2025/07/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にネーラさんが現れました。
■ネーラ > 夏の午後、日頃は商業地域にいるが。かつての職業の縁もあり、相談事を聞きにいく時もある。娼館の横のオープンカフェ。貧民街としては上等な方…つまり、一般庶民が特に痛痒なく購入できる紅茶などが一介の店主、いや魔女に振る舞われる。
市松模様の猫足テーブルに、テーブルとそぐわない角張ったハイバックチェア。
夏のストールを肩にかけ、ダブルバレルなプロポーションをエメラルド色の麻の上下に包んだ白髪の魔女。
適当な、しかし低収入なりに頑張ったアフタヌーンティのようなものを喫す。
曰く態度の悪い客がいる、性病の拡散を止めたい、もっと儲かる方法はないのか、などなどある娼館の妓楼主曰く。
「虫のいい話じゃな」苦笑し「病をしばらく封じ込めるのならば、力を貸しても良い。あるいは、その病を私のてなずけた病魔に食わせてやりたい。よいか?…うむ、恩に着るぞ?何かあったら使わせてやるゆえな。」病魔を、である。「とは言え、一応私は道具屋。そのようにな?」薄く笑い、茶を傾ける。道を行き交う男たちが、買える女かと思って視線を刺してくる。帰れと目で切って捨てる。とは言え豊穣ですらある体型、まあ無理もないか、と魔女は諦め。
■ネーラ > 「……人間はなんて釣られやすいのじゃろうの。」
だいたい一様に、制欲が絡む人間は浅はかだ。日差しのせいで余計惚けておるな、と呟く。
しかしこの国が斜陽になりつつある今、道徳や貞淑が緩んでいるからこそ、娼館は貧民街の人々にとって一種の救済と言えた。
娼婦は姫で、女衒は英雄。他に有望な道がない世界の現実。
さもなくば”名誉ある男たち”…黒社会の門をくぐるか。
げに日常と罪の世界は紙一重である。
妓楼主、ネーラに愛想笑いをしている。
「接客なら断るぞ。…昔の話じゃ。だいたい本業をそっちのけにして副業か、あまり良くないのう。…」
魔女、自らの胸の谷間に摘んだ形の指先を差し込む。収納の空間を魔術で仕込んだそこから、絹の紐を谷間から摘み出し、青い扇子を取り出した。
「それとも、よほど面白い雄でもいるのか?どうしても急場を凌ぎたい女たちがいるのか?…客の中に魔族や悪魔がいるというのなら、興味深いが。」
人を助けるか、食いでのある魔力か。今まで妓楼主には何度も伝えたこと。ぱしり、と広げた扇子で首筋を仰ぐ。付与魔術仕込みの冷涼な風が心地よい。
■ネーラ > 「…色ごとに興味はないのか、じゃと?はン…」
愚問、背けた横顔がそう語っている。
「魔女が貞淑だと思っているのか?ん?お前を仕込んでやったのはどこの誰か、言うてみい。」
遠慮するな。
妓楼主…40歳ほどの風采の上がらぬ男…の耳元に口を寄せる。
何?恥ずかしい?
かつては美少年だった彼にしなだれかかる。
忘八のくせに。魔性の気配で包み込み、声を低めて湿度高く囁く。
少し、日が傾いた。
今日の相談事は終わったようである。
厄介ごとに満ちた乾いた空気の中、亡霊のように立ち上がる。
「今夜もそろそろ忙しくなろう。そろそろ店に戻ってやると良い。私は……少々散歩する。たまにはこの辺りの様子をじっくり見たい」
気圧されて冷や汗に塗れる妓楼主、立ち上がり、去りゆく魔女の背に一礼した。
布越しでもわかる、みつしりと張り出した尻が薄衣の中で主張しているが、まろやかに実ったそれでさえ、彼女を知るものには剣呑ささえも感じさせたものである。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からネーラさんが去りました。