2025/09/25 のログ
ベアトリス > 小さくはあるが、書記室に通じる廊下を挟んだ一室に、執務室が女には宛がわれている。
曲がりなりにも貴族院に所属する女伯、という立場があるからではあるが、それが良い事かどうかは───。

遠く内廷から聞こえる管楽のリズム。ここまで届くということは、大広間での夜会でも開催されているのだろう。
そうした華やかな場に足を踏み入れたい──と思う性質ではないが。

執務机の上に盛られた書類の山には、少々溜息をついた。
──度重なる内乱。執政の方向転換。監査書類。その他もろもろ。

直近で、執政官の一人から喫緊に行われる会議のための過去の議事録をまとめてほしいという依頼も一つ。

────仕事自体は苦ではない。
城への泊まり込みも今に始まったことではないし。
けれどどうにも息詰まる瞬間はないとは言えない。
そうした時は、休憩と称して庭園に散策の脚を伸ばしたりもするのだが。

今夜のような場合、そちらに足を向けるのは得策ではなさそうだ。
緩く肩を竦め、大分前に淹れられてすっかり冷めてしまったお茶のカップを取り上げた。

もとは丁寧に入れられ、薫り高かっただろうそれも今はすっかりと冷めきって、やや渋い味わいを残す色水となっている。
仄かに残った薫りの名残と、落とした蜂蜜の甘さでごまかし流しいれ。

応対用のソファに腰を下ろすと、少し姿勢を緩める格好で背を預けた。
少し目を閉じ、寝入るわけではなく目を休めるための行為として。

ベアトリス > 眼を閉じて、比較的楽な姿勢を作っているとそのままうとうとと軽く頭が傾ぐ。
本格的に寝入るには少々手狭な場所ではあるが、しばらくすると、静かな寝息が柔らかな唇から零れていった。

ご案内:「王都マグメール 王城 執務室」からベアトリスさんが去りました。