2025/06/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にルドヴィカさんが現れました。
■ルドヴィカ > ほんの数年前まで暮らしていた孤児院へ、稼ぎの一部を渡しに行った帰り道。
血の繋がらない弟妹達の引き留めに緩めていた頬が、歩みを進める度に徐々に引き締まっていく。
歩き慣れた道とは言え、碌に灯りもない細路地は薄暗く、建物の影のあちこちから視線が突き刺さってくるのだから当然だろう。
「―――――。」
不意、離れた位置で足音が混ざった。
それに気付けば、不自然にならないよう速度を徐々に早め──駆け出した。
後方から怒声とも罵声ともつかぬ声が上がれば、速度を緩めぬ儘、入り組んだ路地を駆け抜けて。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にオズワルドさんが現れました。
■オズワルド > 「ついに、ついに手に入れたぞ…!」
入り組んだ路地にある建物の一つから、手提げ籠を手に出て来る、この暑い中にわざわざフード付きローブを身につけた怪しい男が一人。
「この触媒さえあれば、オレの魔法はまた一つ上の高みにたどり着く…。」
手提げ籠に収められた数本のポーションの瓶を確かめるように撫でながら、悠々と歩を進める――その歩みの先で恐ろしい事態が起こるなどとは、きっと神でも知ることはできなかった…。
具体的にどういうことが起きるかとなると、
「よし、さっさと家に戻って触手魔法の実験だ、な―――!?」
入り組んだ路地をわざわざ駆けてくるような修道服姿の人物に気づかずに、曲がり角で思いっきり衝突して、大金かけて購入した媚薬触媒ポーションの詰まった籠が手から飛んでいき、壁にぶつかって中身がガシャーン!と見事な音を立てて砕けてしまうという恐ろしい出来事であった…!
「Nooooooo!」
■ルドヴィカ > 「な――――!?」
曲がり角と言う死角から現れた輪郭に、思わず素っ頓狂な声が上がる。
些か小柄な身は小回りがよく利く――とは言え、ほぼトップスピードを保っていた足が急に立ち止まれる筈もない。
ドンッ、と勢い良くぶつかり、反動でよろけた矢先に上がる叫び声に肩を跳ねさせ。
「あッ、わ、わっ! ごめんなさいッ!?」
何が起こったのかを把握する間もなく、反射で謝罪を告げて。
■オズワルド > 「オオオォォォ…!」
反射の謝罪の声を受け取る余裕すらなく、今や道を濡らす汚れと化した触媒を見つめる。何たること、何たること…!
ぎろり。
フードの中で鋭い眼光が、謝罪を告げた人物…すなわち衝突した修道服姿の女性を捉える。
「ゆっ、ゆるさん…許さんぞ…!オレの夢、オレの願い。ワクワク媚薬触手魔法を生み出すための触媒をぉぉぉ!」
この暑い中、フード付き黒ローブ姿で言うにはあまりにも変質者すぎるワード。
怒りに身を震わせながら、懐から取り出したるは一冊の本、否、魔導書。
「こうなればこの場で使ってやる、実験対象になれーーーっ!」
見た目までは確認しきれてないが、声は女子。それも若い感じの子! であれば実験対象として、可!
バララララっと魔導書のページを開き、
「ページ23、媚薬触手の法! そのまま捕獲しろーっ!」
ぱぁっと魔導書が輝いたかと思えば、道を濡らす汚れになっていた触媒の液体から、突如として伸びる乳白色の触手。
媚薬成分を分泌してぬるぬるとしたそれらが、修道服姿の少女の四肢を捉えようとうごめいた!
なお、触手は触るとぬるぬるだけどひんやりしていて、暑い季節にはちょっと心地よいかもしれない!
■ルドヴィカ > 上がる怨嗟の声にまた肩が跳ねる。
双眸には、困惑と怯みと、少しばかり胡乱の色が混ざり合った色が浮かんでいるのだろう。
続けられた言葉を聞けば尚更。
「え、ええ……?」
今、”ワクワク媚薬触手魔法”とか言っただろうか、この人。
もしかすると――もしかしなくとも、危ない人にぶつかってしまったのではなかろうか。
「嫌ですが!? ―――――ッ!」
途端、胸中を埋め尽くす不安と嫌な予感はどうやら的中したらしい。
慟哭めく青年の言葉と薄暗い路地には眩いばかりの光を合図にか、どこからともなく現れるてらつく白い何か。
ぞろりと蠢き伸びてくるそれを見れば、ぞわぞわと背筋に悪寒が走る。
慌てて構えを取れば手腕が、足が、伸びてくる触手を振り払おうと。
■オズワルド > 先ほどの怒りの声のせいで、先ほどまで修道服姿の少女を追いかけていた浮浪者が、関わらないでおこうと尻尾を巻くくらいには危ない人の絵図。
そんな危ない人が扱う魔法もとい触手は当然のように危ないモノ。
振り払おうとすれば当然に触れるわけで、触れただけでも衣服にしみ込んでくる媚薬毒が肌に浸透してくる。
加えて魔法で生み出された存在ゆえに痛覚がないため、多少払われた程度でひるむはずもなく。
「いやと言われても、この触手を前にしては奇跡でも起きねば逃げられまい…!オレの収入半年分の…ッ、失われた痛みを、その体ではらさせてもらう…ッ!」
くわっと目を見開き告げれば、触手がさらに勢いを増して迫る。
言葉の通り、奇跡でも起きない限りは、両腕は捕らえて頭上で組ませる様に、両足は左右に大きく開くようにした姿勢で捕縛してしまうだろう!
「…ていうか見た感じマジで可愛いな。よし、ここは凌辱えっちでいこう。修道女凌辱えっち…興味あったんだよな。」
不意に真顔になって言い切ったかと思えば、脚に巻きつく触手が足首から、太ももの方まで這いあがり始める。
――奇跡のような何かがあれば抜け出せるかもしれないが!こんな貧民地区にそんなことは起きるまい! 鷹をくくって、てくてくと少女の前まで歩み寄っていく。少々無防備。
■ルドヴィカ > 接近戦をする職業:聖職者なものだから、手足の守りはそこそこガッチリ。
王都の外で依頼を熟している時ではなくとも、貧民区に訪れるとなれば装備を外している筈もない。
それでも、手腕で払えば液体の飛び散りとて皆無とはいかないのだろう。
少しずつ、忌避感から来る悪寒とは異なる、神経を震わせるような感覚が起こり始めていた。
「ひえ……いや、それは申し訳ないと! 思うんです、が……っ!
あなただって、よそ見ッ! してたじゃないですか――――あッ!? わ、ちょっ、やだやだ!」
収入半年分と聞けば思わず顔が引き攣る。
然し、身に危険が迫っているとなれば抵抗を止める事も出来ず、迷いが生まれた儘に何とか相手の気を逸らそうとした矢先、遂には手数が足りずに手足を拘束されてしまった。
抜け出そうと藻掻くも、ぬるつく表面の癖に外れる気配が一切ない。
それ所か、触手が露わになった肌を伝い上って来るわ、不穏な事を紡ぎながら青年が近付いて来るわ――そう言えば、己はバフを使えるのであった。
「――――<身体強化>ッ!」
全身を包み込む仄かな白い輝き。
奇跡を起こす事は出来ずとも、底上げされた身体能力を十二分に使う事は出来る。
無理矢理に体に捩じりを加えて手足を振り抜き――もしかしたら、運が悪ければ、無防備に近付いて来る青年の体のどこかを、気付かずに蹴り飛ばしてしまう可能性も無きにしも非ず。
何とか抜け出す事が叶えば、後は脱兎の如く。
振り向くのが怖い――そんな事を考えながらの遁走を果たすのだろう――――。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からルドヴィカさんが去りました。
■オズワルド > 「なぬぅっ!バカな、オレの触手魔法ぎゃー!」
油断大敵事故一瞬。
しかととらえてもはやまな板の上の鯉とばかり思いこんでいたせいで、防御なんぞしてるはずもなく。
物の見事に蹴り足に横っ面を蹴り飛ばされて、きりきりばたんと地に倒れ伏す!
さらには触手魔法がまだまだ未熟であったせいか、逃げられると同時に消え失せてしまい…。
「ああーっ!逃がした! 次に出くわした時は逃がさないからなーっ!」
きゃんきゃん、負け犬の遠吠えを上げるのが精いっぱい。
頬の痛みをこらえながらに、弱ったところを浮浪者などに狙われぬよう、足早にこの場を離れるしかなかった。
おのれ、オレの半年分の収入…!いずれその対価は支払わせて見せると、その時のために触手魔法を鍛え上げて見せると心に固く誓い、今日のところは急ぎ足で退散するのだ…!
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からオズワルドさんが去りました。