2025/11/08 - 22:15~03:13 のログ
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 身分混合クラス 大教室」にエリザベートさんが現れました。<補足:白髪、豊満な肢体に白のドレス。>
エリザベート >
本日は学院からの要請で教鞭を執ることとなった白魔女エリザベート。
初々しい若者(主に男子)の視線を浴びてご満悦である。
そんな楽しい時間はあっという間に終わり、宿題と称して古語による詠唱文解読の課題を課し講義を終える。
普段より王子や王女に指南する立場であるが、大勢の生徒となるとまた勝手が違うもで、本人としても良い刺激であった。
「うむ…若者に囲まれておると此方まで若くなった気になれて実に良いな♪」
そんなことを放課後の大教室で曰い、余韻に浸っているくらいには。
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 身分混合クラス 大教室」に影時さんが現れました。<補足:身長185cm/鴉羽色の髪/暗赤色の眼/不精髭/白羽織+暗色の着物と濃茶色の袴、黒い襟巻/刀/>
影時 > 知る人ぞ知る白魔女の講義、授業となれば――だ。
諸事情を抱えて来れない者、遅参する他ない者がやることとして、使い魔を出させて遠隔で説話を聞くことがある。
教室の後方にちらほらとニンゲン以外の獣が数匹、じぃぃ……と。無言を保ちながら佇んでいるのがそれだ。
真っ当な生き物も居れば、生き物を模したツクリモノもある。
それらも講義が終われば、三々五々と音なく、静謐に教室を辞していくのだが――、
(…………♪)
放課後を迎えた大教室に残るものが、居た。ふわわわー、と大きく欠伸をキメ、尻尾を伸ばすのは人ではない。
魔物でもない。けだものである。略しようもない毛玉である。茶色と黒の毛並みに黒いとんがり帽子を被った小動物だ。
聴講生、のつもりなのだろう。魔女の有難いお言葉が分かっているのか分かっていないのか。
だが、知性も感じさせるきらきら眼で見やりつつ一々聞いて、頷きながら尻尾を振り、満足したーと言いたげに背伸びして、とったかーと走る。
走る先は他でもない。教壇に近い前列の机。
そこにぴょいと飛び乗る二匹――シマリスとモモンガが、もっとお話聞きたい―とばかりに身を乗り出すのである。
「ぁンの二匹、どこほっつき歩いてンだ……!」
飼い主の男は、二匹の気侭で無邪気な学びの有様に気づかぬまま。まだ戻ってこない姿を探し求め、右往左往する。
その果てにもうじき、大教室に至るだろう。どこかで聞いた魔女の講義が終わる頃合いなら、邪魔しても大丈夫だろうと。
エリザベート >
「お主らどこから来たのじゃ? 森もそう近くはないじゃろうに誰ぞの飼獣か」
教団の上に招き乗せた小動物二匹に、どこからともなく取り出したナッツを与え、頬杖をついて話しかける女。
どことなく言葉を理解している節もある二匹と普通に談笑をしているのであった。
そんな折、教室の入口の扉が開けば白銀の龍瞳をそちらへと向けて。
「もう放課後じゃぞ。何か忘れ物かの?」
実に涼しげにそう声をかける。
二匹の小動物と共にそちらを見る様はどことなく滑稽だ。
影時 > どこからー?/あそこからー?と云わんばかりに。
手乗りサイズの小さな生き物がお互いの顔を見合い、こてりと首を傾げ、二匹が揃って或る方角を指さす。
それが平民地区にある宿屋の一軒の方を差しているとは、気づく由も恐らくはないだろう。
だが、少なくとも人語を解し、理解して考える程の知性はある――とは云えなくもない。少なくとも正直には答えている。
黒いくりくりまなこで魔女に答えてみせた二匹が、次に出されるものに尻尾を「!」と立てる。
――ナッツである。
くれるの?と見上げ、与えてもらえれば嬉しげに耳やヒゲの先を震わせ、かりかりかり……と無心な咀嚼音を奏でだす。
学院の晴れの日なら庭園、雨天なら温室であれば運よく見られるかもしれない。そんな光景だが。
「ここか。ここに居やがったかァ……と、っ。
――あー、いや忘れもんというわけでねェが、……生き物の忘れ物ってのは、略して忘れ物にもなンのかねぇ」
がらり、と。前置きもノックもなく教室の扉が開く。
息急くまではなくとも、眦を立てた男が入ってくる。この国の珍しい羽織袴を着込む姿はさもありなん。余所者だからだ。
余所者であり、教師の籍を持つ。であるが故にこの学び舎を闊歩できる。
惚けた言葉を宣う男の腰に差した刀が、白銀の龍瞳の一瞥に何を感じたのか。微かに震える。それを男と二匹は見逃さない。
「……若しかしなくとも、白魔女殿かね?」
聖刀とも妖刀ともつかぬモノが震える所以は、一つしかない。
まさかな、と思いつつ後ろ手に扉を閉じつつ、踏み入って問うてみよう。
大教室の使用予定者として視た名は、覚えもある。昔、己を食客として遇した貴族から聞いた名前のひとつだ。
エリザベート >
「ふーむ…うら若き男子生徒が放課後のいけない雰囲気に誘われてやってきた…などという展開などそうそうないものかのう」
やってきたのは三十頃の面をした男。少なくとも生徒ではない。
異国の空気を纏う姿に語り口調。この国で時折見かける東の出の者によく似る。
嫌がらなければ、ナッツを無心に齧る小動物を白い指先で撫でたりしつつ。
「ああ、こやつらの飼い主じゃったか。良かったのうお主ら、主がやってきたぞ♪
……さて、いかにも妾は王城内にてはそう、白魔女と呼ばれておる者じゃが…」
此処らで呼ばれることはそれなりに珍しいのう、と。
裾から取り出した扇でその口元を覆う。
──相手を鋭く見透かすような龍眼が変わらず、その白銀の光を男へと向けて。
影時 > オトコノコかー。おとこのこねー。と。性別不詳気味な二匹が魔女の言葉に考え込む――素振りを見せる。
イケない雰囲気らしい場所を校内を気儘に闊歩する二匹は、幾つか知っている。覚えもある。
だからと云って、それを自分達から示す気も口外するつもりもない。口外しようにも喋れないわけだが。
……魔女の講義を聞きつつ、何か前かがみになってた子は居眠りだったのかしら、と。
美味しいナッツを頬張る口を止め、二匹が考え込み……もごもごもご、と頬袋に収めていく。
撫でて貰える優しい手はばっちこーいな毛玉は人馴れした素振りで、自分からもすりすり。もう一個!とせがむ中。
「飼い主というか親分、と云うか……飼い主って云う方が通りが良いのかねェ、一応。
なンだね。戻って来ねえから拾いに来たってのに嫌そうなツラしおってからに。
……嗚呼、失敬。しばらく前、ジジィ、もとい、卿に世話になっていた時に聞いたものでね」
おっと。ここではすべき呼び名ではなかったか。二匹の様相にへの字になった唇が、言葉に苦笑が滲む。
見透かすような眼差しに暗赤色の双眸を細め、何故その名を知り得ているのか言葉を選ぶ。
眼差しに微かに揺れる刀の柄を、嗜めるように数度軽く叩き。
「俺は影時。笠木影時。
かつて――アウグスト・シュレーゲル侯爵に遇されていた食客の一人であり、今は冒険者であり、教師をやっている。お見知り置きを?」
羽織の裾を払い、胸の前に右手を当てつつ堂に入った仕草で礼をしてみせる。
下手な韜晦よりも、素直に知り得る所以を述べ、何者かを明示する方がここは最良であろう。
エリザベート >
ナッツのおかわりを欲しそうな仕草を見れば仕方ないのう、ともう一つ、指先からコトリと落としてやって。
扇といい、何処からともなく取り出しているのは何らかの魔術であるのだろう。
「オヤブン? まぁ、拾いに来たということは似たようなモンなんじゃろ」
ほれ、主の下に行くが良い。と小動物に促して。
「カサギ・カゲトキ。やはり東の方の響きのする名じゃな。
妾はエリザベート…まぁ、名は知っておるようじゃし、堅苦しいコトは良いか」
男の口から出た名を聞けばほう、と少しだけ目を丸くして。
「成程の。妾を存ずる合点はいったが、さて…卿から妾を如何様に聞いているのやら」
かしこまった仕草を見て、そういうのはいらぬと言わんばかり、言外に掌を振って見せる。
自分が形式ばった空気を苦手としている故に、相手にも別段それを求めはしないのだ。
影時 > この時期の毛玉は、冬に備えて美味しい食べ物を溜めておきたい時分である。
それが飼い主から毎日欠かさず餌を与えてもらえるにしても、止められない止まらない。本能である。
もう一個もらえたならば、わぁーぃー♡とばかりに尻尾を振り立てて、大変ご機嫌。
「そりゃそうだが気分と云うか、なンというか……こいつら妙ぅーに頭良いからなぁ。
ぁー、なに。まだその気分じゃない?」
促されるとナッツを頬張ったまま、数秒思案顔。
まだその気分ではない、とばかりにあろうことか白魔女のドレスに飛びつき、わちゃわちゃーと肩上に登りに行くのであった。
無事に登頂すれば、ふふーん、とばかりに何処か得意げにお腹の白いふわ毛を見せるように胸を張ってみせる。
その様子にあーあ、と。嘆息しながら頭を掻いて見せる。
「然り然り。この国の東、更に東の方から遣ってきた。
……畏まらなくて良いってなら有難い。彼奴らの出方によっちゃあ畏まらなきゃならンが」
問題は、彼らのやることだ。昨今の彼らはふかふかの谷間に埋もれる遊びなんぞ覚えた素振りがある。
白いドレスの前を押し上げるものを見遣れば、やりかねん――とばかりに思わずにはいられない。
とはいえ、己が言葉への反応を見やり、聞けば、さて……どう言ったものだろう。
「白魔女年増のご意見番の……おおっと。
だが、若し出会ったならくれぐれも失礼の無ぇように、とは言っていたな。
敵対するつもり、刃を向けるつもりはないが、睨まれないようにもしたい、とかいった具合か。」
掌を振る仕草を見遣りつつ、口調は畏まらない。平時のまま。
だが、聞いたままをそのまま言ってしまうのは――止めておいた方が良さそうだ。
三文字のカタカナが出そうなのを、こほんとわざとらしく咳払い。
竜の如く長く、古きより居るとは聞くが、そのコトバをわざわざ口に出すのは、実際に見てみても躊躇われる。
エリザベート >
「む…主のところに行かなくて良いのか…?」
身体をよじ登られれば別段嫌がりこそはしないものの、片眉を顰めて困り顔。
しかしまあ頭が良いようであれば粗相もせぬであろうと視線を戻し。
「ふむ。まぁ肩に乗る分には構わぬぞ。
で…、そうかそうか。まぁどのように伝えられておるかは大体想像がつくがな」
教壇の椅子にゆったりと背を齎せながら、口元には笑みを浮かべつつそれを聞く。
どのような言葉が出てきても(一部禁句以外であれば)笑い流す余裕がそこには感じられる。
「しかし冒険者であり教師までこなすとは、器用じゃな。
いや、教師にしては物騒な業物を持っておるなとは思ったが」
先ほどから抑えておるそれな、と。
男が腰にさしている刀へとそのすらりとした指を向ける。
影時 > 「餌くれた御礼でもしてェんだろう。
……こいつらのことだ、エリザベート殿の講義にも何食わぬ顔で混じってたんじゃないかね、と、……あ、おい」
さて、実情はどうやら。単に懐いたからという訳でもないだろうが、懐いたから、でもあるかもしれない。
肩上の眺めやらもっと高い頭上に登りたいやら、狭いスペースで跳ねたり右往左往しても落ちないのは流石の一言。
とはいえ、漫才めいたツッコミやら尻尾の応酬をしていれば、ころんと。相方のシマリスが転げる。
ピンボールよろしく転げ落ちる先は、魔女のドレスの胸元。だってしかたがない。見事なまでの傾斜なのだから。
「女相手にお決まりのアレは言うな――とか、そういうツラぁしてたなァあのジジィ。
まぁ、実際に拝んでみてあれだ。ンな罵声言ったら、言った方が申し訳なさに居た堪れなるわい」
腰の刀の柄を手の甲で押しやりつつ、最前列の机の縁に浅く腰を寄りかからせる。
昨今も含め、貴族と貴族のひそやかな暗闘を繰り広げ、勢力争いを続けるものが過去に世話になった恩人である。
そんな御仁でも全方位怖いもの知らず、とはいかず、敬意と注意を払うものの一人が、この女だ。
噂には聞いていた実物を改めて拝む。じぃぃと観察する中――、
「ははは、それほどでも、でもあるかねェ。出来ることがちょいと多いだけで。
……あー。一応確認するが。竜か龍の血ぃ引いてるのかね? もしそうなら、こいつはそれに反応してる」
押さえられて、宥められて、すん、と漸く静かになった腰の刀に目を下ろす。
この刀はいくつかの特徴、性質を持つ。竜/龍の気配を感じると震えるのだ。その存在を告げ、見定めよ、とばかりに。
エリザベート >
「まぁ此のようなちまいのが混ざっておってもわからぬわな。
ええい、そろそろ主のところへ行かぬか…もうおやつはないぞ?」
ちょろちょろと飛び跳ねる小動物達。
胸元に転げ落ちたものがいれば、ちょうどよい収まりのようにその谷間に落ち着くことができよう。
上にタンブラーを乗せてストローで飲めるくらいには台となれるあれそれである。
小動物のすることに目鯨を立てるようなこともなく、主の前であることに嗜めるような言葉のみに留めて。
「出来ることが多いのは良いことじゃな。取捨選択は出来れば出来る程、良い。
──ははぁ、妾のルーツの一つに龍の伝承のようなものは在る、な。
所謂、妖刀などと呼ばれる類か。実に珍しい、盗まれぬようにせねばじゃな」
龍の血、力。
その問いかけには心当たりを以て肯定する。
そして、魔剣などの珍しい物品にはやや興味深いものではあったが他人の所有物。物欲しげにするものでもない。
「ほぉれ、お主らが戻らねばカゲトキがいつまで経っても帰れぬぞ?」
未だちょこまかしている小動物に諭すようにそう告げて。
影時 > 「成ぁる程。魔術魔法の講義に使い魔の目ぇ介して聞く生徒が居るのは、知ってるがね。
……だが、自分から聞きに行くような手合いは混じっても、そう直ぐに分からんわなぁ。
こいつら俺を真似て隠れるのも上手くなってるし。
だ、そうだ。いい加減戻ってこい。っそ、自慢げなツラしおってからに」
すぽーんと。谷間に転げ転げて落ち着いた時は、そんな音がしたに違いない。
昨今でも偶に見る、飲み物を満たした杯を突っ込んでストローで呑む――みたいな、まさにあれのような有様。
おちーつくーのー……と云わんばかりにほっこり面のシマリスが、魔女の声を聞いて、よじよぢと。
どこか惜しそうな顔つきでもぞ、と出て飛び降り、飼い主たる男の袴と羽織の裾を登ってゆく。
それを見れば、相方のモモンガも魔女の方から飛び出し、見事な滑空で男の方へと飛び渡る。
男の肩の左右に登れば、二匹がぺこんと会釈をひとつ。お礼は親分がやりまさぁ、とばかりに左右から親分の顔を見上げる始末。
「まぁなぁ。だが、取捨といえばだ。あんまり捨てる選択ってのは遣りたくないもんだ。
教師というのはその辺り厳しくてな。余程でなけりゃぁ、救いの手やら何やら勘案しなきゃならん。
……やはり、か。“龍殺し”の妖刀やら聖刀とも呼ばれそうな奴だ。
こいつを打った鍛冶師からもそう云われてる。きっちり肌身離さず携えてるともさ」
眼を見れば分かるところもあるが、それが全てではない。その存在を刀は察し感じるのだろう。
龍と見えてその正邪を見定めるのは最終的に使い手、担い手。
少なくとも今の己に、龍の血を引く魔女に刃を向ける所以、動機はない。
下手に向けたら肩上に飛び移ってきた二匹から、噛まれかねない。
エリザベート >
主の下へと小動物が戻れば手をひらりと振って見送って。
なるほど、確かに随分と賢そうに見える。と、会釈をする二匹を見て思いながら。
「その意気や良し。受け皿となる器が大きければ大きいほど良いな♪」
捨てる選択をしたくないと語る男。
己の器を見誤れば抱えすぎて潰れる。満たしすぎて器が割れる。溢れて取り零す…要するに身を滅ぼす。
そんな危険も孕む欲張りな思想ではあるが、さてはて、目の前の男はその器か。
無茶をする若い年齢でもなさそうではあるが。と龍眼はカゲトキを見据える。
「龍殺し」
「聖刀と呼ばれているのであれば安心じゃなー♪
なにせ妾、然程には悪いことはしとらんからのう♡」
悪戯は悪には含まれない。ふくよかな太腿を持ち上げつつ、椅子の上で足を組み上げ笑う。
斬龍の刀と聞いてもどこか戯けた口調。余裕を崩さないのは目の前の男から悪しきものを感じることがないから。
龍と見れば斬りかかるようなタイプでもあるまいとタカを括ってはいるが、女は自身の人を見る目をそれなりに信頼しているのだ。
影時 > おやつで貯蓄と。何は兎も角美味しいものを貰った二匹は、手を振り返してくれるさまに満足げに尻尾を揺らす。
腹がちょっと満たされれば、夕飯時まで一眠りと洒落込みたくなったらしい。
飼い主の襟巻の中で眠るかと思い立ち、口の中のものを思う。
住処に溜めておきたいとなれば、飼い主の羽織の中まで潜りだす。その意図には飼い主もまた慣れたもの。
腰裏に付けた魔法の雑嚢の蓋を開けてやれば、毛玉達はするりと潜る。ふぅ、と一息して。
「昨今色々気づかされるが、俺はどうやら甘っちょろいらしくてなぁ。
とは言え――それを止めようもないなら、良かろうが悪かろうが色々気張らねぇとなあ」
己が器はさて、どうやら。この学院の生徒も色々だ。学生の時分ながら一際危ないのもその真逆なのも居る。
掬い、拾えるのも目についた、気に入ったもの位だろう。何でもかんでも程お人よしではない。
眼を曇らぬようにしつつも、気張り、鍛えることもまた怠らない。少なくとも気持ちはまだまだ若いままだ。
見据える眼差しを寄りかかる机を体重で僅かに軋ませつつ、聞こえる言葉に小首を傾げようか。
「本当にその意味で振るったことはまだ無ぇなぁ。
竜の血を享けた古いものが狂い果てたのを斬ったことはあるが、な。
……とか宣うわりに、結構恐れられてンのはどーなんだかなァ。多分仮想敵、多くないかね?」
今の雇い主が竜の血族にも拘らず、竜殺しを佩くというのは何の冗談か。
ふくよかながらもまぶしい太腿に目移りしつつ、本当の意味で用いたことがないことに安堵もする。
強い敵に戦いたくはあるが、そんなものがそうそう跋扈しているものではない。
悪竜が蔓延るならこの国は一層乱れていよう。白魔女が恐れられているのは、所以あってのこと。
「……色々な意味で狙う気も、分からんでもないが」
それは手籠めにしたら、という意味もあるかもしれない。
顔もよし。身体もよし。抱き心地を考えるならば疑う余地もなく。
エリザベート >
二匹はどこぞへと消え、教室に二人ばかり。
放課後も放課後、夕日も次第に陰りを見せはじめる。
「くふふ、甘いは甘いで結構ではないか♪
左様に、大風呂敷だけでは重いものは担げぬもの。
お主ぐらいのトシであれば、己の力量を見誤ることもそうあるまいが」
豪語、とまでは行かずともどうやら厄ネタを放っておけそうにない気質。
そういうところは己との似るやもしれぬと、笑みを深めて。
「妾を恐れているのであれば、何ぞか後ろめたい部分がるのじゃろうなあ~♡
この国で矢面に晒され裏を暴かれて困る者なぞ、それこそ星の数程おろう♪」
「──ほほう。色々な意味とは?
別に言葉に出しても構わんであろう。初心な男子学生でもあるまいて」
続いた言葉には眼を細め、不敵に笑う。
先ほど一瞬揺らぎ移動した視線にも勘付いている。そう思わせるような笑みである。
影時 > この時間となれば、学び舎から家路に就く生徒の数が増える。
昨今流行りの茶のフレーバーを語らいつつ、喫茶店に向かう姿や部活動に精を出す者もまた然り。
「そりゃま、力量は弁えてるつもりだがね。己が分際でも良いが。
だが、権力云々を振り翳されるような手合いに合うと、如何ともし難いなァ流石に。
……とは言え、この国はついつい拾いたくなるものが多くて、な」
目についたものなら、噂に聞くものならば、ついつい追ってしまいたくなる。知りたくなる。
関わった末に拾って色々と抱えるのは、良くも悪くも癖になっている気もしない。
貴族同士の暗闘に一時期関わり、暫く離れてまた関わり合いとなるとは、何の因果か。
「そりゃ在るだろうなぁ。
お前持ってるんだろ飛んでみろ、と飛ばせたらじゃらじゃら落ちる位には。
しかし、そうやって云われてはいそうですか、と大人しく出来る程お利口に出来てねぇんだろうよ。
って……んー、あー。なンだね。趣味が良いやら悪いやら」
暴かれるのが嫌なのか。暴かれて取り潰しなどに繋がるのが嫌なのか。否、諸々ひっくるめてイヤなのか。
魔女を敵視するものの貴族の傾向、抱えていそうなものを脳裏に浮かべ、直ぐに思う。
考えるだけ無駄だ。詰まる所、オトナではない。思うがままになるのを阻まれるのが嫌なのだ、と。
そんな愚にも付かぬ思考に嘆息し、顔を上げる。
見えるのは少々露骨過ぎたか、と思う位の不敵な笑い方。大仰に肩を竦め、口の端を釣り上げこう言おう。
「云わせンなよ恥ずかしい。犯したらさぞ気持ち良かろうなァとか、思っちゃあいないぞ?」
エリザベート >
「強欲で結構。私利私欲で何かを貶めてさえおらねば良し、じゃ」
それはその後の言葉にも通ずる。
欲に塗れ見失う者の多きこと。
処罰、断罪、成敗、様々な呼び方はあろうが、白魔女は命を奪うことはしない。
国の沙汰次第ではそうなる者もいようが、言い換えれば道を正す機会を与えるに過ぎない。
故に、煙たがっている者が大勢いるわけだが。
「恥ずかしがるようなトシかの?
…と、随分な言葉が出てきよったな…思ってないならまあ良いが」
さしもの白魔女も不敵な笑みが怪訝な表情へと変わる。
悪戯めいた言葉へのカウンターとしてはそれなりの効果があったらしかった。
「お主が若くてぴっちぴちの男の児であったなら、今ので想像してちょろっと濡れてしまったkもしれんなぁ。いかんいかん♪」
しかしすぐに調子を取り戻し、扇で口元を隠しながらくすくすと笑みを零して。
影時 > 「好き勝手にはだーいぶしてるとは思うが、弁えもする。
……縁あって、色々遇して貰っている身だ。
心乱して放埓になりゃア、忽ち崩れる楼閣に座すのが我が身、だ。
そちらの敵よろしく明日は我が身、と思える事物が多けりゃ、否応なく引き締まるだろう?」
更生の余地無ければ、首を刎ねた方が早い例も多い気もしなくもない。
とはいえ、不殺となれば、その後の末路、どうなったかを術があるものは知り得るのも容易いだろう。
その程度で収まるならばまだ善し。そうではないものが密やかに私腹を肥し、力を蓄える。
この手の面倒さは国と土地が違えども変わらないらしい。
己も一つ間違えれば、と思えば――否、そこまで殊勝な生き物ではあるまい。
滾るべき敵、獲物に偶々貴族がいなかった。それだけの話だ。後は郷に入っては郷に従うのみ。
「ウブなお年頃でな? ってのは、すまん。こりゃ我ながら流石に苦しい。
……――っはは、言質取ったりとは言っても、若返りの術までは手持ちにねぇなあ残念無念」
とは言え、とは言えだ。実年齢云々はさておいて、良い女には間違いない。それは疑いない。
怪訝な表情に切り返し、口走った言の葉と鏡を見るまでもない我が身に、つい虚空を振り仰ぐ。
練氣の業も色々もあるが、子供宜しく躰を縮めるのも――大いに無理があろう。
大袈裟に残念そうに両手を拡げ、腰を浮かせ織の裾を払おう。
刻限も刻限。引き留めすぎると、鞄の中の二匹から苦情が入りそうだ。
エリザベート >
「引き締まる割には、な言葉じゃったなあ♪
冗句もイケるクチ、と受け取っておくがの♡
妾は面食いではあるが、そう尻が軽い女でもないのじゃな~」
見た目を言えばむしろ重そうな尻ではあるが、それは置いておくが吉。
現実的には、自分が行く時にはガッツリ行ってしまうタイプであるため、面食いであるという言葉が実は言葉以上に厄介な性質ではあるのだが。
「別にお主が手垢のついていない初心な男の児を紹介してくれても良いじゃぞ?おっと…これは失言じゃったかな」
けらけらと笑いながら、失言の応酬。
とはいえど不機嫌そうな様子も見せず、今日のところは良いもの──聖刀の類──なども見れたということでむしろ実りのある時間であった。
「そろそろ陽も沈むか」
そう小さく零せばゆっくりと白い髪を装いを揺らしながらゆっくりと腰をあげて。
「どうじゃ、一杯飲って帰らぬか──と思ったがあやつら(小動物)がおったな。またの機会にしようかの。カゲトキ」
影時 > 「冗句は好きだとも。口数が多過ぎるとも弟子から苦言される位に、な。
程々に緩んでなきゃ、引き締まりようもあるまいよ。
――あぁ、それを聞いて寧ろ安心した。軽過ぎるよりも重い位が逆に丁度良い位だ」
物理的な目方の云々は口にしない。それを言ったらまさに戦争である。第一の弁えポイントだ。
真面目一辺倒も考えもの。過ぎたるは何とやらで、硬軟併せ以ってこその強さを己は知る。
続く言葉には、思わず瞼を瞬かせて頬を掻く。
「……心当たりは無くもないが、それを言っちゃあ、なぁ?」
俺も同じ穴の何とやらになろうに、と。噛み締めるような笑いの衝動に肩を震わせる。
受け持ちの科目、定期不定期の教え子に――であろうと思うのは居る。皆まではいうまい。
「――それだけでも魅力的過ぎる話だな、エリザベート殿よ。
いい場所を御存じなら、是非是非同伴に預からせてくれ」
話に聞いた御仁と相まみえた。敵とした場合含め、十分な得心を得た。
毛玉たちにとっては、餌をくれる魔法の凄いひと!という認識も得たことだろう。
呼び捨てにしても許されようが、いきなりそれは厚顔が過ぎよう。
近日、居も変わる。行動範囲の変化は近々相まみえる機会も、思うより早くあり得るかもしれない。
そうでなくとも、卿の護衛を受けて王城に上がれば、外よりも遭遇の機会も多いだろう。
そう思いつつ、一礼を経て大教室を後にしよう――。
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 身分混合クラス 大教室」からエリザベートさんが去りました。<補足:白髪、豊満な肢体に白のドレス。>
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 身分混合クラス 大教室」から影時さんが去りました。<補足:身長185cm/鴉羽色の髪/暗赤色の眼/不精髭/白羽織+暗色の着物と濃茶色の袴、黒い襟巻/刀/>