2025/09/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 資料室」にベアトリスさんが現れました。
■ベアトリス > 王城、壮麗な建築ではあるが外廷部分は行政を担う場所でもある。
当然、伺候する貴族や官吏、武官が多く行き交い、そう言った場所は壮麗ではありながらも、装飾性よりは機能性を優先した幾分簡素な場所も多い。
そういった場所の一つ──、過去の議事録などが収められた資料室に女は足を向けていた。
ここしばらくまとめていた議事録がそれなりの量に達したこと、決裁を終えたことから手元に置いておく必要がなかったというのがその理由。
資料補完の観点から、照明は少なく、薄暗い。
林立した書架は、図書室のようにも見えるが実務的なそこに収められているのは各種議題の進行を公文書として体裁を整えまとめた物や、過去の会議によって定められた各部門の決裁書類。
その量が、この国の歴史を示してもいるが、実際は此処に残されない歴史もまた多々あるのだろうことは感じさせる。
「───……」
そのうちのまだ埋まり切っていない棚へと書類を修め、それに伴う事務手続きをテーブルについて紙面へと記載する。
手許を照らす、小さな卓上ランプの灯りがほのかに女の顔を照らし。
かり、と上質の紙をなぞるペンの奔る音だけが静かに響いた。
■ベアトリス > そうして手続きを終えると、自身の所属する書記室へと帰路につき。
資料室の灯りが静かに落とされるのだった。
ご案内:「王都マグメール 王城 資料室」からベアトリスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にシドさんが現れました。
■シド > 天蓋から敷石まで、すべて大理石でできたダンスホールにはいずれも綺羅びやかなドレスにをつけ貴族たちが踊り回っている。
音を奏でる楽団は月桂樹やヒヤシンス、蔓薔薇など冠を頂いた、若く美しい少女ばかり。楽しげな舞曲を奏でている。
どこにでもある国の楽しげな夜のダンスパーティー……
と思いきや獅子や一角獣の彫像は巨大な香盒であり、その鼻や口から薄紅色の煙をたなびかせている。
その煙に当てられてまた一人、一人、婦人達が紅潮して男どもに部屋にと連れ去られていく。
貴族の交流と合わせた淫靡なダンスパーティー。
それを遠巻きに見る青年はシャンパンの泡のように透き通る銀髪を背中まで無造作に流して、口吻するようにワインを傾けていた。
億劫そうに葡萄色の瞳をくるりとダンスホールに流しては
「何か面白いことはないのかね。」
独り言を零して酒を煽っていく。
■シド > グラスの底に残る赤が、揺らぐ灯火を映している。
長い脚を無造作に組み替えながら背凭れに身を預ける。銀の髪が肩から零れ落ち、紅煙の波に紛れて艶やかに光る。
その葡萄色の眼差しは、紅潮した婦人たちがまるで見世物のように獣の鼻息に酔わされ男の腕に絡みついて奥へと消えていく様。
「これも一夜のドラマだと思えば見れたものだが」
薄く笑みを刻み、葡萄色の瞳を伏せる。
退屈は嫌いだ。だが、淫靡な遊戯に群がる群衆に交じるほど素直でもない。
唇に残るワインを舐め取りながら、舞台袖の陰を見やる。決して媚薬の煙届かぬ場所にこそ何かあるのでは、と。
「……なんて、いる訳ないか」
白い指が、グラスの縁をコツリと叩いた。その音がやけに周囲の空気に響き渡った。
■シド > 葡萄色の瞳に、最後の赤が揺らめいて消える。
グラスを卓に置くと同時に、青年はゆるやかに立ち上がった。
銀の髪がさらりと背を滑り、纏う影のように広がる。
淫靡な音楽と香煙が渦巻くホールの只中を抜ける足取りは、あくまで優雅で、あくまで醒めている。
「――さて、私もダンスの一つでも踊って締めくくるか」
誰に告げるでもなく呟き、背を向ける。
程なくして名も知れぬ貴族の女性を手に踊る姿があったことで。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からシドさんが去りました。