2025/07/01 - 22:49~01:44 のログ
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 庭園・温室」にサリスさんが現れました。<補足:癖のあるミディアムの灰青髪、ライトオークルの肌、紫藍の双眸,運動用の白シャツ、黒短パン、布靴>
サリス > 「これ多分――食えるな」
ぼそり、と温室の片隅で呟く一人の女生徒。
その視線の先には黄色くて楕円形の見慣れない南国の果物。
一年中一定の温度で管理された温室内の一角。そこは南方の花々や果実を植えていて。ちょうど盛りを迎えて咲く色鮮やかで花弁が大きく派手な花や、ビタミンカラーな果実が数種実っていた。
友達皆無なため空き時間は何もすることがない女生徒はふと目についた温室に入り。
室内を当て所なく遊歩しながら、真っ赤な花の色を眩し気に眺めたり、イガイガとした棘が生え一見すると食用というよりただの武器に見える大ぶりの果実に、こんな攻撃的な実が世の中にあったものかと考えていたが。
その内に拳大の表面のつるりとした黄色い果実がいくつも生る木の下へやってくると。
その前で立ち止まり。
甘い芳香を淡く放つ目の前の実を凝視して。
「一個くらい……構わない…ですかね……バレなきゃセーフ。バレなきゃ……」
なんだか甘そうに見える熟れた果実に魔が差したらしく。
きょろ、きょろ……と周囲を見回した。
誰も見ていなければ、今ここには私しかいない……完全犯罪であると、非常にせこい陰謀。
サリス > そもそもこんな、私の手の届く場所に生ってるのが宜しくない。
どうぞ召し上がれ、と言っている様なものでは。
――ついでにおやつの時間である。
ちょうど減った小腹を満たすには程よい。
「これも運命のお導き……ありがとう運命頂きます」
大分意味の分からないことを呟いて黄色い果実に手を伸ばした。
皮ごといけるかどうか、考慮の外である。そのまま齧って食えないケースを見逃しながら、ぷつん。果実の下方を掴んで枝から捥ぎ取った。
すん、と鼻を鳴らして軽く匂いを確かめてみて。
とても甘くて爽やかな香りを感じては、きゅっきゅっと袖口で果実の表面を拭ってから。
「いただきます」
かぷ。――ぶっ……
「渋……ッ」
目を白黒させる程渋くて酸っぱくてえぐくって……毒性こそないようだったが食えたもんじゃなく。
しばらくごふごふと咳き込んで、果実泥棒は自業自得の災難に見舞われた。
サリス > なんとも言えない渋酸っぱい顔をして。
「やっぱり運命は……私の敵か」
終始自分が悪いにも関わらず、先程捧げた運命への感謝を撤回。
香りとか如何にも甘そうだったのに裏切られた気分だ。
期待値の分だけ落胆は激しい。
八つ当たり気味に一口齧った不味い果実をアンモラル甚だしくそれが生る木の根元に放り捨てた。
これも食物連鎖、と何とも利己的に片付け。
そんな一連の悪事を見ていた者は誰もいないから、当然おとがめなし。何もなかった事にして明日にはそんな事すっかり忘れてしまうのである。
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 庭園・温室」からサリスさんが去りました。<補足:癖のあるミディアムの灰青髪、ライトオークルの肌、紫藍の双眸,運動用の白シャツ、黒短パン、布靴>
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 庭園・温室」にネクタルさんが現れました。<補足:金髪、緑眼、彫刻じみた均整、アカデミックドレス/>
ネクタル > 鉢植えを棚と並べたとある温室の中。
植えられているのは主に薬草の類であり、貴重なものから冒険初心者が採取してくるものまで雑多に育てられている。
目的あっての量産というよりも実験の色合いが強く窺える、温室である。
それというのもどうも植えた種の育ちがよろしい、ということで。
どんな種が良く育ち、どんな種はそうもいかないのかという、まさに実験の最中なのであった。
ひとつの葉に指をかけ、虫がついていないかと覗き見る。
至って健全、明日にでも摘むのが良さそうな頃合いに見える。
右も、左も、今のところ枯れてしまった草というのは見受けられない。
自身の種族としての種を撒くのはひどく下手だというのに、それ以外については加護でもついて回っているのだろうか。
そんな気などない性分でつくづくよかった、と思う。