2025/09/12 のログ
■アンジー > 並の起伏の体にリムレスのメガネ、歩兵の服みたいな軍物のジャケットに、薄い布をがぼんとざっくりワンピ型にしたものを合わせている。
「ぁ、ちょいとそこゆくおにいさんっ、そこのおにいさんっ。おっまえだよっ。
そっこのおっまっえっ」
なんか変な節をつけてヒョイひょい歩いてくるやつ
■ブライト > 流石に治安も治安なので、身の安全を取ってまだ明るい娼館通りを横切ることに。
財布を抜かれるなど、多少のトラブルには事欠かないが闇の中で命を奪われるより断然安かろう。
派手な看板やぴかぴかと輝くカラフルな電光を見て
「……いつもここは別世界みたいだ」
男は素直な感想をぼやいた。
あちこちでは華美な服装や、見せつけまくった目のやり場に困る恰好で、日が変わろうとしていても客引きに熱心な嬢たち。
派手な髪に濃い化粧の若かったり妙齢の女性があちこち。
男はなるべく、そういうのを避けて早足で歩いていたがその辺の客とはまるで雰囲気の違う声に
「んー……??」
やっぱりか そう言いつつも無視を決め込む度胸もない男は力なく振り向く。
するとそこには、その辺の色気むんむんの少女おねーさん、おば……マダムとは一際異なる雰囲気のメガネの女性。
(酔ってるのかな???)
そういう距離感の近いタイプの嬢もいるのはいるが、何分独特な口調でついて来る。
歩みを止めれば、丸メガネで黒いクマが目立つ優男が首をかしげて呼び止める声に応えた。
■アンジー > 「んー理系の不健康イケメンか。うん、…イケる。いい属性持ってるねえおまいさん。でもここにくるってことは?」
客引きのくせに言葉の癖が強い。
別世界の中に聳り立つ違和感。
明らかにガチのフィクション愛好家の佇まいだが…
にやにやと、している。
女をハギ出しにしているタイプではないが、夜職の匂いはしているこの女。
「…おっと損はさせないよ。足を止めたついでに。もうちょっと明るい方に来ないかい?」
こっちだよ、と一歩下がると、にへら、とオタクっぽい笑みをしている、女。
「おう?もっとなに、この、MILFっぽいやつが良かったのかい?がーん!」
自分で自分の擬音を用意するタイプのやつ。大袈裟によろめき目の前を押さえている。
「でも心配はいらない。そういう人もうちには結構いる。どうすかぁ、プリプリっていうんですけどぉ〜」
※MILF=性的に魅力のある年上の女性、特に子供がいる女性
■ブライト > とても癖の強い口調に、男は数度瞬きする。この子は一体??
そして己の目元を見たのだろう。不健康 の言葉には、そんなにもか……と一瞬だけ白眼を剥いて想像を超える他者評価に落胆。
見たところ、その辺の男を相手取る夜のお姉さんとは異彩を放つ雰囲気……
直感ではむしろ、室内で書物を相手にしている姿がよほどしっくりくるような、そんな感じの人。
「参ったね。こんな夜になっても営業熱心なことで……」
あちゃー 引っかかってしまったか と、察する頃にはもう向こうのターンが始まってしまい。
それにしても特徴的というか、こういうギラギラした場には珍しい子がいるなと不思議に思う男は、
思わず己とは違うフォルムのメガネを見つめ。
「ボクはそんな女性をえり好みするような……」
ん?? と、思わず店外のパネルに目が行く。
見覚えのある人達のイカした感じの絵姿がでかでかとデコレーションされた額縁に収まっている。
彼女が……で、この子は……。 一致してしまう自分が複雑だ。
「プリプリ……可愛い響きのお店だね。だけど、本当にお世話になるだけの持ち合わせが今ないんだ。
…………ちなみに、君も……キャストさん……なのかい??」
パッと見、店内スタッフさんかと思うような、そういう艶事がイメージしづらいむしろ”知的さ”さえ感じる。
口調は独特だが、雰囲気から感じるインテリ気質に思わず目をぱちくりさせ。
■アンジー > 「徹夜明け系の顔を、拙者は知っている。お仕事でじゃないぞ?頭脳労働でだ。夏の入稿明けは太陽が黄色く見えるのさ……深夜になっても働いているのはなぜかって。そりゃあ、おちんぎんだいしゅきだからだよ。」
ブライトの視線を追う。
へえ、知っているのかい、と、頭の中に用意した営業文句をスパッと短縮した。
「ん、拙者にも値段はついてる。まあ取り立てて名乗るものでもないが〜」
上着のポケットから出した手には指貫グローブまでしている。
癖が強い。
「アンジーさんだぞ。ちなみにアンジーさんの絵姿は店内にあるんだ。
お前も客にならないか?」
メガネくいっ…だが持ち合わせがないという。
(先日、出勤途中のメイベリーンが言った
「物書きのアンジーパイセン」)
「無課金!無課金かぁ〜〜〜〜」
夏のお得なキャンペーンとか、入店ボーナスとか、もらえるSR絵姿とかそういうのないんだよなぁ〜〜
と、おでこをペチン、と叩いて、あちゃ〜〜〜と言いながら、明後日の方向を見ながらデカ目の独り言を言う。
「無課金だと、一緒にお茶を飲むくらいしかできない。だがアンジーさんは…ところで、さっき真っ先に見た絵姿、そういうのが趣味なのかい?」
壁にはアンジーを除くキャストと、最も年上のローズマリーの絵姿がある。
■ブライト > 普通の人間が聞けば、意味不明だ と置いてけぼりを喰らうであろう。
だが、男には学院に籠りっきりで創作物か否かの差異はあれど、時の流れすら気にする暇もなく文章に打ち込んだ時期がある。
「まるでボクの学生時代みたいなことを言うじゃないか……」
如実に感じる文化系のニオイ。それも、とびっきりディープな。
彼女の纏う雰囲気の答え合わせが概ねできた気がする。媒体は知らないが物書きの住人だと。
だが、ここでこんな夜の仕事をしてる事との答え合わせがイマイチピンとこず。
「アンジー……。……ああ、君かあ!なるほど、聞いた通りだ」
この間、一緒に話した小柄で可愛らしい娘……メイベリーンが自慢げに話していた同僚だ。
娼館にそんな内気で控えめな娘が勤めているのかと気になったものだが、想像と実態のギャップにやや面食らった。
「課……金??」
確かに、嬢に金を入れるから間違った表現でもない。それにしても、言葉のチョイスが随分とある面に偏っている。
恐らく、波長の合う客は限られるがハマればとことん”同志”として入れ込む男もさぞいるだろう。
「ボクってそんなに分かりやすいのか……」
恥ずかしさのあまり顔を覆う。反応するのは仕方ないだろうと言いたかったが、
ブライトは愛情こそ受けて育つものの”窮屈な”家庭がもたらす愛のカタチはぬくぬくしたものとは程遠い。
ゆえに、反応せざるを得ず。
「……どうだろうね?見た目だけでは知り得ない世界もきっとある……。
活字を通してしか得られない世界のように」
分かりやすい嗜好を誤魔化そうと目を泳がせながら、そこだけで決めてるんじゃない と言いたげに。
丸メガネを整え、その辺の男のような浅いレベルで女を選んでいない……と言いたかったが実際のところは果たして
■アンジー > 「…へえ…高学歴か……身を粉にして働く、ノーブレスオブリージュってやつ?激アツ。
アンジーさんもまあまああるんだ。学院卒だぞ。」
水商売の流れ優先の会話でなく、知識と手札をスパッと出し続けるタイプの、会話。
「またはサークル”アリノトワタリ”主催でもある。アリノトワタリっていうのは…ま、いいや。」
そう、課金。
嬢にお金を払うんだ。課金だろう。
アンジーは堂々と言った。
課金をしていくと筋書きのないドラマが進むんだ。
おまいさんにガッツがあればシナリオはいくらでも進むんだぞ。
まあどのキャストにもシナリオ(げいふう)ってのがあってさ。
メイベリーンは恋人プレイだろう。シルキィは甲斐甲斐しく尽くすし、マダム・ローズマリーは水も甘いも噛み分けたDe luxeな熟女だ。
街路を照らす壁面の灯りを逆光にして、この遊びについてすらっと説明をする。
「ま、性癖で選べばいいんだ。心が勃起する方を選ぶんだ。
……分かりやすいっていうか、おまいさんの雰囲気から帰納しただけさ」
このへんだろ、と、マドレーヌとローズマリーさんをふるっと、壁沿いにまるで囲み。柔らかい包容力。
「だがどっちも予約でいっぱいさ」
なお、彼女はマドレーヌのオフを知らない。だからブライト氏が縁を備えていることも、わからない。
そしてアンジーはいう、見た目だけでわからない心があるから、風俗ってのは面白いのさ。
拙者だって見た通りの人間ではないのでござるよ、と、ふっと目を細めながら鼻で笑う。
しかしその、見た目ではわからない心の一つに、目の前の彼が触れているとは彼女は知らない。
■ブライト > 「へえ、あそこを出ているのか。相当頑張らなければ厳しかったと思うけど……やるね」
なのにどうしてこの仕事を?? と思わず続けそうになったが、ぐっと呑み込む。
患者の地雷に触れない会話術で培った、余計な一言を言わない技術。
娼婦という仕事を下に見るつもりはないが、不本意な事情があったのかもしれないと、
彼女のプライドを意図せず傷つける結果とならぬよう、その学を褒め称えた。
珍妙な雰囲気だが、彼女にも波乱に満ちたストーリーがあったのかもしれない。
または、今もその真っ最中か。
「なるほど……こういう世界は勉強不足だった。接し方にもキャストさんそれぞれのやり方があるのか……」
(あんまりな客相手でもそれを貫き通すのは相当来るものがありそうだ……)
そうか、それで”演技”めいた部分も求められるのかと。想像以上にハードな世界だ。
男娼として修行する少年アメデオにとってはあまりに過酷かもしれないが、この仕事でもいい意味で欺ける程になれば
舞台の上では怖い者なしになるだろう……。
心配も混じるが、ほうほうと感心して嬢の解説を聞き入る男。
「だろうね」
力なく、彼女達の魅力を考えれば仕方のないことだと頷く。
だが不思議と嫉妬は湧かない。
男は知っている。彼女達は己の経営する診療所の大事な患者の一人でもあり、仕事を離れた”個人”同士の付き合いもある。
「…………立ち話をしていたら、喉が渇いてきたな。
本当にちょっとだけ……で帰してくれるなら」
歩きっぱなしな事もあり、膝を痛そうに擦りながら。
ちょっとでもくつろぎたい……ホント、歩いて帰る余力を残す程度に休憩出来たらいいなと。
彼女達が語る目の前のアンジー、そして彼女の口から語られるプリプリの世界。
話を聞けば聞く程面白い光景が浮かんできそうだと。
■アンジー > 「ま、天才ですから?」
凡人である。
「それにしても拙者のこと、誰から聞いたのやら。もしかしてすでに客的な何か?」
彼が喉元に言葉を収めたのを見た。アンジーに大した地雷はないが、その気遣いはGOODでござるよ。
アンジーとメイベリーンは酒を飲む友達だけど、たまたま診療所の話はしていない。
「そう。自分をエンタメにしている。会いにいく以上のことができる、アイドルだ。」
アイドル、それは感情労働。彼の懸念もその通りで、だからこそ、心がひしいで限界を迎え、辞すものもいる。そういうものは診療所に治療を求めにくることもあろうから…。
この店に立ち続けているものは、サバイバーである。
「この世は舞台人間みな役者。全部キャラの肥やしにして”ここ”で張るわけ。私もな。」
一人称が変わった。
「…いいぞ。お茶くらいなら淹れてやろう。お前について来れるか。ついてくるがいい。」
また微妙にキャラが変わっている。
「中にキャストのパンフレットとか拙者の新刊もあるから読んでね♡」
なんか言った。
そうして、待合室ではなく、スタッフ用のバックヤードに連れていかれる。
お店の裏口から入ると、客を受けてキャストの部屋に連れていく仕組みを外から眺めるような心地がするだろう。
「情報誌の取材とかもあってさ。内容のチェックとダメ出しは私がちょーっとやってたりするわけ。ご意見だけね。」
お茶に目薬入れちゃおうかなー、とか言いながらお茶入れに立つと、二階からベビードール姿で降りてくるメイベリーンの後ろ姿が見える。
もちろん目薬は入れない。そしてお茶を手に戻ってきたアンジーは意外と弁が立つ。セックスなしの会話だけで帰るオタクもいるくらいで。一通りお店のシステムとか、近所との関わりについて雑談しつつ。ある程度、お休みいただいて、返すことになるかと。
ご案内:「王都マグメール 真夜中の平民地区」からアンジーさんが去りました。
■ブライト > その真偽については触れずにいた。
学部が違えば評価尺度は変わってくる。
本当に稀代の天才として今も学院に名を残してるかもしれないし、そんな事はないかもしれない……。
「会いに行く以上、か。上手い言い方をするね」
常人には普段、真っ当な手段では味わう事の難しい体験を金で買える。
少し……どころで済むかは分からないが、我慢の蓄積で手が届くのだからまさしくアイドルなのは違いない。
だが、人気商売ゆえの気苦労も絶えない。水商売の闇の面も色濃いハードなお仕事だ……。
それでも、診療所ではみだりに客を悪く言わないのは仕事への矜持を持っている故。流石である。
(……ん??彼女も??)
肥やし その言葉には目を丸くする。
役者はまだ分かるが、彼女は一体??
物書きのようであったが、まさか官能小説や耽美ものを描くとは露知らず。
「そ、それじゃあお世話になるよ……」
ころころと変わる語調の切り替わりに若干の置いてけぼりを感じつつも、随所で受ける説明からは知的な印象を受ける。
ふと、店内に目を向けると見覚えのある少女の後ろ姿が。
こんな時間まで……と、頑張ってる彼女達の姿を内心で応援しつつ、アンジーと様々な会話を楽しんで娼館らしからぬ時間を過ごしていくことに。
……案外、身体より言葉通りの”会話”の方が自分には丁度いいかもしれない?
ご案内:「王都マグメール 真夜中の平民地区」からブライトさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にイグナスさんが現れました。
■イグナス > 冒険者ギルド、昨日の冒険の報告後――財布はなかなか、あったかい。
ふんふんと男は上機嫌だった。さあて、美味いもんでも食うか、カジノにでも繰り出すか。
宵越しの金は持たぬのである。
「――さァて。それはそれとして、だ。」
冒険者ギルドから出たところで、ザバーーってバケツをひっくり返したみたいな雨になった。
曇天。さっきまでそれなりに晴れ間も見えたってのに、すぐさまこんな状況だ。
なんとか駆け抜けてしまおうとした人たちが、びしょぬれになって水たまりにコケる姿を見て、自分はやめとこうかなァ、と。
「ッてもなァ、……これいつ止むンだ。」
ぼやいた直後に、ぐぅうう、って腹の音が鳴る。
どうやら、カジノとかより身体はこっちを所望らしい。
ぐぬ、とうめき声一つ。