2025/12/31 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」からラリーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」にヴァンさんが現れました。
■ヴァン > 平民地区住宅街にある酒場はこの時間賑わっているものだが、今日は数人しかいない。
宿泊客を除けば近隣住民が主な顧客となる店のため、彼らの生活様式に多大な影響を受ける。
多くの住民は夕食を食べた後、自宅に戻って静かに過ごしている。年越しと共に教会で始まる夜半課の礼拝のため仮眠をとる者もいる。
宿泊客でも冒険者は夜通しの仕事があったり、あるいは歓楽街でもっと楽しいイベントがあるのでそちらに向かっている。
商売にならんと、先程従業員を返したところだ。カウンターにバーテンダー服の女、その前に銀髪の壮年と黒髪の少女がいるだけだった。
「他の地区もそうなのかもしらんが、この地区は信心深い人が多いな……」
閉店の看板を掲げている訳ではない。どうせ客はこない。開業してからこのかた十年近く、ずっとそうだった。
男はスタウトを飲み、チーズを少しづつ口にする。
一人――ここ数年はそうではないが――静かに過ごしているのが、新年を前にした男の過ごし方だった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」にカゲハさんが現れました。
■カゲハ > .
「奇妙だよねー。年齢って区切りはあるのに、共通の年の区切りまでつけるなんて。
私にはこの信仰を理由にした商売文句にしか思えないよ。」
去年も同じことを言った気がする。
私は何も信仰しない。故に年末だから、年始だからと特別祈ることしないし、ましてやその信仰に準じたアミュレットだの、バカバカしいとすら思う。
でも、この信仰を理由に美味しいものをたくさん食べれるのは良いことだ。主の知り合いに、年末を理由にお菓子も貰えた。
主──ヴァンに習って、チーズを口にする。でも、彼と違って欲張りに、口いっぱいに。
…しょっぱい。
■ヴァン > 「生活は延々と続くものだが、どこかで区切りをつけたいものさ。
誕生日と違って新年や収穫の終わりは皆と――より多くの人たちと共有できるから」
去年も同じことを話した気がした。
俺は信仰をしている――正確には主教回帰派に属し、神殿騎士団の一員である。
だが、神は信じていない。少なくともヤルダバオートは。
あまり口外すると変人のように見られるどころか異端審問庁とやりあうことになるなので黙っているが。
「カゲハはこの一年、どうだった? 傍目には悪くない年だったと思うが。
……今度、時間を使って訓練をした方がいいかもしれないな」
目の前にいる黒髪の少女と知り合って何年になるだろう。すっかり身近な隣人――もとい、同居人だ。
とはいえ、彼女の心中を覗ける訳ではない。興味本位で尋ねてみる。
ふと、思っていたことを口にした。最近図書館の仕事や家の仕事、そして親友の伯爵絡みの仕事で鍛練をする時間が減っていたように思う。
■カゲハ > .
「区切りは他人に決められるより、自分で決めたほうが区切りを守れるよ。
……でも、それが出来ない人にとっては決めてもらったほうがいいかもしれないし、共通の区切りは必要なのかもね。」
水を口いっぱいに含み、飲み込み。口の中の塩分を流し込んだ。
まだチーズの独特な香りが口の中から鼻につく。
「知らないことを沢山知れたよ。ヴァンのことも、戦いのことも、それから、ご飯。
でも、その年の区切りで考えると、年々知っていることが増えて、真新しい事は減っているかも。
だからヴァンともっと訓練して新しいことを教えてほしいな。1人じゃ学ぶのにも限界があるよ。」
私は新しい事が好き。知識も物も、新しいほうがワクワクする。
だからこそ、年々真新しさが無くなっていくことには少し退屈さを感じるかも。
特に、主と一緒に居られない時間が辛い。彼と出会ったばかりの頃は、契約が無効になってしまうことを恐れて彼から離れたくなかったけれど、今となっては彼と離れたくない理由は別の理由になったと思う。
「…ヴァンはどうだった?今年もいろんな人に会ったでしょ?」
私が彼過ごし始めたの印象はこうだ。
騎士団の中でも、忌まれている人物。勿論、騎士団全ての人物からではないが。
それから、"私には言えない一時的な関係"の人が多い。これについては……なんとなく察している。
でも、そういった人々以外に、彼のことを好んで近づき、そして接している人もたくさん居ると知って、安心したような、嫉妬を感じるような。
■ヴァン > 「そういうこと。誰もができる訳じゃない。それでも区切りがあると安息を得られることができる。
収穫が終わるまで頑張った、今年一年無事に過ごせた、年度内に仕事が片付いた……とかさ」
先程から青カビ系のチーズを食べては微妙な顔をしているので、カゲハの前にフレッシュタイプのチーズを置く。
白カビ系も中のクリーミーな部分なら大丈夫だろうか。念のためバターナイフとクラッカーも。
「そうさな……今年は真新しいことをあまりしなかった気がする。
新しいことに出会えば出会うほど、知らないことが増えていくもんさ。俺が本を読んでいるのはそういう理由もある。
じゃあ、近いうちに詠唱の訓練をするか……」
カゲハは……少なくとも、俺ほどは読んでいない、と思う。職場の図書館にいる時は本を読んだりもしているようだが……。
詠唱の訓練。一見魔剣少女である彼女とは関係がなさそうだが、実は違う。
俺とカゲハは人刃一体――結びつきの強さが重要になる。俺や彼女が発動する“技”を用いる時には特に重要だ。
「あぁ、色々な人に会った。数年前まで世話になってた人とまた会うことになったり、仕事絡みで知り合ったり。
なすべきことが終わって区切りがついても、生活は続く。――時々眠ってもらうのは悪いと思ってる」
なすべきこと――過去の復讐。全てが終わった時に抜け殻にならずにすんだのは、この少女のおかげだ。
カゲハの言葉に少し含むところを感じ取ったので、ぽつりと付け足す。異性と会う際は少女に眠ってもらうよう頼んでいる。
少女の姿であり、精神年齢もさほど外見と変わらぬ娘に交合の姿はあまり見せたくない。実際どれだけ眠っているのかは俺にはわからないが……。
■カゲハ > .
私の前に置かれたチーズとバターナイフ。
食べ物に好き嫌いは殆どないけれど、そのクセの強さへの私の反応はしっかり彼に見られていたらしい。
色や模様は違うものの、同じチーズであることに一瞬警戒を示すものの、彼のことだ。今の空気感で私に意地悪をすることも無いだろう。
「そう、だね。本は好き。動物解体の本を呼んで、セカンドさんと実践して、もっとやりたいこと、知りたいことが増えた。
…でも実践してるときのほうが、体を動かしているときのほうがもっと好き。」
「うん、そーゆーのしたい。」
二人での実戦を含む訓練は、木人でもなんでも相手が必要だ。それ故手軽に…とはいかない。
新しいチーズを口に含めば──今度は少しだけ──口の中で転がした。
「意識を遮断するのは…別に、ヴァンにだって隠し事のひとつやふたつ、あるだろうし。」
彼が"アレ"をしている間、私の意識は完全に意識は途切れていない。だから、何をしているのかは察している。
…けれど、それを知っているとするのは不躾だというのは私にだって分かる。
「……区切りに意味はないって、私、言ったけど。ヴァンにだけ特別。
今年もありがとう。来年もよろしくね、ヴァン?」
気まずい話に逸れるのも良くない、ので、ちょっとだけ言ってみたかったことを言うことにする。
席の上で彼の方向に向き直り、握りこぶしを作って、突き出した。こういう握手みたいなコミュニケーションもあるって、これも本の…えっと、冒険譚で読んだ事。
話した通り、私は新しいことを、変化を求める。けれど、彼との関係は変わらないことを祈って──
ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」からカゲハさんが去りました。
■ヴァン > 「書を捨てよ、街に出よう……ってやつだな」
学習しても実践しなければ意味がない。
学習に一生を費やしてついぞ実践しなかった僧侶の寓話があった気がする。
「まぁ、な」
子供ではない、と彼女は主張するが、外見は十歳そこらの姿のままだ。やはり見せるのは避けたいと思う。
――とはいえ、もっと成長してしまったら俺の理性が崩れてしまうかもしれない。
「あぁ、今年もありがとう。来年も頼むぞ、カゲハ」
突き出された拳に、同じように拳を当てて――。