2025/08/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/娼館「プリプリ」」にネーラさんが現れました。
ネーラ > 今日は「娼館プリプリ」日中の営業を一時停止し、ネーラに嬢全員へのプロテクトをかけてもらっている。

「メイベリーン。うむ、術に揺るぎなし。再施術は不要じゃな。
 バレンシア…何?魔術師の客がプロテクトを破ろうとした?…バカな客じゃな。やるだけ無駄じゃというのに。」
いくつかの呪文を唱えると、淫紋と似た術式が下腹部に浮かぶ。青く燐光を放ち、透明になって消えた。
「アンジー。…お前は知識だけならクルティザンヌかもしれぬが、まあ、大衆にはそれでいいのじゃろう。しかしもう少し身だしなみを。何?推し活?」
200歳になんなんという魔女にはわからないこともある。とりあえず術式に破損なし。宜しき。

「ロシェルは?」
50歳になろうという古株である。熟れた容姿の元・麗しの高級娼婦が今日はいない。
「今日は欠勤?ではない。」

鷲目痩躯の老黒服を呼び、次第を伺うネーラ。

次第はこうである。
本日営業時間前、ド・ギッシュ男爵邸より40歳ほどの使いのものがきてロスマリンはいるかと聞く。
『ロスマリンはおりませんが、私ならここへ。男爵には若かりし大周遊の折り、「おてつだい」をいたしましたが彼の方が何か』
『ここにくれば手がかりがあると聞いて参りました。懐かしい思い出を語り合いたいので、消息を伺いたいと。』

ネーラ、訝しむ。40代で使いのものというのも、雑な話である。
執事でもないというのに、年齢がいき過ぎている。
黒服曰く聞けば使いはかく言ったと

”主人の仰せです。我が騎士道捧げし路傍の貴婦人に再び逢いたし。彼頃貴女を争いし破落戸貴族どもうち揃いております。”

姿に窶したものが消え、またとなく艶やかに、なしうる限りに装って今宵行くのだと黒服は言った。

「美しさは心と時の彼方にぞある、と。粋な話じゃな。良い良い。
…側でただ偲ぶこともまた雅じゃの。」

老黒服がただの黒服だった時、その操をこの魔女のみぞ知る。

ネーラ > なお、ネーラの服装は緑のタンクトップにベージュのスカート、冒険者の服の生地でできたものである。

「今の姿で行ったというのが、またよい。」

ひとときの姿に巻き戻してやることはできたし、元ロスマリンなるロシェルもすでにネーラと知己ながら、何事もせずというのだから。

「美しいことじゃ。なお良い。…さて、片付けたら喉が渇いた。」

慌ててメイベリーンが水入りのマグを持ってきたが、「ああーーっ!」の叫びと共に、転んだ。


「時を水に擬す!」

流れるものは水である。命のやり取りでない時。大義な時のネーラの雑な方法だ。
宙を舞う器と水が、のすべて周囲ごと止まった。

「やれやれ」

3秒間。機敏に立ち、マグをとって、水を納め、手で蓋をした。


「かくて時は流れる。」

全てが動き出した。

「「「「「……!?」」」」」

一同、突然強烈な違和感をおさめる。突然何か、過程が消し飛んだように見えた。

「ありがとう、じゃな。メイベリーン。」

何事もなかったように水を飲んでいる。
店の扉は空いていて、フリー客が入っては「えっ、今日は休み?」などと言っている。

ネーラ > 何をしたんですか、と若い黒服は聞いた。
「何も。」

流石に戦闘ではこのようなことはしない。いやできない。
一瞬の停止には魔力を非常に燃費悪く費やす必要があるのだ。
戦いであればカウンタースペルやマジックシールド、力場操作を組み合わせて情勢を差配した方が安全である。
水に擬す時の差配はたった一種の魔法。1つのカウンターで打ち消される。
防護と対抗魔術なら、同じ魔力量で複数を同時に展開できる。相手も同数のカウンターを打つ必要がある。こちらの方が敵の重荷にできる。

「あれ?黒服さんこの人新人の人?」
と、フリー客はネーラをのことを聞く。

違いますよ。従業員の面倒を見ている人ですよ。「そうなんだ…」とすごく残念そうにしている。

「私は立たんぞ。」
何か言いたそうにしている老黒服に釘を刺しておく。
「立たんからな。」

ネーラ > 魔女、壁時計を見る。

「そろそろじゃな?」

日が傾いてきた。

「では、ひとまずこれでな。いかに魔術で防備をしても、心を病んでは手の打ちようがないのでな。
 病院に行くのは怠らぬように」

きぃ、椅子を立ち。魔女は夕方に向かいつつある街へ踏み出す。

娼館の開店になる。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/娼館「プリプリ」」からネーラさんが去りました。