2025/07/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にポリアンさんが現れました。
■ポリアン > 本日のお仕事は人探しだ。 いや、正確には本日に限った事では無いのだが。
要するに指名手配犯、賞金首の捜索と言った所である。
強盗、婦女暴行、殺人、麻薬の売買、様々な理由で賞金を懸けられた物は多く居る
今回は其の中でも、殺人以外のほぼ全てに関わって居るらしき犯人捜し
――麻薬売買で、購入者が死んで居たら、間接的に殺しも乗っかる可能性は在るが、まぁ、其の辺りは兎も角
最近、この辺りでの目撃情報がギルドに寄せられたとの事で、足を運んでみた次第
とは言え、そう言った情報通りに対象が見つかる事なんて余りない
大抵の奴は注意深く、そして頭がキレる。 自分の居場所なんてすぐに変えて仕舞うのだから
恐らくは、ギルドから情報を得たほかの冒険者も今頃、各々の考えを基に捜索をして居るのだろう
まぁ、其の中の誰かが次の手掛かりに辿り着いたなら、きっと御の字。
「んー…とは言え、アンマリ長居するのもねぇ。」
――例え平民の姿であっても、平民区の人間は、この貧民区では存在が浮く。
自分の様に、ある程度装備を揃えた人間ならば、余計にそうだ
こう言う所を歩いて居るだけで、要らぬトラブルに巻き込まれる事が無い訳では無い
だから、なるべく人気の無い道を選んで歩いては居るのだ、が。
■ポリアン > ―――先刻から、矢張り視線を感じる。
別に不思議な事ではない、此処に来る時は大抵こうなる
其れを利用する時も在るから、別段気にはしないのだが
何だか、後を着けられて居る様な気も、しないでも無い。
気のせいかも知れない、程度で、明確な何かを感じ取れて居る訳では無いのだが
「――――……売り物は無いからね。」
――足を止め、敢えて周囲に聞こえる様に、そう声を発した。
何らかの売人だと思われて居るなら、其の一言で気配は消えるだろう
そうで無いなら、変わらない筈だ。 とりあえず、可能性の一つを消す事は出来る。
大した物は持って居ませんよ、のアピールめいて両掌を掲げて見せつつ
再び歩き出しては、先刻よりも、少しずつ、歩みを遅く、遅く。
只の視線と、そうでない物との区別をつけて――探る、様に。
気のせいなら其れで良いのだ、けれど、そうでないなら。
"対象"が釣れた可能性をも、考慮する必要がある。
■ポリアン > 即物的な盗賊は、何も持って居ない貧民から盗む事は無い。 割に合わないからだ。
もし貧民を襲う盗賊が居るとしたら、其れは身体目当てか奴隷目当てだろう
だが、人攫いに関しては、曲りなりに王都の中で堂々と行うのは手間が掛かる
詰まる所狙い目は、其れなりに金目の物を持って居そうで、何となく弱そうな相手
そして――決して体格が良いとは言えず、線も細いと言われる事が多い
自分の様な輩こそが、狙い目になると言う事も、ちゃんと分って居る。
釣り餌に使うには、持って来いであろう。
「。0(―――――来てくれると早いんだけどねぇ。)」
その方が、判り易くて手間もない。 何より、取り逃がさなくて済む。
そんな事を考えながら、時折歩みを速め、そして緩めを繰り返すのだ
少し早めるのは、相手を食いつかせる為、少し緩めるのは、相手に襲う機会だと思わせる為。
其れこそ魚釣りの要領で、色々と試して見るのだが。
―――暫くして、気配が、変わる。 瞬間、腰に提げていた鞭を掴んで
其の場から飛び退きつつ、元居た位置に向かって鞭打を振るう。
「――――――やぁ、初めましてかな…!」
鞭は僅かに其の先――両手に短剣を携えた男の姿を掠めた――様に思うが、余り効いてはいないか
顔、姿、例の賞金首に間違いない。 ならばと、なるべく距離を維持しながら、再び鞭を振るう
不規則に動く鞭の先端を、今度は死角から、腕に巻き付かせて逃走を防ぎ
「どうも、賞金首さん。 ……大人しく降伏する気はない?
……嗚呼うん、なさそうだね。」
―――男が此方に向けて突進してくる。
さて、どう対処した物か、微笑みは崩さぬ儘に、僅か、構えて。
■ポリアン > 先ずは横薙ぎの上段斬り。 首を狙って来る辺り躊躇が無い。
其れを屈んで回避すれば、次はもう片方の短剣による、上から下への突き刺し
倒す、のではなく、殺す、が目的になって居る辺り――うん、これは恐らく
表になって居ないだけで、この男、既に殺しをやって居るのだろう。
突き刺しを、横っ飛びで回避すれば、絡めた儘の鞭を思い切り引き寄せて、男の体勢を崩す
代わりに、男を支柱にして自分は着地すれば、鞭の延長線上に向けて、指を構え
「少しは、痛い目を見て貰わないとねぇ…!」
――奔らせる、突風。 魔力による、風の塊とも呼ぶべきモノを男へとぶつけよう
当たれば大男でも吹っ飛ばせるもの、鞭で拘束されて居るなら、回避も難しかろうし
何より、鞭で拘束されて居ると言う事は――
「いー……よっと…!」
相手が、飛び退こうとした所を逆に、思い切り引っ張る
風弾の衝突と、鞭による拘束が真っ向から反発し合えば、空気の捻じれに巻き込まれた男の身体が、ぐるんぐるんと回転する
遠心力で、持って居た短剣と、所持物だろう幾つもの物品が、バラバラに飛んで行き
短剣の一本が偶々此方に飛んできたせいで、慌てて避けたけれども
――程なくして、きりもみになった男が、べしゃりと地面に落下すれば
やれやれ、何て、漸く溜息を零すのだ。
「うーん、大惨事。 ……何か変なモノ散らばってないよね…?」
――ちょっとやり過ぎたかも知れない。
もし、この男が薬物とか毒物とかを所持して居たらどうしよう。
結構な勢いで飛散したのだが。
■ポリアン > しばらく様子を伺う、が、如何やら何かしら被害が出た訳では無さそうだ。
一安心とばかりに立ち上がれば、失神して居る男の元へと歩み寄って、其の頭に革袋を被せた。
革袋の上から、顔の辺りに手配書をベしりと張り付けては、縄で両手足を縛り
鞭を足首に絡めて括れば、其の儘、ずるずると引き摺って歩き出そう
地区の境目には衛兵が居る筈だし、巡回して居る兵に出くわすかも知れない
其の時には、捕まえたと報告して引き渡せば、お仕事完了だ
――まぁ、其の衛兵が、ちゃんとお仕事をしてくれるかは少々運任せだが
流石に平民地区まで、男を引き摺って行くのは少々面倒が過ぎる。
「後はまぁ、大人しくしててくれれば良いけどねぇ。」
途中で暴れ出したら、もう一回昏倒させるべきか。
のんびりと、物騒な事を考えつつに、路地を歩く。
――事情を知らない者からしたら、恐ろしい光景だろうか。
手配書を見なければ、何方が悪人だか判らない絵面
厄介ごとの香りしかしないから、多分、大抵の人間は見過ごす筈だと
のんびり男を運んで行く。
■ポリアン > 無事に検問まで辿り着けば、ぎょっとする衛兵に男を預けて、お役御免
あとは、ギルドの方へと報告に向かって、確認を取れるまで酒場でのんびりする心算で――
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からポリアンさんが去りました。