2025/12/16 のログ
影時 > そう。気乗りはしない。雇い主の縁者の伝手を辿る。昨今得た伝手にも伺いを立てる手だ。
脳裏に浮かぶ想定のひとつが正しいなら、打てる手としては効果的かもしれない。

だが、そこまではしたくない。そこまで話を大仰にしたくはない。己はただ気儘に冒険をしたいだけなのだ。
しかし、かくも不可解な動きが続くのは、疑念が絶えないのは気持ちが良くない。
でなければ、対処の手は一つではない。並行して進めるべきであろう。
直接的な攻め手が今後起きるなら、その全てが己一人のみに絞られる方が大変気楽ですらある。

「全く、つくづく荒事向きだなァ俺は。
 分かっちゃいたがァ……さーてさて。この時期にしか実らん霊草なんぞあったよなぁ、確か」
 
このホットワインとやら、存外悪くない。レシピ、作り方を分かっていれば己が家でも作れそうなのが良い。
酒の好みとしては赤くない方が、というのもあるが、この味わいは赤いワインの方がしっくりきそうだ。
この時期向きとメニューに出ていた酒の味に中々どうして、と唸りつつ、依頼書に目を落とす。
季節柄といえば、嗜好の片隅に置いておくに越したことはない。

この時期でしか生育しない薬草類だってある。
生育地域の厄介さ、難度次第で報酬も上がる。討伐系の依頼も美味く噛み合えば、事のついでと稼げなくもない。

雪山を知り尽くした魔獣を相手にしつつ、吹雪が止まない山中を歩く厄介さに耐えられるならば、だが。

影時 > 「おぅぃ、此れもう一杯呉れねぇかね。ついでにクルミもあればくれ。殻付きでかまわねぇーから。な?」

さて――酔いどれ、という程でもないが、ほろ酔い心地を装いつつ、ここでは暫し様子を見よう。
弟子の言い草、体験を踏まえるなら、こうした日常的に網を張っている可能性もよく踏まえるべきである。
気付けば空になっていたカップを持ち上げ、示しつつ近くを通りかかるウェイトレスに声をかける。

クルミをつまみとするつもりか。
飼い主の言葉に尻尾を「!」とばかりに立て、楽しみげに飛び跳ねる二匹に笑いかけて奥に向かう姿を見送り注意を払う。

網を張るべきは己でもある。分身と符術による式紙と。さて、どこまで対処等できるか――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/冒険者ギルド」から影時さんが去りました。