2025/06/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にタマモさんが現れました。
タマモ > 王都マグメール、貧民地区。
時期的に、少々早い暑い日々とは言え、この時間帯は…まぁ、それなりに涼しい、だろうか?
人気の疎らな裏通り、そんな通りが見える、周囲に並ぶ建物の屋根の上。
少女の姿がある場所は、いつもの事と言えば、いつもの事かもしれない。

「………ふむ」

のんびりと佇みながら、何かないかと、周囲の通りをぐるりと見回す。
そんな行動もまた、いつも通りであるのだろうが、そんな視線の先に何かあるかどうか、それは別だ。
面白そうな場所、面白そうな店、面白そうな出来事、こんな場所に居る、楽しめそうな相手。
少女が求める、それ等のものが、果たして今日はあるだろうか?

タマモ > …とは言え、何もせずに終わる、と言うのも味気無い。
軽く思案する仕草を見せる、そんな少女だが、一つ頷けば、ぱちんっ、と指を鳴らす。

少女が見下ろす、いくつもの裏の道、じわりと広がる力があれど、それを感じ取る者が居るのかどうか。
さて、少女が何をしたのか?一見すれば、何かしたの?みたいな感じではあるのだが。
それは、その場に実際に行かねば分からない、ちょっとした悪戯だ。

なにせ、いくつもの道の、しかも、転々とした決められてない地面、そこに掛かった力を踏むと。
あら不思議、なぜか足が滑って転んでしまう、と言うものだからだ。
どれだけバランスが良くても、どれだけ受け身が上手くても、派手にすっ転ぶのだから、本人には堪らない。
…それ以上の事はない、本当に、ただ転ぶだけの仕掛けである。

「まぁ、こんなものじゃろう」

力が広がり切ったのを確かめて、よいせ、と少女は適当な場所に腰を下ろす。
周囲を見回している、その視線を外す事はない。
一応、引っ掛かる相手を待ちつつも、他の色んなものを探っている、と言う、やっていた事は継続である。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にシルドさんが現れました。
シルド > そんな不可思議なパワーを感じられるほど男は敏感でもセンスもない。
ただ幸運だけは不思議ともっており、その幸運も天秤を保つ意味で不運にブレることもあるかもしれない。
仕事で使った白いワイシャツ、歩きにくいうえに足音がやたら派手なゲタでガロンガランと歩いていると、いくつか仕掛けられたそんな仕掛けに派手に引っかかった。

「のぅぁ!?」

反射神経はそれなりだが、不思議な事に抵抗できない。
ずべしゃぁ!という豪快な音と共に転ぶと折角の白いシャツは土まみれ。
ゲタは鼻緒が切れ、片方が高い壁の向こう側にすぽーん、と飛んでいくという有様である。
地面に大の字に転倒したが、何が起こったかまでは把握しきれていない様子だった。というか半分スタンの様な状況。

タマモ > ぴくん、少女の耳が揺れる。
言うまでも無い、己の仕掛けに引っ掛かった、哀れな犠牲者、それに気付いた反応だ。
本人的に惜しいと思うのは、その瞬間を見る事が出来なかった、と言うものではあるが。
しかし、その後の状況を見る事は、可能である。

次の瞬間、屋根の上にあった少女の姿は消え…
その転んだ相手の目の前に、ではなく、そんな相手がすっ転んだ現場、その付近へと降り立った。
理由は簡単だ、声が女性のものであれば、何らかの弾みで服が破れたり、スカートが捲れたり、等々。
そんな面白いハプニング、とかがありそうではあるものの。
声が男性のものだったので、副産物っぽい面白い出来事はない、と判断したからだ。

「…おやおや、これはこれは…何とも派手にやってしまったようじゃのぅ?」

ひょっこりと、先の曲がり角から、偶然を装い姿を現わしながら。
地面に転がり、色々と酷い目にあった風な男性の姿を、じーっと見詰めるのだった。

さて、相手からすれば、何の気配もなかった先の道から、ミレー族っぽい少女が現れた、との感じだが。
そこに何か思考を巡らす余裕があるのかどうか、どんな反応を見せるのか、と言った状況かもしれない。

シルド > 「おおお、頭の上で裸の翼生えた女が回ってるぅー。」

ちょうどミレー族にも見える少女が顔を見せた時にはそんな不埒な事を言ったりもしていたのだが、少しずつ回復してきているのか頭を左右に振ると、ぱらぱらと土埃が無駄に伸ばされた髪の毛から白いシャツから地面に振りまかれていた。

ミレー族。魔力ある。魔法使える噂がある。

そして地面で抵抗なんて出来ずに転倒した、というかさせられたようにも感じる違和感。
全ては繋がった。

「ソ、そこのお嬢ちゃん……回復魔法を掛けに来てくれた天使か?」

まぁ正解を導き出せるような頭を持っていればもう少しマシな暮らしが出来ているという物だ。
ひょっこり現れたミレーの少女が大笑いでもしていれば名探偵よろしく犯人はお前かー!とばかりにお仕置き――されたかもしれないが――タイムになだれ込めたかもしれない。

「ちっくしょー。せっかくのシャツが台無しだぜ。
……。」

じーっとみてくる少女にムラっと来るものがあったので最後は言葉を飲み込んだ話。
うん、まて。いきなりいきりたったらそれはそれで変態の名札をぶら下げかねない。
まずは紳士に真摯に。でも近寄ってきてくれたらいいものが見れそうな服装な気もする。
KIMONOという物に包まれている少女が全身を見せると薄暗い路地でもわかるほどに整って見える顔立ちと出るモノが出てるライン。
種付けおじさんとしては良い物を拝ませてもらってる。

そんなわけでもっかい救助を要請してみる。

「なんかこう、回復出来そうな魔法とかそういうヤツ、ある?」

タマモ > 何だろう?それは天使?とか言うものの表現だっただろうか?
当然、耳に入る男性の言葉に、そんな考えを抱きながら、そんな男性の見える位置にまで。
あちらも気付いたのだろう、勘付いた気配と、己に向けられる言葉に。

「あー…あぁ、やはり、天使?とか言うものじゃったか。
しかし、残念じゃのぅ、妾は魔法やら何やらは、使えんのじゃ」

うん、実のところ、笑いを堪えていたりはする。
しかし、ここで笑ってしまっては、あっさりと己が犯人だ、と言っているようなものだ。
…とか何とか、お互いに、似たような考えを巡らせているようだが、それはお互いに知らぬ事か。
ともあれ、そんな言葉を返しながら、更に数歩、男性へと近付いて行く。

「まぁ、あんな声を上げる程に、盛大に転がってしまってはなぁ?
むしろ、転がって汚れない者であった方が、不思議に思えてしまう訳じゃが?
とりあえず、あれじゃ、今言ったように妾は魔法は使えんが…この程度であれば?」

そこまで来れば、お互いに、お互いの姿がはっきりと見えるだろう。
大の字に転がったままの男性、異国風の着物を身に付けた、不思議と複数の尾を持つミレー族らしき少女。
…シェンヤンでの知識が豊かならば、あちらで言う似たような妖怪等が頭に浮かぶかもしれない。

とりあえず、その辺りの事は、どうでも良いか。
救助を求める男性に、ひらりと手を振り、そう答えるも。
すっ、と軽く指を振るのを見せると、すっ飛んでいった下駄の片方が、その手元に手繰り寄せられた。

シルド > 「天使は折角だから女ってことで。――なんか、頬の辺りピクピクしてるか?」

少し半眼になりかけたが、少女の言葉を聞いて半眼は正されていく。
逆の立場になってみよう。目の前のミレーの少女が転んでいたらどうしていたか?
無論全力ダッシュで美味しい思いをしにくる。
じゃなく、男がすっころんで派手な声を上げていたなら確かに笑いたくもなる。
となると本当に自分の運が悪くて転んだだけか、なんていう風に考えが落ち着く頃に、ふるふるともういちど頭を振ったらなんか見慣れないモノが背面に生えている。

一瞬男でいう「アレ」が複数本生えているように見えたのは内緒だ。
シェンヤン知識は浅く、せいぜい伝承とか花街でシェンヤン風衣装!みたいなカテゴライズされたものしか見覚えが無かった。
爪先から耳のてっぺんまでじろじろと遠慮なく見まわす視線。
こう、女を主張している胸や太腿とかオマタの辺りには殊更多く視線が集中していたような感じはあった筈。

「って、魔法使えない?へぇー。変わった……えええええ?それ俺のゲタ!?」

妖怪については美人な妖怪しか知らない。男の頭の中は9割のエロ知識しかない事が原因でもあるが。
ともあれ驚いたのはゲタが片方脱げていた事に気が付くより先に、自分のゲタが突然少女の手元に手繰り寄せられた様子。
まるで見えない糸でも手繰り寄せたかのように。

「へぇー!魔法使えなくてもそういうものってなあるんだなぁ。
俺にもそういうのできねぇもんかね。うおおお着物よはだけろー!とか着物よめくれあがれー!とか。」

シェンヤンに限らず巫女服等は見たことがある。
不思議と男の心が擽られる服装なのだが、喋っているうちに少しずつ意識がはっきりしてきたのか。
なんか腕を少女の方に伸ばしつつ魔力もないのに何かの奇跡を起こそうとしている様子。
でもゲタが片方だとさすがに歩きにくいを通り越して素足で帰宅しなくてはいけないので、一先ずゲタを返してほしい。

「くそー、どうせ転ぶならお嬢ちゃんみたいな美人が転んでくれた方がいろいろ見えたりしてラッキー!だったんだがなぁ。
……いつまでもお嬢ちゃん呼びはまずいか。俺はシルド。シルド=レイン。」

ちょっと声のトーンを落としたのはミレー(にも見える)少女的に、あんまり人間を集めない方が良いのか?とか余計なお世話半分。
残り半分はこんなところで悪党や悪漢に見つけられたらそれはそれでマズイ。色々な意味で。

タマモ > 「ふぅむ…天使も女子だけとは限らんのじゃが、まぁ、夢は持っておるに限るか。
…うん?頬?…いや、分からんが」

さすがに、その男性が何を考えているのか、までは分からない。
だが、そんな心の声を聞けたのならば、きっと少女であるにも関わらず、強かに賛同した事だろう。
転んだのが少女であったのなら、男性がすっ転んで笑いたくなるのか、そのどちらもだ。

と、続く問いに、軽く首を傾げる。
複数本ある存在を何か別のモノと見間違えた、と言うのは、これもやはり分からない。
しかし、その視線がどこに集中的に向けられていたのか、これはさすがに、すぐに分かった。
いや、分かったからと、それを別に咎めるつもりはない、己だって、きっと似たような事をするのだから。
…そう考えると、その辺りの考え方、似たような二人なのかもしれないが、知らぬが仏…ちょっと違う?

「うむ、これはお主のものじゃろう?
いや何、お主の派手な声に交じって、別の物音が聞こえ、お主の片方の下駄が失われていた。
ざっと見ても、それくらいの事は分かるものじゃろうて…のぅ?
………出来ない事はないが、やってしまったら、犯人が誰かなんて簡単に分かってしまうじゃろうに。
あー…まぁ、分かっても良い状況であれば、問題ないか…」

驚く男性の様子に、ふふんっ、と自慢気に胸を張ってみせながら、指先でくるくると下駄を回す。
そして、次いで聞こえた男性の言葉に、軽いツッコミを入れながらも…
そこに添えられたのは、それはそれでどうよ?とか言われそうな、そんな返答だった。

そして、男性が見せる不思議な動作、それを目にすれば。
その動きを阻害するように、指で回していた下駄を、ひょいっ、と男性に向けて放り投げた。
こちらに来るよりも、さっさとそれを直すなりして、履き直せ、と言っているかのように。

「確かに、女子がすっ転んだ方が、何かと期待が大きいのは分かるぞ?
男子では、期待するに出来んからのぅ…いや、年若き男子であれば、稀に期待を持てる者も居るがな?
おっと、あー…シルドか…ならば、妾も応えねばなるまいか。
妾の名はタマモ、覚えるも忘れるも、お主次第じゃろう」

少女なのに、考え方が男性寄りだ、そんな返答を返しつつも。
その言葉を少し深読みすれば、所謂、男の娘も良いんじゃないか?とか、思わせるようなものも含め。
そんな会話を交えながら、名乗る男性に、己もまた、それで返すのだ。

ただ、男性とは違い、この状況に何ら危機感は抱いていない。
むしろ、何か起きる事を期待するか、楽しんでいるかのような…そんな雰囲気を、感じ取れるだろうか。

シルド > 「いーや!天使は絶対女だね!しかもタマモみたいな良い体つきした天使だったりペッタンだったり男の欲望のニーズに応えてくれる!
うーん、なんだろうな。見た目は幼いのに言葉の端々とか振舞い方が俺より年上に見える。これはこれですげぇソソル。」

少女への正直な判断が口を突いて出てしまう。伸ばしていた腕は、あわあわと空中で覚束ない感じで慌てたようだったが、存外に器用。
放り投げられたゲタを掌で包み込むようにキャッチ。
そして鼻緒こそ切れているがないよりマシとばかりにアーチ状の部分だけを足の指の付け根に這わせるようにして履き直す。

「うーん、意外。大体オッサンの考え方って下品だなんだって言われるんだがタマモとは妙な部分で共鳴を感じる。
それと美人や美少女、美熟女の名前は忘れない主義なんでな!
良けりゃ話の【続き】でもどうよ?近くの宿でも取って、じっくり。
ゲタの分くらいは良い思いか、良い酒――いや子供か?酒はマズイ?いけるなら酒でも良いし、飯でもいいし。まぁどっちかで返す。」

まぁナンパよりももっと軽いお誘いだ。
少女が場慣れした冒険者以上に力を持っている存在と気付いていないからこその、気楽な誘い。
少女の趣味嗜好はなんとなく自分に近く感じる。となると床の相性も見たくなるし、幼く見えてその実体の肉付きはそうじゃなさそうだしと――指で示すのはちょっと先にある連れ込み宿の類。

最低限の治安は保証されているが隣の部屋などからは見られたり、声とか筒抜けになりかねないそんなちょっぴりデンジャラスなお宿。

タマモ > 「世の中には、男子であっても、それに応えられる存在も居る。
女子と言うだけに目を奪われれば、意外な楽しみを見逃してしまうぞ?
まぁ、お主より下とは思わんが、年齢なんぞはどうでも良かろうて」

相手の言い分は、分からないでもないが、残った僅かな可能性を握り潰すのは、ちと惜しい。
将来的に、結局はダメでした!とかありそうだが、その可能性の芽だけは、残しておいてやろう。

そうした遣り取りをしつつ、投げて寄こした下駄を履き直すのを見詰めながら。
見た目と年齢についても、さらりと答えた、いやだって隠す必要もないし。

「男子であろうが、女子であろうが、そうした考えを抱いて何が悪い、抱いていて当たり前のものじゃろう?
まぁ、そうしたものを否定する、堅苦しい相手を堕とすのも、面白そうではあr…こほん。
そうかそうか、忘れないのであれば、それも良い。
………ほほぅ、それは面白そうな申し出、酒だろうが飯だろうが、美味ければ儲けもんじゃ」

この男性の意見を否定したら、一部、己の考えも否定するようなものだ、出来る訳がない。
とは言え、そうでなくとも、こちらの考えに歪めてしまえば良い的な、そんな言葉を口に出すも。
さすがに、それをすべて言い切らず、途中で言葉を切ってはいるも…この相手には、大体伝わるか。
咳払いで誤魔化した後、それに続いた相手のお誘いを耳にすれば。
ちらりと、その指が示す宿を一瞥し、あっさりと、それを承諾するような言葉。

一度視線を向けたのだ、それがどんな宿なのか…きっと、何となく理解して受けたのだと、分かる。
もっとも、この少女を知る者からすれば、むしろ温いレベルなのだが、それを知る訳も無しか。

シルド > 「ふーむ?意外な楽しみねぇ。男のモンの扱いは男の方が知ってたりするとか、蛇の道は蛇?ならぬアレの道はアレが生えてるやつが一番知ってるとかそういう?
そうだな!年齢なんぞよりタマモはイイ女ってことで。イイ女は年を重ねても変わらねぇ。」

と。案外にもこちらの申し出に乗っかってきた少女。
怪しさ満点のはずなんだが警戒心を感じていない少女の姿に先ほどすっころんだ事なんて、どこかへ飛んでいった様子。
ついでにいうと堅苦しい相手を落とす、という言葉には興味を惹かれるものもある。
何も知らない堅物にじっくりこってりねっちり自分の技術とかそういうのを試してみるのも面白そう。なんて心を動かされたりもした。

上機嫌に立ち上がり、そして男との身長差がある少女のお尻に手を伸ばしてむにり、と着物の上から感触や形を確かめる様に男の手が、そこのカーブを鷲掴みにしようと伸びていく。
尻尾もちょっと興味があるのか、隣に立って痴漢よろしくお尻揉みながら尻尾の毛並みや触り心地を試そうとしているのだろう。

「よーしいったな!酒と飯と良い思いの三点セットで。
朝まで……朝を過ぎても全然いいんだが、まぁ体力が続くまで楽しもうぜ。
しかし転んだときは不幸だと思ったが、タマモみたいなイイ女に遭えるなら幸運だったよなぁ。」

等と言いつつ宿の方へ、いやに足早に向かおうとする男。
さて宿屋の中で男と少女がどう過ごすかは神様いるなら神様のみぞ知る。
ついでにその神様が女の神様なら良いななどと不埒な考えは忘れずに――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からシルドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にポリアンさんが現れました。
ポリアン > 「―――――や、久しぶりになっちゃって。
はい、これ余り物ね。」

貧民区の孤児院、其の一つに足を運んだのはつい先刻の事
老齢の、代表者たる修道女が顔を見せれば、ひらりと一礼を向けた
向こうからは、子供達の声がする。 きつと、皆で遊んで居るのだろう。
貧しい中でも元気なのは良い事だ。 其の分、大人たちが、様々な物を切り詰めて居るのだろうが。

手にした布袋を手渡せば、中身を改める事も無く、老女は受け取った
何時もの事、と言う様に、丁寧な礼を向けられれば、此方も微笑で応え
そして、長居する訳でも無く、ひらりとまた片掌を振り。

「それじゃあ、また適当な時にねぇ。」

一言だけ、挨拶を向けて、踵を返す。 立ち話なんかをする事も無い。
のんびりと路地を歩みながら、平民区の方角へと向けて、歩いて行く。
――治安が御世辞にも良いとは言えない場所だ。
冒険者と明らかに判る服装で赴いたのは、周囲に誇示する為でもある
手を出せば、痛い目に合うかも知れない、と、そう思わせる事が出来れば
無用な争いは避けられるだろう、と。 ……考え方は、毒虫と似た様な物。

とは言え、その代わりに、目立つ、と言う事自体は避けられないが。

ポリアン > 平民区と、孤児院の場所は離れている。
様々な事情はあるらしかったが、其の一つが
"平民区側からの嫌がらせが多い"のだと、こっそり耳に入れた事は在る。
不便になる事よりも、平穏を求めた事で、苦労するのは大人だ
だが、大人が苦労するなら良しとした所に、きっと美徳が在るのだろう

――暫く、そうして歩き続けていれば、区画を隔てる壁が見える。
経った一枚の壁、それを隔てて生活が変わるのだから
世の中って言うのは、中々に理不尽な物だ。

「………はーい、御疲れ様ー。 ん、通るね、はいこれ身分。」

冒険者としての身分を示すもの、要するに市民証を見せては
衛兵に、労いのチップを投げて、通り抜ける。
これもまた、世渡りの為の処世術だ。 多少の気前の良さが、後の面倒を失くす。

――さて、今日は如何しようか。

何か予定が在った訳でも無いから、取り敢えずのんびり歩きつつ何を食べるか考えようか
少し夜ご飯には早い時間だけれど、まぁ、早々に席を確保して仕舞うのも悪い手じゃない――

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からポリアンさんが去りました。