2025/08/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/露天市場」にアシュベールさんが現れました。
■アシュベール > 普段、貧民地区に店を構える少年ではあるが、立地的な問題もあり、その魔道具が他者の手に渡ることは稀である。
そういう時、利用するのは平民地区の露天市場だった。
老若男女問わず、自分たちのとっておきの品を並べ、路を歩く王都民や冒険者に見て貰う。
店を持つ存在ではあるが、貧民地区の店の主が誰かの許可を取るわけでもなく、平民地区で商売をするにはもってこいの場所だった。
「―――今なら薬が安いよ~。
魔道具も売っているよー。」
喧騒の中では掻き消えるような、少年の小さな声。
しかし、僅かに魔力を含ませて、聞こえる人には聞こえるようにしていたりもする。
腰掛けた茣蓙には【SALE!】と書かれた木材の看板。
其処に並ぶのは、赤、青、緑。様々な色を持つ瓶入りの液体と、宝石箱に入った指輪が数個。
はたから見れば、外見年齢もわからないローブを纏った小さな男が売っている謎の製品。
しかし、例えばその相手が冒険者や薬に詳しい薬師等であれば―――。
其処に並んでいる道具のひとつは所謂ポーションであり、その品質が非常に高い事が分かるだろう。
他にも精力剤や、睡眠導入剤。色に合わせた効果を持つそれは、平民地区の薬屋で買うよりも、随分と安価である。
他にも、濃厚な魔力を宿す指輪が魔道具であり、少なくともこんな露店に並ぶものではないと気づける人もいるかもしれないが。
―――まずは手に取ってもらうことが大事。
そのため、少年は傍らに宝箱を置き、その中から取り出した鉱石を磨きながら、誰かの来店を待っていて。
■アシュベール > ローブ越しに空を見上げる。
―――蒸し暑かった日もこの時間になれば、というように涼やかな風と輝く月が紅色の瞳に映り込んだ。
未だ閑古鳥が鳴くが、それは貧民地区で自分の店に居る時も同じ話。
人が来なければちょっとした雑貨を弄ったりすればいいのである。
磨き終えた鉱石は赤々とした輝きを放っており、
この後、加工して指輪を組み合わせる事で、魔力伝達を助ける魔道具へと変化する。
流石に、この場でそういった錬金術士めいた事をする事はないが、綺羅びやかな鉱石を見て、何処か満足げな様子は見えるに違いなく。
さて、暫くは此の儘――。
普段行っている素材の加工や調整を行いながら、誰かが来ることを待つ事にしようか。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/露天市場」からアシュベールさんが去りました。