2025/08/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」にラリーさんが現れました。
ラリー > 平民地区内のその小さな古書店は、わりと地区の中心の近くにありながらほとんど目立たず、立ち寄る者もそう多くない。
また古書店という性質上、商品の劣化を避けるために出入り口の向きなど日差しが殆ど入らない設計になっていて、店内は薄暗い。
そんな店の奥、接客カウンターの向こうで椅子に座って文庫本を読んでいる店番らしき少年の姿があった。

この店は少年の実家が経営しているもので、書類上は別の人間を立てているが実質的な店長は少年が務めている。
それ故、この店は少年にとって学院の図書館以上に自由のきくテリトリーである。
獲物となる対象が訪れれば、ほぼ確実に術中に囚われる羽目になるだろう。
もっとも、客足の少なさから獲物の出現は図書館以上に運任せではあるが…その時はその時、が少年のスタイル。
ただ静かに、読書に没頭しながら客の訪れを待ち続ける。

なお主な客層は通常の書店では見つからないような商品を求めるマニアックな本好きか、
遠方の客との本のやり取りの依頼を受けた冒険者あたりとなる。
少年の修理の腕はそれなりに定評があるため、そうした依頼もぼちぼちやってくる。

「…ん」

そうしていれば来客を告げるドアベルの音が響いて、少年はゆっくり本から顔を上げ
珍しく現れた客の姿を視界に入れた。
さてその客は少年の獲物になりうるような者なのか、それともなんでもない一般客か…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」からラリーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にイヴさんが現れました。
イヴ > 煌々と明かりを灯す外灯が等間隔で並ぶ平民地区の広場は、賑やかだ。
夜間であっても待ち合わせに使われたり屋台を利用する冒険者がいたり、行き交う人はそれなりに多い。
深夜になれば閑散とするだろうが、まだ日が暮れて間もない時間。
空に浮かぶ無数の星空と、眩く白く輝く満月。
時折星が流れるのも、空を眺めていれば見られるかもしれない。

そんな広場の隅。木製のベンチに腰をかけた少女は困ったような表情を浮かべていた。
手には王都の地図。いつも出掛ける時にポーチにいれて、この広い王都で迷わないように持っているのだが。

「……ここ、どこ……?」

地図を何度見直しても、現在位置がまったくわからない。
分かりやすいように自分が世話になっている冒険者向けの宿にはマークを入れている。
記憶のない少女にとっては右も左も分からない光景が広がっていて、自分が今いる場所すらわからなくなってこうして広場に辿り着いて、休憩をしている最中である。

「うう……せめて特徴があれば……、似たような広場多すぎるよ」

迷子になって心細い気持ちに、不安と焦燥が過る。
これからどうしよう、と途方に暮れていた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にタマモさんが現れました。
タマモ > 今の時期、どうしても日中に動こうとする、そんな気は起こり難いものだ。
理由は単純明快、暑いから。
暑いのが好きな者も居るのだから、一概にダメと言うものでもないが…暑過ぎるのも考えもの、と言えるだろう。
と言う訳で、最近の活動時間はどうしても、夜が増える。
だがしかし、理由はそれだけではない。
夜ってのは暗い、暗いと驚かせ易い、驚かせ易いと楽しい。
まぁ、そんな個人的な理由もあり、今日も今日とて、こんな時間に行動している訳であった。

さて、そんな夜での行動だが、いつもの通り、行き先は決めていない。
気の向くまま、風の向くまま…何か見付かるのか、誰かに出会えるのか、何もないのか、それは運次第。

「………うん?」

とりあえず、毎度と言えるが、移動のルートは屋根の上。
とん、とん、と跳び移り、移動をしている…そんな最中、ふと、視線が向いたのは、平民地区の広場。
ぽつん、とベンチに座った一人の人影が目に付いた。
何かを広げ、それをじっと見ているようで…あれは、地図?それとも、何か用事の書かれた紙?
そんな事が、ふと気になってしまえば、それを確かめたくなるのは仕方のない事で。

とん、と今一度屋根を蹴れば、地図に集中しているだろう、そんな少女の背後。
ふわりと、音も無く着地する。
…え?それを確認するのに、気付かれずに行く必要があったかって?
いやいや、まずは挨拶代わりに、驚かせてみようという試みである。

イヴ > ふわりと金の髪を揺らす夜風。
ここで地図とにらめっことしていたところで道がわかるわけでもないのに、現在地と一致しそうな広場をしらみつぶしに探そうとする。
そうして集中していれば周囲にも意識が向かなくなり、ベンチに座る少女の背後に見知らぬ誰かが降り立ったとしても気付けない。
正真正銘の迷子。
今にも泣き出しそうに青い瞳を揺らしながら、なんなら時折鼻もすする音が聞こえるかもしれない。

小さな背中を丸めて更に小さくなっている子供めいた少女。
その無防備な背後から、まったく意識していないところに声をかけられるか、あるいは別の接触があれば、悲鳴のひとつも揚げるかもしれない。

タマモ > さぁ、いっちょ驚かせますか!みたいな意気込みで、わきわきと、指を動かし背後から近付く…訳なのだが。
その周囲から見た時の怪しさは置いておき、鼻をすする音に、はて?と、再び首を傾げる。
風邪気味…と言う訳でもないだろう、でなければ、そうなる理由は、それ以外の何か。

さすがに、そのまま直球で驚かせようか、との流れにするにはアレなので。
抜き足差し足忍び足、足音無く近付いていき、ひとまず、少女が何を見ているのかだけでも、確認しようと。
…そうして、確認は出来るのだろうし、それが地図である事も分かるのだから。
こうして居るのが、迷って途方に暮れている、と気付けてしまえば、ふむ、と軽く思案をした後に。

「こんな時間に、こんな場所で、可愛い女子が一人と言うのは、ちと無防備過ぎではなかろうかのぅ?」

ぽむ、と肩を軽く叩けば。
驚かせる、と言う方向から、とりあえず、どんな相手が確かめてみよう、と言う好奇心で。
そんな声掛けから、始めるのであった。

その声に、こちらに向いたのならば。
そこに見える己の姿は、大層変わった人物風に見えるものだろう、多分。
…いや、人ではないのだが。

イヴ > 「────っひゃぁあ!?」

ぽん、と突然背後から肩を叩いた手と、かけられた声に心臓が口から飛び出すかという程に驚きの声を上げた。
思わず飛び跳ねるような勢いで立ち上がって振り向けば、いつからそこにいたのか、背後に立っていたのは少女。
少女……というには、珍しい風貌。異国情緒のある珍しい服装に、長い髪の上から生える耳とか、腰回りにふっさりとした複数の尻尾とか。

「……み、ミレーの人?」

獣混じりにも思える風貌を見て、少女の思考を過るのはミレー族という種族。
この国では奴隷として扱われる立場の種族で、同年代や年下くらいの見た目の半獣っぽい人たちが、首輪をつけて働かされているのを、数度だけ見た事がある。
けれども、彼らのように虚ろな気配はなく、堂々と獣の耳や尾を出している様子に、潤みかけた青い眼を瞬かせている。

タマモ > 「お…おぉぅ…」

驚かせるつもりがなく驚かれると、むしろ、一瞬焦ってしまうものだ。
つい、己は己で、驚きの声が僅かに漏れる。

驚き立ち上がり、こちらを確認して何者かと思ったのは、その言葉を聞いてすぐに分かった。
まぁ、毎度の事だ、その想像していたものとは別物で、それを説明するのは面倒ではあるが…さて、どうしようか。

「あー…ちと…いや、かなり違うが、似たようなものじゃろう、そう思っておいてくれれば良い」

と言う訳で、少女から疑問の問い掛け等があれば、としておいて、簡単にそんな風に伝えておきながらも。

「して、妾の問いは………どうかしたじゃろうか?」

見た目がミレー族に近い、だから強くは否定しない、その種族を相手がどう思っているのかは、分からない。
ただ、目の前の己と言う存在を見てどう思っているのか…と言うか、興味を抱いているっぽいのは、見て分かった。
泣きそうだったのが収まったっぽいのだし、とりあえず、良しとしておこう。

気を取り直し、改めて手を伸ばせば、ぽむ、と改めて少女の肩に手を添えた。
今度は、逃げられる事はないだろう、きっと。

イヴ > びっくりしすぎてかけられた言葉のほとんどが頭に入ってこなかった、というのがまず一点。
数度目を瞬かせて、ミレーとは違うが似たようなもの、という返答には不思議そうな表情で首を傾げている。
とは言え、視線はふわふわの尻尾にいってしまうあたり、珍しさからつい興味深そうな視線を向けてしまうもので、ベンチを超えて近づく少女と目線を合わせながら肩に手を置かれれば、少しばかり困惑した表情を向ける。
ええと、何て声をかけられたのだっけ、と。
確か、こんな時間に何をしてるの的な。
そう思い返してから、手に持っている地図を、恐る恐ると彼女の方へと向ける。

「……その、実は、今どこにいるのか……わからなくなって」

迷子だと自白するのは少しばかり恥ずかしいものの、分からない時や自分で出来なさそうな時は人を頼る、というのも教わったこと。
もしかしたら、彼女がここがどこなのか教えてくれるかもしれないという一縷の望みにかけて、ここに行きたいんです、と王都の宿場通りの一件の宿屋、赤い〇がついた所を指さす。

タマモ > 声を掛ける前は、何かに集中してたっぽいし、声を掛けた後は、驚いていたのを考えれば…容易に想像出来るか。
己の言葉に、また困惑する少女を、じーっと見詰める。
と、そうして見詰めていれば、その視線がどこに向いているのかも、何となく分かるのがあれば。
こう、どこか自慢げにゆらりゆらりと尻尾を揺らしてみせた。

おっと、自慢をしてる場合じゃない、とりあえず、少女の言葉を待ってみよう。
と、そうした後に見せられる、少女が手にしていた地図と、その言葉で、少女の状況が分からない訳もない。

「あー…そうじゃのぅ、昼と夜との雰囲気の違いもあるし、分からなくもないじゃろうなぁ」

うむ、と頷きながら、迷っている事に、ある種の共感を示しながらも。
見せられる地図の一点、少女が示した場所へと視線を向けるが…あぁ、うん、一応は知ってる場所だ。

「ふむふむ、ここに行きたい訳か…んー…細かな道は分からんが、知っておる事は知っておるぞ?
確か、何と言ったか…名前まで覚えておらんが、宿があった場所じゃろう?」

知っているのは本当で、細かい道を知らないのも本当の事。
だって、普段は屋根の上を伝って移動しているのだから、実際に細かな道を通る行き方をはっきりとは知らないのだ。
さすがに、その移動方法とか細かい話は、まだ留めておくが。