2025/06/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 貴族執務室」にミストさんが現れました。
ミスト > 王城の中、幾つもある貴族の執務室のうち一つに、ミストは一人いる。
貴族でしか入れないその場所、その服装は燕尾服に、ズボンという男性の格好をしている。
誰もいない部屋の中、書机に腰を下ろし、カリカリ、カリカリと、書類を見て、そこに何かを書き込んでいる。
貴族としての仕事をしている姿は、まごうことなく貴族。
しかし、だ。
誰も、このミストが誰なのかを知らない。
そもそも、他に誰もいないからというのもある。
ただ、そこはとある貴族の執務室であるから、貴族の関係者なのだろうことは推測できる。


 ―――誰かが居れば、の話だが。

男とも、女ともつかない顔立ちのミスト。
蒼い髪の毛は短く、水色の瞳は文字を追っていく。
白い手が動くたびに、書類に文字が書き込まれ、それがとある領地の経営に関する資料だ。
誰もいない貴族の執務室の中。
ただ、部屋の中を羽ペンが動く音だけが、響いていく。

ミスト > しばらくの間書類を掻く羽ペンの音が部屋の中に響いていたのだけれども。
それも不意に止まる。
羽ペンを動かす少女の動きが止まるから。

「………。」

ゆっくり、と書机から、視線を上げて、その方角は扉の方。
まるで、扉の外に誰かがいるような、そんな確信を持った動き。
じぃ、と静かに、しかして強く、視線を扉に投げかける。

ノックの音はない。
誰かの気配はある。

『誰か』が、入ってくるのだろうか。
それとも、通り過ぎていくのだろうか。
ただ、静かにその気配の動きを探る様に、扉を見つめる少女。

ミスト > 「……気のせい。
 という事にしておいたほうが良いのかな。」

ミストは、視線を固定したままに、小さくつぶやく。
貴族という存在は弱みを見せてはいけない存在なのだと、聞いている。
だからこそ、と言う訳でもないのだけども。
やることは終わったと、羽ペンを置いて立ち上がる。

視線を送っている扉とは違うドアから。
ミストは去っていき。

部屋に、静寂が訪れる―――。

ご案内:「王都マグメール 王城 貴族執務室」からミストさんが去りました。