2025/05/31 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にイグナスさんが現れました。
イグナス > 夜の貧民街。四方でざわつき、喧騒が聞こえ、人々が行き交い、あるいは路地裏で恨めし気にそれらを眺めている。
そんな中の一角の安酒場。
中から灯りは漏れているが、しかし喧騒は聞こえない。

「はー………味気ねえなァ。」

酒場の中でカウンターに座る大男がぼやいた。…異様な光景である。
店の中はもう崩壊といった感じ。机やいすがひっくり返り、酒瓶が割れ、たくさんの柄の悪い男たちがノされてる。
一目見れば喧嘩の後だが、それにしては物々しい。
なにせ周囲にはさっきのに追加して、武器やらも散乱しているのだ。

「まァでも、場末の地下組織じゃァこんなもんか。…おっちゃん、酒、さけ。食いもんは…ない?」

カウンター奥でびくびくと身をかがめていたマスターに声を掛ける。
このマスターは堅気のようだけど、日々街で悪いことをしている地下組織の拠点。
一応ギルドからの依頼、半分は暇つぶし――…あんまり暇つぶしにもならなかったと、男は嘆くように溜息。
はあ、と静かな酒場に吐息が響くんだった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアリッサさんが現れました。
アリッサ > その時、酷く場違いに、扉が開く。
纏う色彩も、何もかもが場にそぐわない少女が一人、酒場へと意気揚々、一歩を踏み込みかけて。

「ちゃぁーーっす。遅くなっちゃっ――――……  アレぇ?」

一歩を踏み出す前に、酒場内の惨状に気付いたらしい。目をまん丸くする。
床にのされた死屍累々――もとい男共を見、割れた硝子に転がった椅子を見。
なんかもうすごいことになっている店内に、オォ…と唸ってから、
今度は、カウンターで一人暢気に、されどこれまた場違いに寛ぐ男を見。

「えっとぉー……… バ先、なくなっちゃった系?」

どうやらアルバイトに来たらしい娘は、男に問うた。
ぎょっとしたらしい店主が腰砕けのままカウンターから半ば顔を覗かせて口パクで宣う。
読唇術が使えたなら『バカおまえしゃべるなくうきよめ』とでも言ったところだろう。

「ァ。 いたいた。マスターだぁ。どぉしたのこれ、ウケる。」

娘は空気を欠片も読まずに発見した顔見知り生存者に手を振り、一人でウケた。

イグナス > 「お?」

音に視線が入口へ向かった。客か――残党か。
……どうもどっちでもなさそうだ。えらく軽い感じの女が入ってきた。
ぐび、ぐび。女の見立て通り、暢気に酒をまたひとくち、ふたくち。

「おう、たぶん、そう。」

そしてけらけらと笑いながら、楽しげに答えるんだった。
じろってちょっとだけマスターのほうに視線を向けて
口パク咎める前に、メシまだ?って問うてやる。
とりあえずは目の前の酒をぐびぐびーって飲みきった後。

「ぷ、はー……っ。……ンで、お嬢ちゃんもここの組織のはしっことか?」

そうだったら悪いけど、このあたりの男と同じように放り投げてやらないとなあ、なんて。
雑談の続きのように気さくに問う。
言葉は軽く、目も笑っているけれど、本気なのは本気そう。

アリッサ > 「マジかー…」

男の言葉にちっとも深刻そうじゃなく返す。

勿論、娘がバイト先とするのは地下の方だった。
パパ活したらソレが組織のお偉いさんで、まぁ精気貰えるしタノシそうだし
あとたまにうっかり転がってる屍体の片手くらいせしめてもバレないし――…と。
そんな理由で何度か出入りを繰り返してた、そんな場所。

コッチが口パクに反応する前に店主は「ひゃい!」とか返事して床を這いはじめたからとりま無視。
此方に言葉を投げてくる男へと、その眸を向けて。

「組織?なんかの組織だったんだぁ。エ、ヤバい系?」

知らない知らない、とばかりにパタパタと片手を顔の前で揺らしながら、
男のいるカウンターへと歩んでゆく。
途中、ブーツが転がってる男共を情け容赦なく踏んだ。「ぐぇ」と鳴るのも気にせずに。

「オジサンとオハナシしたりしてー、たまぁにバイトしてただけだよー。
 貿易会社ってゆってたケド、違うんだ?」

そっかーヤバいねー なーんて有り体な相槌を打ちつつ、
制服姿の娘は男の傍らに来てニッコリと赫色の双眸細めて笑いかけ。

「歩き疲れちゃったぁ。一緒に座っていーい?」