2025/06/27 のログ
ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」にシアンさんが現れました。
■シアン >
「ああ゛……やっと……やっと一息付ける……」
かこぉん、と、ししおどしの音色が軽やかに響く露天風呂。
空模様は生憎と曇天。
真ん丸なお月様も満点の星空も伺えないが、代わりといっちゃ何だが夜風は涼しい夜更け――
提灯の明かりがぽつりぽりつとぼんやり灯って薄暗くも目に優しく客も一人だけで静かなそこ。
泥まみれ汗塗れの身体をしっかと洗ってから湯船に浸かるというか落ちるというかな有様な、その一人。
「もうやらん。もう二度と受けん……」
ある曰く付きの宝石を護送する任務。
ほほう曰く付き? などと物珍しさから受けてみたら。
道中。
天候は荒れに荒れるわ、ひっきりなしに野盗やら魔物やらに襲われるわ。
5日間ほど激動の旅を経て先ほどようやっとふらつきながら逗留先に帰り、
『汚ねぇから風呂入れ!!!』と宿の者にせっつかれて今である。
ぐったり、と身体中から力を抜いて縁に後頭部を預けながらこのまま風呂の中で寝そうな具合。
■シアン > この数日間それはもう頑張った自分に、
美味い飯だの良い酒だの目を奪われるような女だの、
あてがって英気を養ってやりたいところではあるが、
先ずは寝たい。
床に着いて眠るつもり、は、ある、けれど……
瞼が時々勝手に落ちて意識も勝手にどっかに落っこちていきそう。
その度、度、
いかんいかんこのまま寝たら溺死か感電でショック死、
等と思って何とか瞼を抉じ開けて。
「ま、まずい、マジでまずい……こんなとこで死んでたまるか……」
やっとこさ死地から帰ったその後で死ぬだなんて笑い話になるのは御免被りたい。
ぶん、ぶん、と浜辺に打ち上げられたワカメみたいになった髪と頭を振りたくり、
物理的にも疲労的にも重たい身体を引き摺るようにして湯から上がる。
「ああくそ、こんな疲れたのいつぶりだろうな……」
そうしてぼやきながら、ふらつきながら、水気を取るのもそこそこ浴衣でも羽織って風呂を後にするのだった。
ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」からシアンさんが去りました。