2025/08/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」からラリーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にティアフェルさんが現れました。
■ティアフェル > 葉月が終わろうとしても秋の気配など微塵もなく、日没後もまだじっとりと纏わりつく様な暑さだが、その廃屋の周囲だけは何となく薄暗く、陰気に感じられる。
そこは平民地区の片隅にある、廃教会。
かつての聖域は打ち棄てられ、信者も管理する者も一切なく、近づく者すらほとんどいない。
その廃教会に用があるものと云えば、他者の眼を厭うようなこと目的とした者くらいである。例えば、闇取り引き、後ろ暗い算段、あるいは――内緒の危うい密会。
「ったくー……。んなとこで逢引きとか……何考えてんだか……」
教会の敷地を囲う柵が一部破損している箇所を見つけて、そこから潜り込みながら、嘆息交じりでぼやきながら訪れた女は――残念ながら、密会でも取引でもない。逢引きは一番ない。
ここで逢引き目的でやって来た、やんどころない立場のご婦人が落とし物をしてきてしまい。それを探して回収してきて欲しいと依頼されたのである。
壊れた鉄柵の間を潜る際にスカートの端を引っかけてしまい、舌打ちしながらほつれないように外し。教会の礼拝堂に続く門扉へと進み。
ギィィ――と軋んだ音を立てながら錆びた扉を開いて中に入ると、埃っぽく薄暗い礼拝堂の内部に眉をしかめ。
「ここでデートねえ……ぜーったいごめんだな、わたしは……一部のお貴族様ってのは何が哀しくてこんなところでいちゃつくんだか……」
肩を竦めながら、雨漏りで一部腐り、ぎしぎしと踏むたびに不安になるほど軋む床を歩きながら、ついつい静まり返った室内の陰気さに独り言が零れる。
「うぐいす張りかっての。……ええっと……どこら辺に落としたの、かな……?」
■ティアフェル > ぎし、ぎし、と歩くに合わせて鳴る床にそこはかとない不安を覚えながらも、入り口から奥の祭壇の方へ進みながら並んだ信徒席の間を覗き込んで、貴婦人の落とし物を捜索し――、
「あっ……」
中央部まで進むと、埃の積もった床の上に違和感――鮮やかな色が小さく光って、あれかも、とそちらへ一歩踏み出した、途端。
べき!
「えっ?!」
めきめきめきっ……!
「ぎゃあっ!?」
踏み込んだ右足が床を踏み抜いて、べきべきと腐った板をぶち折りながら膝まで――嵌った。
「うっそ! もぉ…! この腐れ床ー!」
足にささくれが刺さって地味に痛い。とにかく足を引き抜かねば、と無事な左足に力を入れて右足を持ち上げようとした、が――、
ばきめき!!
今度は左足の床が抜けて、両足とも嵌った。なんならそのまま腰元までずぽっと床に嵌り込んだ――。
「嘘でしょー!! ちょ、あっ…!! えぇぇー…!? ぬ、っけな……いぃぃぃー!!?」
ぎちっと綺麗に嵌り過ぎて軽く床材に挟みこまれ、床に手をついて引き抜いて行こうにもその床も大分腐っていて下手に力を入れられず……で、出れない……。情けない……。
■ティアフェル > 「もぉぉ……うそでしょぉ……」
やっぱり情けない声を出しながらよいしょ、どっこいしょ、よっこいせー、と悪戦苦闘。
すっぽり嵌まった床から抜け出そうと足掻いて、足掻いて。
――小一時間ほど頑張って自力で抜け出し……ひどい目に遭った……とぼやきぼやき。脱出するとさっさと依頼をこなして教会を後にするのであった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からティアフェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にブライトさんが現れました。
■ブライト > 【平民地区の大通り 夕刻ごろ】
平民地区では個人で経営している小規模な診療所がちらほら存在する。
そのうちの一軒、ブライト診療所にはCLOSEDと書かれた掛札が下がり、本日の営業は終了している風に見える。
「これは、冒険者ギルドに相談かなあ……」
あるカルテに目を通し、診察室で遠い目をする丸メガネの男は小声で零す。
病院 と呼べる程のしっかりした設備ではないが、風邪や熱・虫や魔物の毒程度なら何とかなる。
もっとも、冒険者の間では解毒薬などに精通している者もいて自己対処する者もいるようだが……
出所不明の怪しい薬によって稼業に支障をきたしている者が頻出。
安いから とケチった結果、かえって高い医療費を払うハメになればこれに懲りて怪しい薬に頼る例が減ると嬉しい。
「ヒマがあれば、薬師の知り合いにも聞いてみようか。……ヒマであれば、ね」
閉店 という言葉の意味を理解してないのか、はなからこちらの事情など無視する駆け込みの困った患者が多い。
頑なとして締め出さず、押されて診察を請け負う彼も彼なのだが。