2025/08/28 のログ
マドレーヌ > ふと、湯の中で立ち上がり、それなりに広いこの浴槽の中を一周してみる。
堂々としたその体型を見るものもまだ誰もいないが、だからこそ思い立ったら大胆に動ける。

天然の岩を活用した趣のある内装。なんとなく東国趣味を感じる植え込み。隣にも人の気配がある。あれは男湯だっただろうか。

(きっと依頼が終わった冒険者の方なのでしょう)

何やら話が弾んでいるようだ。自分の名前が聞こえてくると、壁の向こうの男湯と距離をとる。


(面映いですし…)

わたしの姿を話題にされても…
いいえ思い出にさせてもらえれば十分でしょう。
何より、相手の感情をそのままにしてあげた方が、いつかまたご奉仕する際に、きっとお互いに

「幸せですわね…」

マドレーヌ > 確かに!確かにわたくしあんなことしましたけど!
ちょっと抱きしめただけでしょう?
そんなに息が詰まるなんて思ってなくて!

「あぁ〜〜〜〜」

突然自分が恥ずかしくなる。
きゅ、と変な音を立て、鼻まで湯船に沈んだ。

後ろから見た時の尻が半端ないとか
触ってると埋もれそうな気がする柔らかさとか
かなり具体的に感想をシェアしている隣の温泉の男たち。

竹垣に遮られこちらは姿を見せなくていいものの。あらためて詳述されると良くわからない恥ずかしさが込み上げる。
接客中はそういうこと考えてないの!施す側だから!

よかったよな
よかった
なんか救われた気がした…

と男たちがしみじみし出すのを聞いて。
(…ああ、よかった…)
報告会が終わっただけではなくて、何か遊びと引き換えに、心を救えたその手応えに一息つく。

マドレーヌ > やや長湯をしてしまった…肌にあたる大気が雨風になってきたので、一旦浴槽から上がり、体を拭いて、東洋趣味の浴衣というものを着てみる。
腰が高く胸があるので、東洋人のようにはならないと痛感するけれど、生地は肌あたりが心地よく。

「あら?」

更衣室のカゴを持ち上げ、辺りを見回す。

「……おかしいですわね……」

小物入れのポーチはあるけど、下着が


「ない…?」

マドレーヌ > ……湯冷めの進行は意外と早い。
だから一糸纏わぬ姿であっても、恥じらってなどはいられない。脱衣棚の下着を置いたあたりを重点的に見たが「ない」その段の下を見たが「ない?」では、と再下段を見てみたが
「ない…ん……いいえ、ええっと…」

経験をたどる。
こういう場合は、勢いで置きかねないが、日頃絶対そこには置かないところを見るべき。


「ありましたわぁ…!」

思わず歓声が漏れる。

「色々考えてカゴの下に置いていたのを忘れて…」

ブラとショーツを小分け用の網の袋にきっちり畳んで入れていた…
治安が悪くなりつつあるこの街、下着の紛失はそれこそ、プリプリの同僚であるアンジーがいうように「まれに良くある」。

本当に、布を持っていって何がしたいのかしら。
それならそうとお話ししてくださればいいのに。
とはいえ、性の現場に身を置くものとしては、布だからいいのだという者がいることも知悉している。是非のない話だけれど、体一つで相手を救えるわけでもないのだけど。

ともあれ、今日は助かった。

マドレーヌ > 取っている部屋に戻って、一人楽しく美味しいものでも食べて…
ふかふかの布団で寝て…
(チェックアウトギリギリまで二度寝しちゃう…!)
絶対楽しい。寝るのが楽しいというのも変かもしれない。
(…一緒に旅行する友達がいてもいいのですけど、一人でのんびりするのもまた贅沢…っ)


なお、一緒に旅行する友達は、同僚の中で格別親しいものだったり、友達以上の恋人未満の身体接触友達だったりする。


今日は一人リセットが目的なので、そういうことはない。

「〜〜〜♪」

鼻歌まじりに風呂場から出ると、先ほど彼女の感想を話し合っていた男たちと同時に廊下に出てしまう。素早く顔を背けて

「失礼しま〜す…」

早足に部屋に戻る。彼女の姿が廊下の向こうに消えるころ
身に覚えがあるその残り香に
「あっ…!」
と男たちは色めく。
それでも、せっかくのオフみたいだし…
お世話になった兄弟として、お世話になっているお方の邪魔をしてはいけない…と、男たちは弁えた態度で持ち部屋に戻っていった。

ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」からマドレーヌさんが去りました。