2025/08/04 のログ
ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」にホウセンさんが現れました。
ホウセン > 暑い暑いといっても、湯浴みが娯楽になるのは変わらない。
浴室から出る前に冷たい水を体の末端に掛けるだとか、
間を置かずに冷たい飲み物を摂るだとか、湯上りに汗だくにならない工夫は必要だとしても。
川遊びやら湖畔で水遊びやらと、水場の戯れにも飽きて、今宵の遊び場はここ。
温泉宿でひと風呂浴びて、夕餉もたらふく腹に収めて。
となれば、晩酌か散策かという風情で、どうやら後者を選んだらしい。
ぺたり、と草履の底が音を立てる。
宿の建屋から少し離れ、庭の散策といった風情。
ぱっと見、手入れの行き届いた竹林で、日も落ちて久しいとなれば日中ど真ん中の熱気は和らいで。
耳をすませば葉のざわめきの他に、小さく虫の音も。

「ふむ、もうちぃっと生ぬるく湿った風でも吹いておれば怪談日和なのじゃがなぁ。

さすれば、如何に脅かしてやろうと思考を巡らせる気にもなろうものを。」

片手に提灯、片手に団扇という夜のお散歩スタイルで、てこてこと。
温泉宿の敷地内と言えども、子供が一人で出歩くような刻限ではない。
ぼぅ…っと下方からのアングルで提灯の明かりが顔を照らすものだから、
綺麗に整った顔であるからこそのお化け感。

「いぃ~ちまぁい…にぃぃ~まぁい…等と、口ずさみながら機先を制するというのもなしではありゃせんが…」

全くもって碌でもない考えを巡らせつつ、涼むのに具合が良さそうな東屋を見つけて。
ひとまず腰を落ち着けてみようと立ち寄るのだが、
このちんまい妖仙以外に、深夜の散歩などという酔狂な輩がいるものだろうか。

ホウセン > くぁ…と、上品なつくりのお口を開けての欠伸。
潮時であろうと立ち上がり――一陣の風が吹いた次の瞬間、怪談そのもののように小さな姿は消えていて。

ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」からホウセンさんが去りました。