2025/09/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にエラインさんが現れました。
■エライン > 「ええと…次の依頼先は…。」
王都の中でも選ばれた上流階級のみが住まう煌びやかな居住区画。
そんな一帯の雰囲気に似つかわない恰好をした少女は、手にした羊皮紙とにらめっこしながら通りを行ったり来たりしていた。
少女が採集し持ってきていた、九頭龍山脈の奥地でしか手に入らない貴重な素材を彼女が懇意にしている商人ギルドから宣伝された貴族や娼館の主人たちが注文し、それを少女自身が売り歩いているのだ。
文字があまり読めない少女のために、羊皮紙には地図と依頼された素材の絵が記載されているのだが、それがなかなかわかりにくい。
何度も同じ道に戻ったり、迷ったりと悪戦苦闘しながらも、ようやく最後の依頼先である娼館に辿り着いた。
「ごめんなさい、遅くなった…。依頼の素材、持ってきた。」
指定された素材は避妊効果のある薬草や媚薬や滋養強壮として使われるものなどさまざまで、売り込む当の本人もその使用用途自体は理解しているらしく娼館の主人に大変なお仕事だね、などと談笑しつつお金を受け取った。
■エライン > 「じゃあ、確かに。」
お金を受け取った少女がペコっと頭を下げて帰ろうとしていたところを主人から引き留められた。
どうやら談笑している際に近くを通っていた娼婦たちの煽情的な衣装をちらちらと羨ましそうに眺めていたことが気づかれていたようだ。
「せっかくだし、試しに着てみる?似合うと思うよ?」
主人からそんな提案をされると少女は思わず目を輝かせる。
「…え?いいの?…えへへ、可愛くていいなぁって思ってたから。じゃあ、お言葉に甘えて…。」
提案に乗ってきた少女を主人は大げさに歓迎し、少女が気に入りそうな衣装を奥の部屋から持ってきた。
その多くは局部こそ隠れているものの大胆に肌を露出させる、水着のようなものばかりで、シースルーの羽織であったり透けて見えない程度とはいえ局部がシースルーとなっているものすらある。
少女は悩んだ挙句、光沢を伴い、腹部に緊縛を彷彿とさせるような装飾が施された紫色のビキニ水着と淡い赤みを帯びた白のシースルーベビードールを手にして主人に誘われた奥の部屋で着替えてくる。
「おぉ…これはなかなか、着心地もいいし、なにより可愛くて…良いデザイン。」
鏡の前でベビードールをひらひらさせながら、楽しそうにファッションショーごっこを楽しんだ。
主人や娼婦たちもその様子をニコニコと眺めると、口々に提案し始める。
「せっかくだしその姿、お客さんにも見てもらおうよ。」
「さ、こっちこっち。ここの部屋にいたらみんな見てくれるよ?」
「ああ、荷物はちゃんと管理しとくから安心してて。」
…などと口車に載せられているうちに少女は嵌められ、本日限定の娼婦として売りに出されてしまうのであった。
そのことに気づいたのはカギがかけられた部屋が通りに面してガラス張りになった見世物部屋で、少女の姿を品定めするような男の視線に気づいてからだ。
「…あっ、これは…しまったな…。まあ、客を取らされたらしっかりふんだくろう。」
■エライン > 「むう、それにしても困った…。一生このままってなると、厄介だし…売り上げも荷物も、ちゃんと返してもらえるのだろうか。」
ガラス越しから少女を覗く男たちをぼーっと眺めながら、ふとそんなことを考える。
奴隷都市や港湾都市でもこの手の謀略をかけてくる店は耳にしたたし王都でも貧民地区などではよくある事例だとは知っていたけれど、ある程度治安のよい富裕地区ということもあって完全に油断していた。
「まあさすがに、そこまで悪どい店ではないとは思うけど…。可愛い服も、選ばせてくれたし。」
十分散々な仕打ちを受けてはいるが店の者たちの態度を見るに悪気があったというよりも自分のことをそういった性癖を持つ淫乱娘と勘違いしているだけなような気もする。
とにかく、もし荷物やお金をかすめ取られたら商人ギルドを通して苦情を入れないとな。などと考えながら売り上げがしっかりもらえるのなら少しは頑張って客を引いてみようか?なんて少女にしては珍しく、積極的に性的アピールを試みる。
とは言いつつもいまいち男に刺さるアピールの仕方もわからないため目が合った相手に対して軽く微笑み返す程度ではあるのだが。
■エライン > しばらくすると部屋の戸が開き、店の主人が顔を出した。
「ちょっと来てくれるかな?お客さんがね、可愛く着飾った君のこと、もっと近くで見たいってさ。」
要するに買われたということだ。少女はこくっと頷いた。
「うん、わかった。…一応確認だけど、売上多分の報酬はしっかりいただくから、ね?」
少しだけばつ悪そうに笑ってごまかす主人にこの一回だけだからとくぎを刺すと、少女は自分を買った客の待つ部屋へと向かうのであった。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からエラインさんが去りました。