2025/06/26 のログ
影時 > こういうのを男が食うと、みたいな声が有るらしいが、知ったことか、だ。
東に面白いものがあれば東に行き、西に珍しいものがあると聞けば西に赴く。動機と足はいつだって軽いに限る。
金銭が関わるものは貨幣の重み分だけ重くなるが、その手の重みは世知辛いその手のものだけで十分だ。

「……全く。旨い時に限って、こうだ」

一人と二匹と。ぱくりもしゃもしゃ。
美味しさの余りにうっかり抱えた一切れを落としかける一匹を見つつ、ふと喫茶店の前を通り過ぎる馬車を一瞥する。
幌馬車ではない。黒塗りの馬車だ。その扉に描かれた紋章を見逃しはしない。
やってきた方角を逆算するなら、恐らくは王城からの帰りであると見立てられる。
店の屋根の縁に隠れた太陽の傾きを見遣れば、凡その刻限、時刻の算段が付けられるというもの。
脳裏にメモしつつ、後続する馬車の幾つかを確かめよう。ひとつ、ふたつ。家紋が描かれた幌馬車は護衛か荷物運びか。

「ちと、物々しいな……」

どちらにしても王城からの帰りと考えるには大仰過ぎる。王城で何か催しでもあったかどうかの照合が必要そうだ。
そう考えつつ、諜報と片手間に甘味を愉しみつつ、紅茶を呑み終えるまで暫し過ごそう。

帰り際には、店売りの焼き菓子と茶葉の包みを土産がてら買っておくのは忘れない――。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」から影時さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2 食事処」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
メイラ・ダンタリオ >  
 第七師団とのやりとりのあったタナール
 多くの者らと停滞しているアスピダ
 其の場所で、彼の場所で、血を浴びるように鎧を濡らし、激怒するかのように突き立てた両腕
 その黒い両腕は、今は違った黒い両腕のままで、富裕地区の治安と落ち着きのある食事処にいる。


    「―――(もぐもぐ)

     ―――(コトッ)ふぅ 偶には、澄ましも悪くありませんわね。」


 この食事処は木造建築構造と木の香り
 そして普段出歩くような様式と酒の種類よりも、異国の情緒と種類が目立つ。
 あの湯屋に影響されてなのか、酒は穀物の澄ましから白い濁り
 ソースや香味根のすり下ろした薬味まで、いろいろと違ったものがある場所。

 富裕地区だからこそできるやり方か。
 その場所でメイラは表面は良く焼かれ、断面は桃色な肉達を箸で一枚ずつ摘み上げ
 緑色のツンとくるすり下ろされた香辛料の根を添えて甘いタレや酸味の効いたソースにひたりとつけ
 そのギザ歯の内側で租借することを適度に楽しむ。

 今の時期、優遇と高給で迎えられやすい氷術師の氷か
 水桶に張られた氷水で浸かって冷やされた酒壺の中身
 柄杓で一杯ずつ救い上げて飲んでいる冷たい酒は、穀物の澄ましで飲みやすい部類のもの。
 銘柄は何と言ったか。 ~美人といった具合で、万人向けの好かれやすい酒だという。
 戦場ではさすがに、こういったものは楽しめないだろう。