2025/09/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にエリザベートさんが現れました。
■エリザベート >
マグメール王城。
軍議なども行われるただっ広い部屋には白魔女と揶揄される女。
そして長机の先には相対する形で苦々しい表情の貴族の男が座っている。
空気は張り詰めており、ピリピリとした緊張感が部屋を支配していた。
「──では、お主は城の王女には手を出しておらぬ…と。
夜な夜な開いておる夜会についても、ただの親睦を深めるための会合であると。
そう弁明するのじゃな」
口元を扇で隠す女の声色は実に冷ややかである。
王女様に手を出すなど滅相もありませんと弁明する貴族を、縦割れの瞳が鋭く見据えている。
「ふぅむ…妾が魔術指南役を務めておる故に、情報は筒抜けであるのじゃがな。
……まぁ良い。誓ってそうであると言うのであればこの場は信じよう。親睦の会であるというのなら、妾も近いうち参加させてもらおうかのう…?
さがるが良いぞ、ディケム卿」
くく、と小さな笑みを含ませれば、貴族の男は一瞥をくれてその場を後にする。
■エリザベート >
「あの男の周辺を洗っておくのじゃ。きな臭くて叶わぬわ」
傍に控えた侍従にそう言伝し、自らもそのどっしりとした尻を椅子から持ち上げる。
「よりにもよって妾の教え子に手を出したのじゃからな。
証拠を掴み地獄に叩き落としてくれよう」
ぱたと扇を閉じ、すべきことを終えた会議室を後にする。
廊下に出れば、大窓からは夕焼けの陽が差し込む時間頃。
王城に出入りしている冒険者や商人が帰路に着く姿が吹き抜けの階段上からよく見える。
「(魔族などが絡んでおらねば良いがな)」
王城や王都に潜む魔族の噂は後を絶たない。
こうしてあくまでも趣味と言い張る世直し、叩けば出る埃の如く腐敗した貴族を洗い出してはいるが。
本当に醜悪な者は隠れるのも上手く、巧妙である。魔族と絡み、潜伏している者も恐らくいるだろう。
■エリザベート >
女がこの国の先を憂うのは、若者が好きである…という理由に根ざしている。
生命力に溢れ、未来と希望と可能性に満ちる彼ら、彼女ら。
それらの芽を摘むような国であって欲しくないという思いからである。
故に若者を好む。…もちろん性的嗜好も多少含むが。…イヤ多分に含むが。
大階段の手摺に重苦しそうな胸を乗せ、寄りかかる。
階下の様子を眺めれば、王城に訪れている人々の観察が出来る。
中にはうら若い冒険者の少年などもいる。王城に訪れて緊張している様子が実に可愛らしい。
「くふふ、初々しいのう。
ああいった若者が犠牲にならぬよう妾も精を出さねばなあ~」
■エリザベート >
そのためであれば穢れた腐敗貴族にどれほど疎まれ、恨まれようが歯牙にもかけない。
後ろめたい、狡い真似をしている報いであると女は連中の悪徳を暴いてきた。
無論危険も伴おうが、それも導く者たる先達の役目であろうと割り切っている。
「…さて」
そして何気のない時を過ごしていれば、窓の外には夜の帳が降り始めていた。
手摺を離れ、伸びを擦るように背を反らし腕を伸ばす。
ふわりと白髮と白の装いが揺れる。
「湯浴みに赴いても良い、が………」
件の証拠を掴むために使いに出した侍従の戻りが遅い。
王城の地下で行われている夜会、必然地下に赴いて調査をしている筈であるが。
■エリザベート >
「…気になるの。
あの男、敵意を隠すこともなく妾を睨んでおったしな」
ふむ…と白指を唇にあて、思案。
彼奴に手向けた言葉とおり、くだらぬ夜会に直接赴いてやっても良いか…と。
禁薬を用いて女を囲い、この国の王女の一人にまでその毒牙を伸ばす。
連中はひた隠しにするだろうが、目の前で言い逃れの出来ぬ証拠を暴いてやるのも一興か。
侍従の戻りが遅いのも気になる。
「何かあったのであれば…」
僅かに細められる銀眼。
丸い動向が細く縦に割れたそれへと変われば、女の纏う雰囲気も鋭く張り詰めたものへと変わる。
「──どの道、妾の掌の上じゃ。逃がしてはやらんがな♡」
くすりと笑みに唇を歪め、踵を返すと女は大階段を降りてゆく。この王城の闇の煮詰まる、地下へと向かうため。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からエリザベートさんが去りました。