2025/10/30 のログ
■ネーラ > 「なんと」
少し目を細め、魔女は控えめに驚いた。
この少年が作ったという。
しかしちょっと自らを振り返れば、そういうこともあり得ると思い直した。
人は外見ではわからない。
天才か、人外か。きっとそのどちらかであろう、と見当をつけた。
とにかく、良い物である。で、あれば正当に扱わねばなるまいと、襟を正した。
「左様か…私もまあまあ道具は仕入れたり、作るのじゃが、これらは立派じゃのう。」
素材も出来も、並ではないことを見抜く目はあった。
では、これと、これと、と、いくつかの品物を選ぶ。
「さて店主、まずこれらでおいくらじゃな?」
精力剤、何やら卑猥な目的用の塗り薬、一般的なポーション。
「できれば指輪も買ってみたいが、これらはどのようなことができるものじゃ?」
魔女の手の指に真銀の指輪が光る。
メガネのフレーム、指輪は高純度の真銀製。
首に下げたネックレスは魔力のこもった琥珀のもの。
そして身につけたニットのウールは、艶のあるシャンパンゴールド…金毛羊皮のウールによるもの。
みるものが見ればこれもまた尋常の女ではないとわかる。
■アシュベール > 驚かれる事はよくある。
そもそも、今は露店として簡易的な物を出しているが、本来は貧民地区に一つ、お店を持つ身。
大体、其処にやってきた相手は自分の事を店員だとか、先程の彼女のような奉公だと勘違いをする。
だから、驚かれた様子でも気にした様子は見せない。彼女が襟を整えても「其処まで気にしにないでいいよ~?」と、子供らしく緩い反応を見せるだけ。
「うへ。褒められるのは悪い気はしないかなー?
基本的に、品質より安さを注目してくれる人が多いからー。……勿論、渡した後のお客様の声はいい声が届くけどねー?
―――おー。それらをチョイスするってことは、もしかして、そういったお仕事の人かなー。もしくは、夫さんとの夜の営みか~。
……詳しくは聞かないけどねー。――お?」
冷やかすような、ちょっとした雑談も混ぜ込んで。
その最中に彼女が示したのは、宝石箱の中の指輪。
売られている他のものがちゃんとしたものだと分かる女性だからこそ、「ただの指輪じゃない」ということが見破られたのだ。
その中の2つ。赤色の宝石のようなものが埋まった指輪と、青色の指輪を手に取り――。
「やー、そんな大したことはないよ~? 大きなものを売ると目を付けられちゃうし。
ただ、外にある魔力を燃料にして、生活魔法レベルの炎を起こしたり。こっちは、水を出したり。そういった誰にでも使える指輪ってだけー。」
■ネーラ > 「おや少年。そんなことが気になるのか?ませておるのう?…加えていうと、私は独り身でのう?よりどりみどりじゃ♡」
少しだけ笑った。
「たとえば……」
アシュベールの眠たげな目を見据え
「…という可能性も、まあなくはないのぅ?」
話の焦点が、指輪に移った。
指輪の能力についてを記憶に留め置きながら、その使い道を考える。
「燃費次第じゃが、外から取り入れる魔力が少なくて済むなら、小回りが効いて良さそうじゃの。少し借りる。」
ここの指輪に起きた現象で、彼女には何ができるか。
右手の指に赤い石の指輪を通す。
外の魔力を取り込むことなら、文字通り呼吸に等しく行える。
二、三度、指輪の石の上に火種程度の火が起きるのをみる。
火がある、ということは、火の精霊があるということである。あるいは燃素と言われる燃える力が働くか、いずれにせよ。
「これを種火と観ずれば…」
火がある、それは火の精霊界に空いた小さい穴と言える。
そこから一つの精霊を引き出す。
「憩え」
指輪をはめた指を水平に差し伸べ、火種から分かれた火が雛鳥の形になる。
フェニックスのヒナ。
「なるほど」
視線を指輪にくれ、念じてその働きを止める。
青い指輪も同様にはめ、水の玉を指先に集める。これを純粋な水のパワーソースと見立てる。
今度はペーパーナイフ程度の薄い氷の刃にそれを変え、また魔女は念じると氷結の魔力の種に変える。
身の毛もよだつ深海の冷気の牙、小さなブライニクルに一瞬だけ形を変えると、この指輪の働きもオフにする。魔力の流れと動きからして、この魔女はもっと大きなものが組めそうな余力を漂わせる。
「…誰にでも使えるが、どう使うかはこのように。ここを起点にもう少し応用ができそうじゃな。面白い。両方買おう。」
■アシュベール > 「気になるのは、商売人としてねー?
――何せほら。ぼくのものを良いものだって見定められる人なわけだからー。どういった方法で使うかも、少し気にならないー?」
これが、例えばの話。これはどういったものなのか。と気になって聞いてきたなら、其処までは問わない。
しかし、相手は何かを説明するよりも先に其れを理解して、購入を決めた。興味が湧くのも仕方がない。と言わんばかり。
「勿論、プライバシーもあるからねー。詳しくは聞かないけどー。
……うん。元々、護身用とか~。魔力を使えない人でも魔法、魔術を使えるように、って考えて作ったものだからねー?
……流石にそのコアの部分が消耗品だから、外部魔力でだと1年ぐらいで使えなくなるけどー。
お客さんみたいな人ならー……自分の魔力を媒体にすれば、永続的に使えるかなー?」
そもそも、この指輪が魔力関係だと見破った以上、彼女はそういった事を出来るのだろうと考えて。
指輪を通した彼女が念じるのなら、少し強めのライターの炎のように、付けた指の少し先に火種が燃え盛る。
これは、埋め込んだ赤色の宝石が、炎の精霊の額から剥がれ落ちた古い魔力石を利用しているからなのだが―――。
「おー……?」
目の前で精霊を操る様子には、小さく声も溢れた。
指輪を媒体に、自身の魔力や精霊を利用して+の行動を作り上げる。
その手腕に、ぱちぱち。と拍手すれば、指に付けた9つの指輪がじゃらじゃらと音を立てる。
―――それが、売り物より何倍も凶悪な効果を持つ指輪なのも、彼女にはわかってしまうかもしれない。
「なるほどね~。そんなものまで呼び出せるなら、色々と分かっちゃうわけだ~。
うへへ~。まいどありー。ふたつでこれだからー……合計でこのぐらいかなー?
それと、まとめ買いサービスで、こちらのポーションをもう一本プレゼントー。
……遅い時間だったし、流石にもう他のお客さんは来なさそうだからね~。」
そう告げ、言葉通り、もう1本ポーションの入ったビンを手に取り、それらを割れないように頑丈な麻布で縛り、持ち運びをしやすいようにして、彼女に差し出そう。
■ネーラ > 「気にはなるのじゃが、できそうなことが色々思い浮かんでな。
まあ、私は魔術のオタクゆえ、面白いと思うと手が先に動いてしまう」
自虐的に身笑う目の端で、音を立てて見える9つの指輪。
一瞬だけ彼女の目の光が深くなった。
(剣呑じゃのう…)
「…とはいえ、その使い方じゃと、そのうち指輪ごと割れてしまうやも知れぬし、まあ限度問題じゃな。」
手際よく代金を払う。財布もバッグもないのにどこからといえば、胸の谷間に右手の指を差し入れ、合計分を四捨五入した額になるコインを一枚渡した。
おまけのポーションに感謝を述べながら、荷物をまとめていただいている。
助かる、と彼女は言って、両手でそっと抱えた。
「面白い店を構えてくれているお礼じゃ。…この辺でにわとこ商店という雑貨屋を営んでいる、ネーラという。お主は?別にお店の本体があるのか?」
彼女は品揃え自体にさらに興味を持った模様。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/露天市場」にアシュベールさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/露天市場」にアシュベールさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/露天市場」にアシュベールさんが現れました。
■アシュベール > 「お買い上げ決定しているから問題ないけどー。
ちゃんと、やる時はお店の人に言わないとそれはそれで怒られちゃうよ~?」
手が先に動いている。という彼女の言葉に、からからと楽しそうに笑う。
勿論、自分は其処まで気にしない。そもそも、それだけ緻密な魔術を使える相手だ。
魔道具を無碍に扱うことはないだろう。そう理解しているからこそ。
―――勿論、指輪を見る視線には気付く。まだ、何も言わずに。
「元々消耗品だからね~。指輪の本体も、ちょっとした加工の際に出来たインゴットの端材とか、そういったものを利用しているものだからー。
もし、使い心地が良ければ、また買いに来てくれればー? ――うへへー。まいどあり~。」
差し出されるコイン。胸の谷間に挟んでいたというのなら微妙な温もりでも残っていそうだが、はてさて。
そのコインが示す金額は四捨五入されている。つまり、お釣りが必要かな?と思い、小銭入れの袋を取り出そうとしたところで―――お礼。という言葉に耳を傾けた。
「……お礼なら、素直に受け取らせて貰うよ~? ありがとねー?
……おー、同業者さんだったんだねー? よろしくねー、ネーラさん。
――こっちは貧民地区で魔道具店をやってるよ~? けど、そっちまでこれない人のために、此処で露天も、みたいなー?
……だから、自衛のためにもこれぐらい用意しなきゃいけないわけ、だねー?」
自分も、店持ちだということと。此処に居た理由。そして、彼女の視界に止まった上級レベルの魔法を行使出来る指輪の意味なども、しっかりと伝えておこうか。
■ネーラ > 「大人げなくてすまんの♡」
ほんのりと色気を含んだ笑みでウインクした。
魔術談義でなければ割とライトなノリなのだった。
「……谷間に亜空間を隠してあってな?いちいち財布を持って出ると、意外と目立つからの。…それとも、何か期待したのか?」
ちょっと屈んで視線を合わせると、もう少し色気を出している。シナモンめいた香りの香水がごく薄く香り立つ。
「うむ、仕入れて売る方じゃが、自作も少々売っている。ふむ、貧民地区か。そっちは娼館のコネで行くこともあるからの。だいたいわかる。」
最近は世相が微妙によろしくないので、自衛を念頭に置かなければならない。
日々この町で商売をして生きているなら、最終的な自衛はきちんと準備するのが心得とさえ言えた。
納得であった。少年の言い分は尤もである。
「今日は時間がある。なんならその店まで随行しようか?一人より二人の方が安全じゃろう」
そしてまた、アシュベールが持つ9の指輪のように、彼女もその気配の中に、切り札を隠していた。
使役している病魔、そして淫魔。
ピッタリと次元に穴が開かないように封をしているが、何か威力を備えたものが隠れている気配が、少しだけ感じられるかも知れない。
■アシュベール > 「そのぐらいの茶目っ気があったほうが、商人としては良いと思うよ~?
今どき、頑固親父!みたいなお店はあんまり流行らないね~?」
と、彼女が雑貨屋の店主であることを聞いたなら、そんな風に素性を混ぜて、笑い話。
「――おー、その狭い部分に亜空間まで。ネーラさんは随分、立派な魔法使いなんだね~?
いやー?これが亜空間じゃなくて其処に本当に隠してたなら、奇術だったのかなーって思っただけー。」
単に、そのコインの出し方が気になっただけ。今はどちらかと言えば商売人モード。まだ、其処まで相手を見るタイミングでもない。
ボクは転移魔法ぐらいは使えるけど、空間魔法によるものの保管は苦手だからー。なんて、ちょっとした小言もぽつりと。
彼女が商売人であることも聞けたなら、なるほどねー。と、納得した様子だった。
平民地区の店はあまりにも沢山なため、少年は出向いたことはなかったようで。
「――おー、それは助かるよー。
……何なら、お店についたらお礼にもう1本、回復薬をプレゼントしよっかな~。ぼくの店。シャイターンの名物ー。
……あ。ぼくはアシュベール。よろしくね~?」
一瞬感じた不穏な気配。
それを特に言及することはない。触らぬ何かに祟りなし。
寧ろ自分を守ってくれる存在なら――なおのことだ。
その瞬間、指を鳴らす。それと同時にしゅるり。と、テントになっていた生地は一瞬で折りたたまれ、少年の後ろにあった大型の宝箱の中に、残りの用具がしまわれていく。
彼女ならそれが魔物であることがわかるかもしれない。――そしてそれを、先程の言葉の通り、転移魔法で何処かに送ったのも。
「――それじゃあ、お言葉に甘えてー。随行、お願いしますー。」
頭をゆるりと下げ、顔を起こせば。
そのまま二人で貧民地区に歩いていくことになるか――。
その後、お礼に渡した薬はエリクシール級のとんでもない薬。
それを見て、彼女がどう思ったかは、また別の話だろう。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/露天市場」にアシュベールさんが現れました。
■ネーラ > 「いやいや結構お茶目にやっておるぞ?近所の青少年の性癖をちょっと歪めたりとか」
それもどうだろう。
「奇術師になるには手がそこまで器用でないのじゃ。あと面倒くさいというのもある。」
店の名前と店主の名前、しかと覚えた。
少年が店をしまう手並み、そして箱。
常ならぬものをまたも感じる。いったいこの少年は、店主という程度なのか、そうではないのか?
しかし些事であるので、ひとまず忘れておく。
きっとこちらの何かも感じとられているのだろう。言わない気遣い、お互いに。
そうしてネーラはアシュベールと共に、貧民のエリアへと進んでいく。
帰りしな、関係者である娼館プリプリに行き、雑事を片付ける。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/露天市場」からネーラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/露天市場」からアシュベールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にティアフェルさんが現れました。
■ティアフェル > 寝坊して朝ごはん抜いた――忙しくて昼食を摂る暇がなかった――夜ごはん、まだありつけていない――結果、丸一日何も食べてない。
「お、お腹が………」
ぐきゅるるるるるる~………
「空いた………」
繁華街の賑わう人並みから少し外れた平民地区のとある路地の片隅。午後10時半過ぎのそこには空っぽの胃袋を盛大に鳴かせまくっている一人の女。空腹にふらふらして、思わず路傍に蹲り、膝を抱えるようにした上に顔を埋めて。
「やばい、ヤバ過ぎる……腹が減り過ぎて動けない、とか……」
乙女にあるまじき醜態。不覚、ダイエットでもないのにごはんを食べ損ねるなんてわたしとしたことが。
そう悔やみながら、脇を何の関心もなく行き過ぎる通行人に今のところ蹴られることもなく、道の脇で蹲って呻く情けない態。
急に冷え込んだところでちょっとした感染症が流行り、なんだか普段より忙しくなった日々。しかし、不眠不休で、とまで今は追い詰められていないので、こうして食事を抜いてしまったのはただのうっかりであるが。
それにしても、ぐうぐう腹を鳴らしながら動けなくなって道端で行動不能とはなんと不甲斐ないことか。
夜を迎えて気温が下がり、石畳の冷たさがじかに伝わって来て、くしゅんとくしゃみを零し、その弾みで大きく、ぐう!と腹も鳴り。なんて恥ずかしい女に成り下がってしまったのだ、と苦悩するが――本性は所詮ゴリラである。別段支障はないだろうことは、本人以外が知っている。
■ティアフェル > こうして路地で蹲っていると、なんだか路傍の石になった気持ちになる。本物の石ころならばこのまま蹴られてあっちへぶつかりこっちへぶつかり、とそれはそれで忙しないのかも知れない。
けれど、やはりただの人間だし、今は虫の居所が悪くて誰かれ構わず八つ当たりでもしたい、という危険思想な人物も通りかからないままだったので、ぐうぐうお腹を鳴らしながらも石のようで石じゃなくただただ、コンパクトにまとまっていたが。
わざとじゃなくってもそんな所に人がいるとも思わずうっかり蹴っちゃうなんて事故もその内起こるもんで――、
げしっ
「い、っだ……!」
後ろから歩いて来た通行人にそれこそ路傍の石ころよろしく、障害物として蹴っ飛ばされ悲鳴が上がる。
こんな所で丸まっていたのだから、それはそんなこともあろうものだが……完全に油断していたのでモロに食らって一瞬目から涙が。
「っくうぅぅ~……」
痛い。これは綺麗に入った。クリティカルなヒットに腰を抑えて鈍い痛みに唸った。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にスヴィチューナさんが現れました。
■スヴィチューナ > ようやっと学院での残業という名の無償奉仕終わって、
貧民地区の長屋へと帰る途中の保険医。
明日は月に二度の豪遊日、普段我慢している酒も思い切り(予算内で)呑みまくれるとあって
それはもうウキウキルンルンと言った様子で、少し浮足立ってもおり。
とはいえ、生まれも育ちも貧民地区のジモティーたる保険医は
そんな時でも裏道とか路地とか選んで歩く。
主に妙なヤカラに因縁つけられないようにだが。
そうこうしていたら、妙な塊めいたナニカを見つけてしまう。
よく目を凝らしてみると、何だか頭とか足とかありそうな・・・要はヒトめいた姿しているのに気づき、
もう少しよく見ようと近づいたところに、向こうから歩いてきた人がそれを蹴っ飛ばしたのが見えて、
逃がさないように立ちふさがろうかともしたが、ナニカさんが明らかに苦しみの声上げるとそっちに向き直り、
駆け寄ってとりあえずと、回復魔法(初期)をかけ始め。
「あわわわ、大丈夫ですか?・・・えとえと、万物の因子たるマナよ、活力に変じてこのものに宿れ・・・ぇ」
無事にかかったとしても、せいぜい痛みが引いて1ポイントHP回復するくらいの効力だが。
■ティアフェル > サビ残後に平民地区辺りも通りかかったらしい、以前知り合った……女性。
その前方で空腹で行動不能の上通行人に蹴っ飛ばされる回復屋。
こんなところで蹲ってるのが悪いのは悪い。
でもね? 一言ごめんくらい云ってもバチは当たらないと思うし、蹴られた方もやせ我慢して、いえいえ…とか云えるかも知れないじゃない……。
文句云ったろか、と意気込むが……スタミナ不足で威勢のいい声とか出そうにない。
そんな時に大丈夫かと声をかけられ、おお…世の中捨てたもんじゃない…かも…と薄っすら思っていれば。
「ぁ……、だいじょぶだいじょ……あれ?」
振り返って見ると、何か初等の回復魔法の気配とそれを行使している顔に見覚えがあるのに気づいて。
「あれぇー? その説はどうもー?」
微回復したようなので、少しは反応する余地も生まれたが。
ぐうぅぅ~るるる。
盛大な腹の虫にそれどころではなく。お腹を押さえて。ひもじいよう、と嘆いていた。
■スヴィチューナ > 「いえいえ・・・ってああっ!? その声はティアフェルさんっ!
よりにもよってヒーラーに向かって回復呪文とか、失礼だったかもしれないですが、
流石にあんなに苦しんでるところに、飲む回復薬手渡したりとかはアレでしたので。
・・・お腹空いてるんですか?じゃあ、とりあえずこれをどうぞ・・・
それで落ち着いたら、どこかで一緒にご飯食べましょう?
わたしも晩御飯まだでして、家に帰ってからと思ってたんですが、
誰かと食事一緒にするなんてご無沙汰なので、もし宜しかったらですが」
わたわたと慌てながらも、バッグから以前見たであろうチョコチップ入りクッキーとミックスナッツを
これも持参の大皿に惜しげも無く盛って差し出し。
ついでふんわりとした笑顔浮かべながら、食事の誘いしてみたが、
ティアフェルにつられたように、ぐきゅるると若干大きめな胎音響くと、あはははーとかバツ悪げな笑いに変わり。
■ティアフェル > 「えーと……確か……す……スーさんだ」
声で判るほど、彼女と深い付き合いはなかったような気はするが。
記憶力いいね、と呟きながら。ひさしぶり~と力なくひらりと手を振って。
なんだかひとりでいろいろ懸念しておられる様子に。
あははーと力なく笑いながら。
「いやー。なんだか分かんないけど、いいからいいから。気にしないで~?
おー……今日もまた大量に……ありがとー。
じゃあとりまいただくねー。でもこれはさすがに多いってば、こんな食べたら後なんも入らんて」
いただきます、と目の前にがっさり盛られたクッキーやナッツに笑いつつも、マジ腹減ってたのでありがたく手を伸ばして。
「ん~! うっま~い。五臓六腑に響くわ~。幸せー。
あは、ってかそっちもお腹、なっちゃってんね。スーさんも食った方がよくない?」
さくさくぽりぽり、とクッキーを二枚とナッツを何粒か齧りながらそう笑い返して。どうにか人心地つくと。
ふぃ~と息を吐きだし。
腹一杯になるからこれくらいで、とあとは大丈夫とごちそうさまして。
「ふー、生き返った……ところで、ヒールヒール、っと……」
蹴飛ばされてまだ痛みの残る箇所へ手をかざしてセルフで回復魔法を施すと。
「よし、復活!」
すくっと立ち上がった。