2025/08/29 のログ
■オルヴィ > 「んー…………あー……」
思考が鈍れば、だいたいまあ良いかで済ませてしまう場合がある。
いつもそうかもしれないし。そうでもないかもしれない。
くぴくぴくぴ。ぷはぁ。お代については困らない。買う段階で弁えている。
今日稼いだ金が上位の冒険者の稼ぎには負けるのは理解していても、己が分を踏まえた範囲で呑んでいる。そのつもりだ。
呑んで。もぐもぐつまんで。更に呑んで。――ぱったんぺたり。
「……呑んだー。食べたー……明日は休みで、いいや」
肉挟みパンも芋も食べ終え、残るのは半分くらいに空になった酒瓶と空になった杯。
根っこから先っぽまでじんわり赤く染まった耳をぺたんと垂らしつつ、上半身もまた卓の上にぱったり。
寮か無理なら酒場の上の宿部屋か。動けはする、だろうとは思う。
何考えているか分からない――とも偶に言われる顔も、たっぷり呑めば心なしか緩んでいる気がする。
知己でも居たら割られそうだ。もとい、笑われそうだ。
お金があるのも考えものだ。たまには羽目を外そうとすると、加減が分からなくなる。
■オルヴィ > 「……ぁー。まずい、かも。素直に部屋借りて、寝よう……」
それでもなけなしの理性は働く。それ位は残しておかないと帰れない。
ここがどういう場所で何が起こりがちなのもよくよく理解している。
卓上に残った皿と瓶と、この位だったろうか。ごそごそと取り出し、テーブルに放り出す貨幣の数に誤りはない。
呑み過ぎたお陰でへたりと撓った耳先を震わせ、のっそりと怠惰な猫じみた動きで身を起こす。
空の椅子の背凭れに引っかけた矢筒も弓も忘れない。
矢筒に数本入った矢も弓も名工の品とかではなく、店売りの品だけどひょいひょいとっかえるには安くない。
「勘定、置いておくよー……」
そう声を響かせ、ふわふわと欠伸をひとつふたつ。店の奥へと進み、奥の受付で寝床を借りよう。
一眠りして酔いが抜けたなら朝方、静かに密やかに本来の住処へと戻るとしよう……。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/冒険者ギルド」からオルヴィさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」にラリーさんが現れました。
■ラリー > 平民地区内のその小さな古書店は、わりと地区の中心の近くにありながらほとんど目立たず、立ち寄る者もそう多くない。
また古書店という性質上、商品の劣化を避けるために出入り口の向きなど日差しが殆ど入らない設計になっていて、店内は薄暗い。
そんな店の奥、接客カウンターの向こうで椅子に座って文庫本を読んでいる店番らしき少年の姿があった。
この店は少年の実家が経営しているもので、書類上は別の人間を立てているが実質的な店長は少年が務めている。
それ故、この店は少年にとって学院の図書館以上に自由のきくテリトリーである。
獲物となる対象が訪れれば、ほぼ確実に術中に囚われる羽目になるだろう。
もっとも、客足の少なさから獲物の出現は図書館以上に運任せではあるが…その時はその時、が少年のスタイル。
ただ静かに、読書に没頭しながら客の訪れを待ち続ける。
なお主な客層は通常の書店では見つからないような商品を求めるマニアックな本好きか、
遠方の客との本のやり取りの依頼を受けた冒険者あたりとなる。
少年の修理の腕はそれなりに定評があるため、そうした依頼もぼちぼちやってくる。
「…ん」
そうしていれば来客を告げるドアベルの音が響いて、少年はゆっくり本から顔を上げ
珍しく現れた客の姿を視界に入れた。
さてその客は少年の獲物になりうるような者なのか、それともなんでもない一般客か…。