2025/06/21 - 20:44~21:46 のログ
パニア > 「――――のわぁ!?」

いきなり手元の紙パックが弾け飛び、驚きの声音と共にひっくり返る救命士。
大きく見開いた黒瞳をぱちくりさせて

「あ、はいッス……」

すごすご。
美少女のガチ目な不機嫌を浴びて大人しく退散した。くせに。

「………そりゃあ確かに、ちょっと乱暴だったかも知れねーッスよ。けど、ウチがいなかったら干からびたミミズみたいになってたとこじゃねーッスか。多少の粗相は見逃して然るべきで、呪う前にまずはありがとうってゆーのが人の道じゃないッスかね」

ぶつぶつ……。
愉快な状況に爆上がりしたテンションのまま色々とやり過ぎた己の所業を棚上げし、恨みがましげにこちらを見つめるやぶ睨みに唇尖らせ文句を漏らす小動物(一部分は小動物らしからぬ迫力だが)。
若干拗ねた様子はあるが、自分の非も一応認めているらしく、漏らす言葉はあくまで小声。まあ、丸聞こえではあるが。
ともあれ一応反省し、オーバーフロウしたテンションもぎゅぎゅーんっと平常値に戻ったようなので、ここからはもう少しマシな対応も期待出来る――――と思います。すみません。

サリス > 「………アザッス」

顰めつらのまま、棒読みでぼそっと呟いた。
小さな声での苦情は丸無視するには多少、もっともだと思わないでもない箇所があった故に。
だが、相当に不承不承な態を隠そうともせずに、身体の上から退く彼女へ身を起こしてから会釈をすると。

まだぼう、とするが何とか視界が利く。大丈夫そうだ。
さて、まだ水分も糖分もできれば塩分も欲しい所。
さっき自分で弾き飛ばした飲み物へ目を向けると、徐に拾い上げて。
たぽたぽと上下に振って中身が残っていることを確認してゆっくりと少しずつ接種。――結局いただくんかい。

背に腹は代えられないので塩分は腕付近の皮膚を舐めて補っておく。
そして人心地ついてようやく余裕を取り戻した後に。

「世話になりました、いただいた飲み物分の代金は後ほど返却させていただきます。
 ――が、助けようとするのであれば、とどめを刺しかねない粗暴な手当はどうかと思われます。
 あれでは下手をすると気道を塞ぎ、窒息を招きかねません。ただでさえ相手は弱っています。――お心遣いを頂戴させていただけるのであれば、多少のご配慮を賜りたく存じます」

でなければ素直に感謝できねえんだよ、と言外に語る。顔は飽くまで表情筋の仕事しない無表情。主に目がモノ申していた。
淡々と長文をよどみなく語り切った時点でもう、熱中症は収まった。もともと大袈裟な割りに症状が軽かったのだろうし若いので回復力は高いし、貧乏なのでそこそこ丈夫だ。

パニア > ぱぁぁ!
渋々ながら、といった風情であってもちゃんとお礼の言葉を口にしてくれた美少女に、ふくれっ面があっさりと喜色に華やいだ。

「いやぁ、ウチも慌ててたせいで色々とやり過ぎちゃったし、ええと……これでおあいこッス!」

パニアの被害:昼食用の紙パックドリンクx2
サリスの被害:顔面フルーツ牛乳まみれ

おあいこというには被害状況の偏りが著しいが、まあ、あのまま人知れず乾燥ミイラになることを考えれば許容範囲だろう。多分。ヨシ!
などと考えるうち、もそもそ起き上がった行き倒れちゃんがグラウンドに転がっていたフルーツ牛乳を持ち上げて
――――あ、飲んだ。
人に慣れない動物を餌付けしたかの感覚に、スポーツ娘もほっこりである。

「いいッス、いいッス。困ったときはお互い様。今度ウチがひもじい思いをしている時に大盛りラーメンの一杯も奢ってくれたらソレでチャラッスよ!」

銅貨2枚相当の恩を銀貨1枚前後にして返してもらおうとするわらしべ長者。

「………あ、はいッス。それについてはもう本当に、ウチも重々反省したッス」

反省はしたが似たような状況があれば多分またヤッてしまいそうな予感はあるが、今後は気をつけようと思った事だけは確か。
先ほどまで元気いっぱいににょんにょんしていた眉尻が、今はへろんと垂れ下がっている辺りからも伺えよう。

「………………………」

なんとなく整えた正座の尻を居心地悪げにもじりとさせたのは、フルーツ牛乳で胸元まで甘ったるく濡らした美少女(エッッッッッ!)の未だ責めているかの様な無表情に見つめられているがため。
―――――ッハ!
そんな小娘が『いいコト思いついたッス!』と言わんばかり。
傍らにおいていた購買ビニールからがさごそ取り出したるは、ハラペコ運動部御用達。『BIGコロッケ焼きそばパン』。

「どーぞ、こちらもご査収下さいッス」

代官所で頭を下げる農夫にも似た仕草が両手で差し出す賄賂。

サリス > なんでこれでよろこべるんだろう。
非常にけったいな物を眺めるような目で喜々とした空気を纏う彼女を見つめた。

「……そちらがそれで構わないのでしたらこちらとしては特にありませんが」

にしても、匂う。この陽気なので顔にべたべたくっついた糖分とタンパク質が腐って来そうで非常に不快である。
先程はそれに構う余裕もなかったわけだが。多少余裕を取り戻すととにかく顔洗いに行くか、と運動場の隅にある水場へ目を向けて。

「………そうですか。ではその折には……相応の恩を返させていただきます。相応の」

相応、と念を押しておく。対価に多少色をつけないでもなかったが、数ゴルドくらいの上乗せが精々である。
そもそも、そんな風に飢餓に喘いでいる時に出くわすとも限らないので――多分実質バックレる事になるし、そうなる事はこちら側としてはやぶさかじゃない。
考えるよりも先に思考が立つタイプ、とは往々にしているもので、珍しくもない。
けれど、たとえ同じことを繰り返すにしても素直に反省出来るのは美徳であろう。
だから、静かに頷いて。

「ご理解いただけましたなら幸い。………?」

告げた後、座りの悪そうにしている様子に小首を傾げ。そして、急にパンらしきものを差し出してきた。
……見慣れないおかしなパンだ。この世界のものなのだろうか、とすら疑問が過る。
先程からずっと、この文明下では見かけない様なものが彼女の手にはあるように思って怪訝そうに首を傾げ。
食べ物、とも、彼女からの厚意とも認識したが見慣れないものを口にするのは憚られて。

「ありがとうございます、暖かいお心遣い、お気持ちは重々いただいておきます。
 それはあなたの昼食でしょうから、こちらにはお構いなくお召し上がりください。……私は自分の昼食を持ってきてますのでご心配には及びません」

そう丁寧に辞退しては、何か下心すらもありそうなその品を差し出す両手に、そ…と掌を向けて遠慮の意。
そして、顔を洗いに行きたいと立ち上がって。その場から退去の動きを見せ。

パニア > 恩を返すと言われたのに『てめぇ、覚えてろよ!』と言われた様な気持ちになる不思議な感覚。
同年代と思われるのに無茶苦茶丁寧な言葉遣いと、不機嫌顔以外は真顔をキープする無表情ゆえの事だろう。

そんな謎のプレッシャーも相まっての餌付け攻勢。
甘味もいいけどしょっぱいのも欲しいという行き倒れ少女の心の声を過敏に察した小動物の差し出すそれは、ボリュームに特化したジャンクな味付けの雑な一品――――と思いきや、焼きそばソースとざく切りキャベツ、食べ応えたっぷりの野菜コロッケとコッペパンの奇跡的マリアージュで思いの他美味しいと評判の人気商品。
授業終了と共にダッシュで購買に駆け込んでようやく手に入れられるかどうかという代物である。

「ええ~……。おいしいッスよ? こう見えてヤバいおいしさッスよ? 本当にいいんスか? きっと後悔するッスよ~?」

何故か賄賂を差し出したこちらの方が物惜しげに、立ち去る美少女の背に声を掛ける。
そのままのほほんと彼女の尻を追いかけるという選択肢もあったのだが、それはそれで迷惑かもとその場に留まったのは先の反省が生きた結果だ!

「――――……ウチもご飯にするッス! あ、そーいえば名前も聞き忘れたッス」

遠く離れた彼女が水場でばしゃばしゃ薄黄のべとべとを洗い流す様子を背景に、ようやく立ち上がったスポーツ娘は爆乳ゆさゆさ、木陰へと移動して大ぶりなパンにかぶりつくのであった。

ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 教練場・運動場」からパニアさんが去りました。<補足:15歳/156cm/Gカップ/黒髪黒目日焼け肌>
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 教練場・運動場」からサリスさんが去りました。<補足:癖のあるミディアムの灰青髪、ライトオークルの肌、紫藍の双眸,運動用の白シャツ、黒短パン、布靴>
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 身分混合クラス 大教室」にルーベルさんが現れました。<補足:リミット27時まで/後入り、別部屋・別シチュ移行、私書呼び出しいずれも歓迎>
ルーベル > 「…以上が、構築魔術式の基礎的な扱い方となる。
 肝要なのは魔力操作の精緻さと、扱う魔力への理解ゆえ、うまく行かぬときは大抵そこに難が出てのもの。
 時には自身だけでなく他からの目も有用であったりするので、参考にのぅ」

自身も得意とする構築魔術式の授業の締めくくり。
使用者が自分に適した魔術、魔法を表現する魔術式を作る必要はあるが、
うまくベースを作れれば媒介にそれを刻みいつでも発動できる。もっとも、魔力そのものの供給も必要だが。

理論もながら直感的な魔術行使の才もある程度必要…とはいえ、術式次第で魔力量などの多寡をごまかすこともできる。
操作能力を伸ばせば効果も様々に工夫できる。

広く知らしめることに本人が格別否やはないこと、逆に様々な発想を見られることから、身分問わず授業は門戸を開いていて、
必修授業などではないが魔族討伐経験のある講師の授業ということで、実践的な知識を求めるものが良く受けている。

生徒だけでなく、講師、冒険者、戦闘に用途が限られないから時折技師などの姿も散見された。

授業後、教材を確認しながら仕舞いこむ、その合間は時折参加者から質疑があったりもするところ。
用件あるものはその日いるのかと、己の動向窺う視線無いかとちらりと周囲を見やる。

ルーベル > 数人の生徒からの相談を受け、改善などの指南をし。
特に優秀な才の片鱗見せるものは、その名を心中に留めておく。
そして、講師としての務めをしながら過ごしてゆき…。

ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 身分混合クラス 大教室」からルーベルさんが去りました。<補足:リミット27時まで/後入り、別部屋・別シチュ移行、私書呼び出しいずれも歓迎>
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 図書館」にルーベルさんが現れました。<補足:リミット27時まで/後入り、別部屋・別シチュ移行、私書呼び出しいずれも歓迎>
ルーベル > 学院図書館の奥まった場所。

魔導書や魔法薬の調薬の文献などが並ぶそこで、幾つかの書物を並べて講義資料を作る。

講師業は知己に乞われての半ば趣味的なものだが、そこで手を抜かないのは魔術なりに真摯であるゆえか。
実際才能ある若い者や、学院だからこそ見つかる異能尖る者を見つけるのに有用で、うまくそういった者を引っ掛け、実験、研究などへの協力、魔導技術の教導などを餌にしてはあれこれと好きにできる点では実利もある。

生徒としても、特に平民出身の者などからすれば、貴族出身の講師に見出されるのは悪いことばかりではない。

週のうち特定の日にこうやって図書館に姿を現すようにもしているから、そういった機を狙うものや、純粋に教えを乞う者なりは魔導士貴族を見つけやすいだろう。
素直にそれが叶うのか、そうでないのかは、男のそのときの気分次第ではあるところだけれど。

幾つかの魔導書、薬学書を出典として魔法薬の資料をまとめる。
次の授業ではそれを主にして…己の眼鏡にかなうものは上手く授業だとしても連れ出して、などと。
そんなことを考えていれば自然と暗金の瞳はどこか楽し気に細まり。

遠目に見れば、図書館の利用者も様相は様々。
学生と一目でわかるもの、己と同じく講師らしいもの、調べものにきたらしい冒険者と思しきもの。

真摯な者も、ほんとうは近寄りたくもないのに必要に迫られて…というような様相のものもいる。
王立学院はこういう門戸が広いという意味でも、面白い縁の紡ぎやすい場所であることを再確認しながら、

揃えた書物の重みに僅かな悲鳴を上げる腰を抑えて、小さく息を吐いた。