2025/06/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にクロスさんが現れました。
■クロス > (貧民地区の昼。
周りにある建物はほぼボロボロであり、廃墟と言わんばかりの様子をしていた。
そこに暮らす人々も皆気力のない顔をしながらも辛く長い労働を強いられて働いているのだった。
そんな町の中のとある1件、そこは所謂闇金を扱っている事務所があったのだ。
こんな町だからこそ金を借り、一攫千金を昔目指して夢を追いかけようとする者もおおいため、その事務所はかなり頼られる者となっている。
だが、そこで働いている男の素性を知っていれば訪れようと思う事はまず無いことだろう。)
「・・・。」
(事務所の中は貧民地区とは思えないほど綺麗に整えっており、何時でも来客を迎えられるように常に清潔に保たれていた。
その部屋の奥で座っている大柄な男。
長い黒髪に尖った犬耳を生やす男はどこか不機嫌そうに眉間に皺を寄せ、貧乏ゆすりをしていた。
男の名前は『クロス』ここ貧民地区を牛耳っていると言っても過言ではないほどの実力を持つ男。
彼から金を借りれば期限厳守、1銭の慈悲も無いままに回収され、逃げれば半殺し…どちらにせよ地獄のような日々を送ることになるため客はほとんど来ないのだが、それでも藁にすがる思いで訪れる人も居るのだった。)
「…だぁー!ちくしょう…
なんたって今になってこんなムラムラしやがるんだ…」
(彼が今不機嫌な様子な理由、それは元より持ち合わせていた性欲のせいである。
人一倍性欲の強い男、今日に限って急に溜まっている欲が膨れ上がり、股下がウズウズして仕方がないのである。
夜まで時間はまだまだあるせいで娼館も空いていないからこそどうしようも出来なかったので。
しばらく我慢し、それでも無理そうであるならば平民地区にでも訪れようと考え、ため息混じりにタバコの煙を吐き出して過ごしている。)
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からクロスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にシア・アイルウィンさんが現れました。
■シア・アイルウィン > 貧民地区のとある酒場。
歌の下手な吟遊詩人が歌い。飲み勝負で負けた大男が床に転がされる騒がしい店内でカウンター席で安いエールとつまみを頼んでの飲酒。
治安がいい場所ではないが、こういう場所ほど良い店が多いので時折に足を運んでいて。
「ん~…おいしい。やっぱりこういう場所で飲む方があってるのよ」
富裕地区や平民地区の酒場も悪くはないが、何故かこういう店の酒のほうが口に合い。
時々に一人でやってきては安いエールを楽しんでいる。
勿論そんな事をしていれば、ナンパや体目当てのごろつきに声を掛けられる事もあるが、
そこは話術なり実力行使、マスターに多めにお金を渡し相手に度数が高い酒を飲ませて酔いつぶしたりと対応しており。
今のところは静かな酒を楽しめているが、果たしてこの後はどうなるか。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にヴァンさんが現れました。
■ヴァン > 扉が開き、バンダナを額に巻いた銀髪の男が店内に入って来た。一人客のようだ。
男は店内を見渡した後、カウンターへと向かう。他にも空いているスツールはいくつもあるにも関わらず、少女の手前の席で立ち止まった。
またナンパの手合いか、と少女には思われたかもしれない。
「スタウトとナッツを」
マスターに手短に告げると、肩掛け鞄を足元に下ろしながらスツールに腰掛けた。
ちら、と少女を見た後に目を細めた。顎に手をあてて何か考え込む素振り。
「あー…その。間違っていたら申し訳ないんだが、シアさん、かな?」
いまいち確証がないのか、やや首を傾げながら問いかける。
少女はもしかしたら、男を冒険者ギルドで見たことがあるかもしれない。
■シア・アイルウィン > この日は特に絡まれずに静かにエールを飲み。
そんな時に新しい客が酒場にやってくるが一目見ては視線を戻し。
近くの席に座ったのを見れば、またナンパだろうかとかすかな警戒。
しかしそんな様子もなく注文をする言葉に偶々かと考え。
エールを飲んでしまえば今日は帰ろうか、そんなことを考えつまみを口に。
そしてカップを口に運んだ所に声を掛けられ。
「どこかで会ったことありました?」
名前を告げられての問いかけに、どこかであったかと視線を向け。
記憶になくて誰だっただろうかと眺めて。
■ヴァン > 少女からの質問を肯定と受け取ったのか、にっと笑った。
「いや、こうやって話すのは初めてかな。ギルドで何回か見たことがあるのと、話で聞いたぐらい」
話の腰を折るように飲み物とつまみがマスターからぶっきらぼうに突き出される。客に変な事をするなよ、という視線つき。
それら受け取るとジョッキをぐいっと呷った。
「ヴァン、という。本業は別にあるが、冒険者もやっている。
君のお父さんとは親しく――とまでは言えないが、おつきあいさせていただいている」
怪しい者ではないとばかりにギルド証を胸元のポケットから取り出すとカウンターの上に置いた。
ランクは下から二番目だが、普段なら空白の場所に何やら小さく書かれている。
男は気にせずに話を続けた。
「二週間くらい前かな。君のお父さんと会ってちょっと話をしてね。最近、会ったことは?」
手のひらを肩幅くらいの間で広げ、くっつけるジェスチャー。
その間に会っていたら何か聞いていないか、と問いかけるような話しぶり。
■シア・アイルウィン > ギルドでと聞くと冒険者か依頼人のどちらか、どちらだろうかと上から下と眺め。
空気を読まないマスターが飲み物を出す様子に、ありがとうと小さく頭を下げ。
「本業が別ってことは、騎士か何かが本業で冒険者が副業ってことよね。
お父様と?だったら貴族なのね」
取り出されたギルド証に目を向けると確かに冒険者。
ただ何もないところに何か書かれているので目を凝らし。
「そうなんだ。最近はあってないですね」
そもそも滅多に家に帰らないし、帰っても居ないことが多いので会うことが稀。
なのであっていないと首を振って。
■ヴァン > 「本業は図書館の司書さ。色々あってね。
休みの日だけ冒険者をやるような人達っているだろ?あんな感じさ」
首から提げられたネックレストップは神殿騎士団のもの。男の言う通り、色々あるのだろう。
回復役としての僧侶、攻撃役の魔術師は本業が主教や学者ということも珍しくはない。
貴族、という言葉にはやや眉をあげてから周囲を見渡した。酒場の喧騒を逃れて耳にした者はいないようだ。
「そう、か。んー……この前、雑談で俺も冒険者を副業としてやっている、とお父さんに伝えたんだ。
そうしたら『ぜひ娘を助けて欲しい』って言われてさ。制度の説明もしたんだが中々聞いてもらえなくてね……。
等級は君の方が上だろう?」
ギルド証に書かれていたのは『退治・討伐依頼に限り無制限』という文字。
冒険者の昇格には、ある程度どんな依頼もこなせる能力が必要とされる。
本業を持つ者達は護衛や配達など、時間がかかるものをこなせないために低ランクに甘んじることが多い。
「ま……子供がいくつになっても親は心配する、ってことなんだろう。
外に退治依頼をしに行く時、予定があえば同行させてくれるとありがたい」
男の様子からすると、娘を手助けしたという実績を作っておきたいようだ。
取引先に胡麻をするというよりは、友人を安心させたいような、そんな雰囲気だ。
■シア・アイルウィン > 「司書?そうは見えないけど。
本当に副業って感じね」
見せられた神殿騎士団の証を見ては猶更不思議に思え。
しかし証を見れば嘘はないだろうと信じることにし。
貴族という言葉に周囲をうかがうのを見て、誰も気にしてないと口にして。
「お父様の口の軽さは今度文句を言わないと…。
その辺をよく判ってないのに色々というから困ってるの」
等級は確かに上だが、書かれている内容を見れば等級は実際は関係なしに受けれるようなもの。
本業冒険者は制限が色々とあるが、副業組にはやや緩いルールにいつも呆れ。
「それでも過保護すぎだと思うけど。
外に行く退治依頼は季節のせいか取り合いが多いけど、都合が合えばね?」
どうにも心配というよりは実績つくりなのかなとみて。
暖かくなれば外の討伐は受けれるものの奪い合いになる事もあり。
今は受けれていない状況なので、都合が合えばお願いね、と返して。
■ヴァン > 「昔と違って、今は服装にあれこれ言われなくなったからね。
昔は肉体労働をしてたから、その勘を忘れないために、ってのもある」
冗談めかして肩を竦めてみせる。服装や体格でそうは見えない、と少女が言ったのだと思ったか。
誰も気にしていない、という所には思わず苦笑をする。
「それがいいかもね。君は冒険者になって……何年?
中堅ぐらいにはなるのかな。……ま。外から見たらわからないのはどの業界も同じさ」
むしろ娘が冒険者になるということをよく許可したものだ、とさえ思う。
夜逃げ同然にしてなったのか、あるいは娘の主張に親が根負けしたのか、少し興味を惹かれた。
取り合いが多いから都合が合えば、という話には頷く。
父娘が会った時、「そんな話聞いてない」とならなければ最低限の義理は果たしているといえる。
「それにしても意外だな……こういう穴場だが、賑やかな店で君のような娘を見かけるとは思わなかったから。
あ、マスター。スタウトをもう一杯。君はどうする?」
賑やか、というのはだいぶ柔らかい表現だ――こんな場末の酒場で、と言いたいのだろう。
言外に、貴族の娘がという意味もこもっているように窺えた。とはいえ、男自身も言えた義理ではない。
おかわりを頼みつつ、少女に水を向ける。
■シア・アイルウィン > 「騎士団ほどきちんとしないと駄目って思うのは偏見かな…。
体力をつけるには打ってつけだし、肉体労働って」
体格的に司書ではなく騎士だと思ったがそれは口にせず。
貧民地区だから貴族がいない、ではなく逆にお忍びが多いので気にもしない店も多いと。
「冒険者になって?1年と少しかな?
中堅なら大抵の依頼は受けれるよね、その一文がなくても」
貴族の令嬢としての暮らしに飽き飽きして進んだ冒険者の道。
なってしまえば後で文句を言われても後の祭り、そのまま冒険者を続けていて。
暖かくなれば魔物や魔獣、害獣も増えるので腕自慢には最高の季節であり奪い合いはすごいと。
「こういう店だから時々にね?私はこれで終わりに決めてるから」
場末の場所ほど案外静かに飲めるからと返し。
それにこういう場こそ、貴族といっても冗談だと笑われて終わる。
だからこそ変に気を使われなくていいと答えて、もう飲まないと返して。
■ヴァン > 「神殿騎士団の栄光ははるか昔、今は王国騎士団に入れんチンピラの巣窟さ。
意外と司書も肉体労働なんだぜ?重い本を台車に載せて図書館中を巡る」
王国騎士団に言及したのは、少女の兄弟を意識してのこと。
とはいえ、神殿騎士団も十年ほど前まではそれなりに貴族の子女に人気があったのだが……。
お忍びが多いという言葉には頷くが、それでも女の子が一人でいれば目立つだろう、とやや心配そうな顔。
とはいえ、その心配さは少女というよりも荒事があった際に現場となる酒場のマスターに向けられている。
「一年か……そりゃすごい。
この一文は……ギルマスが俺に面倒を押し付けるために書いたんだ。
ほら、割の合わない仕事ってあるだろう?」
この金額でゴブリンの巣を壊滅させろとか、ワイバーンを退治しろとか具体例を告げる。
そういった依頼は掲示板に残ったままだし、受注した冒険者からの連絡が途絶えることも珍しくはない。
下位の仕事であれば引く手あまたでも、高位の依頼はそうはいかない。
「あぁ、それはいい。しっかり自分をコントロールできるうちに塒に帰るのがいい冒険者だ。
俺は明日も平和な仕事だから飲む」
命をチップに依頼を受ける冒険者と、街の中で安穏と暮らす者との大きな違い。
それでなくとも、酔い潰させて持ち帰ろうなんていう手合いはこのあたりには多いだろう。
男が無理に酒を勧めない様子に、周囲のテーブルから不満そうな視線が向けられた。
うまくいけばおこぼれが手に入らないかというさもしい連中がいるのだろう。
■シア・アイルウィン > 「王国騎士団も似たようなものじゃない?
確かに本をいくつも運ぶと思いか…」
王国騎士団も一部を除いては似たようなもの、それを聞けば真っ当な騎士は少ないと思い。
どちらに入団させても危ないなら、子女が所属することはそうそうなく。
変に複数や護衛のようなものを連れていれば目立つが、一人なら冒険者で通るので楽であり。
そういう場所で酒場をやっている以上、荒事も多く。店が壊れなければマスターも過剰には反応はしないだろうと。
「無理をしなかったらやってけるよ。
ギルドにしても腕が立つ人を酷使する理由になるから。
割に合わない仕事は本当に多いよ?」
ゴブリンはまだ新人や中堅が受けなくはないが、ワイバーンとなるとまず誰も受けない。
そういうものを押し付ける理由になるのかと納得をして。
「ここで飲みすぎても禄でもないし。帰れないとそれこそだから」
つい飲んで潰れたことは1度や2度はあり、その結果は押してわかること。
それ以降は極力一杯にしているので酔うことはまずなく。
不満そうな視線を感じれば、振り返って睨みつけ。
そして何事もなかったようにエールを飲んでしまう。
■ヴァン > 「そうなのか?騎士になるのはだいぶ志がある者が多い気がするが……。
流行りの本は比較的軽いが、魔導書とかは本当に重いからね」
騎士団で一番まともな所は自由騎士団だ、なんて冗談が市井の一部に流布している。
そして、おそらくそれは事実なのだろう。志ある平民の群れの方が貴族達よりも確かな実績がある。
「昇格の時を除けば、無理はするものじゃないな。
確かにそうだが……依頼主も常に金持ち、って訳じゃないからな。農村に無理は言えない。
ワイバーンのソロ討伐、コツを知ればそう難しくはないんだが……どうだい?」
面倒な仕事を受ける犠牲者を増やそうとでもいうのか、穏やかに勧誘をしてみせる。
割に合わない理由の主な点は、複数人で受注すると頭割りした報酬が少ないからだ。
男の言う通り、単独討伐が可能であれば――危険ではあるがそれなりの仕事にはなる。
カウンターテーブルに置きっぱなしにしていたギルド証を手に取ってしまいこんだ。
「改めて……といっても、全部ギルド証に書いてあったが。ヴァン=シルバーブレイドだ。よろしく。
役職はパラディンになる。昇級時、高位魔物を討伐する際の助っ人にでも使ってくれ」
冒険者ギルドの酒場で実力を吹聴する者とは違った、穏やかな笑みを浮かべる。
冗談ではなく本当に、ギルドの割に合わない部分を担ってきたのだろう。
「おっと……その口ぶりからは反省の念が伺えるな。
まぁ……万が一にも、知人の娘さんを危ない目にはあわせんさ」
言葉尻をとらえ、からかうような言葉を紡ぐ。
その一方で、男はそういった手合いにはならないことを告げた。
少女の父親に告げ口をされるリスクを考えてのことだろう。
■シア・アイルウィン > 「志はあってもその後が問題みたい。
魔導書はそれは重いでしょ、あんなに分厚いんだし」
王国の騎士団に志を持って入っても、たいていは染まってしまう。
なので真っ当な騎士はどれだけいるのかがわからないものであり。
「無理なく稼げるランクになれば、無理に昇格する必要もないし。
先を見てる子が農村とかを受けてるし、お金が欲しい人が儲かる依頼を受けてるよね。
んー…遠慮しておく」
例えソロで狩れるとしても割に合わないので断り。
それにそんな危険なものを選ばなくても、それなりな討伐依頼には困らずに、そちらのほうが割にも合うと。
それに万が一の失敗や、倒した後に別に襲われるリスクもあるなら受けないほうに気持ちは流れ。
「ヴァンね、覚えておきますね。私は知ってると思いますけど、シア・アイルウィンです」
ギルドは動いてくれた相手を酷使することが多い。
なので男もそうやって酷使されているのだろうな、となんとなくわかり。
「同じ失敗をしないのが冒険者よ。
もう、これを飲んだら帰るから大丈夫」
十分反省したというように肩をすくめ。
父との知り合いなら送り狼にはならないだろうが、世話になるのも悪く。
エールを飲み干してしまえば代金をテーブルに置き。
これで帰るね、と言っては席を立ち。
その時はお願いするかもと告げては酒場を後にして。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からシア・アイルウィンさんが去りました。
■ヴァン > 組織の色に染まる――それ自体は悪いことではない。
どこもかしこも頽廃している、その一点が問題だ。
「とはいえ、大半の冒険者は老後のために金が要る。
いずれ、思うように身体が動かなくなってくる。俺もな。
それまでに金を貯めるか、縁を繋ぐか……」
少女の言葉は近い将来を意識しているようだった。
帰る家があるのは大きな利点であり、ほとんどの冒険者にないものだ。
「若い頃はやんちゃをした」という欠点があっても、この見目なら求婚する者は多いに違いない。
「あぁ。今度会う時には、俺と君とで冒険に出る時間があわない、てのをお父さんに伝えてくれ」
後ろ姿を見送りながら、会計を済ませようとするテーブル席へ視線を向ける。
どこか馬鹿にしたような視線を送りつつ。
「酒が入った小娘に、五対一で囲もうってか?やめとけよ。
お前等全員のされて通りを歩けなくなるぜ」
スツールから立ち上がると、先程まで少女が座っていたそれに手を添わせる。殺気だつ男達の視線を受け止めつつ、男はぽつりと呟いた。
「あー、マスター。悪い。修理費はこいつらの懐から頼むわ」
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からヴァンさんが去りました。