2025/08/18 - 22:23~03:46 のログ
影時 > 学院に講義や訓練の監督、諸手続きを行う際、ついでとばかりに図書館に立ち入ることが最近多い。
だが、それに加えて二匹が妙に図書館に興味を向けていたのは、昨今の動きのせいかもしれない。
二匹を留守番、ないし、魔法の雑嚢の隠れ家に置いていた。二匹を伴うと面倒となる動きのためだ。
置いてけぼりの側は、どうやら面白くなかったらしい。図書館の近くを過ぎた際、埋め合わせしろー、とばかりにせがみ出しだのだ。
であれば、仕方がない。少なくとも日中の厳しい日差しは避けられるのだから。
「お前ら、勉強熱心なのは良いが……魔法を使うには書が無けりゃァどうしようもなかろうに。
……新しい何かを書いてもらう当てでもあるのかね。ン?」
二匹の毛玉はただの毛玉ではない。イケてる毛玉であるが、その身一つで魔法を使えるわけではない。
正しくは、彼らに与えられた魔導書に記述された魔法を発動できる。つまりは発動媒体を所有しているのみだ。
時と場合を認識して使えるだけでも大したものではあるが、新しい何かを覚えたいのだろうか?
それともいずれ、彼らが人間に化けられるようになった際にでも備えたいのか。その心中は飼い主も知りようがない。
ただ、新しい何かを覚えたい――という気持ちはあるらしい。
当てという声に、と真剣に文字列を追っていた(ように見える)二匹が「!」と尻尾を立て、お互いの顔を見合う。
こてりくてりと顔を傾げて、へにゃりと尻尾を撓らせるのは、……どうしよ、とか云う心境の表れだろうか。
口頭で詠唱でもできれば良いが、生憎二匹はそういう生き物ではない。かと言って人間に化けたい、というものでもなさそうだ。
「まぁ、お嬢様方にその内相談でもするかね。
とーはいーえ。俺には使えなくとも、知っておいて損は無ェか。――……ページめくっていいかね?」
例えば書の作り主に相談する、とか。遣りようはあるだろう。
遣りようといえば、昨今出来た新しい弟子についてもそう。忍術とは似て非なる体系だが、知っておいても無駄はない。
錬金術を知ることで新たに編み出した、ないし、最適化を図れた術が手持ちに幾つかある。
いわゆる四大属性という概念にかかわる術ならば、若しかしたら対策含め、何らかの改良、改善を見込める余地は多分にあろう。
飼い主からの問いに、再びページに向き直る二匹が尻尾をぴこりと立てる。捲っていいらしい。捲ろう。
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 図書館」にホーセーアさんが現れました。
ホーセーア > いつもは適当に見つけた歴史書とか興味ひいた物語などを何冊か積んで読む少年モドキ。
しかし今日は、普段行かない書架の奥へと一度姿消していて、
再び現れた時は何故か妙に浮かれており、
静謐を常とする図書館でうっかり鼻歌など漏らしていたりして。
それが終わると改めて趣味の時間だとばかりに、雑多なジャンルの本を5冊ほど
手に持った杖の上に乗せていつもの窓際席に移動していたが、
ふと目に留まった顔見知りに「おや」と一声漏らしたかと思うと、
真剣にページめくっている様に、調べものなら(暇つぶしに)協力しようかと近づいていき。
「やあ、えーと影時講師。久しぶりに会ったと思ったら何だねその顰め面は。
以前は技術とやらの事を教えてもらった礼と言う訳ではないが、
僕で役に立てることはあったりしないか?」
ちょこちょこと近寄ってそんな事言っていたが、読書に同席している小動物2匹に首傾げて。
「えーと・・・失礼だが彼らは何物だ?
使い魔にしては魔力が薄すぎるし、召喚獣と言うには当たり前の姿過ぎる。
まさかまた僕の知らないシェンヤンの神秘とか言うんじゃなかろうな?」
人語理解していたりするならちょっと失礼かと恐縮しながらも、おずおずと声掛けたり。
影時 > 初級の本と云えども侮らない。侮れない。こういう本は幾らでも読み返しても無駄になることはない。
小さな毛玉達は純粋に学究欲であろう。魔導書を得てから、彼らは偶に勉強熱心になる。
そして己は相対する際の攻め入る余地、魔術師ならば何をどう考えるか。その思考の一端を掠め取ろうと考える。
実際の処、此れが馬鹿にならない。迷宮で相対するのは魔物ばかりではない。
堕ちた冒険者とも言うべき野盗、術師の群れと遭遇する――ということもある。魔法は容易く群れを滅ぼし得るチカラでもある。
「……――ン、おおどうも子供先生。こうして話すンのは久しいなァ。
役に立てるも何も、嗚呼。考えればきりがない位、色々あるかもしれんね」
そんな中、聞こえる足音と感じる気配に顔を向ける。直ぐに視界に止まらぬ所以は何か。
気配の主の背丈に他ならない。だが、誰か居るというのは明瞭だ。
杖とその上に乗っかった書物を見ればいい。では、それを運びうるものは何か。答えは直ぐに出てくる。
近づいてくる姿は見覚えがある。過日世話になった先達であり、職員室に出入りする等、折が合えば見かける知己。
背筋を伸ばし、ひらりと右手を挙げて見せながらアイサツしよう。
そんな飼い主たちの様子に、つぶらな目をぱちくりとさせ、二匹の小動物が遣ってくる姿に向き直る。
「使い魔にしちゃぁ気侭だし、召喚獣だと迫力が足り、……こら、噛むな噛むな痛ててて。
……――俺の子分だよ。ペットとも云う。こっちがスクナマルで、そっちがヒテンマルだ。
偶に魔法の授業に使い魔で参加している生徒が居るだろ?
そン中にも混じってる臭いが、シェンヤンの何やらの類じゃあない。一応頭がいいけだものの筈、てこら噛むなっ」
人語はなんと。解する。喋れない代わりに、召喚……何それ?とばかりにこてりと首を傾げて。
紹介されれば一匹ずつ尻尾をぴこりと挙げて、お辞儀をして挨拶してみせる。
ただ、飼い主の言い草が何か気に喰わなかったらしい。主の手を鋭い歯で齧り、都度声を挙げさせる。
絶対服従ではない生きざまは、成る程。使い魔と呼ぶには奔放過ぎて。
ホーセーア > 久方ぶりに会う男性講師、おまけにとある秘密を共有する身としては
他に誰かに教えたのかとかこちらも聞きたい事は山ほどあったりするが、
興味からの質問より当面困っているのであろう同輩の相談に乗る方が有意義なのは
当たり前で。
だからこそ色々あると聞けば、許可も得ずに対面の椅子に飛び乗って座り。
「ほうほう・・・本業か副業でかはともかく、
僕で務まるのなら遠慮する事は無い、何でも聞きたまえ」
どうやら失せ物探し以外で同僚の役に立てるのが嬉しいらしく、喜色隠す事無く
足をぶらぶらさせながらも少し胸張って。
「子分・・・ああ、そういうのがまれにいると聞いた事はあるが、
影時君で二体とも一人占めかね、何とも慕われて・・・るんだよな、多分?」
知能の高い動物がいるとは聞いていた、それがマグメールに居ても何の不思議もないのだが、
二体が二体とも同じヒトに懐くなどとは見るのも初めてで
思わずメモ取ろうかと筆記用具取り出したりして。
「ああ・・・スクナマル君、ヒテンマル君。
お初にお目にかかる、僕は君たちの主人?親分?の知り合いでホーセーアという。
一応外国史教師だ、以後見知りおき願いたい。
それでその・・・初対面で大変言いにくいのだが、
ここは一応図書館でね、あまり騒がしいのは歓迎されない。
影時君ごと追い出されたくないなら、少し大人しくしておいてくれないかな?」
小動物だろうが何だろうが人語解するなら、礼儀は大事と座ったままではあるが
二匹に丁寧に頭を下げて自己紹介を。
ついでに恐らく自分のせいで災難被っている影時をかばうべく、
いつもの調子で不用意な騒ぎ起こさない方がいいと軽く釘を刺して。
影時 > いつぞや教えてもらった秘密の……は、偶に使わせてもらっている。だが、他言無用扱いとして情報は保持したまま。
世話になっている分はいずれ何がしかで返しておきたいものだ。
講師から教師へとクラスチェンジするに辺り、講義内容も受け持ちも変わっているが、数少ない話せる教師としての知己である。
故に勝手に対面に座るのも、何も問題はない。会話の気配に、ぱたむと開きっぱなしの書を閉じ、視線が通るように書見台をずらそう。
「いやなに。こいつらの書に何か術を、とか思ってたりでね。――ほれ、出してみろ」
見た目だけで云えば、親子のようも見える組み合わせだだ。
年長者のようにも見えよう男が、“知り合い?”“友達?”“まっさかー”と言わんばかりの二匹を見下ろし、顎をしゃくる。
出すと云えば、他でもない。白い法被の下、ふかふかの毛並みをごそごそと探り、小さい何かを毛玉が取り出す。
てれれー、とばかりの効果音付きの仕草で掲げてみせるのは、小さな豆本サイズの魔導書である。
一緒に取り出す魔晶石を見れば、魔導書とセットで効果を為すもの、と察せられるだろう。
「稀な類……なんだろうなぁ多分。
一応俺の話は聞くし、察しも良い。その魔導書みてぇに専用誂えの品なら使ってみせる位には頭は良いわな」
少なくとも、同様の同類、お仲間の類は中々見かけない位にはレアものには違いない。
その在り方はある意味妖精臭くもあるが、妖精ではない。筆記用具を構えるさまにぱちくり、と二匹は目を瞬かせ。
「……だと、さ。と言うわけで、あンまり噛むんじゃあないぞ俺を。
前にも云ったが、椅子とか机とか齧るのもなし、な。よろし?」
丁寧な自己紹介を聞けば、“知り合いで仲間かー”と合点が彼らなりにいったらしい。
耳をぴこぴこ震わせ、よろしくとばかりに頭を下げれば、続くお言葉がある。
ぇ゛ー、だの、駄目かー、とか言っていそうな素振りで二匹が向かい合い、前足を振って話し合い、諒承したとばかりに尻尾を立てる。
尻尾を立てるのが諒承、尻尾を横に振るのが否定――と言ったところだろうか。
調子が良さげな飼い主の言葉に、ジト目めいた眼差しを男に向け、やれやれと肩を竦める仕草につい苦笑を滲ませ。
ホーセーア > 実はあまり大した秘密という訳でもない例のアレ。
無暗に他言しなければ、得られる知識が蔵書だけでは物足りないと感じている者に
割と気軽に教えてくれる。
現に自分がそうだったのだし。
もっとも存在がバレれば恐らく取り壊しになるだろうし、
図書館自体の利用規定なども厳しくなろう。
そこまで影響がある事象を軽々と口にできるようなヒトにはそもそも教えられないだろうが。
「・・・彼らは本も読めるのかね。どうれ・・・ふむ、これに新しい魔法を、という事か。
普通なら使用者が利用できる系統で魔法を書き込むという手法も無いではないが、
僕もこの国での系統は研究途中だ、割と基本的な物しか使えないし、
そもそもこの本他人が書き込んだりできるものなのか?
何となく、利用対象絞ってそうな雰囲気がひしひしと感じるのだが・・・
大丈夫なら、本に書かれている書式に従って、いくつか教えられると思うぞ。
もしも無理なら・・・実は最近少し凝っている事があってな、それを応用して
彼らに直接教えるという方法も取れるかもしれない。
どうするかは影時君と・・・何より当事者のスクナ君とヒテン君に任せるが」
本差し出されればいつもかけている眼鏡くいと上げて、よーく豆魔導書観察してたり。
しばらくして、ふぅ、と一息つくと眼鏡戻して、影時に今の時点で分かる事を説明する。
基本的に魔法を知識ととらえている少年モドキとしては、書かれている事も何となくは理解できた。
だから書き込めるのならば、基本的な物にはなるが教えられなくはないと。
ただ、妙な限定ありそうなのも感じていて、それが自分に可能なのか?
ダメなら研究中ではあるが別の手もあるぞと
小人が読むような大きさのそれをじっと見つめ。
影時 > それでも、講師として諸々始めたばかり、スタートしたばかりの身としては有難かった。
書を紐解くという行為は以前から持ってはいるが、知識的に当たりをつけるという点でも今も有用だ。
勿論、件の書庫にあるものが全てではない。知識的な不足、補填を行い、拡がりを欲するなら、幾らでも為せる。
元より恩義もあるからこそ、何の気も配慮もなく、流布するつもりは欠片もないが。
「どうやら読めるらしい。……暇潰しにしたって、何の意味もなく講義も聞きに行く筈も無ぇし。
ただ、与えられただけの術を与えられたままにしたくない、ったところかねえ。
その豆本の表紙にヒテンマルとスクナマルって名前、あるだろう?
使う時は使いたい術のページに石を当てて発動する仕組みなんだが、持ち主以外は使え無ェように制限されている。
俺にだって使えない。紙のページはまだまだあるから、其処に術式を書き込めば追加は出来る。
……ふむ。興味深い話だが、まだ早い気がするなあ。もしいつか、こいつらが人間の言葉でも話せるようになったら、かね。
こいつらを戦わせるつもりはないんだが、こう、生活系とかで書き込めそうな奴があれば良いんだが」
豆魔導書を観察すると、その緻密さ、複雑さに驚くかもしれない。
術式の発動の主体は毛玉達ではない。書側にある。
錬金術等の魔法陣に魔力を走らせて起動する仕組みをマイクロ化し、書自体にも紛失対策、記名された保有者への追従等の術が幾重にも。
限定化する仕組み、縛りとすれば二つ。持ち主以外には起動できない制限と、飼い主としての意向。
毛玉達は戦いに参加しない。させない。身を守り、隠し、癒す基本にもうひと味が欲しい昨今だ。
ただ、毛玉達自身が術を繰る、詠唱するような――となると、まだ早い気もしなくもない。
どうだ?と飼い主が毛玉達に問えば、前足を組んで考える素振り。今はまだ、本を使いたいと本を振り回すように前足を振る。
ホーセーア > 「ふむ・・・あくまで魔法発動の主体はその本と石と言う訳か。
書き込めばいいのなら・・・生活系ねえ、浄水とか光とかかな?
水関係なら湧水というのもあるが、
彼らの魔力だと自分が飲む量を出すのがせいぜいか・・・
ああ、勿論作糧もあるが・・・教えない方がいいだろうな、影時君的には」
生活系の魔法がいいというなら、思いつくままに候補を上げていく。
後火付けや鍵開けもあれば便利なのだろうが、
恐らく本人たちはともかく影時がそれらを好まないだろうとあえて口にはしなかった。
「おやそうかね・・・紹介が遅くなったが実は僕の方も最近相棒が出来てね、
ナゲエロだ仲良くしてやってくれ。
凝っている事というのは使い魔たる彼に直接魔法を使わせる方法として、
カエルに理解できる範囲で魔法の何たるかを教え込むという手法を取っているんだよ。
・・・ちなみに始めてから3か月になるが、やっとこの間水衣を覚えてくれたよ。
馬鹿な子ほど可愛いというが、正直いつ魔素に戻してやろうかと考えない日は無かったな。
こんな感じだが、まあ興味が湧いたらいつでも言ってくれたまえ。相談には乗らせてもらうからな」
そう言って懐から大事そうに取り出したのは、ちょうど少年モドキの両手に乗るくらいの大きさの
ガマガエルで、生意気に赤の蝶ネクタイなど付けていたりする。
流石に直接テーブルに降ろす訳にはいかないと、引かれた布の上に置かれ。
まずは影時の方をじろりと見つめると、「ゲェロ」と短く挨拶らしき鳴き声を、但しTPOに合わせたのか小声で。
スクナマルとヒテンマルには同じくじろっと目向けて「ゲ」と一言。
恐らく影時よりは軽んじているような調子の声であったという。
影時 > 「そういうこと、だ。
とはいえ、何の学びも覚えもなく使っても意味がないのを、こいつら自身も薄々分かってるから、なんだろうかねェ勉強するのは。
……嗚呼、いいね。魔力自体はその魔晶石に溜まってるのを使う。自分の魔力じゃあない。
ふむ。スクナに浄水、ヒテンに光をお願いしても良いかね?
出先で俺も水は運んでいくンだが、こいつらが出歩いた先で飲み水に困るのは善くねぇからなあ……」
餌や水を作る術式も便利だが、彼らが好むものを思うと、色々偏ったものを作りかねない気がしてならない。
ヒマワリの種とか大粒のクルミとか。何より彼らの口、前歯のケア的な観点を思えば、二匹の好みがそのまま出てくるのは避けたい。
湧水の術は此れは此れで使い出があるが、攻勢的な用法に使おうと思えば先に挙がった浄水と光源より適性は高い。
出来るならば、それでお願いしたい。そう頷きつつ、己の羽織の下の雑嚢を漁ろう。何か代価が必要だろうかと思いつつ。
「どんだけ生きたら、化けたりするかは――様子見だが、嗚呼、そっちは正真の使い魔って奴か。
初めまして、だ。ナゲエロ殿?俺は影時という。
……あー。蛙だから、と軽んじるつもりは無ぇが、そりゃあ教えるにも難儀するだろうなあ。
何たるか、というのも色々あろうが、水衣そのものを先に覚え込ませる……だけじゃあ研究にはならん、か。
もしこいつらが魔導書の全ページを埋め尽くして、物足りなくなったら頼らせてくれや」
そして、彼の研究の実例だろう。少年の両手に乗る程の大きさとなれば、男の片手に乗る位の毛玉達とも身の嵩は遜色ないか。
赤い蝶ネクタイでおしゃれしたガマガエルに挨拶する飼い主を見れば、二匹ももそもそ背を伸ばす。
毛玉達はそれぞれの生態として、発情期含め余程のことがなければ、鳴くことは余りない。
被った帽子ごと、ぴょこんとお辞儀すれば、じろっと向けられる眼に長い髭を揺らし、目を瞬かせる。
二匹でひそひそ顔を合わせるのは、“……何か軽んじてられませんかね?”とでも言い合っているつもりか。
やんのかーやんのかーこらー、みたいな取っ組み合いになる前に、落ち着けと二匹の背中をそれぞれ軽く叩き、嗜める。
そうすれば、不承不承といった体でお座りし、魔導書を持ち上げて少年にお願いするように頭を下げる。
ホーセーア > 「向学心があるというのはいい事だぞ影時君。
少なくとも普通の獣にそれは存在しない、という事はいずれ人語を話し始めても
おかしくはないという事だ。
まあ、それがスクナ君ヒテン君にとって良い事かどうかは判らないが、
影時君との意思疎通が簡単になるというだけでも悪くないと思うぞ。
ふむ・・・ならば少し準備がいる、待っていてくれたまえ。
む?おいおい影時君・・・僕の方から困り事は無いかと聞いたんだぞ、
君が礼をしようとするのはおかしくは無いか?
何より、魔法は知識であり理論だと信じている僕にとって
一人・・・いや二匹でも魔法を使えるモノが増える手助けができるのは嬉しい事だ、
変な気づかいは無用だよ。
そうだな・・・もし今度僕が困っている事があったら相談にでも乗ってくれれば
それで良しとするさ」
ごそごそと懐探る仕草見たなら、余計な気を使ってくれるなとぱたぱた手を振って。
何せ最初は退屈しのぎのつもりで声をかけたのだ。
いくら魔法を教えるとはいえ、知り合いの子分?から何某かの利益受け取るつもりはないと
軽く否定してみたり。
「うむ、少々作成に特殊な方法使ったが使い魔には違いないな。
・・・こら、彼らは僕の友人でもあるんだぞ。
いくら僕と直接意思疎通ができるからと言って、お前の方が偉い訳じゃない。
寧ろ年下なんだから敬意を払いたまえ、敬意を。
あ、そうだ影時君。
ナゲエロで思い出したが、実はこれの生得能力が
いわゆる魔法妨害だったりするんだが、最近それの魔法化に成功してね、
ヒトには使えないという欠点があったんだが、
彼らならうまく使えるんじゃないかな?
しかも対象選択制だから、味方の魔法はそのまま使えるというすぐれものだ、
もし興味があったらどちらかにでも覚えさせるかね?
まあ、これから作業に入るから、書き終わるまでにどうするか決めておいてくれ。
では・・・むっ・・・」
馬鹿にされたと感じた(多分実際にした)二匹がいきり立つのを見て、
流石に使い魔だろうと無礼が過ぎるとばかりに窘めると、言われたガマは二匹の方に向き直って
「ゲロ」とか鳴きつつ頭下げて、土下座風味の詫びを入れ。
・・・本心からかどうかは不明だが。
とりあえず謝った事に満足したのか、軽くガマの背中ポンポンと叩いた後、そう言って何事かブツブツ唱えると、
目の前のただでさえ小さい少年モドキがみるみる縮んでいき、小動物2匹と変わらぬ大きさになり。
改めて2匹から書物受け取ると、懐から羽ペン取り出してカリカリと何事か書き込んでいって。
しばらくしてから顔上げると、何事か言ったらしいが影時には声が小さすぎて聞こえず、
眉顰めた後再び何事か唱えると、どこからともなく少年モドキの声が聞こえ。
どうやらテレパシーの類の魔法使ったらしく。
「確かに浄水と光は書き込んだぞ。
それで?もう一つはどうする?
要らないならそろそろ元に戻らないと、ナゲエロから『美味そう』とか言う思念が来てるんだ。
このままだと色々危険なんだがね・・・」
よく見ると空調効いた室内であるにもかかわらず、だらだらと油汗流しているのが判るだろう。
影時 > 「まぁなぁ。……俺の故郷と、多分シェンヤン辺りにもあるだろうなあ。
年月を経た動物が魔力やら妖力を変じて、化生となるとか言う奴。もしかするとその類になるやもしれん。
意思疎通がし易くなるのは良いかも知らんが、耳元近くで喋り出すと、て、おい。
さっきも言われたろうが。噛み付く構えを見せるんじゃァない……!
なに、世話になってんだ。それにこの時期、恩人に贈り物をするという風習が故郷にあって、だ。
気遣い無用ってなら、そうさせてもらうよ。その代わり、何か採ってきてほしい等でも在ったら云ってくれ」
いずれ、恐らく、為るとすれば。そういう類のもの、妖精ないし化生の類と。そう見立てる。
為らないと否定する所以が少ない。生来の賢さに己が遣る氣息や瞑想を真似るような仕草、癖など。
喋り出したとしたら――その時はその時か。
とはいえ、肩上からあれこれ話しかけられるのは、どうだろうか。一番弟子も嫉妬しかねない危うさもある。
ふと渋い顔をすれば二匹が歯を見せるさまに肩を竦め、否定の句に失礼した、と頷こう。
ともあれ、何かして貰えば恩義としてなるのは人情でもあり。実地演習等、外回りが多い身として言葉を投げて。
「ははは、まぁこいつらがどんだけ生きてるかは、俺もよく知らなくてねェ。覚えてもなさそうだが。
……魔法妨害、“ぢゃみんぐ”とか言う奴か。
どう使うか、にもよるかなァ。あと、どちらか、となると……喧嘩しそうだな。取っ組み合いするだろうおまいら。
守りなら、元々持ってるし……と、おぉ、直で行くのか……」
嗜められたガマが、ぺこんと詫びを入れてくる様に、二匹が“仕方ないでやんすねー……”とぺこ、ぺこと頭を下げる。
続く問いに思案をしつつ、どちらが、とシマリスとモモンガを交互に見る。
魔導書に記す術は役割分担的に違いがあって良いが、彼らの存在、立ち位置としては賑やかし、和ませ役に近い。
用いる術は護身、万が一の薬箱だ。旅先で肩の上に乗せて、鋭い感覚に頼ることもあるが、魔法妨害となると――扱いが難しい。
どうするかねぇと思っていれば、見えるのは実際に小さくなって、魔導書に描き込み始める風景。
そうきたか、と思いつつ、思念を受け取り、結論を出そう――。
「諸々忝い。……妨害の術はせっかくの申し出だが、お気持ちだけ頂かせてもらう。
そこまでしちまうと、修羅場の中でこいつらが狙われかねない。
こいつらの生命を預かる身として、俺が手が回らない状況で悟られ、下手に狙われる……ってのは、避けてぇんだ」
仕事に感謝を示しつつ、続く言葉には困ったように笑い、小さく頭を下げる。
彼らは戦いに積極的に関与しない、させない。それが小さな命を己のような酔狂者が預かり、連れて行く際に決めたことだ。
二匹の存在が何かを決め、定めるということになると、そのうち何か危ういことにもなりかねない恐れがある。
脂汗が滲み出すような有様に、無理はしないようにと声をかけつつ、元に戻るまで暫し待とう。
ガマの舌に囚われる前に戻るように進め、戻れば幾つか聞くこと、教授を乞うてみたいことを尋ねこのひと時を過ごしただろう――。
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 図書館」から影時さんが去りました。<補足:身長185cm/鴉羽色の髪/暗赤色の眼/白い羽織+暗色の着物と濃茶色の袴/刀/~長くて2時位まで>
ホーセーア > 「よしたまえ、恩人とまで言われるようなことはしていない。
ああ、何かあったら助けてくれると嬉しい。何せ多少は動けるが本職を相手にしての荒事とかはからっきしでね」
確認はしていないが恐らく影時の身のこなしは、
スポーツとかシェンヤン由来の武術齧った程度の少年モドキよりは上で、
そういう事も得意だろうと軽く笑って見せ。
だってそんな小さな本に普通にペンとか使えないだろうとか言い訳しつつ、
小人化した少年モドキは普通サイズの使い魔に食べられる主人とか言う不名誉な称号回避するべく
若干焦りながら元に戻り。
「なるほど・・・確かに子分であるなら守ってやらないと駄目か。
これは失礼した、最近の研究で一番の収穫だったものでね、出来れば有用に使ってくれるヒトに
共有したかったのだが・・・無用だったな」
下げられた頭にいやいやこちらも無理を言ったと苦笑いしつつ手振って。
魔法に関して聞かれたならば、それはもう実際の年はともかく見た目通りの感じで目とかキラキラさせながら、
自分なりの持論とかマグメール流の魔法の基礎とかについて、熱心に講義してしまったとかなんとか・・・
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 図書館」からホーセーアさんが去りました。