2025/08/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城no」にセリニアスさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 王城no」からセリニアスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城の東屋」にセリニアスさんが現れました。
セリニアス > 城外に造られた一般公開されている広い庭園とは異なり、人の訪れも少ないこじんまりとした庭園。
その中に建つ東屋は、魔道具によって一定の温度を保たれているお陰で夏の暑い日差しの中でも随分と過ごしやすい。
時折、路に迷った者が内部まで入り込んでしまう事もあるが、今の所周囲に人の気配はなく、涼んでいるのも自分だけ。

「――――はー……。」

――ともすれば、盛大な溜息も零れると言うもので。
行儀が悪いと叱る者も傍にいなければ、柔らかなクッションが敷かれたガーデンベンチに寝そべるのにも躊躇は無い。
手頃なクッションを抱え込んでは再び大きなため息を吐き出した。

ご案内:「王都マグメール 王城の東屋」にミタマさんが現れました。
ミタマ > 普段、王城に向かう理由は滅多に無い。そもそも、自分はただの平民であり、王城に知人などはいないのだから。
しかし、今日は違った。冒険者ギルドに所属する自分が手に入れた竜の涙を利用したポーション。
それを王城にいる騎士に届ける任務を承り―――それを終えた帰り道。

普段回らない王城。ついつい、好奇心旺盛な天狐は、気配を消して、うろうろと城を巡る。
そうすれば、人気のないこじんまりとした庭園に足を踏み入れてしまうのも仕方がない事であり―――。

「おや?」

其処で発見するのは、男とも女とも取れる……見目麗しい子供が一人。
如何にも堕落した風に。手頃なクッションを抱え上げ、ベンチに寝そべっている仕草を確認する。

眠らせ屋。眠りに関係する能力を持つ天狐は、ついつい気になってそちらに足を踏み入れる。
がさり、がさり。かつん、かつん。と、庭園に響き渡る存在の来訪は相手に警戒心を抱かせるかもしれない。
が、浮かべるのは人懐こい笑顔。

「おやおやー。こんなところでごろごろなんて、珍しいですね?
 なにかお悩みごとでも? 今、大きなため息を零していたような気がしたのですがー……。」

心配してやってきた。という雰囲気を醸し出しながら、小首を傾げ、声を掛けて見せる。
さて、お相手様からの反応は――?

セリニアス > ごろり。ごろごろ。狭くはないが、広くもないベンチの上で身を捩る。
体を動かしていれば幾らか紛れる気も、最近は鍛錬のしすぎで家族から心配されてしまった。
無論、今の己の懊悩を口に出せるはずもなく、何とか誤魔化しはしたものの、暫く鍛錬は普段通りに戻すしかない。
お陰で落ち着きのない状況がずっと続いているのだ。

不意、鼓膜を揺らす音。
怪訝そうにそちらへと視線を流し――

「――――不審者、と衛兵を呼ばれたくなかったら、名乗るといいよ。」

王家に連なる者では見た事の無い顔だ、と言う判断で、クッションを抱えて寝転がったまま、居丈高に言い放つ。
侍従が傍に居たならば、間違いなくお小言ものである。
見覚えのない人にもっと警戒なさってください、だとか、お行儀が悪いですよ、だとか、そんな類のもの。
つまる所、いつも通りの反応であった。

ご案内:「王都マグメール 王城の東屋」にミタマさんが現れました。
ミタマ > 「おっと、自己紹介が遅れました!
 ―――不審者ではありません。騎士団から依頼を受けた冒険者ですとも。」

気品の漂う衣装を着用していたお相手様。疑いの言葉を向けるのは仕方がないこと。
しかし、此処に居るのは真っ当な理由があるということを告げ、首から掛けている紐。
其処から垂れている一つの証を指で示す。
それは所謂、理由を以て此処に居る存在だということを意味する、入口で配布される証であり。

「冒険者のミタマと申します!――王都で冒険者と、お店を少々営んでいる者です。
 仕事柄、少しだけ陰鬱な雰囲気を感じてしまい……声を掛けてしまいました。
 不躾な言葉を向けてしまい申し訳なく―――。」

此処で、礼儀正しく頭を下げて見せる。あくまでも、声をかけたのは心配だった。ということも含めて、確りと伝え。
ここでゆっくりと、頭を持ち上げれば。
人懐こそうな笑顔を改めて浮かべて見せて―――。

「私からも、あなたさまのお名前を伺っても宜しいでしょうか?
 後は、そう。なにか悩みがあるのでしたら、と思いまして。」

セリニアス > じっとり、疑うような怪訝な眼差しは、首に提げられた証を見て些か緩和される。
一先ずは不届き者な侵入者、ではなさそう。

重ねられる自己紹介に、漸く相手の姿を改めて捉える。
雪の様に真っ白な髪と、それと同じ色をしたふさりとした耳。
一見して人族ではないと分かる見目――名前の響きは、どことなくシェンヤン風に近い気もするから、そちらの出なのやも、なんて思考は巡る。
丁寧な物言いも耳に心地良く感じられれば、徐々にと警戒心の度合いは下がっていくのだろう。

「ミタマ――ね。 ……僕はセリニアス。
 セリニアス・ヴァランタン・カルネティスだよ。」

名乗りを返す頃には、仄かに棘を孕んだ物言いも幾らかはマシになっていた。
然し、次いだ言葉を聞けば自然と持ち上がる片眉。
相手に向けて、ではなく、己の感情を上手く制御しきれぬ結果のそれ。

「君が気にすることじゃないよ。
 ――――……気遣いは、ありがたく頂くけれど。」

人に話せる内容でもなし、とは心の声。
素気無く返した後は、少しばかり気まずそうに表情を崩して言葉を添えて。

ミタマ > 自分の見目を確認するように、その蒼き視線を彷徨わせる少年。
勿論、それに対して不快感等は存在しない。
疑われる立場である事は理解しているし、ミレーという存在に排他的な王都。
その王城に獣人の存在は少ないだろうから。――珍しく感じるのかな。と思考を巡らせていくが。
その表情からゆっくりと警戒の色が抜けてきたというのなら―――自然と、笑顔は満面に。

「ええ、ミタマですとも!……セリニアス様。
名前を覚えて頂き、有難う御座います。ふふ、とても良い音ですね? 言葉にするのが心地よいです。」

カルネティス。――カルネテルの関係者だろうか?と考えるが、
其処を指摘するのは文字通り不敬。というもの。だからこそ、伺った名前の響きを反芻するように、小さな唇が音を奏でる。
そうして、次の話題が自分が紡いだ言葉に対して。

「―――いえいえ。此処で出会ったのも何かの縁ではないでしょうか? セリニアス様。
 ……無論、おせっかいだとは思っておりますとも!
 ですが、あなたさまのその名。簡単に誰かに吐露出来ない悩みも沢山あると思います!

 だからこそ!―――完全な部外者である私になら、少しばかり零してみても、誰にも伝わることはありません。
 ……それに、私は商売人です故。お口は、硬いのですよ?」

此処で立ち話をしていたことに気づき、気不味そうな相手の腰掛けるガーデンベンチ。
その隣にちょこんっと小さな身体を落ち着けさせて――、相手のお顔を覗き込み、紅玉のような瞳で見詰め返してみる。

セリニアス > 秘されている王家、と言う訳でもない。
調べれば、カルネテルの流れを汲む王家である事も、王位争いからは遠く離れている事も、比較的穏健な一族である事も直ぐに分かるだろう。

「手土産に覚えて帰るといいよ。」

相手が満面の笑みを浮かべるのを見れば、それこそ気分良さげに吊りがちな眦を仄かに緩めて見せる。
少しばかり揶揄の調子で嘯きつつ、ようやっとクッションに沈めていた体を起こした。
敵意のある者でなければ、己も相応に居住まいを正さねばなるまい――だなんて、これまた侍従がお小言を飛ばしてきそうな思考。

腰を据え直しつ、けれども、これで話はしまいだとばかり、己の悩み相談の件は終了――しようとしたものの、返ってきたのは、勢いのある声。

「う、うん? うん、それは――そう、だけど。」

矢継ぎ早と言うには流暢な、然し己が口を挟む隙間の無い力説。
勢いに押されて相槌を打つばかりになっていた。

確かにそれはそうかもしれない――けれども。
そそ、と傍らに腰掛ける、幾らか年上には見えても、己とそう年齢が変わらないように見える少女。
店をやっていると言うからには、相応ではないのやもしれないが――頭では理解していても、思春期に入り始めた箱入り男児は、流石に羞恥心と苦悩が勝った。
じわじわと顔へ朱色を、悔しそうな色を滲ませて反らす。

「……やだ。 言わない。」

セリニアス > 【後日持越し】
ご案内:「王都マグメール 王城の東屋」からセリニアスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城の東屋」からミタマさんが去りました。