2026/01/15 のログ
ベリー > 「そこまでは思わないよぉー、普通に嬉しいからっ! ね?」

誕生日談義もそこそこに、二人の意識は食へと向いた。
何を飲み、何を食すかである。

「ガッツリなら骨付き肉って手もあるけど、値段がちょっと……かわいくないんだよね……。
 と言うことで、パンケーキボックスには大賛成だよ!
 あのコロコロしてるの可愛いし、一口サイズなのが良いよね」

大きな骨付き肉の屋台もあるが、あっちは酒飲み向けなのか値段が一気に跳ね上がる。あと、甘い飲み物には合わなさそうで。
残金の事も考えると、手ごろな値段でお腹いっぱいになる方が良いのは同意だった。

彼の提案に二つ返事で了承して、直ぐにでも屋台へ向かおうとした。
が、彼の声にも、周りの雑踏にも埋もれない、はっきりとした腹の虫の鳴き声を聞いて。
パチリ、瞬きを一つ。彼のお腹を見て、彼の顔を見て。

「……ふっ、ふふっ、うんっ、わかるわかる。オズ君も私もまだまだ成長期だもんね。
 美味しそうな匂いが沢山したんだもんね、仕方ないよ。
 うん、りょうかーいっ。 じゃあ、また後でね」

珍しく顔を赤くする様子を微笑ましく思い、楽しげに笑いながら頷いて。
ぽんぽんっと軽く肩を叩いてからパンケーキの屋台へと向かうのだった。

オズワルド > 「値段が可愛くないっていう表現は初めて聞いたよ。
 でもまあ、デカイ買い物した後にはちょっとキツいよな。」

わかるよって頷く顔は赤い。ぐぬぬ。

「ええい、しょうがないだろ。流石にこれで腹が鳴るのは催促してるみたいでかっこ悪いだろ。」

流石のオレとて、恥じらいはある。主に年下からの奢りを前に腹を鳴らすのはかっこ悪いとかそういう具合で。
ええい、行ってくる、とばかりに踵を返して、向かったのははちみつ生姜茶の屋台の方。2杯を頼んで、木製のカップに熱いはちみつ生姜茶を注いでもらう。
カップから漂うはちみつの甘い香りに目を細めながら、福袋二つとカップ二つを手に、待ち合わせ場所に指定したベンチの方へ向かって。
まだベリーは来てないようだから、一足先にベンチに腰かけて待つことにした。
福袋は一端、足の間に挟むように地に置いて、よし!

「しかし、今年は人が増えた気がするな…血の旅団の件もまだ続いてるから、王都に避難してきた人もいるんかね。」

どうなんだろうなー、なんて独り言ちながら待っていたけれど。ベリーの姿が見えれば、こっちだよー、とばかりに手を振って。

ベリー > 「洋服とか、お菓子とか、可愛い見た目してるけど、値段を聞いてこっちは可愛くないなーってことない?
 魔法薬を買おうとしたら何故か急激に値上がりしてて、思わず顔が引きつった時とか……!
 そういう時にも使ったりもするかな? 可愛くない値段してるなーって」

見た目からして厳つい骨付き肉に言うのはちょっと違うかもだけど。
そう呟き、軽く肩を竦めて。

「カッコ悪いかな? たくさん食べるのは元気な証拠だから、私は気にしないけど。
 んー。そうやってカッコつけようとして、失敗して……照れてるオズ君は素直で可愛いと思うよ! 元気出して!」

男として、年上としてのプライドを唱える青年には悪いが、思ったことは素直に伝えて見送った。
頑張って背伸びをしている同年代の男の子を見て、微笑ましいと感じてしまうのは少し間違っているのかもしれないが、つい孤児院の子供たちを思い出してしまうのだから仕方ない。
人混みに消える彼の背を暫し眺め、少し遅れてから自分もパンケーキを買いに向かう。
列に並んでふんわり漂う甘い香りで胸を満たし、焼き立てのパンケーキボールがガサガサと大きめの紙袋に転がされながら詰められていくのを何度か見て、やっと順番が来て手に入れれば代金を払い急いで集合場所へ。

「お待たせー! 出来たてほっかほかだよー。
 オズ君、なんか今……独りごと言ってた?」

手が降られる前にその姿を見つけ、駆け寄り左手に抱えたパンケーキボールの紙袋を差し出して。

オズワルド > 表現が女子だなーって思うけど言いたいことはわかる。素直に金出す気になれない感じだよな。それはわかる。
それはそれとして、素直可愛いは辞退したいところであったが、すでに買いに別れた状況ゆえに、今は語ることができないのだ…後で言おう。

さておき。
此方に急ぎ足でむかってきた姿に気づいた頃には、ちょっと手を振るのが遅れていた。
が、まあ。紙袋を差し出す姿に、一応手を振って見せてから。

「とりあえず、お互い取りやすいようにベンチに置こうぜ。」

そう言って、差し出された紙袋を手に取って、自分の隣、ベンチの上に中からパンケーキボールを取り出しやすいように置いてから。

「で、こっちがはちみつ生姜茶な。」

ほいよ、と暖かい生姜茶が入った木製カップをそちらに差し出す。

「独り言はそうな。 とりあえず素直で可愛いって評価には意義を申し立てる準備だな。
 オレはもう少し…悪い感じのかっこいいやつになっておきたい…。いやでも信用とか信頼とかはちゃんと稼いで仕事の利益に回したい…金のためだ…。」

今が丁度後になったので、今言った。きりっ!
言ってる内容は全然きりっとしていないが、顔だけはきりっとさせていた。

「とりあえず、ちょっと食ってから福袋開けるかー。」

オズワルド > 【後日継続】
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からオズワルドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からベリーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にオズワルドさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にベリーさんが現れました。
ベリー > 紙袋を手渡し、もう片方の手に抱え持っていた福袋を抱え直してベンチの空いてる側へお邪魔する。
そこへ湯気の立つ木のカップを差し出され、そのほんのり甘い香りに頬を緩め。

「わぁ、良い匂い……。うんっ、ありがと!」

福袋を膝に置いて、そのカップの温もりを直接感じるためにいそいそと手袋を外してからカップを受け取った。
その合間に真剣な様子で異議申し立てをする彼を見ては、はいはい、と軽く頷いて流し。

「うん、わかってるよ。ちょっと大人ぶりたい、危険な香りのする男性になりたいお年頃なんだよね。
 信用とか信頼は普段の行いで積み上げるものだと思うから、その辺はオズ君なら大丈夫なんじゃないかな?
 ほら、オズ君って紳士的だし」

受け取ったカップを軽く掲げて、親切で紳士的な要素の重要参考品をして持ち上げる。
ふふふっ、と楽しそうに微笑みながら、カップは一度ベンチの隅に置いて、いざ、運命の開封の儀へ移ろう。

「待ってましたぁー! さぁ、今年初めの運試しだね。せーの!で、開けようねっ!」

オズワルド > 「んん~~~っ?紳士的ぃ~~?」

余りにもあまりな評価に、さすがに眉間にしわが寄る、寄るんだが。
よくよく考えてみれば、別にいい人の評価をされているのは別に、良いのでは…?
ううん?と首をかしげたが、むぅ、と眉を寄せ。

「…ベリーからの評価に異論を論じるべきか悩むな!?」

やっぱり悩みはする。そういうお年頃。

「ま、いいか。紳士的にふるまうってのもやりたいトコではあるし。
 でもよぉ、ベリーのオレの見方は割と良い方向から見てるからだよな。騙されないようにしろよ?」

本人から忠告を投げるようなひねた真似をしながらに、生姜茶に口をつける。くピり、と一言飲めば、はちみつの甘さとショウガの香りがよく合っている。うまい。

「ん、そうだな。じゃ、大きいのから先に開けようぜ。 小さいのは中身が豪華だろうから、後でじっくり見るってことで。それじゃいくぞー。」

一度カップはベンチの上に置いて、大きいほうの福袋を膝の上に乗せて――

「せーの!」

---
(福袋の内容物の価値は1d100+1で高いほどよいもの。)
[1d100+1→92+(+1)=93]
ベリー > 「紳士的だよ? だって、乱暴じゃないし、女の子への気遣いも手慣れてる感じがするもん」

納得いかない様子のお顔を横目で見ながら、1つずつ紳士の要素を上げていく。
悩んでいる百面相も愉快で、クスクスと楽し気に笑みを零しながら肩を揺らし。

「オズ君にもなりたい男性像があるのはよーくわかりました。カッコイイ大人になれると良いねっ。
 ん? 騙されないようにって……。オズ君がいつか私を騙すつもりってこと?
 ……そう言う忠告をしてくれる時点で、オズ君は悪い人には向いてないと思うなぁ」

何故に面と向かって本人から忠告されているのか。
ちょっと間抜けにも見える状況に笑みは苦笑に変わり、首を捻りながら悩んでしまう。
そんな話も途中で切り上げ、膝に置いた福袋の大きな方を手に取る。

「よーし、こっちからね! 良いのが出ますように…… ――せーのっ!」
[1d100+1→1+(+1)=2]
オズワルド > 「…まあ、去年から女子慣れはしてきた気はしている。」

何か言いよどむ間は挟まったが、まあ…って頷きを見せて。
しかして自認とは違う評価に、どうにも、ちょっと腰が落ち着かない。もそり。

「どうだろうな。世の中には忠告しておいて後から…っていうやつもいるだろうけど、そういうやつって大体小悪党だよな。
 …小悪党よりはかっこいい大人になりてえなぁ。」

どこかしみじみとした様子で言うが、さて。自分のこれまでの生涯を思い返し、悔いることはあんまりなかった。
おのれの心のままに、きっちりと振舞ってきたと思うからだ。
まあ、恨まれていることもあるだろうが、冒険者をやっていればよくあることでもある。

そんな考えのうつりかわりは、顔には出ないわけだが。数秒の沈黙としては現れる、ともあれ。

「ま、それはそれとして福袋の中身はなんだろなーっと。」

がさがさり、と取り出した袋の中身は――

「お、おお?これは…鞄か?装丁しっかりしてんな…結構いいやつじゃね?…中身も何か入ってんな。」

ごそごそ、福袋の中に入っていたのはしっかりとした装丁の革の鞄。冒険に持っていくのにばっちりだろう。
更に鞄の中を確認すれば、中に入っていたのはナイフが一振りと魔物除けのお香、簡易医療品の3つ。

「…あ、これ鞄に魔法かかってる。多分耐火だなこれ…。鞄だけでお釣り出るレベルで良いものでは?」

小声で魔法の呪文を唱えて鑑定すれば、容量は普通だが燃えない鞄と判明。
これは実用品だと小声でつぶやき。

「ベリーの方はどうだった?」

ベリー > 「忠告してから悪いことするの? よくわかんない人もいるんだね……。
 私は、オズ君には悪党にはなってほしくないかな。
 ちょっと悪くてカッコイイなら、んー……ダークヒーロー的なのとか?」

彼がどんな大人を目指しているのか、具体的な目標を聞いていないので何とも言えないが、何度か話てみてわかった彼の性格や立ち振舞を見ていると、そこまで心配する必要も無さそうだと結論付けた。

さて、と。
わっくわくと心躍らせ、大きな福袋を開いて中を確認する……のだが。
隣で当たりを引き当て喜ぶ彼とは反対に、出てきたものを一つずつ確認していくにつれて少女の表情が落ち込み暗くなっていく。

福袋(大)の中身は何だったかと言えば――
とびっきり不味い上に効果が微妙で去年一番の不人気を誇った魔法薬7本セット。(生産終了品)
柄が派手過ぎて隠れる気のないカラフル迷彩カラーのバンダナ。
子供騙しな粗悪品と冒険者から呼ばれている小型ナイフ。
その他、他店で誰も手に取らずに年を越しただろう物品の数々が、これでもかと詰め込まれていた。

悪意しかなさそうなラインナップに、スーッと目のハイライトが消えていく。
俯き、ふるふる震える手で福袋を閉じつつ、呟く声もまた震えていて。

「……こんなのってないよぉ。新年早々大外れって、毎日神様にお祈りしてるのに……っ。
 オズ君、私そんなに悪い子だったかな!?」

がばっ! と、勢いよく顔を上げたかと思えば、嘆きの声を響かせ青年へと訴えかけた。

オズワルド > 「くくくこれで油断させておいて、みたいなな…。うん…。」

最近そういうことをしたな…という思いはそっと心の中にしまい込んだ。
この年下の冒険者にして聖職者に告げるにはナニが過ぎる話だ。
今日だけはそのことを忘れよう…!そんな決意を固めて。

「ダークヒーローなあ。ちょいワルな依頼も軽くこなして人助けして見せる冒険者とかかな?…犯罪すれすれじゃない程度にならありかもしれん。」

ふぅむ?と首をかしげるあたり、明確な像があるわけでもないらしいが、ひとまず一つの着地点は見つけた様子で。
ただ、今何より問題であったのは、そちらはどうだったと視線を向けた結果であった。

横から見るだけでもわかるチープなラインナップ。
あの魔法薬は飲んだことがあるからわかる。絶対誰も買わなかっただろ。
あのバンダナはデザイン的にベリーには似合わないな…?ナイフも普通の奴を買った方がマシだろう…うん…。

「ま、まだわからないぞベリー!もしかしたら小さいほうの福袋に幸運が詰まってるかもしれん。もしかしたら、神様もそっちの方に福を籠めてくれているかもしれないからなっ。」

此方も一度福袋の中に中身を詰めなおし、足と足の間に落とし込むように置いてから、ベリーの肩に手をやって。まだだいじょうぶだと、励ますようにぽんと叩いた。

「逆説的にいえば、厄は払えたってことだ。小さい福袋に良いものが入ってるさ! 開けてみようぜ!」

なっ!
そう励ましてから、さて、自分の小さな福袋を手に取って。
神様、なんかいいもの出してください。主にオレじゃなくてベリーの方に…!
そんなことを願いながら、小さい福袋の方を開けてみるのだ。

---
小さい福袋のラインナップ
2:ハズレ装備
3~4:使い捨て便利品(魔物除けの香1ダース等)
5~6:下級マジックアイテム
7~8:魔法効果付与アクセサリ
9~10:中級マジックアイテム
11:たくさん入る魔法の鞄
[1d10+1→9+(+1)=10]
ベリー > 何故か言い淀み黙ってしまった青年を見て首を傾ぐが、その真意は伺えずに終わり。
何やら“カッコイイ大人の男”の定義が彼の中で一つ定まった様子に、微笑ましくは感じるものの。

「真っ当なやり方で人助けをするのが一番カッコイイと思うけど、見えないところ、手の届かないところはあるからねぇ……。
 全部を助けることはきっと神様でもない限り難しいことだから。
 少しだけ狡いこと、悪いことをして、誰かを助けられるなら……神様もきっと目を瞑ってくれると私は思う。
 犯罪になっちゃったら捕まるので、そこは十分注意して。ねっ?」

迷える青年にちょっと余計な道を教えてしまった気もするが、悪人への道を進んでいるわけでもないので、やんわりとフォローしつつ。
彼が将来、立派で真っ当な大人になれるようにと心の中で神様に祈った。

まぁ、その祈りが何処まで神様に届いているのかと言うと、凄く不安になるのだが。
現に毎日敬虔な聖職者として神に祈っていてもこの通り、クジ運は酷い有様なわけで。

「ふぇ……。うん、そうだよね。まだ終わったわけじゃないもんね……っ!
 ありがとうオズ君っ! 私がんばるっ! 次こそは、お願いします……神様~~……っ!」

ぽんっと励まし叩かれた肩を見て、まだ諦めるなと告げる声に勇気を貰い。
ガラクタセットだった大きい袋をそっと置いて小さい方の袋を手に取る。
神様に今一度祈りを捧げながら、そーっと袋を紐解いて……
[1d10+1→7+(+1)=8]
オズワルド > 「冒険者の真っ当なやり方は体を張る形になるからな…。まさに英雄のやるべきことってやつだ。
 英雄になれるかっていうと自信ないしなぁ~。
 まあ、神様と司法に目をつむってもらえる程度にズルするさ。」

なお内心では、アレがバレるとやべえな、とか、あっちもやばいか…?とか考えているせいで、冷や汗が首筋にたらり。
思い当たるところが色々とあるもので…。

いやいや、今考えることではないと、ひしっと目線を福袋の中身に注ぐ。
中から出てきたのは…小箱が一つ。
それもぱかっと開けてみれば、中身は3つの水晶が取り付けられた金属製の腕輪。

「これはー…腕輪か?ほーん?」

最初はしげしげとみていたが、それだけか?と思って福袋の中身を確認した所。
中にメモ書きの様なものが入っていたのに気づいた。どれ、とそれを手にして確認して見れば。

「何々…バインディングスペルリング?」

どうやら、紙片に書かれていたのは中に入っていた物品の説明書だ。
なんでも、3つまで強すぎない魔法を封じ込めておくことができる、という品らしい。

「…だいぶやばい品では???」

福袋で扱う品なの???と首を傾げざるを得ない。いや、経験を積んだ冒険者がそういう品を持っていると聞いたことはあるけれど。いまだ学生兼業冒険者にとってはちょっと手が出ない品であり…つまるところ。

「大当たり引いてしまったのでは???」

どうやら神はオレに微笑んだようであった…ともあれ。

「ベリー、今度はどうだった?」

と、そう伺う声を、恐る恐る隣の貴女へと向けて。

ベリー > 「だからこそ鍛えるんだよ、努力し、費やした時間と流した汗は裏切らないから!
 沢山の人を助けて、英雄ってみんなから呼んでもらえるようになったら良いなぁ……。うんっ!憧れる」

そう言って晴れ渡る空を見上げ夢見る少女の横で、違う意味で汗を流し焦る青年の姿があった。いったい過去に何をしてきたのやら。
もしも彼が罪悪感に追われて少女へ懺悔をしたならば、軽蔑の目を向けられたり、滾々と説教されたり、謝りに行こうと手を引かれる羽目になるだろう。

小さい方の福袋を開けてみれば、こっちも同じく小箱が一つ。サイズは彼のより一回り小さい。
今度もはずれだったらと思うと中々小箱を開けられず、腕輪を引き当てたらしい彼の様子を眺めていた。
説明を読むなり表情に驚きと困惑が見え隠れしていて、相当良い品、大当たりと言っても過言ではないものを引き当てたらしい。

「そんなに凄いんだ、その腕輪……。よかったね、オズ君! 今年のオズ君はラッキーボーイだっ。
 あ、うんっ! 私の方は……えーっと?」

嬉しそうだったなら良し!と少女も一緒に喜んで頷き、促す様に問う声にまたちょっと顔が強張る。
開ける前にもう一度心の中で神様にお祈りをしてからそーっと蓋を開けて……。

「――ブローチ、だね。説明書もついてる。なになに……」

出てきたのはアイリスの花を象った銀製のブローチだった。
花の中央には小さな水晶が一つだけ埋め込まれており、説明書を見る限り、物理的、精神的な加護を齎すと言うもの。
シンプルだが前衛職である少女にはありがたい品である。
それを簡単に読み上げると、さっきの落ち込み具合が嘘のように晴れ、溌剌とした笑顔を青年へ向けた。

「防御力が上がって、ますます役に立てそう! えへへー……どう? 似合う?」

さっそく手に取ったブローチを頭のウィンプルに付けて、彼へ見えるように頭を傾けたりなんかしつつ。

「よかったぁ。こっちはちゃんと当りだったよー……。
 はぁー……。落ち着いたらお腹空いてきちゃった。
 お茶も冷めちゃうし、オズ君のお腹の虫もまた鳴き出す前に頂くとしましょうかっ?」

これでやっと落ち着いておやつが食べれる。
隅に置いていたカップと福袋を入れ替えて、ちょっと冷めてきた生姜茶をコクリと飲めば、ほんのり感じる蜂蜜の甘みと生姜の香りに、のんびりまったり息を吐いて。
パンケーキボールの入った紙袋を開けようと手を伸ばす。

オズワルド > 「まあ、どれだけ幸運があっても、それがつかめるかは実力次第だしな。努力と鍛錬はどうやったって必須か。
 お、ベリーは英雄に憧れあるタイプ?健全だなー。」

そんな健全な少女の隣にいる不健全な男は、何かを反省するような様子も見せないでいる悪いやつである。
悪いやつなので、悪いことはそーっと黙秘しておくのだ。

「うん、結構すごい。説明書きだけ読んだ感じだと、魔法を籠めておいて、後で自由なタイミングで発動できるらしい。アイテム自体は使い捨てじゃなさそうだし、何度か使ってお試しかな。
 …ひとまずどこかで治療魔法封じてもらおうか。」

尋ねられれば、自分が当たったものについての説明は簡易的に。
ただ、ちょっと嬉しそうに腕輪を見せつける様子は、楽し気なもの。
とはいえ使い道として、緊急医療手段の確保に走ったようだ。

「そっちは――ブローチか。へえ、綺麗なやつじゃん。」

横からパッと見たところ、可愛らしい花のブローチだ。
身に着けて見せる様子に、おお?と瞬きをはさみ。
しっかりとじーっと見て確認してから。

「良いじゃないか、よく似合ってて可愛いぞ。新年のお祝いにもなってちょうど良さそうだ。」

よかったな!ってからりと笑って見せて。

「ん、そうだな。そろそろまた腹の虫が鳴きかねん。さて、っと。」

腕輪を箱に戻して、小さな福袋に入れて、小さな福袋を大きな福袋に収めて、そのうえで、しっかり膝の上に抱えておく。盗難注意。
そんな状態にした後で。

「じゃ、パンケーキいただきまーす。」

こちらもこちらで、パンケーキに伸ばした手が、そちらの手に重なった。

ベリー > 「健全って褒められたのは初めてだよ。……褒め言葉、なんだよね?
 冒険者なら誰でも英雄に憧れるものだと思ってたけど、オズ君は違うんだね。
 ……オズ君は何で冒険者してるの?」

首を傾げつつ、褒められてるなら良しと頷き。
英雄や伝説に憧れて冒険者になる者や、生活のため仕事欲しさになる者もいる。
少女の場合は母への憧れからこの道を選んだが、彼はどうなのだろう? 興味本位に尋ねてみる。

「そっかそっか。大当たりだねっ! オズ君は色んな魔法使えるみたいだし、緊急時に仕える魔法入れると安心かも。
 治癒魔法、私で良ければ入れようか?」

見せてもらった金の腕輪がキラリと光り、魔道具としても、装飾品としても優れているのがよくわかる。
満足いくものが互いに手に入ったことを喜んで、込める魔法がもう決まっている様子に内心驚きつつも、それが治癒魔法なら軽く手を上げて、何気なく申し出てみよう。
少女は白兵戦を主にするが、治癒魔法の腕も専業程では無いがそこそこ良い線をいっている。……と、前に組んだ冒険者から評価を受けていた。

ブローチを褒めてもらえば、少女は嬉しそうににっこりと笑みを深め。

「えへへっ、ありがとうっ。オズ君も腕輪似合ってるよ」

良かったね! と同じく返し、山あり谷ありな福袋開封を終え、パンケーキに手を伸ばすが…
指先がコツンとパンケーキとは違う柔らかいものに当たった。はて?と視線を下ろせば、ぶつかったのが彼の手だと気付き、慌てて引いて。

「あ、ご、ごめんねっ。あははっ、は、……お先にどうぞー」

引っ込めた手をカップに戻して、両手を添えながらカップを傾けまた一口。ゴクリ、と飲み込み心を落ち着ける。

オズワルド > 「誉め言葉誉め言葉。健全なのは良いことだよ。うん。
 オレはー…まあ英雄に憧れないかって言うと、憧れはあるんだけど。学院の色々を見ると、どうなんだろうなーってヒネたタイプ?」

かな?と首をかしげて。

「んー…すごく短くまとめると、金。」

きっぱり言い切る。

「オレは学院に行きたかったんだけど、学費稼ぐのに冒険者が一番手っ取り早かったんだよね。あ、今はもう学費払い終えてるから大丈夫よ。」

金は大事、と重ねて告げる。実感たっぷりに告げる。
のだが、それはそれとして。治癒魔法を籠めることへの申し出があれば、お、と嬉しそうにそちらを見て。

「ならありがたく入れてもらおうかな。後で頼むわ。あ、お礼にいくらか払うな。」

お金は大事だから、その辺はしっかりしておきたい男心。
とはいえまずは飲食の時間なので、またあとにという事にして…。

「街中で身に着けるのはちょっと躊躇う高級品だから、保管場所どうするか悩むのがネックだけど…まあ似合うって言ってもらうのは嬉しいね。」

にんまり、と笑っていた口元が、手に華奢な指の感触を感じれば、お、とパンケーキの入った紙袋の方に目線が向いて。

「あ、こっちこそ悪い。 じゃあ、ありがたくお先に貰うな。」

こちらは強く気にした様子も見せずに、ありがたく一つ目のパンケーキを指でつまんで取り出して。 どうぞ、とそちらにも促して。
ぱくり!パンケーキに食いついた。 まだ仄かにあったかくて柔らかくて、うまい。

「はちみつ生姜茶にちょうどいいな。」

はちみつでいい具合に甘い。もぐもぐ。

ベリー > 「学院の? んー……?」

英雄への憧れが霞んで褪せてしまう学院の内情とは。
少女には見当がつかなかったが、色々あるのだろうと一先ずは流しておく。

「――お金、かぁ。あー……ははっ、はっ……。うん……なるほど。
 世知辛い話だなって思ったけど、学費を自分で稼いで払い切ったって凄いねっ。オズ君、頑張ったんだぁ。
 今も冒険者を続けてるのは、楽しいからぁ……とか?」

お金は大事。世の中、善意や信仰だけで生活できるわけでは無い。
信徒からの善意ある寄進でギリギリ成り立っている教会にも言えることなので、そこは同意するし、学費の為に日や冒険者として働き、学生生活も立派に送って来ただろう彼を素直に称賛した。
治癒魔法のお礼をと言う言葉には、眉を下げ、少し困ったような笑みを浮かべ。

「友達相手にお金取るのはちょっと……。
 ほら、私が支度してる間に寄進してくれてたでしょ? そのお礼ってことで」

これでWIN-WINだよっ!と明るく言うと、嬉しそうにうんうんと一人で納得して何度か頷いていた。

「あー……確かに、そう言うの付けて貧民街とか歩いたら、大変なことになりそう……。
 まさかこんな落とし穴があるとは。運が良過ぎて大変なこともあるんだね」

言われて想像してみれば確かに、と思う所もある。
保管場所、とは言ってもいざと言う時役に立ってもらわなければ意味が無い訳で。悩みどころだろう。

手が触れても気にした風ではない様子には、女の子に慣れてると言う評価は正しかったなぁ、と我ながら思ったりもして。
少しでも焦ってしまったことが気恥ずかしく、少し申し訳なくもあったりした。
あははっ、と短く笑って誤魔化しながら、美味しそうにパンケーキを頬張る様子を見て、空笑いも本心から来る笑みに変わる。

「うん、ほんのり甘くておいしい。生姜のお陰で体もあったまるねっ。
 私も頂きまー……す。んんっ! ふわっふわで、パンケーキも美味しい~っ! お茶に合うー……はぁ……っ」

今度はぶつからないように気を付けて、パンケーキを一つ摘まんで頬張り。もぐっ、もぐぐっ!と頬を膨らませながら、もっきゅもっきゅとふわふわ加減を楽しんで。
生姜茶で飲み込めば後味はすっきとして、また一個と手を伸ばす。

オズワルド > 深くは語るまい。しかして、金と権力が世の中大事なのを学んだのも、学院なのである…。意味深な笑みだけ浮かべて行こう…。

「そのまんま生きてるとただの平民で終わったしなー。世知辛いし、苦労もあったが、良い苦労だったと思うよ、今は。
 冒険者続けてるのはまあ、まあ一番わかりやすいのは、今一番稼げる仕事だって言うのもあるけど。
 セイラン…馬を出す魔法、前に見せただろ? あいつと一緒に、世の中見て回るのも楽しいなって思ったから。それも冒険者やってく理由になってきたかなー、って感じ。
 …学費返し終えたの去年だから、まだ進路これだーって決められるほど何かないしな!」

まあ今後に色々あるさと笑って告げる様子からは、未来を良く歩こうとする意欲が見えるだろう。
何にしても――まずはちゃんと金を稼ぐこと、を一つ置いていることはちゃんと明確にしていた。

「? そうか? 教会って治癒魔法とかはお金取ってるイメージだったけど…ああ。そうだな。寄進してたけど、見てた?」

ちょっとばかり、気恥ずかしそうな顔にはなる。友達相手にそう言うのを見られるのはちょっと…気恥ずかしい。

「まあ、そう言ってくれるならありがたく頼もうかな。外傷治す魔法で一番いいのを頼む。」

しかして、それはそれとして、よろしくな、と片手で拝む仕草を交えて、一番いいのを頼む。
頼んだ後に、もう一口生姜茶を飲む。しっかり喉を潤して。

「だろー? ベリーも気を付けろよ、保管場所。まあ、教会なら大丈夫かもしれないけど。
 実際、ある程度以上の実力の冒険者が家買ってるのを考えると、装備の保存とか気を遣うんだろうな。卒業して寮を出た後が今から憂鬱だぜ…。」

家賃、そして治安。どちらも重要なものゆえに、寮生活がお手軽過ぎて手放しがたい…。ぐぬぬ、と考えるだけで少しばかり眉にしわがよるが。
それはそれとして、パンケーキが美味い。 もっきゅもっきゅ。
ただ、少しばかりごまかすように笑ってたのが気になったので――

「――えいっ。」

二つ目のパンケーキを手にしようとした瞬間を狙って、ベリーの手をきゅっと捕まえてみる。

「手ぇ触ったのがどうかしたか? オレの手が硬くてびっくりしたとか?」

逃げられなければ、そのままおててをにぎにぎせんとする。モンクだから手指はしっかりしているのだろうか…。