2025/06/09 のログ
ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」にリコッタさんが現れました。
■リコッタ > 少しとろみのある白い濁り湯の浴槽。
温かな湯に身体を沈め、心地良く吐息を吐き出す。
今日は父や母と一緒に商会の商談に参加し、そのままこの旅籠での宴会。
最近は商会の仕事も手伝わせてもらえるようになり、
こうして近くで仕事ぶりを見させてもらえるのは嬉しいが、
商談の場への参加はまだ慣れておらず、どうしても緊張してしまう。
そんな疲れを癒すように、広い浴槽で手足を伸ばす。
宴会が長引いたので時間帯も遅く、大浴場にも人はほとんどいない。
濁り湯に浸かって頭にタオルを巻けば、もろもろが露見する心配も少なく安心だ。
ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」にシトリーさんが現れました。
■シトリー > 留学生という名目ではあるけれど、一族を代表して来ている身なれば、外交的なお付き合いというものは欠かせない。
今夜は王国の貴族とではなく、同じ周辺諸国の貴族や商人たちとの会合で。
とはいえ、何か権限を与えられているというわけではないから、ただにこにことしているだけになってしまうのだけれど。
難しい話は、一緒に来てくれている文官の人にお任せして、一足先に部屋へと戻ると、仲居さんにお風呂を勧められ。
「わー……広いです。これ、全部、温泉なんですね。」
華奢な身体に、仲居さんから受け取ったタオルを巻いてぺたぺたと石が敷かれた床を歩く。
大浴場と聞いたそこは、ちょっとした池くらいの大きさで。
白く濁ったお湯を掻き回すと、とろみがあって肌がすべすべになりそうな感じ。
温泉の詳しい作法など知らないから、誰かに訊こうと辺りを見渡して。
■リコッタ > 「…………おや」
まず、浴場に漂う香りの変化に気付いた。
甘い柑橘のようなみずみずしい香り。
それに誘われるよう、湯煙の先に見知った相手の姿を確認する。
艶やかな笑みを浮かべ、すっと湯船を出て腰とお尻をタオルで隠し。
獲物を狙う獣のようにしなやかな動きで音もなくあなたに近付けば。
「こんばんは……シトリーさん……♡」
なんて、わざと艶っぽい声であなたの耳元に囁くように声を掛けてみたり。
■シトリー > 「きゃっ……!?」
森にいた頃は水浴びが主で、お湯に浸かるという習慣はなかったためか、温泉には興味津々。
とろみの付いたお湯をしげしげと観察していたせいで、背後から近づいてきた気配に気づかず。
耳元で囁かれた声に、びくっと小さな悲鳴を上げる。
それでも逃げ出したりしなかったのは、それが聞き覚えのある声だったためで。
「あ……リコッタさん! えと……リコッタさんも、お泊りだったんですね。」
学院で仲良くしている少女の姿を認めると、少し嬉しそうに表情を綻ばせる。
ただ、先程の声音に艶めいたものを感じ取ると、互いの恰好を見て、もじもじと気恥ずかし気に身体を隠し。
■リコッタ > 「えへへ……奇遇、ですね。
どうやら、シトリーさんも今晩はこちらに泊まられるようで」
一般入浴客が利用するには遅い時間。
本人が「リコッタさんも」と言ったなら、まず間違いないだろう。
「お会いできて、嬉しいです」
ここであなたと出会ったならば、今後の予定は決まったようなもの。
少女の嬉しそうな笑顔からは、そんな裏の意図すらも読み取れるかも知れない。
それはそうと、物珍しそうな様子に小首をかしげ。
「もしかして……温泉は初めてですか?」
■シトリー > ちょっとばかり目の前の少女との逢瀬を思い出して顔を赤らめる。
相手も同じことを考えたのかどうか。
会えて嬉しいと言われれば、こちらも気恥ずかし気ながら頷いて。
「私も……です。
実は、今日は、大人の男の人とばかりお話しして、少し疲れちゃってて。
お友達に会えて嬉しいです。」
ふにゃりと表情を綻ばせて見せて。
お湯をかき混ぜていた手を戻し。
「はい。温泉自体は知ってるんですけれど、こんなちゃんとしたのは初めてで。
お湯も、こんな風に色がついてるんですね?」
ちょっとばかり不思議そうに、お湯が溢れる浴槽を見渡して。
■リコッタ > 「ふふ、でしたら是非、疲れを癒していってください。
ここ以外にもいろんな温泉があるんですよ。
無色透明なもの、もっと鮮やかな色のもの、お花や果物が浮いているもの。
お湯の質ごとに効能もいろいろ違うんですよ」
本来は真面目な少女。この旅籠は初めてのあなたに、
優しく多種多様な温泉を説明してゆく。
「私は、ここの濁り湯が好きなんですけどね。
……あ、よろしければ、作法もお教えしましょうか?」
頬を赤らめ、恥じらうあなたの可愛らしさに、くすくすと微笑む。
つい耳と尻尾が反応してしまい、巻いたタオルがもぞりと動いた。
■シトリー > 博識な少女の説明を聞けば、外の世界への興味が刺激される。
やや前のめりに、ふんふんと相槌を打ち。
「お花や果物が浮いてるんですか?
効能も気になりますけれど、そっちも気になっちゃいますね。」
まさかお湯に花が自生しているわけではないのだろうけれど。
花の香りに包まれて、お湯に浸かるというのは、何とも贅沢に思える。
にこにことそんな会話をして。
「ここのお湯には、どんな効能が……?
あ、はい。ぜひお願いします。
お店の方には聞きそびれてしまって……」
頭に巻いたタオルはおそらく耳を隠すためのものなのだろう。
お風呂の中で帽子を被るわけにもいかないだろうから、特に指摘するようなこともなく。
やはり作法が存在するのだとしれば、下手にお湯に入らなくて良かったと胸を撫で下ろす。
頼りになる友達の存在に感謝こそすれ、断るという選択肢はなく。
■リコッタ > 「では、後程ご案内しましょうか。
こちらは……えぇと、疲労回復に美肌や保湿などだった気がしますが……」
ちらり、とあなたの方を確認し、そっと顔を寄せ。
「……濁ってると、隠しやすいんです」
あなただけに聞こえるように、再び耳元で囁き掛けた。
暗に、今日は『隠す必要がある日』なんだと意識させるように。
すぐに顔を離せば、元の笑顔に戻って。
「えへへ、では僭越ながらご教授を。
こちらではまず軽く体を流し、お湯に浸かって体を温め、
それから体や髪を洗ってから、最後にもう一度お湯に浸かるんです」
そこまで説明してから、ふと思い出したように大事なことを。
「ちなみに湯船にタオルを浸けてはいけないので。
お湯に入る時には、タオルを外してくださいね」
■シトリー > 「疲労回復……なら、今まさにうってつけで……ひゃぅっ!」
またも耳元で囁かれると、ゾクッと震えてしまう。
耳を隠すように手で覆ってから、その言葉の意味を悟って。
隠した耳の先がほんのりと赤く染まり。
どうやら頭に巻いたタオルはやはりそういうことだったのだと知れる。
けれど、それを逆に意識させられると、もじもじと落ち着きがなくなり。
「え、えと……そ、そうなんですね。
二度もお湯に浸かると……」
真面目に説明をしてくれる相手に対して、意識をしてしまっているのが申し訳なく思えてしまう。
気を落ち着かせて、説明の内容に耳を傾ける。
「タオルを? そ、そうなんですね?
確かに水浴びするときにも、タオルを巻いたりはしませんし……」
理解はできるものの、恥ずかしいことに違いはない。
素直に頷きつつも、ちらちらと相手の腰元を覗き見てしまい。
■リコッタ > 「ふふ……シトリーさん、やっぱり可愛らしいですね」
まだ湯船にも入っていないのに赤くなってしまっている耳。
長い先端が隠し切れておらず、見えてしまっているのが微笑ましい。
……もっとも、あまりもじもじされると、別の気持ちも湧き上がってくるが。
「…………ふむ」
肌に感じるあなたの視線。そっと、あなたに体を近付け。
「もし、お恥ずかしいのでしたら……少し、練習しましょうか?
同じ温泉の個室風呂が、あちらにあるのですが……」
それなら知らない相手に見られる心配はない。
ゆっくりと他人の視線を気にせず温泉を楽しむことができる。
無論、そこには別の意味も含まれているのだろうけれど。
■シトリー > 可愛らしいと言われてしまうと、余計に耳先が赤く染まってしまう。
余裕っぽい様子には、少しだけ口先を尖らせて。
「うぅ、可愛いのはリコッタさんのほう、なんですから……」
そんなことを呟きつつ、習ったばかり作法に則って湯を浴びようかと立ち上がりかけ。
「えと……個室、ですか?
そ、その……個室があるなら……はい。」
少女の誘いに、こくん、と頷く。
その表情は恥じらいに染まったもの。
誘ってきたのが、ただの同性の友達であれば、多少気恥ずかしくとも移動する必要はなかっただろう。
けれど、もじもじと視線を彷徨わせ、赤く染まった顔で頷く様子は、理解したうえでのことで。
少女の腕へと自身のそれを絡め。甘い香りを漂わせる身体を密着させると、少女のエスコートに身を任せて、湯煙の奥へと消えていき――
ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」からシトリーさんが去りました。
ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」からリコッタさんが去りました。