2025/07/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 宿屋」にニュアさんが現れました。
ニュア > 「――――は?」

フードを被った少年風貌の、薄く可憐な唇より、大凡可愛げの欠片もないドスの利いたアルトが剣呑に響く。
此処は貧民地区の一軒の宿屋。娘が暫く王都を離れる前、逗留先に使用していた安宿であり。
暫しの出奔の間も前金を払って抑えていた――所謂仮住まい先であった、のだが。

「いや、なんで勝手に人の荷を取っ払って人に貸してんの?
意味分かんなくない??何しちゃってんの?ばかなの????」

戻ってみればその部屋は、誰ぞに貸し出され。
部屋に置いていた私物はがらくた宜敷く雑に撤去され、物置にあるとのことである。
『いや~、まだまだ帰って来ないと思ってたからさァ。借りたいって客がいたから…』
へらへらと赤ら顔を撫でつつにそんなことを宣う店主に、間髪入れずに

「や。笑いゴトじゃないんだケド。てゆうかさ、ソレ、俺が今夜何処に泊まればイイわけ?
 さっさとその客追い出してくれない??今から宿探すとか絶対ヤなんだけど。」

ブチギレである。
黙っていれば白皙のかんばせも儚げな美少女、或いは美少年ですらあるのだが、
この薬師の場合、圧倒的に対人スキル――殊に愛想というものが欠落していた。
片眉が神経質に跳ねあがり、双眸は零度を刻む。
否、勿論。商売なら逆さに振ってでも愛想を捻出するのだが。

ニュア > 今逗留している客を追い出せるかといえば当然にして否、なわけで。
どんなに娘がブチ切れようと苛立ち紛れに睨もうと、店主が折れる気がある筈も無い。

結局、新たな宿を探す羽目に陥って――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 宿屋」からニュアさんが去りました。