2025/08/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にさんが現れました。
> 平民地区の片隅。街が夜闇に沈んだ頃にその魔道具店は開く。
知る人ぞ知るその店に、今日もまた一人、客人が足を踏み入れた。
カランカラン……。
軽快なベルの音が響き、店主が向けた視線の先には、ケープのフードを被った街娘が一人。
以前、一度だけ少女が訪れたことを思い出し、『いらっしゃい』と魔女は微笑んだ。

「……」

少女は軽く会釈を交わし、依然と同じく魔道具の並ぶ棚の前へと進んで早速品定めを始める。
前来た時は変化の魔道具ばかりで、少女が気に入るようなものはなかった。
暫く日も経ち、入荷されたかもと期待を抱いて、ずらりと並んだ品々を緋色が見つめる。
そうだ。先日、市場で出会った奇妙な子供から習ったことも試してみよう。

「……手に取っても、良いですか?」

カウンターへ振り返り魔女に尋ねると、彼女は微笑んだまま『勿論』と頷く。
許可はもらえた。それでは――装飾品は全部で5つ。
[判定値:0~3ハズレ、4~7当たり、8~10大当たり]
[5d10+0→1+3+5+7+10+(+0)=26]
> 左から、瑠璃色の置物、水晶のペンダント、タンザナイトのカフス、オレンジダイヤの指輪……。
――そして、レッドスピネルのブローチ。
一つずつ、左手の人差し指で触れて感じ取れるものを探る。

一つ目、瑠璃色の置物。
これは触れても何かを感じ取れる様子はなく、わかるのは弾かれている感覚だけ。きっと、相性が悪い。

二つ目、紫水晶のペンダント。
触れれば少し氣を吸われた感覚がする。ようく目を凝らすと、透明な水晶の中に赤い小さな光が宿っていた。
これは多分、魔力や氣を溜め込むためのタンクみたいなもの。使い道はあるかもしれない。けど、今は不要。

三つ目、タンザナイトのカフス。
青紫色の不思議な色をしたカフス。触れて、氣を流せば反発はないものの、不思議な感じがする。
気持ちが落ち着いて、空っぽになって行くような。
ふと、足元を見る。薄暗い店内で、己の姿が夜闇に飲み込まれかけていることに気付き、すぐに手を離した。
なるほど、これはそう言う類の道具か。

クスクスと聞こえた小さな笑い声に振り返ると、魔女が楽し気に此方を眺めて頬杖をついているのが見えた。
選び方も触ってみなければ判断できない未熟な己のせいではあるが、危ない時はちゃんと忠告してくれるのだろうか……不安だ。

> 残るは二つ。次はオレンジダイヤの指輪に触れる。
触れて直ぐに反応が見え、相性は良好とみる。軽く石の表面を指先で撫でると、ほんのりと温かくて心地良い熱が伝わってくる。
長く触れていると、少しずつ力が湧いてくるような。元気が出るような。そういう感じ。
気のせいかもしれないけれど、先ほどのカフスとはまた違う、心が満たされて落ち着くのを感じた。
これには、回復系の効果があるのだろうか?

中々、興味深い。これも気になったが、一番は最後のブローチ。
真っ赤な宝石が中央に埋まるブローチ。石は、ルビーやガーネットじゃなくて、レッドスピネル……と、ブローチに添えられたカードには書かれていた。
小さく深呼吸をして、そっとブローチを手に取り氣を込める。
その瞬間、胸が大きく高鳴り、熱が上がる。力が湧く。相性は、きっと今までの中で一番良い。
燃え上がる焔を、そっとランプの中に閉じ込める。そんな印象が伝わってくる……。

「……あの、この魔道具の効果を、お聞きしても?」

はっきりとした答えは出せなかったが、それは専門家である魔女に尋ねれば良い。
彼女がいるカウンターへブローチを持っていき尋ねると、にっこりと笑顔を返された。

『ふふっ、大当たり。
 術の効力、持続時間を上げるもの……。以前、貴方がここで探し求めていた魔道具よ』

「そう、でしたか……。貴女も、人が悪い。入荷してるなら、教えてくれても良いのでは……?」

パチパチと目を瞬かせ、少女はブローチと魔女を交互に見て、ポツリと呟いた。
小悪魔な笑顔の似合う魔女は、楽しそうにニコニコと笑うだけで、少女がブローチの代金を積み上げると。

『お買い上げ、ありがとうございます』

そう言って、またとびっきり綺麗な、見惚れるような笑顔を返すのだった。

> そうして、少女はようやく目当ての魔道具に巡り合い、ケープの胸元に赤いブローチを飾る。
どれ程効果があるかは、また今後確かめるとしよう。

嬉しそうに微笑む魔女へ小さく会釈を返し、少女は店を後にする。

カランカラン……。

ベルの音が鳴りやめば、魔女はまた一人で静かな夜を過ごした――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」に黒曜さんが現れました。
黒曜 > カランと音を立ててドアを開け、店内に歩みを進める。
今日も今日とて仕事をこなして疲れた体を労うために、
まっすぐカウンター席に歩いて行って椅子に腰かけると、
シェンヤン産の酒を頼んだ。

「……暑い。」

相変わらずの暑さに軽く肩を揺らす。
こればっかりはどうにもならない。
水浴びでもしたい気分だと思いながら、
差し出された酒を受け取りちびちびと頂いていく。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」から黒曜さんが去りました。