2025/07/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 露店通り」にニュアさんが現れました。
ニュア > 露店通り――。狭い小路に露店が襤褸の幌布を屋根とした軒を連ね。
如何わしい魔術道具や怪しい薬等、曰くありげなものを売っている、そんな一角。
紛い物や贋作、或いは禁薬等もあるが、掘り出し物だってあるがゆえ、
そのうらぶれた路地は、それでいて異様な、薄暗い賑わいを見せていた。

そんな一角。魔術触媒を多く取り扱う露店にて。
一人の薬師が、じっと手許を見詰めていた。
その手許には木彫りの人形。作りは粗野で、土着の民芸品じみた趣を醸すそれ。

「……………。」

聞けば呪いの人形だという。意中の相手を呪い殺せるとか。
ぼったくりという線だって濃厚だ。寧ろ眉唾の土産品あたりが関の山だろう。
だが、その店自体の品揃えが随分と良いのが、少しばかりの逡巡を生んでいた。
あとは、人形に残留する、微々たる魔力の残滓。
目深に被ったフードの内側、白皙の細面は無感動に、けども手放し難く人形を見遣る。

「…ねえコレ、マジで殺せるの?」

殺したい相手なら片手で足りぬ程いる物騒な娘である。店主に問えば、老いた男は「さぁねぇ」と笑った。
娘――ひょっとしたら少年か。
何れにしても、その神経質そうな面差しは、儚くも繊細な可憐さを有していた。
形良い眉に皺を刻んでいるあたり、殺したいアレとかコレとかの貌を思い出しているに違いない。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 露店通り」にエルゼバルドさんが現れました。
エルゼバルド > 「やめとけやめとけ。見ての通り、インチキ商いの粗悪品よ。早々に呪いを返され、貴様が悶えるオチだろうて。まあ、返された呪いとて精々が数日腹を下して厠に籠もる程度だろうがな」

不意。
黒髪から覗く耳朶よりそよぐ涼やかな声音。
妙に耳心地の良いその音色に僅か遅れて鼻腔を擽るのは、シトラスに僅かばかりの香辛料を効かせたかの仄かな体臭。
目を向けたなら、一体いつ近付いたのやら。
頬と頬の触れ合いそうな至近に褐色肌のドールフェイス――――否、整い過ぎていて作り物めいて見えるも、確かに血の通った翠瞳の無表情が、少女の肩越し、胡散臭い商品を見下ろしていた。

ニュア > 傍らから耳障りのよい声が掛かって、振り返る。フードを目深に被った無愛想。
射干玉の涼しげな瞳が、透いた碧翠とかち合い、その距離の近さに貌を露骨に顰めた。
その実、――内心、ぎょっとしている。
人の気配には敏い方。勿論全てに気付くなんて器用さは無いが、それでも。
肉薄しそうな距離に誰かが来て気付かないなんてことは、流石に早々あることじゃない。

「――――… 別に買わないけど。見てただけ。」

またもめちゃくちゃ露骨に、相手の人形の如きの美貌にすら、猫めいてふいっと顔背けて一歩分身を遠ざける。
相手が魔の眷属なら、仕草に動く空気がふんわりと漂う甘い魅惑の馥郁を孕み、鼻腔に確かに届くやも知れず。
口振りは平静通り。愛想の欠片もないアルトを鳴らし、人形を戻しながら。

『おや、買わないのかい?』店主の声に、

「やっぱいらない。どうせゴミだし。」

闖入者を差し置き会話を向けるのは、
これ以上近付くな話し掛けるなをアピールでもあるのだろう。潔い程のガン無視をキメながら。
因みに相手のどうにもオープンな下半身事情については、死角である。未だ気付いておらず。

エルゼバルド > 「であるか」

素朴な驚きを嫌悪で覆い、人馴れぬ子猫の様に距離を取る。
いつの間にか、少女が手にしていた呪い人形への興味を失した翠玉は、変わらぬ真顔でじ…とフードの暗がりに潜む白皙を見つめていた。
そんな二人に諦め悪く、どうにか何かを買わせようとした老商人は、ゴミ呼ばわりに眉根を寄せるも、その傍らに立つ、魔族の証を隠しもせずに堂々と晒すやたらな美女を前に口籠り、結局は舌打ち一つを漏らして引っ込んだ。
さて、この場に居合わせた唯一の脇役がその身を下げて、残るは長駆と小躯、奇しくも同じ特徴を持ち合わせた若い娘の二人。
一歩距離をおいたとて、つい先程まで褐色の爆乳が背すじに触れんばかりの距離感であったのだから、未だ少女の、こちらをまともに観察しようともせぬ視線が捉えるのは精々がバストアップといった所か。
そのため、現在は比較的まともなコミュニケーションが成立していたのだけれども

「――――して、小娘。貴様、なかなかに面白い物を刻まれとるな♥ くふ♥ 性奴の刻印♥ 炎にて無理に浄化せしめようとしたようだが、味おうたのは痛みばかりであったろうの♥」

可憐な唇は面白みもなく引き結んだまま。
しかし、涙袋を僅かに持ち上げ細めた翠眼は、着衣に隠された内腿の傷痕を見下ろしながら、底意地の悪い笑みの気配を匂わせよう。
恐らく少女には馴染み深い、己を弄ぶ凌辱者の風情。
それと共にふと香るのは、先に嗅いだ魔神娘の体臭とはまるで異なる、これまた幾度も嗅いで来ただろう獲物を前に涎を垂らす獣の臭い。
その臭源に眼を向けたなら、今度こそ否応もなく目の当たりにする事となるはずだ。
炎天の陽光下、ビスチェのヘソ上にまで反り返り、先端の切れ込みから先走りのぬめりを溢れ伝わせるガチガチの逸物を。

ニュア > 恐らく――間違いなく、相手は魔族だ。なんとなく、そんな気がする。
女の持ち得る気配が厭だ。此方に向く視線に晒された箇所がちりちりと火傷の引き攣れめいた感覚になる。
こういうのは大抵、最悪な手合いだ。ガン無視してさっさと立ち去るに限る。

娘の態度は徹底していた。如何に最初に間見えた容貌が人外の美貌を備えていようとガン無視である。
店主との遣り取りすら、適当に切り上げて立ち去ろうとしたとき――。

「――――――…ッ !? は???」

思わずその双眸が相手へ向いてしまったのは、
着衣越し、見えぬ筈のものを言い当てた嘲笑うかの尊大な言葉に。
まるで見えないものを――刻印の残す魔力の残滓すらを見透かす翠眼に、ぞくりと背筋が粟立った。
そして意識をすれば濃厚に馨るものもある。饐えた獣臭。
更に、今度は容易に気付けよう。どう考えても正気の沙汰とは言い難い、
ヤバい奴の象徴の如きの、剥き出しの天衝く勃起巨根。
なので。

「 ックソ変態、死ね。」

唾棄するが如くに言い放つが早いか、娘は身を翻す。外套の裡で何らかの触媒を使ったか。
魔族の足元をどぷりと湧いた血毒の澱草で絡めて時間を稼がんとし、自身は雑踏を駆ける。
一心不乱、無我夢中という奴だ。――無理。無理無理。冗談じゃない。
格好のヤバさを差し置いても無理だ。アレは絶対捕まるべきじゃない類の魔だ、と。

エルゼバルド > 恐らく―――どころか、黄金の側頭からにょっきり生やした赤角は、もう見るからに魔族丸出しではあるのだけれど、まあ、中には竜人族だの羊人族だの紛らわしい相手もいたりするので一概には言えないか。
とはいえ、そこに合わせて奇天烈な物言いが重なれば、合せ技一本で魔族認定しても許されそうである。
少女の薄胸中で行われる考察を丸っと覗き見する無表情は、当然逃走の機会を探り始めた事にも気付いており、うずうずにまにま♥
気分は傷を追ったうさぎを追いかけ回す猫科の猛獣。レイプの醍醐味♥

「くふっ♥ はっ♥ ふははははっ♥ おおっと無駄よ無駄無駄。貴様ごときが繰る呪いなぞ、我には何一つとて通じぬわ♥ ほれ、出戻れ♥」

ぱちん。
小躯のすばしこさを活かした疾駆は、老店主相手であれば影も踏ませぬ見事な速度を発揮して、小躯の背をあっという間に路地の曲がり角へと消したのだが、それでもはっきり、耳元から聞こえてくるかの愉悦の声音。
そして軽薄な指鳴らしの音が――――――老店主を巻き添えに3人の姿を異相へズラした。

エルゼバルド > 【場所移動します】
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 露店通り」からエルゼバルドさんが去りました。
ニュア > 「――――ッは?」

遠くへ。少しでも遠くへ。駆けた靴底が、ふいにぐにゃりと歪み。異相の境界を踏む。

世界が狂う。褪せて捻れて霧散する。
鼓膜の奥に唐突に響く、腹が立つほどに軽快で高らかな、
ぱちん、なんて音と共に――魔の導く坩堝へ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 露店通り」からニュアさんが去りました。