2025/10/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
■メイラ・ダンタリオ >
王都マグメール 富裕地区のどこか
真夜中の時刻 天候は雨上がりの雲一つない漆黒と星 しかし―――
「―――新月 それも生温い空気と思えばまた、霧ですわね。」
夜の店の帰りか 供に連れている群れを労っての飲みの帰りか
上着すら羽織っていないメイラの姿は黒の一張羅でそこにいた。
震え一つしない 冷え切っていてもそうだっただろう。
むしろ空気は妙に温い。
眼を持ち上げれば、以前の時ほどではないが、また白い靄が掛かる日。
月明りすらない夜の空。
月がどこにもなく、明かりが満ちていれば黒で塗りつぶされた空だっただろう。
いや、外に比べれば富裕地区の明かりは、ハイブラほどではないものの、まだ星を遮るものがあるか。
月に中てられることもある。
あれは魔の象徴なのだから、妙に昂る日があってもおかしくはない。
しかし何も見えなくなるかのようなこんな夜こそ、逆に混ざり者であり何者でもなくなってしまっているメイラの体。
それは妙に馴染んだ 誰かもわからなくなってしまうかのような新月の夜 漂う薄い霧
時期とは矛盾した半端な空気の熱 風すら吹いていないせいか、霧がぼんやりと建造物にモザイクをかけ
道のシルエットだけを映す。
メイラにはそれが、妙に心地よく、恐れよりも逆に体は落ち着くようで
そして針で肌を薄く撫でるようにビリビリと敏感だ。
カツンと富裕地区の舗装された足元 ブーツの踵が静かに響く。
周囲に誰もいない 酔いどれ寝そべる浮浪者も 飢えた乞食も 娼婦と歩く日雇いも。
だから肌で感じるこれは、きっと―――。
■メイラ・ダンタリオ >
それは視界に見えていた見回りの兵が向こうへと消えて少し経った頃だった。
気配は鋭いどころかむしろ丸く、霧と相まって誰かいそうでいない。
そんな気配の中で霧と言う独特の視界。
一定の間合いは無色透明、その向こう側から濁りだし霞モザイクとなる領域。
むしろメイラは、まるで毛先が浮かび上がらんばかりに敏感にさせていた。
全身が鳥肌を立てんばかり ふわりと見えない産毛を撫でるかのような空気の触れ方。
歩く脚を止めぬままに、黒鉄で包む鋭角なガントレット手袋両手は頭上で交差させ
手の甲と手の甲ががっしりと噛み合うような交差の向こうに伝わった、確かな衝撃。
一手目の動は封じ、速度が落ちた剣が加えだす力など恐れぬように
まるで上顎と下顎のようにその手首を握りこんだ、“怪力令嬢”。
ギッ――― 歯の食いしばりが刹那的に聞こえた後で振り向きながらの捻り上げ。
たとえ体を回そうと、肘を破壊しようと動作は変わらない。
二度目の剣戟は別の人物から発生し、額上を軽く下げて通過。
前髪数本の感触が落ち、瞼をくすぐる。
赤い瞳は、多重の輪を浮かび上がらせるような霞仕上げでそこへを向ける。
新月の、薄い街明かりと霧の中
狙われたことで際立つ二つの赤い慟哭が光をまるで強めるかのよう
退いた後に爆発させたような、左足による前方踵蹴り。
―――“ ゴ ギ ッ ィ ッ” ―――
腕を差し入れたかのような砕けた感触と確かな手ごたえ。
そしてそのまま向こうへと地べたを転がるように吹っ飛んだ姿を見届けながら
伸ばした脚が引きもどり、腕を捻り続けながら体高を低くさせていた彼奴目掛け
片手をつないだまま右手が抜刀させた“大脇差”。
体ごと回すように抜き、体ごと跳ね返るように振るったそれが喉を半分裂きながら
目の前で圧から噴き出す赤が顔と胴体へと塗される。
赤 熱 粘り 鉄臭さ。
それにかまわず、一撃で緩めず手を離れ、目の前の男へ
逆袈裟 一文字 そして左袈裟斬り
筆が一文字に繋げるように三度斬りつけることで、確実な絶命を向けた。
残り一人に対峙しながら、反りのほぼない大脇差を振りながら鞘に納め瞳を細める。
「―――続けますの?」
白い柄 もう赤が染みて取り換えることを余儀なくされた愛刀を抜き、切っ先を下げ
握ったままで聞いた。
物取り 排除 逆恨み どんな理由でもダンタリオには、メイラには多すぎる理由が底にはあり。
ただただ、この殺し合いの続きを求めるかどうか問うた。
■メイラ・ダンタリオ >
その場で吹き飛ばした者も
対峙した者も消える。
残ったのは足元一つ。
大騒ぎになるかと思えばそうはならない。
死体を調べることもしても立ち消えるだろう。
メイラ自体に執着がない。
その夜 血糊を落としたメイラは明日も普通に過ごす。
誰かしらが震えるだろう
タナールとアスピダに行くまでの間で間に合う保証もないままではしなくとも
一度執着を向ければ誰かが止められるはずもない。
陛下以外は平等で、それが失われることがヤバくない限り
メイラは確実に仕留めようとするのだから。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。