2025/06/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にグリードさんが現れました。
■グリード > 陽が傾きかけてきたといっても、未だ街の熱は高い。貧民地区の更に下層とも呼べる荒廃したスラム街で日陰に落ちている雌。
富裕地区や平民地区のように、遊ぶ金欲しさといった趣はみじんもない。
皆明日の食い扶持目当ての身体売りや乞食行為。
時々買われてゆく者もいるが、買う側の身なりも中々に、報酬にありつけるか、身体を買えるかは騙し合いの様相すら感じる。
「この状況じゃ、施しも意味ねぇな。」
一通り巡った後通りがよく見える酒場の窓際に座る。
ごく稀に貴族や王族、聖職者が施しをして回る様子が見られるが、所詮その場しのぎ。
自ら身体を売りつける積極性もなく、所謂怠惰が濃縮したような場所。
「奴隷が是か、怠惰に生きるが是か……。大将もこれじゃ最近厳しいだろ?」
そう、エールを持ってきた店主へ声を掛ける。店から娼婦や立ちんぼの斡旋をしてもいるが、この状況では質が担保されないと嘆き節も。
■グリード > 暑さが喉の渇きを加速させ、その分飲むペースも早くなる。
仕事道具の入った手提げ鞄から一つ金環を取り出すと、指先に嵌めて通りからも見えるように。
暇な店主の「本物か?」との問いかけに、一杯サービス。なんて要求をしたりする。場所柄スリや強盗等、奪われるリスクもあるから。 だが。
「商品価値を高めるのに、偽物はマズイ。 同じ雌でも乞食より娼婦のが高く売れるだろ?」
結局、綺麗に着飾ってナンボの世界。その着飾り方も多種多様ではあるが、そして需要がニッチな程……売れた時は高額に。
勿論、売れた先で幸福が待っているかと言われれば別の話だが、風雨凌げる場と寝具がある生活は
同じ身と心を切り売りし、削るにしてもまだマシであろうと。
勿論中には、ド変態に見初められ、最早ヒトしての体を成していない者も居たが。
心も壊れてしまえばそれは最上級の逃げ──なのかもしれない。
■グリード > 暫く大将との会話を楽しみながら夜が暮れる前に、と席を立つ。
少しずつ増えていく娼婦や客引きと、会話をしながらその姿は街中に溶けてゆく。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からグリードさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にイグナスさんが現れました。
■イグナス > 夕刻、そろそろ陽が落ちていこうという頃合い。
静かに落ちていく夕日が、もう差さないような場所。
貧民地区の奥、あまり人が知ることのない書庫――薄暗く、しかし案外広い。
建物の一部は崩れかけの古めかしい…というよりは、ボロい店だった。
「なァ。……なンでこの店は、こんなモンが揃ってンだ。」
店の棚を眺めながら、大きな男がぼやいた。それこそ、小さな店の天井に背が届きそうな体躯
どこか呆れたような声音で店主に声を掛けるが、返事は返ってこない。
稀覯本…というだけではない。禁書や魔書の類が、ちらほら見掛ける。
最近の週刊誌もなぜか、陳列されてていたが。
結局店主からの返事はなかった。やれやれと肩を竦めて、本を眺めた
一部の好事家からは、どうも重宝されそうな店だ。
あるいは、冒険者ギルドなんかがみたら即座に摘発でもしそうだった。
あまりそういったことに興味がわかない男はしかし、その内容のほうが面白い。
遺失したと記録される物がまたひとつ、…なるほど、この街らしい品揃えなのかもしれない。