2025/06/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 大通り」にスルーシャさんが現れました。
スルーシャ > 夕暮れの大通り。多くの人々が行き交う雑踏の中、一人の女性が歩みを進めていく。

合間を縫い、誰に触れることもなく、存在を気取られぬように歩んで風景に溶け込む。
道端の露店、酒場を開き看板を掲げる店主、談笑しながら歩いていく冒険者達。

「……今日はあまり目に留まるのがいないわねぇ」

旅装束に擬態し、魔力も歪めて人の波長に偽装し、しかしわざと一部漏出させる魔族の波長を
予め身に着けた呪具で更に偽装して。

観察するのは魔力、生命力、顔立ち、そして表情に浮かぶ迷い。
良い尖兵、奴隷、商品の質は心で決まる。
そしてその心は表情に、人相に現れる。

顔が良いだけの者は好事家に売る二流止まり。
芳醇な嫉妬、焦燥。そういった負の感情の中でも迷走する素材を帯びた者を歪めて仕上げて
刹那を生きる人間を商品として昇華させる。

ある時は本人の意思を残したまま。
ある時は本人の望みを叶えた果て。
ある時は本人の須らくを反転して。

王都にはただ顔立ちが良いだけでなく、退廃が蔓延る故に惑い悶える逸材が多く存在する。

己の手で染め上げて芸術的な商品とする。
ただの尖兵を編み上げるだけでは満足できなくなったのは染めて半身とした恋人の影響もあるのだろう。

「……レアルナほどの輝きは中々いないだろうけれど。」

そろそろ己が一流と満足できるほどの”商品”を造りたくなり、人間の中を彷徨って。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 大通り」にリリーさんが現れました。
リリー > 「それじゃ、今日はこれで……あぁ、気にしないで。
貴方たちは、冒険の成功を祝っててね。」

大通り沿いにある冒険者の店から出てくる一人の女。
その装いから戦士系なのだろうということは分かるが、得物が左右の手に持つ盾という時点で普通と違う。

そして、出てくる時に何か声をかけた様子から、今日冒険から帰還したのだろうことは予測されるかもしれない。
同時に、どこかのパーティに臨時に所属してのものであったこと。
また、特に疲労したり、怪我をしている様子もないこと、本人の所作、立ち居振る舞いから、新人のお世話をしていたのだろうということ位までは予測ができるかもしれない。


ただ、後ろに声をかけながら歩き始めたものだから、大通りを歩いているスルーシャに軽くぶつかってしまって。

「……っと、ごめんなさい。よそ見をしていたものだから。」

ぶつかってしまったことからスルーシャに向けるのは謝辞。
申し訳なさそうに、すまなそうにしている所からすると、いわゆる『いい人』なのは間違いないのだろう。

スルーシャ > やがて店から出てきた一人の女性に目が留まる。
顔は良い。そして振舞いを一瞥して、教導でもしていたのか相手への労いは彼女が上の立ち位置、
新人の引率か、腕利きであるのだろう。

(……へぇ)

軽く触れた瞬間に感じたのは強い衝撃。思わずよろめくがそこに体幹の強さを感じる。
得物は盾。それも両手。
接触した感じから前衛役として良く仕上がった、それも珍しいスタイル。
立振る舞いから感じられる人の良さに嗜虐をそそられてしまう。

「お互い様だから気にしなくていいわ。私はスルーシャ。私も冒険者なの。
 今ぶつかった時、両手にそんなものを構えてる理由も納得できたけれど。」

盾を一瞥する。それが伊達や酔狂で持ち合わせているものではないと、僅かに目を細めて名の立つ者であるだろうという敬意を言外に所作で示して。
同時に、言葉に淡い呪詛を乗せる。呪具で魔族特有の魔力を偽装しているのはその魔術のデコイとする為。

遅効性の印象操作。弱い代わりに感知されにくく、そして呪詛が蓄積していく。
目の前の相手への好印象を、積み重なり続ければ性別を越えた好感を持つほどに。

「引率か護衛だったのかしら。もし時間があるならすこしお話しない?」

人当たりよく微笑を浮かべて、貴女を冒険者の店へ誘って、酒でもどうかと。

リリー > 「そう言ってもらえると助かるわ……あぁ、自己紹介ありがとう。スルーシャ、ね。
私はリリー。リリー・ラステン。よろしく。」

お互い様だから、と言ってもらえれば少し安心したように。
そして、先の名乗りを受ければ、当然のごとく自分からも名乗りを返して。

「あぁ、これ、ね。珍しいでしょう?」

このような装備をしていれば、好奇の目で見られることにも慣れているのだろう。
そんな印象で返していく。
言葉に乗せられる呪詛は、それと気づかなければ抵抗をするはずもなく。
故に、ゆっくりとだが効果を示していくことだろう。

「ええ、新人パーティなのだけど、どうしても腕に余る仕事しかなくって。
だから、ギルド経由で引率依頼がね。
私はこういうスタイルだから、そういう仕事に都合がいいのよ。」

両盾のタンク役ともなれば、確かに新人の引率には最適だろう。
新人たちへのダメージを受け止めて、実際の攻撃は新人たちの経験にできるのだから。

「そうね……ま、今日は帰るだけだしいいわ。ご一緒しましょ。」

そして、酒への誘い。普段ならば初対面の相手にOKを出すことも少ないのだが、
先程の呪詛の影響か、それとも先程ぶつかった引け目か、酒の誘いを受け入れて、連れ立って別の冒険者の店へと入っていく。

スルーシャ > 「リリーね。可愛い名前ね。」

更にもう一つ持続型の呪詛を乗せる。己が紡ぐ肯定の言葉への交換を増幅する呪詛。
猜疑心が強い斥候型や魔術師には効果が薄い代わりに、面倒見が良く礼節を重んじる者には良く浸透する魔性。

「攻撃転用に対属性防御……、と言ったところかしら。
 ただの壁役なら選ばない、というか選べないけれど……、あの子達、多分あれで全員、
 一人も欠けていない上に大きな傷も負っていないのでしょう?」

あの子達、貴女がどれだけすごいことをしたのか気づいてるのかしら、などと漏らす言葉にも呪詛が乗り続けて。
教導され、守られ、そして難なく戻ってきて。
ただの考えなしの壁役では成し得ない司令塔としての側面もあるからその結果を成し得たのだろうと。

「ふふ、嬉しいわ。貴女良い人ね。半人前をしごいた労いに私が奢るわ。」

続く二つの呪詛。好感上昇と肯定増幅。
店に入って酒を嗜み、語らい、時折貴女を褒め、肯定し、その呪詛を少しずつ深めていく。
まして冒険者の店と言う場で姦計に及ぶ者はいないという隙をついて話を進めていき。

「それにしてもリリーってそんなに人が良いのなら、抱え込んでるものとかあるんじゃない?

【私達友達でしょう? 久しぶりに会ったのだし相談に乗るわよ】」

呪詛が進めば、酒精も相まって緩んだ心へ認識誤認、目の前の相手は友達、それも長い付き合いの”なんでも気を許せる”相手だという呪詛を刹那に投げ込んで。

貴女は知っている。目の前の”友達”は同性愛者でもあると。