2025/11/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」に影時さんが現れました。
影時 > ――朝を過ぎ、昼を迎える平民地区。

通りは様々な人の行き交いが絶えず、露店に飲食店等、様々なものに足を止めるものも多い。
こういう処に“掘り出しもの”がある宣うものも居る。
何を奇貨とするかは個々人次第だが、露店に放り出された奇怪なものが実はお宝であった――というのは夢を見過ぎだろうか。
夢を見ずに働け、という声はさておき、市場の方を見遣ればそうした露店が多く集う空き地がある。
何もない空き地は空荷となった馬車停めや、下ろされた荷物の臨時集積場ともされるが、そこに幾つもシートを敷くものたちが並ぶ。
要らなくなった武器防具の売却や、自作の薬や装飾品の販売から始まり、それらを装った盗品を売るとも聞くが、さて。

「おおやってンなぁ」

少なからず人の流れがあれば、見に行ってしまいたくなるのが人情だ。
学院で朝早くからの訓練を監督し、それが終われば昼食を買い求めがてら平民地区の市場に向かう。
抱える紙袋の中から、適当に買った香辛料で味付けした肉を餡にして包んだ饅頭めいたものを取り出し、喰らいつつ露店を眺め遣る。
掘り出し物があればとは思うが、そんなものは適当に転がした骰子が一か六の目を出すのと同じようなもの。

だが、不思議と期待してしまうものでもある。何か地図とか、面白いものがあればなお良い。

影時 > (……あー。こりゃどう見なくとも、あれか)

見るものは品物だけではない。売り手の貌、身なり、立ち振る舞いも確認すべき事項だ。
こんなところで売るなよ……と云いたくもないあやすぃ者も、この露店の群れの中に混じっている。
ふと、歩みの速度を緩めながら観察する。
シートの上に並ぶ売り物含め、売り手の姿を頭の片隅に留めておく。盗賊ギルドに流せば昨今の窃盗沙汰とも照合できるだろう。
如何にも高そうな細工品やらどこかのお屋敷にありそうなものを剥ぎ取ったようなものをこんなところで売るんじゃあない。

「よし、次行こう」

んぐと。饅頭のようなもの――正直饅頭としか呼ぶほかない代物を口に銜えつつ、歩みの速度を戻す。
こういう場で刀でもあったりしたら笑う。
行きつけ、お抱え、馴染みの、と様々な枕詞を付けられる知己の刀鍛冶の作を腰に差していても、ついつい探してしまう。
良い刀は何本あってもいい。それが自分の力量、技量を満たせる程の品で、己好みのいかつさもあればなお良い。

ただ、やはり土地柄というものが出るのが武器というものだ。
如何にも古びた両刃剣、長剣、片刃はあっても重たげなファルシオン、中途半端な長さのものなど。
王国軍の第何師団から放出された、等と云う変な謂れを付けたようなものもあるのは、どういうことだろうか。

影時 > (まァ、都合よく……とはいかんか)

長剣の類は使えなくもない。物の良し悪しはさておき、まあ使えなくもない。
今使っている刀を手にする前、長物が欲しければ戦場での鹵獲品や迷宮内での拾得物を振り回していた。
使えなくなったなら投擲できて、最後まで働いてくれるような代物こそが最低限だ。
そんな私的基準(マイルール)に見合ったものは転がっているようだが、手に取って眺めるのも――無駄だろう。
良いものがあれば、見る目があるものは真っ先に買い上げるものだ。期を逃してはならない。

苦笑と共に肩を竦めつつ、喰い歩きしながら一通り眺め遣ろう。
満足し終えたら家路につくか、冒険者ギルドを経由してみるか。そう考えながら。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」から影時さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にイグナスさんが現れました。
イグナス > 「もー、ひと声。いやァ、おっさん、こりゃ高ェよ。なあ。」

休日の広場、賑わう人の中で、ひときわデカくて目立つ男が難癖付けていた。
正確には値段交渉――、なんでもありのがらくた市で、これを売れ、アレを値切れと言いまわって、笑っていた。
こっちの迫力に気おされたのか、高いと店主も思っていたのか、しぶしぶの値下げでよくわからない陶器を買う。
別に金が惜しいわけじゃあない、やり取りが楽しい。

「おう、ウン、掘り出しモン、掘り出しモン。よくわかんねェけども。
 ――さァて、これどうすッかね。」

小脇に紙袋を抱えて、中身をどうしたもんかと思案する。
どうせがらくた市の品物だ、いっそどっかに売り払ってもいい。値段相応の値が付くかは知らないが。
ついでに小腹でもすいてきた気がする。美味いメシ、なんかないか、――面白いものでもいい。
何かないだろうかと、視線をぐるりと回してみる。