2026/02/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/宿屋兼酒場『ザ・タバーン』」にヴァンさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/宿屋兼酒場『ザ・タバーン』」にカゲハさんが現れました。
■ヴァン > .
『ザ・タバーン』の裏庭はかなり広い、というと語弊があるか。
正確には、酒場が属する1ブロックは外周部に建物が連なっている。ドーナツを想像してほしい。
穴にあたる場所に建物はない。周囲の建物共有の裏庭、ってことになる。
家庭菜園を作ったり洗濯物を干したり飲んで騒いだり、ご近所さんとの憩いの場になる。
で、今。木人を前に、俺とカゲハがいる。
強くなるという目的に終着点はない。辿り着いたと思ったら蜃気楼のように目標が先に現れる。
今俺が持っている力は世間的には十分なものかもしれないが、余力は多いに越したことはない。
「さて、じゃあ詠唱の訓練を始めるとしようか」
少し視線を下げて、相棒へと語り掛ける。
■カゲハ > .
名前や言葉には意味がある。意味があるということは即ち力も含まれる。
東方の国には"言霊"いう言葉があるくらいだし、彼の提示する訓練の必要性は分かる。事実、私の特技はその技の名にも力が込められている。
「私、暗記するの苦手だし、難しい言葉も分からないし~…」
…けれど、その言葉を口にするのは私を使う者だけ。私は相棒の言葉に呼応するだけ。だから、ヴァンの提案は私の羞恥を少し煽るものだった。私は道具であり、影の刃。表に出ることは本能的に望んでいないのかも。
赤らめた頬、試みる前からの言い訳。あまり乗り気では無い態度が現れている。
けれど、強くなりたい、そんな気持ちは強く持っているのは彼に共通している。だから興味がない、というわけではない。
躊躇いと一緒に、そんな葛藤も彼の服を握る手にも力が込められていることから伝わるだろうか。
■ヴァン > .
覚えるのが苦手、という点は問題がない。
難しい言葉がわからない点は……どうだろう。本を読むから、カゲハはそこらの平民より語彙力は豊富だと思うが。
少し頬が赤い――これからする説明を聞くと、もっと赤くなるかもしれない。
「詠唱の訓練といってもぴんと来ないと思う。なるべくわかりやすく伝えようと思うが、疑問があったら都度質問してほしい。
俺が学んだ魔術詠唱にはルールがある。ルールは無視しても……極端な話、詠唱すらしなくていいんだが、効果は落ちる。
たとえば、そうだな……さっきみたいに、食事をしている姿を想像してほしい。
『カゲハ、悪いけどそこの塩をとってもらえる?』ってのと、『……ん』って手だけ出すのとを想像してほしい。
後の方はなんか感じ悪いし、助けてあげようって気、なくすだろ?」
先程遅めの朝ご飯を食べた所だ。『ザ・タバーン』は卓上にいくつかの調味料が置いてあり、こういったやり取りは珍しいものじゃない。
魔術の詠唱と食卓の会話をいっしょくたにするのはずいぶん乱暴な話だと思うが、理解が得られるならそれでいい。
「だから、魔術詠唱は最適な言霊を選ぶ。先人達の努力で、相手が神や魔神、精霊などの場合は最適なパターンが出来ている。
でも、こうやってマンツーマン……? の場合は、試行錯誤してベストを探っていくんだ。そう、俺たち二人で」
二人で使える術は色々ある。普段から多用するものもあれば、一撃必殺の技もある。
どの技にせよ、最適化することで継戦能力は高まり――早い話、強くなることに繋がる。
■カゲハ > .
「ふむふむう…何かの遣り取りをする上で言葉が合ったほうがいいもんね。
人の顔の絵でもその表情は伝わるけど、その感情を文字…言葉に起こしたほうがもっと伝わる。絵本みたいに。
魔術も例外じゃないってこと。」
彼の提示した例を自分なりの解釈を踏まえた例で返すことで私の理解度を彼に伝える。
要は呼応する…それだけならば私にも出来るし、恥ずかしくないかも。
「じゃあ、私はヴァンの言葉に応えればいいってこと?今まではヴァンが私を媒体にして魔術を使ってたけど、二人で一緒に魔術を構築する。」
彼の意図が分かってきた。私を魔術の媒体として扱うだけではなく、言葉によって魔術の行使者の一人になる…ということだろうか。
■ヴァン > .
「そうだな。魔術は相手がすぐ近くにいるかわからないから言葉で呼びかける。
俺達はすぐ近くにいるし、意図も伝わりやすいから詠唱がなくても戦うことができた。つまり、詠唱があればもっと強い。
まずは実例を見てもらうのが早いかな」
『大地の精霊よ、我が命ずる、起きよ』
木人の足元、地面のがぼこっ、と10cmほど隆起すると、木人が斜めになる。すぐに土は落ち、周囲に広がった。
移動中にあんなことがあったら間違いなく転んでしまうだろう。
「そう、俺の言葉に応える。魔力が伝わりやすくなったり、消費が抑えられたり……って効果が期待できる。
今やったのを分解すると……呼びかけ、理由、内容、って感じだな。
内容はやってほしいこと、理由は応じるわけ――取引とか命令とかだな――を示す。
一番難しいのは呼びかけだ。カゲハは俺にどう呼ばれるのが一番いいか、ってのが肝といえる」
二人で一緒に魔術を構築する、という言葉に感心したような表情を浮かべた。カゲハはこと戦闘に関して飲み込みが早い。
俺が言った言葉を拾っていけばある事実に気付くことになるが――ちょっと恥ずかしいから黙っておこう。
■カゲハ > ,
「…わっ!」
彼の説明を聞きながら、彼の実演に驚きの声が漏れる。
隆起した地面を興味深そうに眺めて──少しワクワクしてきた。
「私が大地の精霊さんみたいになるってコトだね!その詠唱だけで"どこに居るか分からない"精霊がここまでの力を発揮するなら…!」
彼の行使した魔術は些細なもの。今までで彼の魔術は様々なものを見てきた。故にその力の強さを知っている。傷を治療したり、気配や姿を消したり。
その力を私が行使するとなると…。
「呼びかけ…
うーん。私は自分自身のことを"魔剣"、それから東方の名で言うと"妖刀"。そう認識してる。
けれど、実態はそうじゃない。剣でも無ければ刀でもない変幻自在だし…」
自身の名前以外の呼称なんて考えたことがなかった。
「…応えるのが私なら、私がヴァンに呼ばれたい銘になるのかな?
…影?影の刃?影なる刃?私の銘はそれに由来しているのだけれど、光とか影とかの精霊さんと被っちゃうかな?」
そうなると、もっと考えたことがない。カゲハ、と呼ばれる事以外考えたことがない。
■ヴァン > .
「だから魔法を使う連中はいの一番に狙って、詠唱させないことが大事だったりする。
俺が戦闘中に詠唱している姿はあまり見たことがないと思う。大体は落ち着いた時、力を貸してくれた存在に祈りを捧げてるんだ」
カゲハに対しては感謝の言葉を述べたり、お菓子や食べ物を買ってあげたりが相当するが、あまり実感は湧かないだろうか。
魔術はギブアンドテイクだ。あまりもらう方に偏っては、今後の取引を停止されかねない。
「自分をどう認識しているか、は呼びかけの際に大事だったりする。
目標としている姿や当人が呼ばれたい名での呼びかけは効果が高いと言われている。
あとは、単に名前ではなくて、別名だったりその存在が司るものを示したり……」
全ての魂の源、無の象徴たる深淵、天空と大地を統べし者……大魔術で唱えられる存在を口にしてみる。
少女にあてはめるとどうなるか。
「影なる刃、影の娘、深夜よりなお昏きもの……
他の存在との重複はあまり考えなくてよいと思う。複数の異なる呼びかけをして限定する、ってこともある。
ヴァン、司書、騎士……みたいに」
影なる刃はオーソドックスだがこの少女の本質だと思う。あと一つ二つ、異なる呼びかけ候補があるといいか。
候補が決まったら刃破刃衝を木人にあてて、効果がどう変わるかを試してみよう。
■カゲハ > .
「う~~~ん。」
指を顎に当てて、首を傾げた。
自身の存在については何度も考えたことがあるけれど、結論が出たことはない。
人の姿として形成されるときは決まって少女の姿。武器。それから、何度記憶を失っても鮮明に覚えている、影刃という銘。
「影なる刃…が一番しっくりくるかも。私の存在は、事実としては意思のある武器。前の主の時の記憶が曖昧なのはヴァンに話したと思うけど、それでも私の"カゲハ"って名前は忘れない。
私は光に照らされない、つまり影…それが象徴としては一番あってると思うんだ。」
一言ずつ、考えながら彼に伝える。
「私からも、ヴァンが私をどう使うか詠唱をするのはどう?
私はヴァンから魔力を受け取ってる。その行動を詠唱にすれば、より魔力を効率的に吸えるんじゃないかな?」
と提案を踏まえつつ。
■ヴァン > .
「カゲハという名が本質なんだと思う。何があっても忘れない、魂に刻み込まれたもの。
一方で、カタナであるという点も意識した方が良い気がする。
名前からの連想だと暗殺者が使うような短剣、暗器となりそうだが、そうではない。
もちろんカゲハはそういう姿にもなれるが、ベース、自然体ではなさそうだ。太刀、打刀……」
東洋の流れを汲む点も重要そうだ。自分を顧みる、というのは大事なことかもしれない。
続いた言葉に一瞬身体が固まった。気付かれたか。
「そうだなー。俺達は念話ができるから、武器の状態のカゲハが語り掛けることはできる。
俺に最適化することで、より魔力を効率的に消費し、高いパフォーマンスを発揮できるだろう。
カゲハはすごいな。他人への身体強化で人相手に呼びかけをすることはあるんだが、そこに気付くとは」
平静を装うが、照れくさそうにしているのはうまく隠せているだろうか。
どう呼ばれるか、呼ばれたいか。身近な少女にばれるのは少し恥ずかしい。
■ヴァン > 【次回継続】
ご案内:「王都マグメール 平民地区/宿屋兼酒場『ザ・タバーン』」からカゲハさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/宿屋兼酒場『ザ・タバーン』」からヴァンさんが去りました。