2025/09/26 のログ
ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」にエウヘニアさんが現れました。
■エウヘニア > 温泉旅籠の入浴客たちがいろんな湯を楽しめるよう、浴場内に備えられている休憩用の一室。
中はそれなりに広く、パーテーションで薄く区切られてもいる。
奥にはマッサージ用の個室などもあったりするそんな場所。
「あー……気持ちよかったぁ」
既に一度どこかの湯で温まったのか、淡く肌を上気させた女がゆるゆる休憩室の寝椅子に倒れ込む。
体を包むのは旅籠で貸し出しされている入浴着。素肌に柔らかい素材で大ぶりのバスローブにも似ている。
それを要所を紐で縛って体を包む簡素なそれは入浴の合間に肌を冷やしすぎないようにはおったり、肌を見せるのが嫌な人がそのまま入浴できる素材でできている。
己の使用法としては前者。衣服としては多少頼りなくはあるものの、肌を見せてるわけではないので割合気が楽。
薬湯のいい匂いの余韻を楽しみながら、ふにゃふにゃ転がり。
少し休んでまたほかの湯を楽しみに行ってもいいし、あるいは奥の個室でマッサージを頼むのもいいかもしれないなあ、なんて考えつつ子供じみた仕草で足をパタン、と揺らしている。
ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」にネクタルさんが現れました。
■ネクタル > まだ僅かに湿った髪をタオルで持ち上げ水気を取りながら、清涼な空気の休憩室へ。
昨晩遅くにとある目的にふらりと街へ出て、しかし果たせず旅籠へと気晴らしに泊まり込んだ。
朝早くに湯を浴びて怠惰に眠りこけ、そして起床次第でもう一度湯を浴びた。
目的を果たせていないつまらなさも少しは晴れたか。
今日はこのままだらしなく過ごしていいだろう、そう思ってここへきて。
気付いたのは通路から爪先が見えた、とか。知る花の匂いがしたとか、そんなところ。
ともかく、区切られた一角にソレを見つけてしまった。
「――マッサージは如何ですか?」
白い肌を湯上がりに火照らせた大きな体躯が区切りの中へ、ひょこりと顔を出す。
教育の行き届いたここらの従業員は客のスペースへ売り込みになどこない。
女が捉える顔は、よくよく見慣れた――熱を与える、男の顔だ。
返事を待たず区切りの内側へと踏み込んで、子どものような膝小僧へ手を伸ばしながら傍らへ腰を下ろす。
■エウヘニア > 湯上りの程よい倦怠感に、わずかに意識を落としかけていた。
うとうとと、微睡自体も心地よい。
そもそもが薄着で過ごす客のために程よい気温で保たれているのや、薄く薫る湯の香りがそういった気分を増長させるのだろうが。
「んぇ……?」
聞こえた売込みの声に、そういう営業あるのかなあ、とぼんやり思う。
だから、すごく、寝とぼけた声色で視線を上げて、それから、あれ?と視線を彷徨わせたのち。
いくら寝ぼけていても知り合いの顔を間違ることもないし、ついでに言うと──従業員じゃないのだってちゃんと知っている。
「えー、と、………いつから転職したんです、かぁ…?」
ヘラ、と緩い笑いを浮かべるのはくせに近い。
営業スマイルはいくら浮かべたってコスト0なのだし。
若干の危機意識が過るのは相手の特性もまた知り合いだけにちゃんとわかっていて。
でもうっかり見上げて視線を向けてしまったから。
パタパタ揺らすのをやめた膝頭に掌が触れる距離感に、もそもそのたのた起き上がろうと悪あがきはしているものの
■ネクタル > 間の抜けた、抜けきった声に表情が綻ぶ。
それ自体はとても画になると言われる容貌。
しかしその胸の内では桃色に惚けたことばかり考えているのだと、知り合い以上の人間はよく知っている。
彩度の高い男の緑と、灰緑とは――ぱち、とかち合ってしまった。
「んー……昨晩から?」
にま、と砕けた笑いで応えるのは習性というべきもの。
睨みつけるよりはその方が目の前の相手が緑の眼を覗き込んでくれるから。
何テンポの遅れだろう。
逃げる気はないのかと思えた体躯が慌てた――いちおう、慌てて見える様子で起き上がろうとするのを見て取り。
はいはい、寝たまま、寝たまま。病人を寝台へ押さえ込むよう、肩へ触れて寝椅子へ押し倒す。
「……存外、向いていると思いませんか?」
彼女の股下に右膝を割り込ませて片足を跨いで被さる。
考えてみれば、大凡の女子はこの声に、視線に身体の強張りを解いてくれるわけで。
いざやることがなくなったら開業してみるのも良いかも知れない。
まあ、今は彼女の惚けた物言いに乗っかって。
今度は両肩から耳元までを撫で上げる。淡い按摩と、はっきりとした愛撫の意図を持って耳たぶを捏ね。
こちらをよく見えるよう顎を持ち上げ、息のかかる距離で見下ろす。
■エウヘニア > なまじ女性より綺麗な顔が綻んでいる。
まさに花の顔。
その内実は────うん、みちゃいけない顔と、多少その手の魅了に耐性を持っている女でも思っている。
だというのに、うっかり目を合わせてしまったのだからこれはいけない。
「……ソレ、単なる泊り客って言うんじゃあ……」
とはいえ、学院の外で会うのは珍……しい?相手
学院で講師をしている以外の詳しい情報は知らないのだけれど、どうにも生活に困っている様子は感じないからまあ、自分とは棲む世界が根本的に違う気はしている。
むけられる笑みはたぶん自分のヘラってる笑いと大して変わりはないのだろうけれど、基本の美しさが違うんだよなあ、とジト目。
若干目をそらしているがもう遅いのだ。
のそのそ起きて、距離を作るか逃げようとしたのを、上からぎゅむ、と抑えられると、支点を抑えられてしまってそのまま寝椅子に沈められた。
この辺りはちゃんと男性の膂力で、逆らうのが難しい。
返された言葉には、まあ───……
「……………割とありそうなのが困…っる、ぅ───…!?」
でも普通マッサージの人こんな距離じゃないですよね、という訴えはきっと聞いてない。
相手なら、その容姿と声と特性で、人気でそうなのも事実にすぎる。
彼の持っているスキルであればマッサージより調香などのリラクゼーションスキルが高い気はするのだが。
「…っ、ん、ひ…っ」
びく、と背筋が揺れる。
長い指がやや強張った方から首筋を撫であげて、耳元を捏ねるのにぞわりと背筋を這い上るのはくつろぎとは違う感覚。
ふる、と熱を帯びている肌がより赤く染まるのを自覚しつつ肩を竦めて。
顎を持ち上げられて、視軸が誘導される。見下ろす相手の口許あたりに焦点を定めようと試みるのは悪あがきといえようか。
■ネクタル > それでも、と肩を起こして逃げる力を寄越してくれればそれはそれで盛り上がるのに。
諦めが良いのは可愛げがあるとも、ないとも。
今に限っては彼女の素振りがたいそう都合が良いから黙っておこう。
尻切れになる訴えもちゃんと耳には届いているけれど、聞いてはない。
強いて言うなら性感マッサージというものもありますよ、と答えてやってもいい。
答える答えないに関わらず、いまから彼女に堪能させるマッサージだ。
「……じゃあ、店を開いたら是非懇意にしてくださいね?」
親指が耳たぶから内側の凹みに沿って穴へ迫る。
残りの指と手のひらでちいさな耳を包み、体温を帯びさせて不完全に塞ぐ。
音をこもらせた耳元へ、雌を誘うべく声を注ぎ。
何やら口許に熱視線を帯びては、長い舌をちろりと覗かせて唇を濡らしてしまう。
催眠を受けず取引のある彼女はたぶん、関わりのある中で一番その潤いの味を良く知っている。
甘い媚薬。狂わす媚薬の原料の一つ。
「――ん」
たっぷりと勿体つけて彼女の媚びる視線と見つめ合いたいものだが。
今日はあいにくとそれに上回る気分があって。少々、性急だ。
視線を浴びる口許は、真っ直ぐに彼女へ迫る。近づくことで視線を切り、いいように持ち上げた唇の上へ落ちる。
ちょっとした区切りの中に子供だましの音を響かせて、彼女の唇も同じ体温で濡らす。
ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」からネクタルさんが去りました。
■エウヘニア > 諦めてるわけじゃなくて単に力がない、のだけれども。
どちらにせよ相手にとって都合がいいのは事実。
それが可愛げの様なものだと捉えられているのだと知れたら、ちょっとは頑張ったのかもしれない。
マッサージについてあんまりつついて藪蛇を出したくないのかあまり言及はしない。
この宿だってそこまで安全が担保されてるわけじゃないのは、まつわる噂が後を絶たないので察してる。
それを裏打ちするような状況が今、だし。
「………普通のマッサージ、なら」
若干の間。それから断り切れない人の好さと共に言葉が絞り出されたが。
そのまま耳をふさがれるのに、くすぐったさと、言い知れない感覚。
居心地悪そうな表情と共に。
目を合わせないために向けた口許、唇を濡らすようにまろぶ舌先。
唇を艶めかせる唾液が何なのかもまた識っているのだ。
………貴重な薬剤であるのは間違いないのだけれども。
「…………っ」
それを身をもって知る必要は、もうないはずなのだが───。
むぐ、とくぐもった呼気が零れる。
緩く周囲を区切るパーテーションが、そんな二人を隠すように揺れる。
ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」からエウヘニアさんが去りました。