2025/07/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にカグヤさんが現れました。
■カグヤ > 富裕地区の目抜き通りに並ぶ書店。古書を主に扱う店があると聞いて足を向けた。
仕事終わりの格好はかっちりとし過ぎていたが一度帰ってからというのは生来の出不精を発揮しそうで躊躇われた。
「──わ……ぁ。」
入った店は扉を抜けた瞬間から高い本棚に圧倒的な蔵書の数。
入り口には新刊や流行りの本が置かれており、本の事ならばここにくればすべて揃うとの噂は伊達ではなかった。
そして本を大切にしているのがよくわかる、薄暗がりの照明とジャンル、作者毎に区分けされた棚。その出来栄えにうっとりと吐息が零れる。
「雑多に成りがちな本棚一つ一つが綺麗……。図書館もこのくらい力を入れられたらいいのだけれど。」
そんな独り言と共に足は店の奥。本の森に迷い込めばそこは一気に暗く外からの明かりを遮った。
特別目当ての本があったわけではなかったが、これでは目移りしてしまう、
稀にすれ違う客とは身体が触れてしまう程棚の間は狭いが、本屋とはえてしてそう言う物、とあまり気にせずに居た。
■カグヤ > 奥へ進めば進む程、人の気配も薄くなる。そして香るのは濃密なインクと古びた書籍特有の黴臭さ。
そのどれもが愛おしいと感じるのは元々の仕事と今の仕事に繋がりを覚えるから。
足を止めた歴史書の棚の前。その棚には正史に基づく物から、正史を演義として捉えたものまで多種多様。
指先が本の背表紙をなぞり、一つの本を引き出した。
持ち込み品なのだろう多少日に焼けた様子の本は、当時の登場人物たちの生き様や恋愛模様等を面白おかしく書いたもので。
「いつの時代も、変わりませんね……。英雄色を好むとは、後世の願望なの……かも?」
力強い存在だからこそ、そうあってほしい、そんな願望もあるのだろうか。
その本には側室をとっかえひっかえする描写もあり、それが妙に生々しく……。
モゾッ、と膝が擦れあうように、触れた。
■カグヤ > 「は……いや、流石に……。」
インクの香り、黴臭い本の香りに何かが疼く。流石に特に指示されたわけでもない場所で盛るわけにはいかなかった。
本を畳み戻すと、来た道をすれ違う人に双丘を押し付けながら去ってゆく。
息が上がったのは走ったせいか、それとも──。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からカグヤさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 夜会場」にルーベルさんが現れました。
■ルーベル > 煌びやかな明かり、華やかな参加者の装い、それに絡みつく権益の示し合い、探り合い。
貴族の社交は深くあるいは浅く様々な思惑が絡むもの。
…富裕地区で行われている、とある貴族主催の夜会。
近年の戦争でいくらか功績を上げた新興の成り上がり貴族が家の興りを祝うもの。
その貴族のこれからの、そして今後の付き合いなども見込んだものとなっているようで。
貴族だけでなく平民たちもドレスコードはあれど広く招かれている模様。
学院の制服姿の者や聞こえてくる話題から冒険者らしい者なども居て、開催主はせわしなく駆け回っている。
魔導師貴族は他人との関わりを殊更厭うわけでもないが、
実益優先でこういった場に参加するかどうかを決めることが多い。
とはいえ、その日少々遅れながらに会場へと参加したのは、気まぐれの割合が多く。
参加する者の中に少々の縁があるものが居て、そこへの義理立てを行ったに近しい。
過去のものとはいえ栄光は栄光、かつての対魔族の英雄である男に声をかける者も少なくは無く。
けれどもやはり、今の社交界の噂に上る華々しい者には話題性では劣る。
一頻りの交流を終えては、休憩がてらにとテラスのほうにと足を進めていく。
人の気配に、少しだけ歩む速度を弛めるも…誰かが、そこで逢瀬をしていたりしているふうではなく。
(ふむ…)
無用な警戒をさせないようにと心がけるのは自然と身についた振る舞い。
当たり障りのない社交用の挨拶を掛けるか、悩む。よくよく見れば知己であることも無くはない。
最初は僅かに距離を置いておくのも、無為に先客の暇を奪わぬようにするもので。