2025/06/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にクチナシさんが現れました。
クチナシ > ―――からん、からんと下駄の音が薄暗い路地に響く。

「夜更けにこんな所を歩いていれば、物取りに襲われそうなものだが。……さて。」

独りごちるが、それには理由がある。
ギルドによって冒険者に下された任務。それは、貧民地区の見回り。
何でも数日前、貧民地区で王都の平民が何者かに襲われる。という事件があったらしい。
それがそこそこ、ギルドとしては厚意にしている存在故。
事件の早期解決。はたまた、何かしらの手掛かりを得るようにと、手が空いている冒険者に要請が下りたのである。

「子どもだから油断しそう。――などと。まったく、この王都で物事を起こすような輩は、身なりや外見で判断するものは少ないだろうに。
 ……しかし、逆に静かじゃな。……ここまで静かだと逆に気味悪い。」

そう。貧民地区はいわゆる、平民地区や富豪たちが過ごす地区にいられない人たちが住む場所でもある。
息を殺しているのか。はたまた、単に寝静まっているだけかは分からないが。

――誰かいないかと。からん、からん。下駄の音が静かに夜に響き続ける。

クチナシ > 「―――ん?」

数分、いや、数十分程か。
路地を歩き続ければ、酒に酔いつぶれた浮浪者や、こういった場所での商売を生業とする存在ともすれ違う。
それらに話を聞き、向かった先は――更に人気の少ない、朽ちた建物が並ぶ地帯。

其処で――。
がさり。人間のものとは違う、研ぎ澄まされた聴覚が小さな音を聞き分ける。それと、僅かな血の香。

「……成程なぁ。少なくとも、何かが居るのは違いないか。―――ッ!」

瞬間、黒い影が蠢いた。
血の香を身に纏う四足歩行のナニカが、迷い込んだ獲物を狩る為に、其処にいる少年に飛び掛かる。
ギラついた瞳の下にある肉厚な歯肉から生える黒ずんだ太い牙。触れれば疵だけではなく、感染症にまで至りそうな醜悪さではあるが。

「――お主が騒動の原因かは知らぬが。」

それよりも早く、納刀した刀の柄に指を伸ばしていた少年は、互いの影が交差するタイミングを見計らい――

ざく、ん。大きく開いた口の行き先に、銀に輝く鋼を水平に添え―――その勢いを利用し、ば、つんっ!!

「……襲ってくるのなら、断ち切るまでよ。と……。」

獣の頭を両断した。

顎から上を無くしたそれの正体は魔物――おそらく狼だろうか。
いくら魔物であろうと、脳と体が分かたれてしまえば、そのまま絶命するしか無い。
刃先に遺る血糊を払えば――改めて視線を送る。静か過ぎる貧民地区の其処。人の気配を探らんとして。

「にしても、血の匂い。……犠牲者がいるのか。
 はたまた、襲われて逃げ延びた誰かがいるのか。……これも探さぬとな。」

クチナシ > ――――そうして。

「……やれやれ。

 ……ようやく見付けたぞ? ……良くあれから逃げ切ったなぁ。くははっ!
 ――ああ、なぁに。アレは此方で処理をした。この後、報告をしに冒険者ギルドに向かうが……お主も来るといい。
 怪我、しているのだろう? 治療の一つぐらいならしてやるさ。」

朽ちた瓦礫の中、息を潜めるようにして震えていたのは一人の少女だった。
その腕に深々とケモノの爪痕が刻まれており、とても痛々しい。
――しかし、命には別状はないだろう。自分と言葉を交わし、申し出に頷いてくれたのだから。

そうして、静かな夜。
歩く影は2つとなり……。貧民地区であった小さな事件は、ひっそりと幕を降ろし……。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からクチナシさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にエストさんが現れました。
エスト > 路地裏を全力で駆け抜け広めの通りにつけば足を止めて息を吐き。
そして路地を見て追手の姿がないことを確認すれば肩の力を抜き。

「これで仕事は終わりっと。明日に報告して報酬をもらって終わりかな」

楽な仕事だったと笑みを零せば歩きだしてその場を離れ。
冒険者ではない依頼、表に出せないものではあるが報酬は多いもの。
それを無事に終わらせたという達成感に足取りも軽くなり。

時々にすれ違う人にぶつからないように歩き、財布を狙ってきた子供にはその手を叩いて突き飛ばして離れ。
適当に歩いて時間を潰せば適当に宿なり酒場なりに紛れてしまえば、追手が来ても問題は起きない。

今までもそうだったので今回もそうしようと決めては通りを歩き。
時々にぶつかりそうになりながらも避けて歩いていき。

エスト > そうしてそのまま目についた酒場に飛び込んでいく。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からエストさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にリエルさんが現れました。
リエル > 平民地区ではなく貧民地区にあるとある冒険者ギルド。
平民地区よりも危険ではあるが儲けの出る依頼の多いこちらに足を運んでは依頼を探す。

「今回は一人で受けれそうなものはあまりないですね」

そうして依頼を探すが一人で受けるには危険なものが多く。
一人で受けるならば平民地区で受けれも変わらないようなものが多いことに肩を落とす。
変わりはしないが一部は難易度が高く報酬が安いまでもあって…。

「今回は失敗だったかもしれないですが、無駄足だけはしたくないですし」

できれば探しておきたい。
そう考えては依頼を一つ一つ確認をしていき、誰か居れば丁度いいもの。
そういうのをいくつか見つけてはため息をこぼして依頼を探し続けて。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からリエルさんが去りました。