2025/10/06 - 21:59~21:41 のログ
ゼオン > 「まあねぇ。普段つるんでる奴等に見られたらカグヤがなんか弱み握ってんじゃないかって疑われるレベルでねぇ。」

友人ではなく知人。そんな者達からすれば男が他者へ気遣うなどほぼ皆無で、
ありもしない弱点を探られるようなことにもなりかねないと肩を竦めて。

「やだねえほんと。あいつ等俺のことをひがむくせにさぁ、
 自分で学んで知らないことや出来ないことが出来るようになる過程がどんだけ大事でありがたいか分かってねえんだもんなぁ……。
 誰にでも平等に実感と疲労が来るもんだと思ってんだもの……。
 元々狼みたいなもんですけどー? 紳士ぶりたいのにそう言うこと言うんだものねぇー」

ともすれば貴女の足よりも太い腕がみちりと軋みながらも振舞いは年相応。
噂の人物からかけ離れた、ともすれば肩の力が抜けた振舞いでかぶりを振って。
珈琲を受け取れば素直に謝意を示しながら椅子に足を揃えて座りながら口をつけて。

「それって、書にしたためた通りにやる例のあれとも関わってんの?
 ……にしても趣味は良いな。いや悪いなそいつ。」

男からすれば眼福であることはつまびらかに視線に乗せて、しかし、意図が込められたものだと告げられれば、
何の思惑かと探りたくもなるが―

「……は? カグヤの部屋ってあそこなのか?」

詳しく聞いていないが故にどことなりに寮なり個宅なりを利用しているものだと思っていたらしく、
一瞬眉に皺が寄る。誰かに雇われている、というより買われたことにすぐ思い至るのは育ち故。
束縛と権限を感じ取り、背後にいる者の及ぼした貴女への待遇に不満が露骨に現れて。

「使いどころを間違えてる気もするが、ある意味転職なのか……。」

先日味わったカグヤの性分。文才や感性だけで聖人扱いをすることはないが、
故に、完全に強制されているとは言い難いのだろうかと思いながら。

「……たまにさぁ、飯一人で食う時って差し入れ持ってきていい?
 てか、これってどこで買ってきてる?」

そう言うや紙コップを掲げて珈琲を、豆の買い付け先に首をかしげて。
存外悪くない味だから、これも”背後”の支給品なのだろうかと。

カグヤ > 「そういう子にはある事無い事吹きこんであげようかしら。」

もし、見られて問われる事があったとしたら、そんな想像をしてみて笑う。
きっとどんな事を伝えても彼なら往なしてしまうのだろうけれど。

「ふふ、それは貴方が達観しているだけよ。 学ぶことが大事だということも、今が一番学習できる時期だということも……。
それを失ってからでないと気づけないものだわ。

でも、その狼は、私の足元で丸まってるようにしか見えないのよね。」

噛みつかれれば手痛いしっぺ返しを、それこそベッドの上で喰らう事になるのだろうけれど、懐いている狼はこれほど可愛いものもなく、野性味が溢れるなら尚の事。
珈琲に口を付ける様子を眺めながら彼のリラックスした様子をただ、嬉しそうに眺めていて。

「えぇ、私を地獄から救ってくれた、事になるのかしらね……。
何処の誰かもわからないけれど、時折手紙と一緒に荷物を送ってくれて、私も書いたものを送る。」

細部は少々異なるのだが、大枠に違いは無いのだから問題は無いのだろうと。彼が言い換えた言葉に少し困ったように笑ったのは、やはり男というものは、そういうのが好きなのだろうと、そこは理解しているから。

「ええ、あの夜貴方が連れて帰ってくれた街の隅の小屋がそうよ。
私にとっては十分な場所よ。一人で居られるし、監視も何も無いもの。」

「どうかしら、ただ……物語を記すためには格好の餌場として用意されただけな気もするから、何とも言えないわね。」

主へと、送ったお礼の手紙が琴線に触れたのか、或いは倒錯した趣味があるのか、それは知れない。
ただ事実として有象無象の男女に抱かれてその話を送れ、という命令だけは未だに生き続けているのは事実。

「構わないけれど……、事前に連絡を頂戴ね?
貴方に見せたくない姿もあるから──。」

小屋が住処であるならば、つまるところ……そういうことである。
唐突に尋ねられて雌の姿をさらす事もあろうし、それを彼に隠して持って回った言い回しをするのも違うだろうと。
彼の問うた珈琲は、図書館の備え付けのものだったから、詳しくは聞いておくと、笑みを浮かべ頷いて。

ゼオン > 「やめとけやめとけ。難癖付けて襲われても知らねえよ。
 いや知らねえことはねえか多分あいつ等が手ぇ出したらボコるし。」

そう言いつつも、己の噂にまつわる相手であれば相応に不穏な相手だろうに、
気にも留めず笑ってそんなことを言うのは己が干渉すると分かっているからだろうかと
じぃ、と顔を見て。

「そういうもんかね……。誰だって寿命があるのに何事も有限で期限があるもんじゃん?
 俺みたいに振舞いありきとはいえある程度決まり切ってる奴と違って、
 学んで他の国に行けば色々広がるってのにさぁ。

 丸まってませーん。ちゃんとしたくなったら起き上がって交尾しますー」

腰を掴むジェスチャーをしながら悪態を返すが口元は緩んで慕う年上の女性へ相応の歳の顔を垣間見せて。
まして一目置く女性の相手をするならば獣じみた力強さは伴いながら一方的な行いをするでもないのは先日の通りで。

「地獄、なあ……。この間少しそれっぽいことは話してたけども……。
 今は、自由になりたいとかそう言う願望はないんだよな。
 いやでもなんていうか、思惑に乗せて回すのは上手そうな相手だとは思うけども。」

窮屈さを感じているかと言えば、悲壮さを感じない。
そうであれば誰とも知らぬその背後を見つけ出す、という気も起きるのだろうが、
カグヤと言う女性が無理をするのとはまた違う、全貌を理解するには不思議な関係性には
男の凶暴さが姿を見せることはなく。

「……あの小屋、カグヤが住むには狭いし戸締りちゃんとしてなくない?
 童話の山羊がやって来た狼に蹴散らされそうな感じもあったけどさぁ……。」

噂を聞けば暴虐、と言えば恐ろしくもあるが根本は力づく。
場の空気を掴み呑み込みすぎるが故に、丁重に扱うには経験が浅く、
だからこそ表情に心配と敬意ゆえの不干渉が天秤にかかってころころと揺れる。

「カグヤの記した物語次第で待遇変えればいいのになマジで……。
 そういやさ、そういう書物ありきでそういうことしてるのは分かったけど、
 書物が届くだけ届いて相手が来なかったとかあるの?」

記されなかった物語があるのだろうかと、噂を聞くにしろ実際にそちらからのアプローチはしたことがない故に認識に齟齬がないかと問いかけるのは、
いずれ自分も試してみようかと思っていて。

「あの小屋なら生体感知(ライブセンス)が阻害されるでもなし、
 カグヤ以外を探知したら近づかないよ。

 ……なんかさ、嫌じゃん? カグヤの仕事を俺の風評で邪魔したら
 俺じゃなくてカグヤが気に入らなかったら美人局でご破算にする奴だって噂されるのも。

 んでもまあ連絡はするよ。淑女の都合を聞かないで踏み込むのは紳士じゃないじゃん?」

ここの学芸員良い支給品飲んでんじゃんと独り言ちて、聞いてくれるならおねがいと告げて。

カグヤ > 彼のリラックスした姿を他者へ晒すのも癪だと、思うためにきっとそういう事態にはならないだろうけれど、
じっと見つめてくる視線に首を傾げながら。、

「皆、そこまで強くもないし、自分に自信もないものよ。
失敗や未知への恐怖に足が竦む事は理解してあげなくちゃ。

あら、丸まってくれるなら膝の上とかに乗せても良かったのに。」

残念。なんて揶揄するように笑い、彼の直接的なジェスチャーに、品が無いわ、なんて肩を竦めてみたりして。

「どうかしら……私は狡い女だから……、今の環境を言い訳にしているだけかもしれないわね。
貴方の言う通り、外に飛び出す勇気があればよかったのだけれど。」

仮に、逃げ出したとしても逃げ切れるとは思えない主の用意の良さ。
監視されているよりもよっぽど、逃げていいというように放任されている今の方が逃げづらいというもので……。

「ゼオン君から見るとそうなのかもしれないけれど、十分よ。私一人ではあれだけ広い場所に居を構えるのも難しかったでしょうし……。
それこそ、雨風を遮れるだけでもありがたいもの。」

そもそも、買われずにいたならば、身体も心も壊され、或いは薬漬けにでもなり路地裏で浮浪者の餌にでもなっていただろうことは想像に難くない。
そこから掬い上げてくれた事、そしてなにより……男を受け入れる以外はヒトとしての生活を営めている。
ある意味奴隷としての洗脳のようなものなのかもしれないが、それは間違いなく己にとっては幸せな環境で。

「そうね、一番驚いたのは私と会う約束を取引材料にされていた事かしら……。
流石にお断りしたけれど。 あとは……そうね、物語の導入だけ見て内容を把握していなかったり、とかかしら。」

放置、も数度あるが、それは噂を確かめるための要素が強いのは自覚していたから。それはカウントせずに、そんな事もあったと懐かしむように笑うのだから……。

「ええ、時間が重なったら一緒に食事でも……。 
でも、本当に素敵ね、ゼオン君は……。その力でもって無理やり、自己満足で救う、みたいな話をすることだって出来たでしょうに。

そうせずに、私を尊重して、私を受け入れてくれているのは嬉しいわ。」

そっと、珈琲を置いた彼の手に自らの腕を伸ばし細い指先を触れさせる。
軽く彼の手背を撫でながら、ありがとう。と口の形だけが紡ぐ、音の無い言葉。

ゼオン > 「その竦んでるような奴等がさ、本当に未知や失敗を恐れない奴を笑うんだからなぁ。
 ……なんかこう、変な話だけどさ、この国って腐ってる感じは居心地いいんだけど、
 たまに異様に視界を狭めようとするような意図がしみついてるっつうか。

 たまにすげえ同調圧力っての? 誰しもそう言うもん、って言われりゃそれまでなんだろうけど」

リラックスした姿の中で貴女には見せて他には見せぬ愛読家の一面。
人のふるまいのみならず、過度に王家を賛美するような記載、そこへの違和感にまでは至らぬにせよ、
国の古きより根付く隠蔽が生む齟齬に首を傾げ、歯に布着せぬ男にしては年上の女性に不明瞭な言い回しで首をかしげて疑問を吐露して。

「ずるくても良い女だよカグヤは。てかずるいってそんな悪いことか?
 何をしても自分の意志で見てる奴はそれだけですごいもんなんだぜ?

 だから俺はカグヤは勇気がないんじゃなくてその時じゃないだけだって思ってるし」

常に正道たれ。しかし実践ではそうあるな。学び舎特有の矛盾に想いを馳せて、
狡くも障害もない物語とか平坦なだけっしょ? と笑って

「たまにカグヤが貪欲なのか慎ましいのか、いや、貪欲か……。」

褥で見せる淫乱さ、普段見せる清貧さ。そのどちらが本性か、などと一つに結論を見せるのは愚かな話だと
着衣越しでも伺える実りに目を向けてるのは隠さない。
紳士だが、一度抱いただけで満足するほど獣性を飼い慣らせてはおらず、
目の前の魅力的な雌はいつだって見据えていて。

「……ハァ? カグヤと会うのが無理くりみたいじゃんそれ。なんだそれ。
 男ならカグヤ見たら取引材料とかさておきとびつくもんじゃん、隠すもんじゃん。
 てかそんなことを相手に吐くなよマジで……。

 ……なんかそっちはちょっと変わった娼館の延長みたいな扱いっつうか……。」

前者には自分が気に入った女性をないがしろにされたという身勝手な憤り。
後者には娼館のサービスで見かけるロールプレイのように貴女がおんぶにだっこで導いてくれるものと見たのかと不平たらたら。
挙句そんな奴等の物語綴らなくてよかったじゃんと言ってしまう有様で。

「普段は自己満足ありきよ? だってさ、俺が何したって返ってこねえんだもん。
 あいつなら出来て当然、あいつならそうしてしまう。
 作法だ道徳だと説く奴等が、俺が相手ならないがしろにするってならそうするよ。

 でもカグヤは違うでしょ。俺が助けてくれて当然だと思ってない。
 たとえ今は一般的な自由とは言い難くても溺れてるのとは違う。

 ……俺さ、女を見る目はこれでもあるわけよ♪」

英雄であれば民を救え。世の不穏を払え。害悪を排せよ。
そう謳う者達に自分を救ってくれる者はいない。
英雄を助ける者はいない。英雄の苦悩に寄り添う者はいない。英雄に仇成すものに立ちはだかる者も。

だから、あろうことか自分のことを君付けで呼んでくれるような女性に対し横紙破りに暴挙を働くことはないのだと。

だから触れてくる指が甲に触れてくれば、指をわずかに絡めて。
その指が僅かに力を込めて意志を示す。

約定。

必要な時が来たら猛威となって馳せ参じると言う意志を、仰ぐべき女性へ仕草で示して。

「それに、俺が気ぃ遣う相手なんてアニキ分以外には片手程しかいないんだ。
 カグヤに嫌われるような真似はしたくないしねぇ♪」

カグヤ > 「そうね、ただ歩き続けた人を、途中で歩くのを辞めた人が笑う。
そうしないと、心が壊れてしまうから。自分の行いに自信が持てなくなってしまうから……。

でも、それを恐れない者だけが、結果的に行えた者だけがきっと、何かを成すのでしょう。」

今の自分だってそう。買われているから、様々な男女に抱かれ、凌辱されて尚、平静で居られる。仕方がないのだと、自らの不遇を拠り所とするように。

「ふふ、ありがとう……ゼオン君。 そう言って貰えるだけでも、本当に嬉しいわ。
さぁ、貴方にそう見えたのなら、貪欲なのね。」

どちらかしら、なんて笑って見せるのは彼の求める女であろうとするならばきっとそう見えるのだろうからと、彼の視線から逃げる事無く、ともすれば、スーツのボタンをはずして、前を寛げて見せた。
ブラウスに浮かび上がる質素な下着のラインもそのままに。

「もう、余りハッキリ覚えていないけれど、ギルドの依頼を代理に受ける代わりに、成功したら私と会う日を伝える、みたいな事だったわね。

きっと、のっぴきならない事情があったんだとは思うのよ。きっと、ね。

ええ、だから、本も何も関係なく『やらせろ』という方には、着替えを口実に逃げたりもするわ。」

勿論、エチュードのような即興劇が苦手な子も居たのだろう。
だからそれは単純に縁の無かった話として。

「────なんだか、随分と買われているみたいで、嬉しいのだけれど。
買いかぶり過ぎよ。ゼオン君。
私にだって、無理やり犯されて、選択肢の無い自分に酔い痴れて、仕方がないんだ。私は奴隷なんだって諦め、その境遇に満足してしまう時だって少なくないわ……。」

「でも、もし、そう思ってくれたのなら、それはゼオン君だけじゃない……私を、私として見て、扱ってくれた色んな人のお陰ね、きっと。」

噂を聞こうが態度を変えない食堂のおばちゃんや、隠れて交流をしてくれる同僚等。様々な関係のお陰、と彼と結ぶ指先、そこへと掛かる力に双眸を細めて、優しく笑みを浮かべながら。

「に、しては随分と……大胆な事をしてくれたように思うのだけれど……?」

彼との初夜は随分と激しかったように思うのだと、意地悪く問い。
そろそろ陽もとっぷりと暮れて学院内からも人気が殆ど失せた頃、絡めていた指をそのまま指の合間へと滑りこませて手を握り。

「まずは、今夜……何かを買って一緒んに食べましょうか。」

そう、誘って立ち上がるように促そうか、戸締りだけしてくると名残惜しそうに指先を離して。手早く戸締りを負えれば彼の元に戻り、共に帰宅の途につくのだろう。
人目に触れぬよう配慮するのだろうかと、彼の挙動をちらちら見ながら、時折揶揄うように笑う。楽し気な女の顔がきっと帰宅までずっと……。

ゼオン > 「買いかぶってるのかね……。少なくとも、なんてんだろ、口説き文句とかじゃなくてさぁ、
 歩き続けてる奴にはそう言う奴の”輝き”ってのがあるのよ。

 カグヤにはそういうのを感じてるだけってのもあるからね。」

 為し得るのは偉業だけを指す言葉ではないのだと。
 そしてただの噂通りの淫らな女に、貴女が言うような人の縁は近づいてくることも少ないだろうと。

 英雄の歩みが叙事詩となるように、物語になりうる存在は紡ぐ歩みが尊いのだと。

「……ぁー、大人しくしてようと思ったのに送り狼になるわぁそういうのされるとさぁ」

終わり際の図書館に二人きり、誘うようにくつろげる布地から垣間見える素肌。
淫靡な物語の一幕を演技がからず自然にして見せる様に肩を竦めて。

「しょうがないよねぇ。カグヤが大人の女なのに可愛いのもいけないからねえ。
 色々したくなっちゃうよねぇ~……♪」

忘我の境地とも言えるような光景を垣間見せたあの日に唇を歪めて嗤う様は
噂通りの軽薄さを見せながらも獲物を食い散らかすような真似をしないのは見せていて、
そうして話していくうちにつるべ落としに日が暮れて、それこそ人の気配が遠くにあれば貴女の言葉に頷いて。

「どうする? 俺のおごりで良いなら色々買ってくけど、
 俺と連れ立って小屋に帰るのはあんま心象良くないだろうし途中で別れてから落ちあうのがいいかなぁって」

可否ではなく道行きの提案。
誘われれば二つ返事どころではなく、お互い空になった紙コップを重ねて屑籠に放り込みながら
連れ立って図書館を後にして。

ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 図書館」からカグヤさんが去りました。<補足:黒いロングポニー/黒いロングポニー/紺のスーツ、タイトスカート/白ブラウス、リボンタイ/>
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 図書館」からゼオンさんが去りました。<補足:金髪に褐色肌。ニヤニヤしてる筋肉質のチャラ男。>
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 図書館」にルーベルさんが現れました。<補足:リミット眠気まで/後入り、別部屋・別シチュ移行、私書での呼び出しなどいずれも歓迎>
ルーベル > 学院図書館の一画。
文献をいくつか積み上げ、古い魔術式についての講義資料をまとめる講師の男。。

講師業は知己に乞われての半ば趣味的なものだが、そこで手を抜かないのは男なりに魔術に真摯であるから。
若き才や他の知見を持つ教師たちとの縁は本人としても有用、実益も十分兼ねるものともなっている。

多岐にわたる技術や知識体系。同じ結果を求めるにも、様々な術式、方陣、扱う根源のちがいがある。
学院でもそこは画一化されておらず、様々な教師陣がそれぞれの方法で教える。
もちろん派閥的なものや、家系的な物。扱いやすさや使われる頻度などで学ぶものが多いものはあるけれど。
合う、合わない。好む、好まないでも選ぶことができる。

「一族の秘奥などとも扱うのが普通であったのにのぅ」

古い時代の文献を読んでも、こういう魔法、魔術があり、どこの一族、家門が扱う…などで記述が止まるものも多い。

男の現役時代などは扱う術式は、知り得たものを実践なり、新たに得た知識なりで洗練させていったものだが。
それらを学問として最初から学べるのは良き時代だとも思いながら。

ふと、新しい文献を開くと、見慣れない文体で書かれている。

どこの国の言語であったかと暗金の瞳を細め、僅かに理解できた単語から、翻訳のための辞書を探し、書架へと向かって。
書架に注視しているから、周囲への意識も疎らになりながら。
気難し気に眉根潜めながら、並ぶ背表紙を順にみて探していく。

ルーベル > 暫く探すが、他の者が持ち出しているか蔵書がないか、あるいは何かしらの理由で他所へ避けられているか。
辞書が見つからず、小さく嘆息する。

また機会を改めようと資料を整理しては、図書館を後にしてゆき。

ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 図書館」からルーベルさんが去りました。<補足:リミット眠気まで/後入り、別部屋・別シチュ移行、私書での呼び出しなどいずれも歓迎>