2026/03/17 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/宿屋兼酒場『ザ・タバーン』」にヴァンさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/宿屋兼酒場『ザ・タバーン』」にカゲハさんが現れました。
カゲハ > .
「分かった!」

彼の提示した詠唱に異議はない。それよりも、酒に酔っても弱みらしい弱みを見せることがなかった彼が、恥ずかしげに声を細めている事──ほんの少しだけれど──に少し新鮮さを感じたけれど、それを伝えるのは控えておこう。

今の彼の一言で詠唱は完璧には覚えられない。風を纏って…纏いて?──
けれど、準備は万端だ。いざ試し撃ちとなれば、心を通わせて彼の詠唱をより近くで感じられるから、それを復唱するのは難しいことじゃない。

手を伸ばして、彼に私の手を握るように促す。手を繋ぐ…訳ではなく刀の形態に姿を変える合図だ。

ヴァン > .
明るい声で返しながら、カゲハが少し不思議そうな表情を見せる。何か変だったかな?

「刃破風遁の効果時間は本来は一瞬、一撃を迅くするものであってるな?
それを……俺達が力を合わせることで、付与魔術(エンチャント)のように持続させられる」

伸ばした手を握るのと、カゲハが本来の姿――というのも変か――である、刀剣形態に戻るのはほぼ同時だ。
呼吸を整えながら、打刀の柄を両手で握る。

「よし、やろう。――『影なる刃よ……風を纏いて……疾く敵を裂け……』」

魔力の送受信ができるようにカゲハを握っている両手の力を解放する。
これを説明するのはなかなか難しいが……人とお手玉をやる、そんな感覚が近いだろうか。
右手で投げ、相手は左手で受け取る。相手は受け取ったお手玉を右手へとパスし、投げる準備をする。
相手の右手から投げられたそれを俺は左手で受け取って、また自分の右手に……をひたすら繰り返す。
どこかで詰まると効果は消えてしまう。それでも、同じ魔力消費量でコンマ数秒の効果が数秒、十数秒続くのは大きな違いだ。

カゲハ > .
私の手が彼に握られた途端、私の全身の色が真っ黒にそまりつつ、彼の手の内の柄、鍔、刀身…と順に形が造られていく。順にとはいっても、ほんの幾刹那の出来事だ。

『おっけーっ』
彼の合図に答えて身構える。

『影なる刃よ』
続いて紡がれる言葉には、すぐさま"応えるべき"だと直感的に感じられた。

『風を纏いて』
更に続く言葉。いや、私は実際には発言していないから言霊とでも言うべきか。

『疾く敵を裂け』
少しだけ不安だった最後のフレーズは、無意識のうちに彼に続いて紡がれていた。

彼に身を委ねる。今まで何度もしてきたことだけれど、相互に詠唱することで今までとは違う"主に従ずる"感触は不思議ではあるけど、怖くはない。
今まで私が能動的に行ってきた、彼に注がれた魔力を変換する行動も、無意識に続いた詠唱と同じく身体が何をすれば良いのか分かっているかのよう。

『──刃破風遁ッ!』

ヴァン > .
カゲハを掴む。武器にあわせて最適な握り方を選ぶのではなく、オーダーメイドで設えたような心地よさ。
刀と鞘が当然に一つであるように、手と柄がしっくりくる。

「『刃・破・風・遁……!』」

魔力(マナ)――いや、気力(オド)といった方が適切だろうか。魔力増幅媒体のように体内を循環しているのを感じる。
詠唱を終わった後、通常であれば刃の部分に一瞬現れる風のような刃が消えずに固定される。
目の前の木人に切りかかる。威力は変わらないようだ。両手に伝わる感覚から、握っている間は維持できる感覚がある。
打刀は二刀流の存在からわかるように本来片手でも扱えるものだが、まだその階梯まで俺は至っていないようだ。

<……どうだ? 何か、疲れるとか違和感はないか?>

俺にとって問題はなくとも、もしカゲハに負荷がかかっていたらそれは俺の望む所ではない。
効率化は求めるが、それによって継戦能力が落ちたなら本末転倒だ。
素振りをしつつ問いかける。問題がなければ現状、一番使い勝手が良い刃破刃衝も試してみたいところだ。

カゲハ > .
『大丈夫!寧ろ身体が軽い気がするっ!』

その気分の高揚は声色にも顕れて。剣閃が素早くなる"刃破風遁"。その一閃の最中は、言葉にするのは難しいけれど、例えるならば程よい強風に撫でられるような楽しさと心地よさがある。
それに、主に魔力を注がれる…本来のその役割に悦楽を感じる私の本能。本来は発動時する時にのみ味わえるその感覚がずっと続くのだから、気分が良いに決まっている。

『どれだけ続けられるか試してみるっ?それとも次の技を試すっ?』

早口になるのを抑えられない。どちらも試したい私の提案。どちらを先にするかは彼に託すことに。

ヴァン > .
「身体が軽い……?」

刀剣形態のカゲハは肉体を持たない。刀剣自体が肉体とも言えるが、彼女が言う重さは単純な重量ではないだろう。
拍子抜けするほど簡単に刃破風遁はうまくいった。詠唱は覚えやすいし、魔力循環の感覚も一度やってみれば身体に馴染む。

「よし、なら……刃破刃衝を試すとしよう」

切っ先から斬撃を放つ、いわゆる『飛び道具』と呼ばれる類だがそれ以外の使い道も有用だ。
現在教育中の従士との戦闘で使ったが、通常の剣戟に混ぜることで『防御不可の一撃』を与えることができる。
避ければ良いという者もいるだろうが、避けは姿勢が崩れるため、反撃をし辛い欠点がある。
回避特化の軽戦士や盗賊・忍者といった手合いにとっては容易だろうが、それならそれで次の斬撃を叩き込むまでだ。

「使い方としては……今のと同じように一定時間通常の斬撃と共に効果が発生するようになるか。
あるいは逆に範囲攻撃として、複数目標を狙えるようにするか。カゲハはどっちが格好いいと思う?」

使用者としてこう、と思う所はある。だが、この訓練はカゲハの長所を引き出すこととも言える。
二つのどちらも戦力を大きく強化する。彼女が乗り気な方を伸ばすのがよい――直感的に、そう思った。

ヴァン > 【次回継続】
ご案内:「王都マグメール 平民地区/宿屋兼酒場『ザ・タバーン』」からカゲハさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/宿屋兼酒場『ザ・タバーン』」からヴァンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にネーラさんが現れました。
ネーラ > 魔術師ギルドのオブザーバーとして、店を休業してはるばる出てくれば、議論という名の権力闘争を見せられて、
「下らんことをしておるな…嘆かわしい。」
実に無駄な時間を過ごしたとつくづくを思いながら、市街中心の広場を横切る、白い姿。


三角形の魔女の帽子はつばが広くかしいで被り、ケープも白く膝までの丈。ケープを止める水晶の留め金の隙間から、腰上までスリットが入った、ほぼ前タレのような裾の紫色のロングワンピースタイプの魔術着が覗く。右手には身の丈ほどの杖。節くれだった霊木を削り、プラチナとアメシストを象嵌している。

この姿だと、一見雑貨屋の主人には見えない。

す、とスラリとした足がのぞき、その形はサーベルのよう。キビキビと歩いている。