2025/07/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」からラリーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 廃神社」にキタさんが現れました。
キタ > 朝から神社裏の畑へとそこで収穫した野菜を籠に戻ってきた手水舎。
籠ごと水の中に沈めてしまえば、水の底の色とりどりの玉石と混ざって、
自然な緑や赤、紫色が映える。

食べるにしても一度冷やしてからの方が楽しめると手水舎からは桶を手に水を汲み離れよう。
柄杓を用いて灯篭や、参道へと水を撒いてゆく。
打ち水の類で少しでも森へ抜けてゆく風が涼しくなればいいと。参道の森の先に続く街中へと願いながら。

「ぁ……あとで糠床もかき混ぜなくては……。」

拝殿の奥にある物置で、冬に向け始めた漬物の数々を思い出し水を汲んでは撒いて、また組んでと森も健やかに育てばいい。暑さが少しでも和らげばいいと、涼し気な白と緋色は水を撒く。

キタ > 暫く打ち水に勤しむ。
陽はそろそろ真上に。今日の昼餉はなににしようかしらと、そんな軽い足取りで手水舎へ。
籠から取り出す野菜の冷たい事。そのまま拝殿へ戻る姿は楽しそうに。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2 廃神社」からキタさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 食堂の縁側」にスルーシャさんが現れました。
スルーシャ > 再び酷暑が勢いを増してきた頃の夕暮れ。それでも涼風が若干ながら漂うのはいささかの救いか。

「汗水たらしてご苦労なことねぇ。」

冒険者に偽装して大通りに面した食堂の外に設えた席に腰かけて往来を眺める。
ワインを傾けながら人々の帰路に至る姿、汗水たらして露店で勤しむ姿を眺める。

その中へ視線を送る。凛とした者。精悍な者。見目麗しい者。
一定以上の輝きを持つ者。その中で瞳に陰りを宿す者。

魔族の資産となるに相応しい人間。それを更に美しく磨き上げる為に”原料”を求めるように視線を巡らせて。

スルーシャ > やがて立ち上がり、尖兵となる者を認めて、そちらへ近づいていく―
ご案内:「王都マグメール 食堂の縁側」からスルーシャさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 大衆酒場」にジーラさんが現れました。
ジーラ > 本来なら本日帰還予定だった夫の部隊の帰りが数日遅れそうだと知ったのは、
先んじて王都に帰還していた彼の傭兵仲間より伝え聞いた話。
折角拵えようと思った夫の好物の煮込み料理も一人では到底手間暇掛ける気にならず、
結果として酒場にて一人晩酌をしつつの簡単な夕餉と相成っている。

宿屋が二階に併設された大衆酒場の隅のカウンター席。
むっちりと豊満な恵体をスツールに座らせ脚を組むのはラベンダー色の髪をした妙齢の女。
夫は余りこういった賑やかな店を好まないから、彼と訪れる事は無い店だったが、
こういった気安く旨い店の片隅は、女の好む場所だった。

「これとか、好きな味だと思うんだけどね……」

柔らかく大鍋で羊肉を煮込んだシチューの残りをパンで拭い、口に放りながら呟いた。
それとなくレシピを探って似たような料理を家で拵えてみようか。
喜ぶかもしれない、等と思いながら、杯になみなみ注がれたエールを傾ける。
本来は余り一人で飲むこともしないのだけれども、こんな夜だ。たまにはいいだろうと。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 大衆酒場」にゼランさんが現れました。
ゼラン > 「こんばんは。ここのシチューが絶品と聞きました。一人分、出して頂くことは出来ますか?」

大衆酒場兼食堂にやってきたのは、およそ場に似つかわしくない、小奇麗な、気取った風の男。店主に愛想笑いを浮かべ、まるでへりくだるように注文した後、カウンター席の隅にいる熟れた身体つきの女を目に止め、笑みを深くする。

「こんばんは。お隣、よろしいでしょうか?」

殆ど足音を立てずに相手へと近づいた後、僅かに顔を寄せて訊ねる。そして相手が許すよりも早く言葉を続ける。

「今日は実に恐ろしい話を聞きました。身分の違い次第で、人生が一変してしまうことがある、と。まさに、犠牲者は災害にあったようなものでしょうね」

そんなことを言いつつ、男は女から一旦視線を外して店主を見遣った。

ジーラ > 掛けられた声に、女は一瞬だけ視線を其方に向ける。
こんな良くも悪くも無い姦しい店に不釣り合いな身なりの客だ、と思ったのはそれくらい。

「ああ、どうぞ。御自由に。」

とはいえ、それ以上を詮索するでもなし、別に仲良く語らう道理も無く。
残ったパンで皿のシチューを綺麗に掬い、エールを傾けながら。
夫も数日間戻らぬし探索依頼でも請けようか…、などと考える。

隣の客はどうやら店主と話している様子。
盗み聴く気も無いが耳には勝手に入り込んでくるので、まあ暇潰しにはなるか、と。

ゼラン > 「ありがとう。……いや、ある傭兵団が任務を遂行していたのですが、事もあろうに、狩りを行っていた貴族の一団の馬車を破壊してしまったのです。純粋な事故だったようですがね」

店主に顔を向けて話す男は、女の隣に腰を下ろしながら微笑と共に話を続ける。

「しかも、狩猟隊を率いていた貴族は気性の荒さと傲慢さで有名な方でした。当然一触即発、というか傭兵団にとっては絶体絶命です。下手に逃げることは出来ませんし、狩猟隊に攻撃されたとて、反撃もままならない。後々のことを考えればね」

気の毒そうに眉尻を下げた男が、それでも笑みを保ちつつ続ける。

「結局どうなったと思いますか?傭兵団に属する、大変有能で責任感溢れる方が、責めは自分ひとりで負うと申し出て、争いを鎮めたのです。ケヴィン=オルツィクと仰る、立派な方と聞き及んでいます」

そこまで言い終えた後、男はゆっくりと女へ振り返った。

ジーラ > 店主と男の話す内容は、女の耳にも自然入ってくる。
一人黙々と思案に暮れ乍ら酒を傾けていれば尚更に。
雑然とした酒場の空気に耳障り良い隣の男の声はよく響いて聞こえた。

ただのBGMだった隣席の会話が女の意識の中に突如として介入してきたのは、
女が思い描いていた名前が会話にのぼったせいであったろう。

「――――……」

思わず隣席の相手の方を見遣れば、相手も此方へ視線を向けていた。
綺麗な顔立ちの男だった。矢張り、この店には随分場違いに思えるほどに。
だが、そんなことよりも。

「その話はどこから?」

女が問う。思わず口調に厳しさが雑じったが、致し方あるまい。

ゼラン > 「つい先ほど王城に来た早馬の使者からですよ、ジーラ=オルツィクさん」

悪辣にも完全な虚報、デタラメで女の注意を引いた男は、心なしか先程よりも深い笑みを浮かべながら相手の名前を呼ぶ。

「失礼。不躾でした。ですが、一部の人々の間で貴女はとても有名なのです。一個師団を任されるほどの高名な騎士。しかしその栄誉がたった一度の過ちで、ね」

途中で言葉を切った男は、まるで王城で高貴な人に面会した時のように背筋を伸ばした後、小首をかしげてみせる。

「そして、その後のことも。いささか食事の場に相応しからざる話題ですから、ここでは申し上げませんがね」

喉を鳴らして笑った後、男は女の瞳を見据えた。

ジーラ > 「早馬?何故その知らせをアンタが酒場の店主に話している?」

女には男の虚偽を見極める術が存在しない。
ただ、重要なのは男が女の知らない夫の情報を得ているということだけだ。
相手が呼んだ自分の名前に、そして続く言葉に眉を顰め。

「アンタが何を何処から聞いたか知らないが、私の話はどうだっていい。
ケヴィン=オルツィクについて聞きたい。それだけ。」

相手の慇懃さすら感じる態度に、女は対峙し、それだけを要求した。

ゼラン > 「貴女を探しに来て、ようやく見つけたからです。この場所で、ここまで事情を説明することになるとは思いませんでしたがね。仄めかす程度で、貴女に察して頂きたかったのです。その点はお詫びいたします。随分、貴族の流儀から遠ざかってしまわれたようだ」

眉を顰める女に肩を竦めた男は、用件のみ話せ、と言わんばかりの相手に頷く。

「結論から言いましょう。彼は無傷です。虐待も受けていない。ただ解放するにあたり、彼が貴族へのいかなる謀略も企てていないこと、王国に対する反逆の意思が全くないことを確かめねばならない。そこで」

慇懃な態度をほんの少しだけ崩し、椅子の背にもたれ、脚を組んだ男がもったいつけつつ女へ告げる。

「王城にて、ケヴィン=オルツィクの妻にことの次第を正し、彼の潔白が証明された後、王都に護送すべし、という次第になったそうです。そして偶然居合わせた私は、貴女を目掛けて平民地区を駆けずり回っていた、というわけですよ」

偶然、という言葉を強調した後、男は女を見てにやりと笑う。店に入ってきた時の爽やかな貴公子然とした態度は引っ込み、代わりに獲物をいたぶる猫のような表情が浮かんでいた。

ジーラ > 「そりゃあ察しが悪くて申し訳無かった。回りくどい話は嫌いなもので。
 騎士だって傭兵だって唯の雇われ身分だ。お偉方の流儀なんて知ったこっちゃない。」

それは真実であり嘘でもある。
女は貴族の流儀を知らない訳でもないが、そんなのは騎士としての教養に嗜んだきり。
面倒は嫌いだと言わんばかりのぞんざいな態度は、男共と渡り合う中で培ったものであり。
貴族にありがちな余計な無駄口は不要とばかりに斬り捨てる言葉は、欲しい情報が夫について、唯一つであったから。
故に、男がそれを掻い摘まんで話せば、女は漸く安堵する。小さく息を抜き。

「成る程。私を探して、偶然こんな店の店主に無駄話をしていた、と。それは御足労痛み入る。
 ま。夫の潔白の為の出頭なら勿論、請われれば今からでも出向くつもりだよ。」

男の表情に対峙するのは、此方もふんだんに込めた嫌味だ。
場違いな店でシチューを注文してる暇があったらさっさとこっちに用件を言ってくればいいものを、と言わんばかりの。
さぁ、どうしたらいい、と女は片眉を跳ね上げた。

ゼラン > 「なんともはや……かつては貴女も、いや貴女こそ、お偉方の側に立っていたというのに」

残念そうに頭を振る男。尤も、と胸中で独り言ちる。権威と威名を誇っていた相手だからこそ、自分のような悪辣な貴族たちが狙うのだろうが。

「良いお返事をうかがえて安堵しております。ならこの店を出て右側へ向かってください。黒い布で紋章を隠した馬車が停めてあります。御者に、ゼラン・サディールに会ったと仰って頂ければ、後は万事良いようにしてくれるでしょう」

と言っていたその時、気まずそうな顔をした店主が出来立てのシチューを運んでくる。笑顔で感謝の言葉を述べた男が、エプロンをつけスプーンを手に取り、改めて女に笑いかける。

「では、私はこれで。ケヴィンさんの件、上手く運ぶことをお祈り申し上げます」

ご案内:「王都マグメール 平民地区 大衆酒場」からゼランさんが去りました。
ジーラ > 「確かに傍には立っていたけどね。――それだけだよ。」

そう、権威の駒として楯として、剣として。
貴族の側にて権力を行使していたといえばそうなのだろうけど、
常に戦場に身を置いていた側としては一兵卒に毛が生えたようなものだ。
男の言葉に、女は頷いて…意外そうに瞬いた。

「承知した。…って、なんだ。アンタは一緒に行かないの。」

てっきり男が案内するのかと思いきや。

「ま。――情報感謝する。それじゃ。」

まあいい。女は席を立てば勘定を払い店を出る。
その後の女の足取りは、女のみが知ることとなり――…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 大衆酒場」からジーラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアイカさんが現れました。
アイカ > 本日の仕事場は平民地区。
老若男女、様々な客層が集まる酒場で艶やかに舞い、チップを弾んでもらったところ。
踊りを終えれば、火照った肌を醒ますように適当な飲み物を頼み、店の隅のテーブルにひとり腰かけ喉を潤しているところだった。

「……まぁ、こんなものね」

貧民地区の酒場よりは金払いも良く、リピートするには割と良いように思える。
富裕地区の酒場はほぼ行ったこともないが──何なら専属の踊り子がいそう。
そんなイメージを抱くまま、次はどこで仕事しようかしらと考えて。

「…冒険者稼業も、たまにはやっとかなきゃ鈍っちゃうかしら」

思えば暫くギルドに足を運んでいないような。
ふと思い至り、頬杖をついてうーん、と考えこむ様子。