2025/08/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にケストレルさんが現れました。
■ケストレル > 「まったくよ、いつになったら終わるんだこの暑さは……」
昼下がりの冒険者ギルドに併設された酒場にて
ここ数日、騎士関係の仕事が立て込んだ所為で顔を出せずにいたのを取り返すかのように、散在するケストレルの姿があった
麦酒の入ったジョッキを片手に、茹だる様な暑さが続く外を一瞥しながら愚痴を溢す
「ま、暑いからこそ酒が美味いってのもあるかもしれねえけどさ……」
こうも暑いと日中は命の危機すら覚える時もある
冒険中ならともかく、王都内でただ歩いているだけなのに命のやり取りなんてしたくないのである
一刻も早く、暑さが和らいで欲しいと思う反面、
「……けど冬は皆着こむもんなあ」
夏の熱気と開放感から肌の露出が増す異性で眼福を得ているのも事実
一長一短だなあ、としみじみと呟いてジョッキを呷る
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」に夜宵さんが現れました。
■夜宵 > からん、と、鈴のような音を鳴らして扉が開く。
「―――― …。」
白に藤色が差す異国風の着物を纏っているからか、異国情緒が漂う。
それ故か、場の空気が一瞬だけ止まり、
昼酒に酔い始めていた視線が幾つか、こちらにも向かうだろうか。
女はその視線など気にせず人波に慣れた様子で、
まるで煙のように視線をすり抜けながら、
ごく静かに、カウンターの一角へ赴き、スツールへ腰を下ろした。
す、と。くるぶしが屋内光を受ける。滑らかな陶器を感じさせる肌が覗くか。
「……随分といい陽気だね。
でも、空気が乾いてて喉が渇く……何か、甘い酒をくれるかな?」
少年のような、けれど芯に女を滲ませた声。
酒場のマスターが少しだけ目を細めながら、
埃のかぶった瓶を数本、目の前に並べた。
近くの人と目が合えば、やんわりほほ笑んだか。
■ケストレル > 手にしていたジョッキを空にして、追加の注文を掛けようかと店内を見回した丁度そのタイミングで
新たな来訪者が扉を開くのを、視界の端に捉えた
あまり頻繁に見かけることは少ない装いに、自然と視線が吸い寄せられる
「――確か、東国の服だったよなぁ」
以前、東方の国が出身だという冒険者と組んだこともあって、その時に同じ様な服装だったな、と思い出す
そんな事を考えながらも、酒の追加は確りと忘れずに、給仕を捕まえると空のジョッキを渡した
ざわざわと俄かに色めき立つ店内を他所に、ふらりと自分の居た席を立つと、注文後の後ろ姿へと声を掛ける
「よっ、別嬪さん
依頼帰り……って感じじゃなさそうだな、君も昼間っから飲みに来たのかい?」
それとも夜職上がりだろうか、と思ったものの口にはせず
せっかくだから、隣よろしいかな?と軽い口調で続けて
■夜宵 > 女は一本、琥珀色のリキュールを選び取った。
その仕草に、異国の女が纏う雰囲気に、
物珍しそうに見やる人達とちらりと視線を交わすも、此方から声をかける事はなく。
程なくして、グラスに注がれた酒を、夜宵は一口だけ唇に含んだ。
「……ん、甘くて……でも、舌に刺さるね。
まるで誰かの情みたいだ」
彼女の横顔に、頬に、ほんのりと朱が差す。
視線は空のグラスの向こう、遠い何かを見ているようにも思えたか。
――して、喧噪の最中、卓に置いたグラスが人影で揺らめいた。
気配を感じ取れば其方へと視線向け、唇が静かに笑みを刻むだろう。
「そうだね……飲みたい気分だったのもあるけれど。
夜の喧噪よりは、今くらいの雰囲気が丁度良くて。
――君は、冒険者さん?」
何方かと言えば、女は雰囲気を愉しむ気配。
酒精を帯びた眼差しはやおら伏し目がちに、
彼が隣に来ることは拒まず、目線でどうぞと促した。
■ケストレル > 「なるほど、その気持ちは分からなくもない」
夜も夜で、賑やかで嫌いじゃないとは思うものの
たまにはそこまで騒がしくない内に飲みたい時だってあるだろう
うんうん、と首肯を交えて理解を示しつつ、女の返事を得てから隣のスツールへと腰を落ち着かせた
「ああ、冒険者のケストレルだ
割とこの辺りじゃ馴染みのある方なんだけど、見かけない顔だと思って声を掛けちゃったよ
君も、冒険者かい?」
新たな麦酒を注いだジョッキを給仕から受け取りつつ、問いに答えてから自らも問う
こんな時間にこんな場所に居るのだから、冒険者だろうとは思うけれど、
どこか自分たちとは異なる様な雰囲気に、興味を引かれて問わずにはいられなかった
装いが違うから、だけでは納まらない様な、何か
その正体を探ろうと、態度には気を付けつつもジョッキの酒を口へ運び喉を鳴らす
■夜宵 > 「そう。
昼の方が、君の言葉も聞き取りやすいから――ね?」
女は、水滴を纏ったグラスの模様をなぞり乍ら、
隣に座る彼の言葉ひとつずつに意識を寄せた。
うんうん、と頷いて、また一つ酒精の満ちたグラスを傾ける。
徐々に頬が染まるも、酔いが回る気配はなく――
「――…私は夜宵…冒険者、といえば、そう、かもね。
最近此方に来たばかりだから、あまり勝手が分からないんだ。
良ければ色々と教えて呉れると有難いな。」
ふと、自身の腰に下げた太刀へ視線を降ろす。
嘘ではない。日銭を稼ぐ必要は無いわけでもないが、
女にとっては富を求めると云うよりは、必要な分有れば良いといった体だ。
己が何処か浮世離れしている兆しは、あまり隠す気は無いらしい――
■ケストレル > 「ハッハ、夜はとにかく飲めや食えや騒げやで、
落ち着いて話をしようなんて方が少ないだろうしな」
まあそんな空気が好きでもあるからこそ、ギルドと顔馴染みになるほど足繁く通っている訳なのだが
―――それはまあ、置いておくとして
グラスを傾ける横顔を見つつ、ほろ酔い加減でふわつく思考を巡らせる
こうして言葉を交わせば分かる事もあるかと考えていたケストレルだが、些か考えが甘かったかもしれない
「夜宵さんね……なるほど、新参者ってことか
だったら、勿論俺で良ければ力になるよ
その代わり……と言うのも変だけど、夜宵さんの事を教えて欲しいかな」
話せば話すだけ興味が湧いてくる
単に相手が異性だからか、それとも異国情緒に魅かれるのか、酒の回った頭では判別がつかず、
もういっそ両者で良いか、と自分の事は早々に放り投げた
今はただ、彼女の事を知りたい気持ちと下心が先行している
「まず―――それ、キモノだっけ
東の方の服とは聞いてるんだけど、暑くないのかい?
そういう素材なのか……それとも何か仕掛けがあったり?」
装備の下に冷却用の術式を忍ばせる、とはよくある光景だ
けれどケストレルが知るのは革鎧などの熱のこもる装備での運用であって、彼女の服の様に布地であることは少ない
もし何か術式を使っているのならば、今の時期知っておくのも悪くは無いだろうと
■夜宵 > 「夜は賑やかさを愉しむもの、でもあるからね。
あれはあれで好きだけれど、私は何方かと言えば―ー
誰かと話したい気分の方が強かったし、ね。」
女の指先が湿った音を立て、淡く響く。
酒の席は気持ちを解きほぐしてくれる。
夜になればまた、違う色合いにもなるが、己としてみれば
今の方が心地が良い。其れもまた心の儘の選択のうち。
女は首を傾け、目だけでケストレルを覗き込んだ。
その瞳は、からかうでもなく――ただ、まっすぐに"興味"を映していた。
「これ、ね?反物はこう見えて肌触りも悪くないし、乾きも早い。
風通しも、意外と好いものだよ。
…其れよりも、君の方が聊か暑そうだ。」
特に魔の加護が有るわけでもない。
――しいて言うならば、女が腰に下げた刀が幾らか手助けをしている節はあるが、
構造看破でも出来ない限りは難しいだろう。其れとも、着物を着てみたいか?
なんて女は茶化してみる。
「――後は、なあに?
他にも聞きたい事があるなら――いいよ?」
夜宵は少しだけ、頬を緩めた。
人を試すような眼差しではなく、特別なことは言わないまま
けれどどこか奇妙な"間"だけを感じて、愉しんでいた。
■ケストレル > 「訪れてそんな日も経たない場所で人と話したいなんて、大層な物好きだねえ、夜宵さんは
冒険者というよりは旅人の方が近いんだろうな、ま、腕に覚えもありそうだし」
ケストレルの視線が一度刀に落ち、再び上がる
東洋の刀剣は細身ながらも切れ味は大層に鋭いと聞いた覚えがある
なるほど、今目の前に居る女に似合う装備だ、と何故か納得せざるを得ず
此方を見る紫紺の瞳に、何故だかそわりと心を撫でられた気がした
妙に落ち着かず、咳払いを一つしてジョッキを呷る
「へえ……タンモノ、ねえ
素材はシルクかい?コットンやウールにゃ見えないが……東の方の縫製技術もこっちとは大分違うらしいからなあ
……はは、これでも涼しくしてる方なんだけどな、俺は」
腕も脚も、冒険中は着けている部分は今は外している
着物を着てみたいかという茶化しには、茶化しと理解した上で少し興味はある、と認めて
生まれはともかく、この国で騎士の家系に育った故か異国の文化には惹かれるものがあるのは否定出来ない
「―――っ
後は、そうだなあ……どこから来たのかとかいつまで滞在してるのかとか月並みな――あ」
再び紫紺に見つめられ、背筋が微かに粟立つ
何だか掌で転がされている様な気さえしてくるが、気の所為だと自分に言い聞かせ
乱れがちな心音を落ち着かせよう、と
「そう言えば、キモノは下着をつけないって聞いたことが
今――夜宵さんもそうなのかい?」
酒も入ってる事だし、粗野な冒険者間であれば時折交わされる手の冗談
言ってから、流石に下衆かったか、と反省するものの、平手の一発でも飛んで来ればそれはそれでこの変な緊張も解けるかと半ば期待して
■夜宵 > 「――確かに。流れの旅人と喩えた方がしっくり来るのかも。
とはいえ、日銭は稼がないといけないのは確かだから――…
もし、ご一緒する事があれば、その時は宜しく頼もうかな?」
冒険者の登録をしてまだ間もないのもある。
勝手もよく分からないのだから、細かい事は聞いてみようかといった風情。
衣装の話を交えながら、手先でゆるく袖を揺らしては、
彼の衣装と比べて、確かにそうかも。と伝えた。
して、続く冗談めいた――下心の色に気が付けば、女はひと呼吸ぶんだけ目を伏せた。
酒の香に溶けた空気が、グラスの縁からふわりと立ちのぼり、
そして、口角だけでゆっくりと笑った。
まるで――問いの裏にある欲気そのものを舌先で転がすように。
「……ふふっ、君、随分と真っ直ぐに聞くんだね」
顔色ひとつ変えず、むしろ愉しげ。
その声音は相変わらず、少年のようにさらりとしていながらも――
言葉の隅に、女の艶が幾らか滲む。
「じゃあ、もし"つけてない"って言ったら、どうするの?」
少しだけ身を乗り出して、
卓の上に頬杖でも付きながら目線を合わせてみようか。
女の睫毛が揺れ、襟元からは白い肌と鎖骨が僅かに覗く。
言葉に刺はない。けれど、それは確かに、試すような挑発。
女の瞳は揺らがない。酔いもせず、ただ鋭く静かに、
男の下心にふわりと寄り添って――まるで、囁く刃のように。
そして、彼の眼差しが此方に吸い寄せられるのならば、女はきっとそれを見逃さない。