2025/08/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 冒険者ギルド」にアビールさんが現れました。
■アビール > 先程ちょうど一緒に冒険していた仲間たちが報酬を受け取って、これから酒場に流れていこうとしている所。
一緒に、と言われたが、ゆるりと頭を振って。
「……私への報酬をその依頼で払おうとしたら、一銭も残らない。
今回はギルドからの斡旋だから、私の分はギルドからもらう。
だから、君たちだけでその報酬は分配するといい。」
端的にそう告げて、全員によく頑張った、とハグをしてから酒場へと見送る。
全員が併設された酒場へと消えた後、ギルド職員の窓口へと向かって、自分にこの仕事をあっせんした職員の前に腰を掛ける。
「……依頼通り。けがはないけれど、それなりに肝は冷やす程度には。」
今回のパーティはそれなりにイイトコロの坊ちゃん嬢ちゃんが集まっていた。
でも、全員学院生だったり卒業仕立で経験がない。
そこで、今回の仲間たちは知らない話なのだが、それぞれの親たちがギルドに掛け合って、戦闘力の高い者をサポートに付けるようにしたという訳だった。
そして、そういう依頼を受ける冒険者は幾人かいるが、今回は坊ちゃん嬢ちゃん達のプライドを擽りつつも、
危険を理解させることが出来る者、ということでアビールに白羽の矢が立ったという訳だった。
大体10人くらいまでは庇うことが出来る行動範囲の広さと、戦士としての能力の高さ。
挙句、そこまで危険ではない集落のゴブリンの討伐となれば十分だろうという判断で、
その期待に十分こたえたという訳だった。
とはいえ、依頼の性質上、今回は姉妹で受けるわけにはいかず、故に妹、アリージュとはしばらく別行動をとっていた。
ギルド職員から礼を告げられれば、職員が一旦奥へと入る。
特殊な報酬なので、カウンターのお金から払うわけにはいかないのだろう。
少し時間が空いて、ギルド内の状況を見渡してみるか。
■アビール > しばらくすると、職員が戻ってくる。
それなりに重みのある革袋がカウンターに置かれ、それを軽く持ち上げれば頷いて、そのままザックの中へと放り込む。
「……こういうのも請けるけど、次は出来ればアリージュと一緒にできる依頼の方が嬉しい。」
そう言葉にしてから、ありがとう、と一言付け加えて立ち上がる。
そういえば、アリージュは別の依頼を別の人と請けて王都を離れている。
離れていたのに、妹の状況を正確に把握しているのは、この姉妹の特殊性によるところ。
念話に似たような手段でお互いの状況を共有することが出来るのだ。
とはいえ、お互いの記憶を一言一句、映像も含めて共有できるわけではない。
ちょっと離れた所でも、話ができるといった程度。
ある意味、魔法でも十分解決できる程度のもの。
なので、アリージュを待つか、それとも軽めの仕事を一つ請けるか悩みつつ、依頼板の前までやってくる。
この時間なので、ロクな依頼が残っていないだろうけれど、果たして……?
■アビール > 「……この時間だと、割りの良くない採集、拘束時間ばかり長い護衛、お使いレベルの配送ばかりなのね。」
売れ残りの依頼などそんなものである。
だが、元々朝に強く精勤な方であるアビールは、朝早く依頼をゲットすることが多いためこんな時間の依頼板を見ることがなかった。
なので、この以来の数々を見てちょっとだけカルチャーショックを受けていた。
「流石に……これでは請けるものがない。さて、どうしようか。」
少し考えた。
そろそろ昼時だし、食事に行くのがまずひとつ目。
もう少しギルドに残って、何かないかを待って見るのがふたつ目。
「……みっつ目もなくはないけど。」
でも、そのみっつ目はアビール的には正直ない。
夜等ならともかく、日の高い時間から家に帰るという選択肢はないのだ。
■アビール > 今しばらく今後について考ええいたが、こくり、一つ頷けば
「……うん、まずはお昼ご飯。」
ランチに決めた様子。
掲示板の前から離れてギルドを辞して、屋台村の方へと消えていった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 冒険者ギルド」からアビールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」にラリーさんが現れました。
■ラリー > 平民地区内のその小さな古書店は、わりと地区の中心の近くにありながらほとんど目立たず、立ち寄る者もそう多くない。
また古書店という性質上、商品の劣化を避けるために出入り口の向きなど日差しが殆ど入らない設計になっていて、店内は薄暗い。
そんな店の奥、接客カウンターの向こうで椅子に座って文庫本を読んでいる店番らしき少年の姿があった。
この店は少年の実家が経営しているもので、書類上は別の人間を立てているが実質的な店長は少年が務めている。
それ故、この店は少年にとって学院の図書館以上に自由のきくテリトリーである。
獲物となる対象が訪れれば、ほぼ確実に術中に囚われる羽目になるだろう。
もっとも、客足の少なさから獲物の出現は図書館以上に運任せではあるが…その時はその時、が少年のスタイル。
ただ静かに、読書に没頭しながら客の訪れを待ち続ける。
なお主な客層は通常の書店では見つからないような商品を求めるマニアックな本好きか、
遠方の客との本のやり取りの依頼を受けた冒険者あたりとなる。
少年の修理の腕はそれなりに定評があるため、そうした依頼もぼちぼちやってくる。
「…ん」
そうしていれば来客を告げるドアベルの音が響いて、少年はゆっくり本から顔を上げ
珍しく現れた客の姿を視界に入れた。
さてその客は少年の獲物になりうるような者なのか、それともなんでもない一般客か…。