の言う事は事実だけど……うーん、まあいいか。勉強になったよ、ありがとう」

長期滞在などが発生した時は、このような話があったのだと頭の片隅に留めておこうと。
仕組みがなくても、交渉次第では得して寝泊まり出来るかもしれない。
野で生きなければ身につかない知恵はさっぱりだ。眼前の彼女はいい加減に見えてきっちりしているのだろう。

「そうだね。特にいい事があった訳じゃないけど……まあお互い元気そうだねってことで」

お揃いのビールを手に、控えめな声でカンパイ と一言。
いざ口にすれば、普段から寝不足の男はあっという間に顔が赤くなり、露骨にあくびが増え始める。
大丈夫、酔ってないから と繰り返すが、時々隣にいるあなたへ頭突きしそうになったりと、明らかに眠気に抗いがたい様子を早くも曝け出すだろう。

セニア > 諫める様に肩を叩かれればやはり余り気にした素振りもない。
んー?という感じでブライトの方を見ただけであった。

「ま、そういうコトかな……いや私は出来ればもうそう言うのは勘弁願いたいんだけど」

だからこそ彼女はやる気無く、近隣での輸送だの、薬草の納品だのといった日銭が稼げる程度の仕事ばかりをメインで受けている。
後はまあ夜の誘いではあるが、そちらは特に触れない。

「まあー……結構長いし」

更新して何回目だっけ……と頭の中でぼんやり浮かべるがまあいいか、と打ち消した。
焦る男を見るがやはり彼女は気にしない。
元々その辺に関しては相当緩くなってしまっている。
その辺りがやはり平民区に慣れた者と貧民区に住み着いて居る者の差、でもあるのかもしれない。

「それは何より。そうそう、折角だしね……あんましそっちは元気そうには見えないけど」

先生の勉強になったという言にうん、と頷いてそう続ける。
そして乾杯の後。

「えぇ~……もしかして結構お酒弱い?……っと」

ふら、っとこちらに飛んでくる頭突きを軽く避けながら。
そこには少しばかり酒が進めば既にいい感じにグロッキーになっている医者の姿。
まあ寝不足な所にアルコールがいい感じに入ってしまったのだろうが、所謂これが医者の不養生とか言う奴かな……などとぼんやり思いながら。

「おーい……大丈夫?……こんなんで家まで帰れる?」

つんつんと肩をつついたがどうにも無理そうではあるが。

ブライト > もうそう言うのは 同じ界隈の者からすれば、何を甘い事を なんて声も挙がるかもしれない。
だが男はとてもそんな一般論を返す気にはならなかった。
知っているからだ、どれだけ最善を尽くしても最悪の結果が覆らなかったり、時には謂れのない非難や責任を被るハメになる。
一命をとりとめ、病室では死の恐怖に涙をすすり戦いから退きたいと訴える兵士を見た事もある。
疲弊したりうんざりしない方が狂っているのだ。
たった一言「そうだよね……」と深く頷くのが男に出来る精一杯だった。

「ははは……痛いところを突くね。体力仕事の君たちみたいに、鍛えた方がいいかな?」

自身が軟弱なのは重々承知しているが、皮肉交じりに体力では自身と比べるまでもないであろう目の前の女傭兵に笑って問いかけ。
実際のところ、医療という世界もなかなかのタフネスを求められるのだが……それを知ったのは、そういう仕事になってからである。

―――キンッ

互いにグラスを響き合わせ、白い泡を少量ごくりと。
弾けるような強い泡と、独特の苦みが口一杯に満ちると何とも言えない表情に。

「いや、そういう訳ではないんだけどね。ちょくちょく……飲みに、こくん……おっと」

弱さを問われれば、必死になって否定する。
かつてはそれなりに酒を嗜み、翌朝もけろっとしていたはずなのに。なんで、どうして。

つんつんと肩をつつかれながら、意思のない人形のように無言で首を縦にコクコク振って無事を伝えようとするも、明らかに目が眠そう。

「だい、丈夫……。うん、明日も朝から診察が……」

目をゴシゴシとこすると、メガネがずり落ちてビールが半分以上残っているグラスの中へぽちゃんと。

「あ、あれ。メガネ、ボクのメガネメガネ…………」

テーブルに手を伸ばし、どこ どこ と探しているうちに、男は腕を微かに左右へ広げメガネの行方を気にしながら……
ついに自力で上体を起こせなくなる。
幸い、彼の良心からか嘔吐したり悪酔いする様子はなかったが、明らかに自力での帰宅が不可能と確信させるものだった。

セニア > 「無理に鍛える必要はないと思うけど……まぁある方がいいのはいいよね」

一般論的にではある。
ないよりはあるほうがいいのは自明の理ではあるものの……現在の激務に更に鍛えるとなると途方もなくキツくなるだろう。
途中で身体を壊しかねない。

「ま、体力と相談して。軽く走りこむぐらいからでいいんじゃない?」

実際兵役もまずは体力でどうつけるのか―――ひたすら走りこむという何ともスパルタであったので多分間違いはないだろう、そう思って。

「……ダメっぽいやこれ」

そもそも持論として「大丈夫と聞かれた時点でアウト」である為、既にこの状況に陥った時点で彼はもはやアウトなのである。
遂にはメガネがズレ落ち、ビールへと落ちる様を見てあーあー……とぼやいた。
遂には突っ伏してしまった彼を見て。
次はつついても動く様子もなく―――。

「……はああ」

大きくため息をつく。
明日診察がある、というがこの状況で彼が診察所―――もっと言うなら自宅へたどり着けるようにも思えず。
ここで放置なんてすれば次の日には身包みがはがされている可能性は低くもなくある。
ここのマスターはしっかりしてはいるが酔客通しのモメゴトは基本的に出てこない。
無論、備品やらが壊れようものなら鬼の形相で飛んでくるが。
男の様子を見てグラスが地面に落ちないよう、少しばかり離したところへ置くと。
もう一度だけ肩を次はやや強めに揺らした。

「……しょうがないなあもう」

ふうと一つ息を吐き、ぐいと自分の残りのビールを飲み欲し、軽食を一つつまむと、残りを包んでもらいマスターにお会計を済ませる。
一部屋借りてそこに叩き込む事も出来るが。
そこまでの持ち合わせがあるようにも見えず。
そもそも最初に思い出したのは連れ込むのも自由とそれこそ少し前に彼に語った自分の言。

「……貸しイチだからね」

ブライトが起きたり、特に抵抗する様子もなければ、肩を貸すと自分の契約している部屋へと運び込もうとするだろう。

ブライト > 【移動いたします】
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からセニアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からブライトさんが去りました。