2025/08/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にオルヴィさんが現れました。
■オルヴィ > 雨の日に仕事なんてしたくない――と思うだろう。
誰だってそうだが、そうでないこともある。他人様の好みまではどうこう言うつもりもない。
でもやっぱり雨は苦手だ。顔に出ないとよく言われるが、気持ちがどうにも沈む。
――夜を迎える平民地区。
この時期は学院での休講が入るのか、余暇を持て余す学生がちらほらと出る傾向にあるらしい。
遠くから来ているものであれば、故郷へに向かう乗合馬車にこぞって乗り込むだろう。
街に住まいがあり、何か生業でもしているなら、それの手伝いに精を出すものだっている。良いことだ。
どちらにも該当しないなら、どうしたものか。帰る家もなく。戻る先もなく。かといって暇を持て余すのも何か好きではない。
「……、は。何処見てるのかな。気をつけてよ?」
おりしも強い雨が降って止み、また降り出す頃、ぬかるんだ通りを歩くフード姿のひとつがこぼす。
急ぎなのだろう。車軸の軋みも高く、水たまりを蹴立てて進む一台の馬車の驀進を躱し、飛び散るものに吐息らしく肩を竦めて。
返る言葉も何もない様を見れば、これまた肩を竦め、落すのは呆れらしい表現なのだろう。
文句を言っても仕方がない。目的地はすぐ目の前だ。平民地区にある冒険者ギルドのひとつ。酒場と隣りあわせのそれに入る。
時期が時期だからか。少年少女らしい顔も幾つか見える中、受付の順番待ちの列に並ぶ。暫し待てば。
「納品の依頼の報告に来たよ。……所定の薬草、毒草をそれぞれ十束ずつ。検品してくれるかな」
順番が来る。ケープの下、肩に担いだ鞄をごそごそと漁って取り出すのは厳重に縛られた布包み。
薄っすらと湿っているのは、雨に濡れたからではない。納品物の鮮度を保つためだ。
ケープのフードを下ろし、顔を晒しながら胸元を漁る。首に紐から下げた認識票を出し、名と現状のランクを示して確認を頼み。